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第2章 リリカの水魔術
第17話 ★農魔術を目指して
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二回連続でエロなしになってしまいました。申し訳ありません。
─────
いち早く魔術の開発方針を決めることができたリリカは、翌日からさっそく術の実験を始めた。今日は、いつも水くみをする館の近くの小川のほとりに来ている。普段の魔術のお勉強の時間は夜だが、屋外ということもあり、他の家事等を夜に回して昼間のうちに水魔術の研究をすることにした。
「まずは水の感触を肌身で感じながら、魔力との反応を感覚で覚えていくのが大事だろうな。」
そう言ってリアムが川の流れに手を差し入れた。
「リリカ、俺の下流側に移って、水に手を入れるんだ。」
「何をするんですか?」
「昨日言ったように、水の粘度を操ってみる。まずは俺がやってみるから、俺の手から流れていく水に変化があるか確認してみろ。」
リリカはリアムの川下に回り、リアムが手を入れている30㎝くらい川下に両手を入れてみた。ひやりとしたサラサラの水がリリカの両手をすり抜けていく。
「よし、じゃあやってみるぞ。どうだろうな、この水を構成する・・・粒子をイメージして、その粒子同士がねっとりしていくイメージをしながら、魔力を加えていく感じかな。」
リアムがイメージを強めながら水の流れに魔力をかけていく。
「・・・?あ、何か水が変わりました!すごいです。はちみつかゼリーみたいな感じになってきました。」
「おお、意外とやればできるもんだな。」
リアムは簡単に言うが、誰も確立していない魔術をイメージしてすぐに実現するなどということは、経験豊富な魔術師でも早々できるものではない。リアムの持つ天賦の才がなせる業といえるが、そのすごさが分かる人間がここにはいないので、二人ともそういうものなんだという風にしか思わない。
「見てみてご主人様!水の塊がつかめちゃいました!」
粘り気を増した水はリリカの両手をすり抜けることなく溜まり、リリカはそのゼリーのような塊をつかみ上げることができた。しかし、魔力の効果はあまり持続せず、10秒もすると徐々に普通の水に戻って、両手の隙間から滑り落ちていった。
「元に戻ってしまいました。。」
「ま、そりゃそうだろうな。ちょっと魔力をかけただけだから、いつまでも効果が続くことはないだろう。リリカ、今度はお前試してみな。」
「は、はい。うまくできるかな。。」
(イメージ、イメージ!)リアムがやっていたように真似をしてみる。初めて念力を使えた時を思い出しながら。念力を覚えたばかりの頃は、手で触れずにものを動かすということが信じられなかったが、今では普通に物をつかんで動かすのと同じ感覚で自在に操れるようになっている。
魔導書で覚えた魔術は、念力の時のような感覚とはかなり異なるものだった。例えば火の魔術を使う時は火のイメージをしないわけではないが、魔導書に必要な手順が事細かに書かれており、読み始めの時に術ができるイメージがなくても、書いてある手順を正確に踏めば、必要な魔力を用意できさえすれば術は立ち上がる。
しかし、今はそういう教科書のようなものが全くないため、拠り所となる経験と言えば、やはり魔導書での勉強ではない、もっとも単純な魔術である念力ができた時の感覚だった。
(あの時はものを動かすだけだった。今は水の性質を変えるんだから、水を「動かす」のとはちょっと違うけど。・・・そう、ご主人様が言ってたみたいに水を粒々の集まりのようにイメージして、・・・その表面に魔力がいきわたらせて糊みたいにべとつかせるイメージをしてみて・・・)
どのくらい魔力を加えたらよいかもわからないので、少しずつ加える魔力を高めていく。最初はただただ頭の中でドロッとした水のイメージがあるだけで、手を滑りぬける実際の水とイメージとの間に何のつながりもなかったが、魔力を高めていくにしたがって、実際の水とイメージの水との差異が徐々に縮んでいく感覚があった。
「・・・ほぉ。」
リアムが小さく感嘆の声を漏らした。
(このくらい魔力を加えたら、かなり手に絡む水に影響がある気がする。)ファイアーボールを撃つときに使うくらいの魔力を継続的に消費してみると両手の間に流れ込んだ水が簡単にはすり抜けなくなった。
「ご主人様。これ!」
そのまま両手を持ち上げると、メロンぐらいの大きさの水が両手に絡まって持ち上がる。
「・・・すごいな、リリカ。一発でここまでできるとは。」
繰り返すが、イメージするだけで使ったことのない魔術を使用できるのはベテランの魔術師でもそうはいない。本人は自覚していないが、リリカ自身の魔術の素質も類まれな才能といえる。
「俺の感覚だと、魔術を習い始めて日が浅いリリカには難しいんじゃないかと思ったが、思った以上にやるな!」
「えへへ。そうですか?」
ご主人様に褒められて、リリカは嬉しそうだ。一方リアムは少し険しい表情で考え込んでいた。
(・・・治療魔術でカリスマと呼ばれていた俺が、様々な魔術を習得し、新たな黒魔術の開発も結構できたので、俺って黒魔術も天才かもなどと少しうぬぼれていたんだが・・・。
貧農出身のリリカでもこうもたやすく新しい魔術を作れるということは、黒魔術の世界じゃこの程度は当たり前ってことなのか?・・・ということは、本場の黒魔術師たちは、この何倍もの速さで新たな魔術を開発しまくっているのかもしれん!
