黒魔術と性奴隷と ~闇の治療魔術師奇譚~

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第2部 第1章 アロン島の物語再び

第7話 暗黒竜の炎(中編)

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 徐々に魔力の集中度を上げていくリアム。そして魔力を光に換え、その光でもって魔法円と文字を形作っていく。チャージサークルのライティング(書き下し)は、既にしっかり練習を積んでいるので、とてもスムーズだ。

 リアムは魔力で生成した光でもって魔法陣を書いているが、普通は紙に書くのが一般的だ。フォルセル王国の国立魔法研究所では、魔道具として紙に書かれた魔法陣が販売されている。この魔法陣があれば、難しい魔術の術式を知らなくても魔力を込めるだけで術が使える。

 そのほか、棒などで地面に書くような場合もあるが、この方法だと文字の形などが崩れやすいため、精度に欠ける。紙の場合はコンパスや定規、活字を駆使してかなりの精度で書くことができる。

 一方、今リアムがやっているように魔力で書く場合は、術師がどれだけ正確な図形で魔法陣をイメージできるかにかかっている。これは、フリーハンドで図形を正確に書くような難しさがある。

 実戦においては、紙とペンで作図するようなのは現実的ではないため、魔法陣を使う場合は魔力で書くのが合理的である。そのため、図形の正確なイメージと具現化は高位の魔術師の必須スキルと言える。

 さて、リアムの魔法陣はどんな感じだろうか。彼の左右の脇には次々と魔力の光で描かれた魔法陣が浮かび上がっていく。ほぼ1秒あたり魔法陣を一つ描くようなペースだ。法円は整った幾何学模様で、わずかな歪みも見られない正確さを保持している。

 光を放ちながら魔法陣が急速に展開されていく様は壮観で、リリカは思わず見とれてしまった。これが夜だったら、贅を尽くしたイルミネーションのようにも見えるだろう。魔法陣を生み出すとともに、リアムは順番に魔力の充填も行っていく。

 リアムは単純に魔法陣を量産しているように見えるが、実は少しずつ質の違うものを作っている。チャージサークルは決まった時間ののちに魔力を発動するので、全く同じものを作ると、作った順番にドミノ式に魔力発動が起きることになる。

 しかし、今は80個の魔法陣の魔力を同時に使いたいため、魔力充填してから発動するまでの時間設定を少しずつ変えて魔法陣を生成し、同時に魔力発動を起こすことを狙っている。

 リアムの息が上がってきた。さすがに魔法陣の連続生成と、立て続けの魔力充填で相当消耗している。

「く、そろそろ限界だ。。これ以上やると本命の魔術を使う余力がなくなる。」

 60個余りの魔法陣を生成したところで、とうとうリアムが根を上げた。それでもその周囲には夥しい魔法陣の群れが煌めいている。そして、同時にその輝きを増し、一気に魔力を発動した。

「今だ、ブラックドラゴンフレア!!」

 念を集中させ、術式を立ち上げるリアム。

──ゴゴゴゴゴ

 大気がビリビリと震え、地鳴りのような轟きがおこる。リアムの頭上10メートルほどの上空の空間をいびつにゆがみ始めた。そのさらに上を飛ぶ鳥の姿が、歪んだ空間のせいで光が捻じ曲げられ、墨流しのようにぐにゃぐにゃの映像になっている。

 突如、その歪みを中心に闇が、のどかな昼の空が放つ光を呑み込み始め、あたりは急激に薄暗くなっていった。

「す・・・、すごい。」

 その恐ろしい光景に、リリカは足がすくむ思いがしたが、ただただ見据えるしかなかった。

「く・・・、ものすごいエネルギーの塊だ。動くなよリリカ。こっちは制御するので精一杯だからな。」
「は、はい。」

 メラメラと音を立てるように暗黒の空間が炎をたたえ始めた。その炎は大きさを増し、天空の半分を覆うほどのものとなった。「炎」と書いたが、揺らめくその姿が確かに炎のような振る舞いをしているものの、赤色の発光のない漆黒の塊だ。

(やべぇ。握りこぶしくらいの炎ができると思ってたんだが、何だこれ。こんなでかいものどうやって始末つけようか。)

 想像よりはるかに大きい暗黒の炎を作ってしまい、リアム自身途方に暮れてしまった。直感的にはどうもおかしいんじゃないかなと思ってはいた。

 60数個もの魔法陣に渾身の魔力を込めて、握りこぶし大から人の頭くらいの大きさの炎しかできないなんてことが、果たしてあるのかと。。余程高エネルギーの炎だとしてもなんか違和感を感じていたリアムだったが、その感覚が正しかった。膨大なリアムの魔力によって形作られた、生きとし生けるものに終焉を告げるその危険な黒炎は、まさに天を覆いつくすほどの勢いだ。

「ご、ご主人様。大丈夫ですか。」

 滝のように汗をかいているリアムを見て、リリカが心配そうに声をかける。今リアムは必死だ。魔力制御を放棄しようものなら、この暗黒の炎が地上に落ちてしまうだろう。多分アロン島全土を死の大地と化するに充分な破壊力を持つはずだ。

 今、こうして炎の状態を維持するだけでもものすごい魔力の消耗である。まずい、このままいくと自身の魔力が枯渇してしまう。

「リリカ・・・、思ったよりもかなり大きい炎を作ってしまって非常にまずい状況だ。」
「や、やっぱり。」
「いいか、俺の言うとおりにするんだ。俺はこの炎を天空に散らす。地上には落とさない。恐らく空の光を食いつくすことでエネルギーを使い、最終的には消滅するだろう。だが、その魔力が足りな・・・」

 言い終わらないうちにリリカが行動に出た。

「お、おい。」

 リリカがリアムの法衣を脱がし始めたのだ。

「リリカの魔力を分けてくれということですよね!?ご主人様!」
「さ、察しがいいな。リリカ!」

 くるくるとリアムの法衣をはぎ取ると、リリカはすぐに自分の服も脱ぎ捨て、あっという間にすっぽんぽんになった。そしてすかさずリアムに抱き着く。

「ご主人様!リリカの魔力を上げます!!」

 力が一気に身体に入ってくるのが分かる。リアムはその勢いに驚いた。かつて魔力覚醒のトレーニングによってリリカはリアムの半分程度の水準に魔力を高めるのに成功したのだが、どうやら今のリリカはそこからさらに魔力の容量を成長させたようだった。それも大幅に。

「す、すごい。」
「ご主人様!(はむっ)」

「・・・!お、おい。そこは!そこは咥えなくていい!!」

 リアムは叫んだが、肌の密着に加え、粘膜までもねっとりを密着し、リリカの魔力はより勢いよくリアムの身体に流れ込んでいった。


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エロを期待しているであろう読者様方に申し訳ないくらい、魔法記述が多くなってしまってます。
すみませんです。
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