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第5章 結界と侵入者

第48話 今、一番必要なこと

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 イグニスヒールの章を読破した後、夜の魔術のお勉強は、獄炎の法書の1章めに戻り、順番に読み進めることにした。法書の第1章は、ファイアーボールと言う魔法だ。

 ファイアーボールは、某N天堂のキャラクターである赤と緑の配管工夫兄弟をはじめとして、さまざまな作品で登場し、基本的には初等に位置づけられる魔術と言える。本作も例に漏れず、初等魔術に位置づけられ、術理としても高温の火の玉を作ってターゲットに飛ばす単純なもの。魔力回復の付加効果があり、火勢を長時間維持することもできるイグニスヒールと比べると、簡単である。

 当然魔導書においてもページ数は少なく、イグニスヒールが約60ページを割いているのに対し、ファイアーボールは40ページほどしか記載がない。

 リアムは、「ファイアーボールは、比較的簡単な術だから」と言って、一日の読み進めの目標を3ページにした。リリカは嫌がったが、ファイアーボール学習初日の今日、あろうことか、30分でノルマの3ページを読んでしまった。さすがにリアムは驚いた。

「あたし、実は今日のお昼に予習でざっと全体に目を通してみたんですけど、多分もう使えるんじゃないかなと思います。明日、試してみても良いですか?」

 これまでもそうだったが、本当に驚きの成長振りだ。イグニスヒールの章を苦労して読んだ結果なのだろう。リリカの魔導書の読解能力は、飛躍的に伸びたようだった。

「そうだな。明日、昼間に試してみるか。」

 初等魔法とはいえ、リリカが攻撃手段を持つことができれば、万が一の時にリアムはかなり安心して対処できる。マジックシールドだけでは、術の効果がある間は凌げるかもしれないが、周りを取り囲まれ、逃げ道をふさがれれば、いずれはつかまってしまう。マジックシールドを発動させながらのファイアボールの使用が可能になれば、リリカは自力で敵を撃退することが可能になる。

「それからな、リリカ。一つ俺が試作した魔道具を紹介してやる。」

 それは、当初の島全体を結界で守る構想を検討した結果のものだった。最初に考えていた、島全体に防御壁を張るという構想が、あまりにも膨大な魔力を必要とし、実現不可能だったため、現実見つめながら、様々な代替案を考案し、ようやく一つの結論に落ち着いたのだ。試作品はまずまずで、リアムは狙い通り作動したのが嬉しくて、リリカに話そうとしたのだが。

「この魔石を動力源にした仕掛けなんだがな・・・、」
「あの、ご主人様。」
「ん?」
「それは、明日のファイアーボールの練習の時じゃダメですか?」
「なんで?」
「だって、今からはご褒美の時間ですから!」

「リリカ、この試作品は俺たちの身を守るのに重要なアイテムだぞ。大事な話なんだから。」
「じゃあ、その分寝る時間遅くしてもいいですか?」
「それはできんな。規則正しい生活は大事だ。」
「じゃあ、その話はやっぱり明日にしましょうよー。」

「そんな。俺が折角成功した試作品なんだから、話させろよ。興味が持てないのか?」
「興味はありますけど、ご褒美の時間が短くなるのはヤです。リリカそのために今日もめいっぱい頑張ったんですよ!」

 (そうか・・・。毎日朝から晩までものすごい集中力で何でも頑張るが、元々働き者の性分なんだと理解していたが、──まあそれも間違ってないんだろうが、常にご褒美の時間をちょっとでも長く獲得することを考えてのことだったか。そこまでのモチベーションとは思わなかった。)普段、従順でご主人様に立てつくことはほとんどないリリカだが、なるほどそりゃ怒るわな、とリアムは理解した。

「ご主人様。アロン島の守りを固めるのが大事なのは、リリカもよくわかります。リリカもご主人様との今の暮らし、ずっと続けたいので!