魔術開発は長ければ数年などと思っていたが、それは俺が手掛けていた治療魔術の場合だけで、黒魔術の分野では熟練のプロは一日に何個も術を開発しているのかもしれない!!そうだとしたら、俺たちがいくら手持ちの魔導書を習得してもとても追いつかないことになる。)
とても悲観的な現実を感じ取ったリアムは、フォルセル王国の黒魔術師はやばい。絶対に敵に回してはいけない。と密かに決意を固めていた。実際は、黒魔術の開発も基本的には数年がかりであるが、リアムは知る由もない。
「ご主人様、なんか暗い表情してますね。」
「ん?いや、何でもない。俺らがこうも新しい術を作れるということは、本場の黒魔術師はもっとすごいのかなと思ってな。」
「・・・そうだとしたら、黒魔術師ってものすごく恐ろしい力を持った人たちですね。」
「だろ?絶対敵に回したくないなと改めて気づいたところだ。」
「このアロン島にいれば大丈夫じゃないですか?」
「・・・わからんな。だが、この前真昼のさなかに空を闇に沈めてしまったからな、この島が何か怪しいと思った人間はかなりいるはずなんだ。ま、フォルセル王国は遠いからさすがに気付いたやつはいないだろうが。(←全世界が気付いてます) まあ、だから警戒して毎日魔術の実戦訓練をしているんだからな。気を抜くなよ、リリカ。」
「わ、分かってます!リリカも自分の身くらいは守れるようになってご主人様の足を引っ張らないように頑張ります!」
と、リリカが何かを思いついたような顔をした。
「ご主人様。リリカ、今日は一緒にお風呂に入りたいんですけどいいですか?」
「どうした、急に?」
「お風呂でも水魔術の練習を少ししたいんです!」
「おー、随分熱心だな。よしそういうことなら久しぶりに一緒に入るか。」
「ほんとですか?やったー!」
リリカは飛び跳ねて喜び、二人は館に戻っていった。リアムは熱心なリリカの様子に(単純に頑張る子だな)などと微笑ましく思っているだけのようだが、どうもリリカは何やらよからぬことを思いついたようだ。
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いち早く魔術の開発方針を決めることができたリリカは、翌日からさっそく術の実験を始めた。今日は、いつも水くみをする館の近くの小川のほとりに来ている。普段の魔術のお勉強の時間は夜だが、屋外ということもあり、他の家事等を夜に回して昼間のうちに水魔術の研究をすることにした。
「まずは水の感触を肌身で感じながら、魔力との反応を感覚で覚えていくのが大事だろうな。」
そう言ってリアムが川の流れに手を差し入れた。
「リリカ、俺の下流側に移って、水に手を入れるんだ。」
「何をするんですか?」
「昨日言ったように、水の粘度を操ってみる。まずは俺がやってみるから、俺の手から流れていく水に変化があるか確認してみろ。」
リリカはリアムの川下に回り、リアムが手を入れている30㎝くらい川下に両手を入れてみた。ひやりとしたサラサラの水がリリカの両手をすり抜けていく。
「よし、じゃあやってみるぞ。どうだろうな、この水を構成する・・・粒子をイメージして、その粒子同士がねっとりしていくイメージをしながら、魔力を加えていく感じかな。」
リアムがイメージを強めながら水の流れに魔力をかけていく。
「・・・?あ、何か水が変わりました!すごいです。はちみつかゼリーみたいな感じになってきました。」
「おお、意外とやればできるもんだな。」
リアムは簡単に言うが、誰も確立していない魔術をイメージしてすぐに実現するなどということは、経験豊富な魔術師でも早々できるものではない。リアムの持つ天賦の才がなせる業といえるが、そのすごさが分かる人間がここにはいないので、二人ともそういうものなんだという風にしか思わない。
「見てみてご主人様!水の塊がつかめちゃいました!」
粘り気を増した水はリリカの両手をすり抜けることなく溜まり、リリカはそのゼリーのような塊をつかみ上げることができた。しかし、魔力の効果はあまり持続せず、10秒もすると徐々に普通の水に戻って、両手の隙間から滑り落ちていった。
「元に戻ってしまいました。。」
「ま、そりゃそうだろうな。ちょっと魔力をかけただけだから、いつまでも効果が続くことはないだろう。リリカ、今度はお前試してみな。」
「は、はい。うまくできるかな。。」
(イメージ、イメージ!)リアムがやっていたように真似をしてみる。初めて念力を使えた時を思い出しながら。念力を覚えたばかりの頃は、手で触れずにものを動かすということが信じられなかったが、今では普通に物をつかんで動かすのと同じ感覚で自在に操れるようになっている。
