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85 泉桃子のやりたいこと
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「あーちくしょ…」
痛む鼻を抑えながら地面に手をつく。
「おい、もう離せよ」
背中に乗っているので重い。
「疲れました…、じゃあお願いを」
彼女は立ち上がったので、ウチも上半身を起こす。まだ少し苦しい。
「ああ、出来る範囲内で」
ウチの願いが軽いのだから大きい事を願われたら不公平では…?
「できますよ、簡単です」
「さっきの美里さんのお願い、取り消して下さい」「つまり、私にロリコンと呼ぶのを許可して下さい」
幹に背中を預けてまた座った。
「は?」
「なんだよそれ」
予想外の内容に驚く。しかしこれじゃあウチのやった事がパーじゃないか。ウチは誤解を解くためにいるんだ。
「そこまでして呼びたいのか?」
「今更言わないんです、負けたんですから」ニコッと笑い、ぐいと顔を近付けた。
「という事です」
「…はあ、別の願いは?」
彼女を少し睨む。
「他のだったら少しくらい無理するが」
「ありません、ロリコンさん」
楽しそうに笑って、立ち上がった。
「よく分かんねえやつだな」
ウチもつられて少し笑った。
本気でロリコンと思ってるのかはともかく、人前で呼ばれなければ別にいいか。
「じゃあ戻りましょう、そろそろ日も落ちます」
後ろを向いて歩き出した。
「そうだな」
ウチも立ち上がって付いていく。
「ああそうだ」
少し歩いた所で、急に立ち止まって彼女が振り向く。少し照れたような顔。
「他にお願いするとしたらですね」
「たまにでいいので、私と練習してくれると嬉しいなって事でした」
そう言って首を傾げて微笑む。
「…そんな事なら」
「お願いしなくても」
冷たい風が吹き、木を揺らした。
運動して温まった体には冬の風も心地よく感じる。
ウチの後ろにある夕日に目を細め、髪を耳にかけながら彼女は
「…そうですか、ありがとです」
そう言って背を向けた。
痛む鼻を抑えながら地面に手をつく。
「おい、もう離せよ」
背中に乗っているので重い。
「疲れました…、じゃあお願いを」
彼女は立ち上がったので、ウチも上半身を起こす。まだ少し苦しい。
「ああ、出来る範囲内で」
ウチの願いが軽いのだから大きい事を願われたら不公平では…?
「できますよ、簡単です」
「さっきの美里さんのお願い、取り消して下さい」「つまり、私にロリコンと呼ぶのを許可して下さい」
幹に背中を預けてまた座った。
「は?」
「なんだよそれ」
予想外の内容に驚く。しかしこれじゃあウチのやった事がパーじゃないか。ウチは誤解を解くためにいるんだ。
「そこまでして呼びたいのか?」
「今更言わないんです、負けたんですから」ニコッと笑い、ぐいと顔を近付けた。
「という事です」
「…はあ、別の願いは?」
彼女を少し睨む。
「他のだったら少しくらい無理するが」
「ありません、ロリコンさん」
楽しそうに笑って、立ち上がった。
「よく分かんねえやつだな」
ウチもつられて少し笑った。
本気でロリコンと思ってるのかはともかく、人前で呼ばれなければ別にいいか。
「じゃあ戻りましょう、そろそろ日も落ちます」
後ろを向いて歩き出した。
「そうだな」
ウチも立ち上がって付いていく。
「ああそうだ」
少し歩いた所で、急に立ち止まって彼女が振り向く。少し照れたような顔。
「他にお願いするとしたらですね」
「たまにでいいので、私と練習してくれると嬉しいなって事でした」
そう言って首を傾げて微笑む。
「…そんな事なら」
「お願いしなくても」
冷たい風が吹き、木を揺らした。
運動して温まった体には冬の風も心地よく感じる。
ウチの後ろにある夕日に目を細め、髪を耳にかけながら彼女は
「…そうですか、ありがとです」
そう言って背を向けた。
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