 でも、今夜その魔道具の話を聞くのと、明日聞くので、この島の守りの備えが大きく変わったりとか、ないですよね?

 でも今夜その話を聞くと、リリカのご褒美はなくっちゃいます!リリカに今一番必要なことは、ご褒美してもらうことです!」

 最後の一言をいいながら、リリカはご主人様に突撃した。ガシッと両腕で抱き着き、ぐっと力を込めた。

「分かった。すまない、リリカ。そこまで思い詰めてのことと思ってなかったもんだから。」
「しましょうよ、交尾~。」

 単語の教え方が、明らかにまずい。若干タジタジしながらも、リリカに迫られてリアムの中心部にも、自然と力が集中してきた。リリカのあごに指をかけ持ち上げ、唇を重ねる。リリカの表情が一気にほころびた。

「迫ってくるリリカが可愛いもんだから、ここが元気になってきちゃったよ。」
「可愛かったですか?鼻息フンスしすぎてみっともない気がしました。」

(そこか?よだれジュルとか、しょっちゅうエッチでみっともないことしてるがな。)とは思ったが、そこはスルー。

「そんなのも可愛いぞ。おかげで火がついちまったよ。」
「ウフフ、リリカにも火をつけてください!」

 二人のバスローブは、いつの間にか放り投げられ、いつものようにベッドで絡み合う。リアムの舌が、リリカの芯を何度も往復し、リリカは身体を痙攣させたり、お潮をこぼしたりしてしまった。でもシーツは無事に守った。快感の津波が来そうになった時に、床に投げられたバスローブを用意周到にお尻の下に敷いたのだ。(えへへ、これでご主人様のシーツは大丈夫。──あっ、あ!)
ピュッ──、と飛沫が飛んだが、リリカはお尻の角度を調節して、敷いていたバスローブにうまく潮を落とした。前にうっかりご主人様の顔にかけるという失態をしたことがあるので、対策は万全だ。

 そんなリリカの上達ぶりに感心しつつ、リアムは今日はアニマルスタイルにしようと思うのだった。

「リリカ、そこで四つん這いになってごらん。」
「?え、こうですか?」
「そうそう、そのまま力を抜いてるんだぞ。」
「えぇ?このかっこ・・あぁん、んっんぅ、・・・この格好で交尾するんですかぁ?ひゃっ!」
「ああ、一番正しい交尾の仕方だぞ。」
「あ、あ、ワンちゃんがこういうかっこしてるの見たことがあります。ん、んぅ!」
「犬も交尾するからな。」
「そ、そうなんですね。」

 バックは動きやすいが、肌の密着が少ない。密着を求めて、リアムも四つん這いになる。まさに動物が合体しているかのような光景だ。リリカは、後ろからの圧力に負けてうつぶせに崩れた。追いかけるように、リアムがつながったままうつぶせになる。小さなリリカを覆いつくすように、リアムはのしかかり、みなぎる力を押し込み続けた。

 リリカは、身体の内部のお腹側をリアムの幹で、執拗に愛され、呼吸もできないようなところまで追い込まれた。リアムに覆いかぶされて身体も身動きが取れない。(あ、リリカの身体、全部ご主人様につかまっちゃった。)そう思うとますます興奮し、脳まで痺れる感覚に達していく。

 追い詰められているのは、リアムもだ。うつぶせになり、リリカの両足が伸びきり、きつく閉じられている。ものすごい締め付けだ。外側では、これほどに小さな可愛い生き物を食らいつくすかのようにしているのに、内部ではむしろ自分の方が食べられているような感覚に陥りながら、リアムは渾身の液体を絞り出すのだった。

 就寝の時間が守れていたかどうかは、もう定かではなかった。二人ともぐったりと脱力し、そのまま、唇を重ね合わせながら、沈み込むように意識を落としていった。


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筆が進みづらかったです。。目標の9時更新を守れませんでした。残念。
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