魔導書で覚えた魔術は、念力の時のような感覚とはかなり異なるものだった。例えば火の魔術を使う時は火のイメージをしないわけではないが、魔導書に必要な手順が事細かに書かれており、読み始めの時に術ができるイメージがなくても、書いてある手順を正確に踏めば、必要な魔力を用意できさえすれば術は立ち上がる。
しかし、今はそういう教科書のようなものが全くないため、拠り所となる経験と言えば、やはり魔導書での勉強ではない、もっとも単純な魔術である念力ができた時の感覚だった。
(あの時はものを動かすだけだった。今は水の性質を変えるんだから、水を「動かす」のとはちょっと違うけど。・・・そう、ご主人様が言ってたみたいに水を粒々の集まりのようにイメージして、・・・その表面に魔力がいきわたらせて糊みたいにべとつかせるイメージをしてみて・・・)
どのくらい魔力を加えたらよいかもわからないので、少しずつ加える魔力を高めていく。最初はただただ頭の中でドロッとした水のイメージがあるだけで、手を滑りぬける実際の水とイメージとの間に何のつながりもなかったが、魔力を高めていくにしたがって、実際の水とイメージの水との差異が徐々に縮んでいく感覚があった。
「・・・ほぉ。」
リアムが小さく感嘆の声を漏らした。
(このくらい魔力を加えたら、かなり手に絡む水に影響がある気がする。)ファイアーボールを撃つときに使うくらいの魔力を継続的に消費してみると両手の間に流れ込んだ水が簡単にはすり抜けなくなった。
「ご主人様。これ!」
そのまま両手を持ち上げると、メロンぐらいの大きさの水が両手に絡まって持ち上がる。
「・・・すごいな、リリカ。一発でここまでできるとは。」
繰り返すが、イメージするだけで使ったことのない魔術を使用できるのはベテランの魔術師でもそうはいない。本人は自覚していないが、リリカ自身の魔術の素質も類まれな才能といえる。
「俺の感覚だと、魔術を習い始めて日が浅いリリカには難しいんじゃないかと思ったが、思った以上にやるな!」
「えへへ。そうですか?」
ご主人様に褒められて、リリカは嬉しそうだ。一方リアムは少し険しい表情で考え込んでいた。
(・・・治療魔術でカリスマと呼ばれていた俺が、様々な魔術を習得し、新たな黒魔術の開発も結構できたので、俺って黒魔術も天才かもなどと少しうぬぼれていたんだが・・・。
貧農出身のリリカでもこうもたやすく新しい魔術を作れるということは、黒魔術の世界じゃこの程度は当たり前ってことなのか?・・・ということは、本場の黒魔術師たちは、この何倍もの速さで新たな魔術を開発しまくっているのかもしれん!
魔術開発は長ければ数年などと思っていたが、それは俺が手掛けていた治療魔術の場合だけで、黒魔術の分野では熟練のプロは一日に何個も術を開発しているのかもしれない!!そうだとしたら、俺たちがいくら手持ちの魔導書を習得してもとても追いつかないことになる。)
とても悲観的な現実を感じ取ったリアムは、フォルセル王国の黒魔術師はやばい。絶対に敵に回してはいけない。と密かに決意を固めていた。実際は、黒魔術の開発も基本的には数年がかりであるが、リアムは知る由もない。
「ご主人様、なんか暗い表情してますね。」
「ん?いや、何でもない。俺らがこうも新しい術を作れるということは、本場の黒魔術師はもっとすごいのかなと思ってな。」
「・・・そうだとしたら、黒魔術師ってものすごく恐ろしい力を持った人たちですね。」
「だろ?絶対敵に回したくないなと改めて気づいたところだ。」
「このアロン島にいれば大丈夫じゃないですか?」
「・・・わからんな。だが、この前真昼のさなかに空を闇に沈めてしまったからな、この島が何か怪しいと思った人間はかなりいるはずなんだ。ま、フォルセル王国は遠いからさすがに気付いたやつはいないだろうが。(←全世界が気付いてます) まあ、だから警戒して毎日魔術の実戦訓練をしているんだからな。気を抜くなよ、リリカ。」
「わ、分かってます!リリカも自分の身くらいは守れるようになってご主人様の足を引っ張らないように頑張ります!」
と、リリカが何かを思いついたような顔をした。
「ご主人様。リリカ、今日は一緒にお風呂に入りたいんですけどいいですか?」
「どうした、急に?」
「お風呂でも水魔術の練習を少ししたいんです!」
「おー、随分熱心だな。よしそういうことなら久しぶりに一緒に入るか。」
「ほんとですか?やったー!」
リリカは飛び跳ねて喜び、二人は館に戻っていった。リアムは熱心なリリカの様子に(単純に頑張る子だな)などと微笑ましく思っているだけのようだが、どうもリリカは何やらよからぬことを思いついたようだ。
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