55 / 81
みゆりこ 19(りこ)
しおりを挟む
前を走るみーちゃんの走る速度が落ちている。もう真っ直ぐ走っていなく、フラフラになりながら足を前に出している。
体力も限界だろうか。
みーちゃんが転んだ。木の幹にぶつかり、止まる。倒れたみーちゃんから鋭い叫び声がした。頭を抑えて蹲っている。
思わず耳を塞ぐ。
友人が苦痛に悲鳴を上げる。
私が味わった以上の苦痛だろう。重たい氷が体の中を突き刺しているような感覚…
みーちゃんが手で地面を掴みながら前へ進む。その手も地面を掴むと跳ね上がった。
寒さで痛みが倍になっている。
あんな状態にさせたのは私だ…
数十メートル手間のみーちゃんに向かって全力で走る。
走る私を蹲りながら見たみーちゃんは前転をしてまた立ち上がった。首を抑えて走っている。幹にぶつかっては悲鳴を上げ、また走り出していた。
もう限界だった。苦しむ友人を見ているのに私は少しの怖さで無意識に近付くのを躊躇ってしまう。私は、死にたくない…
「あああああぁ!!」
私は声を上げた。
考えを振り払う。目の前に苦しんでる友人がいるっていうのに!
歯を食いしばって走り出す。
これからの苦痛を考えると無意識に足が動かせなくなる。
目の前でみーちゃんが走っていた。
悲鳴を上げて、小さな声で私の名前を呼んだ。「りこ…!」
「みーちゃぁんっ!!!」
「絶対、絶対死なないでっ!!!」
背中に叫んだ。
私は死にたくない。
みーちゃんも死なせたくない。
マッチをポケットから取り出して点ける。
黒い影は反応しなかった。
火のついたマッチを叢に投げ入れる。
体温を下げる。
それは死ぬかもしれない大胆な賭けだし、奇跡でもない限り助からない。
それを私は実行しようとしている。
「2人で天国に…」
闇に飲まれそうな白い背中を見つめた。
これが最後かもしれない。
目の前が開けた。
地図の通りだ。ここは…
月が私達を右側から照らした。
悲鳴に紛れて水音が聞こえる。
木にぶつかりながら悲鳴を上げる友人を見た。いつも見ていた人、私の憧れ。
いつも繋いでいたみーちゃんの手は、今握るとあまりにも冷たかった。
大きく口を開けて息を吸う。
「今度は、私が引っ張るから」
みーちゃんの手が私の手を握り返した。
みーちゃんの横に並び、みーちゃんの両手を掴んだ。そして何も無い斜面に背を向け、自分の方向に手を引く。
みーちゃんを抱き締める。
「あったかい…」
みーちゃんが私の耳元で呟いた。
地面を転がりながらみーちゃんを抱える。
背中から地面の感触が無くなり、一面の星が見えた。そして目をつぶる。
風を切る音が消え、水音がしたかと思うとすぐに音が濁った。
みーちゃんを抱き締める。
少し暖かい水に包まれながら、濁った音が遠ざかっていくのを感じた。
体力も限界だろうか。
みーちゃんが転んだ。木の幹にぶつかり、止まる。倒れたみーちゃんから鋭い叫び声がした。頭を抑えて蹲っている。
思わず耳を塞ぐ。
友人が苦痛に悲鳴を上げる。
私が味わった以上の苦痛だろう。重たい氷が体の中を突き刺しているような感覚…
みーちゃんが手で地面を掴みながら前へ進む。その手も地面を掴むと跳ね上がった。
寒さで痛みが倍になっている。
あんな状態にさせたのは私だ…
数十メートル手間のみーちゃんに向かって全力で走る。
走る私を蹲りながら見たみーちゃんは前転をしてまた立ち上がった。首を抑えて走っている。幹にぶつかっては悲鳴を上げ、また走り出していた。
もう限界だった。苦しむ友人を見ているのに私は少しの怖さで無意識に近付くのを躊躇ってしまう。私は、死にたくない…
「あああああぁ!!」
私は声を上げた。
考えを振り払う。目の前に苦しんでる友人がいるっていうのに!
歯を食いしばって走り出す。
これからの苦痛を考えると無意識に足が動かせなくなる。
目の前でみーちゃんが走っていた。
悲鳴を上げて、小さな声で私の名前を呼んだ。「りこ…!」
「みーちゃぁんっ!!!」
「絶対、絶対死なないでっ!!!」
背中に叫んだ。
私は死にたくない。
みーちゃんも死なせたくない。
マッチをポケットから取り出して点ける。
黒い影は反応しなかった。
火のついたマッチを叢に投げ入れる。
体温を下げる。
それは死ぬかもしれない大胆な賭けだし、奇跡でもない限り助からない。
それを私は実行しようとしている。
「2人で天国に…」
闇に飲まれそうな白い背中を見つめた。
これが最後かもしれない。
目の前が開けた。
地図の通りだ。ここは…
月が私達を右側から照らした。
悲鳴に紛れて水音が聞こえる。
木にぶつかりながら悲鳴を上げる友人を見た。いつも見ていた人、私の憧れ。
いつも繋いでいたみーちゃんの手は、今握るとあまりにも冷たかった。
大きく口を開けて息を吸う。
「今度は、私が引っ張るから」
みーちゃんの手が私の手を握り返した。
みーちゃんの横に並び、みーちゃんの両手を掴んだ。そして何も無い斜面に背を向け、自分の方向に手を引く。
みーちゃんを抱き締める。
「あったかい…」
みーちゃんが私の耳元で呟いた。
地面を転がりながらみーちゃんを抱える。
背中から地面の感触が無くなり、一面の星が見えた。そして目をつぶる。
風を切る音が消え、水音がしたかと思うとすぐに音が濁った。
みーちゃんを抱き締める。
少し暖かい水に包まれながら、濁った音が遠ざかっていくのを感じた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる