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5、結婚式
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「城内は、王妃様の話で持ちきりなんですよ。なにせ、陛下のご尊顔の影響受けない初めての方なので!」
システィーナの筆頭メイドの1人、メイアが興奮気味に話す。
いまは、まさに結婚式の準備の真っ最中。
花嫁ドレスを身にまとい、システィーナは本日も美しく微笑む。
「それにしても、王妃様は本当に16歳とは思えぬほど、大人びていらっしゃいますね。」
「ちょっと、メイア!! 王妃様のご年齢に言及するなんて無礼ですよ。」
メイアをぴしゃりと叱ったのは、同じく筆頭メイドのセスだ。
真っ青になったメイアを厳しい目で見遣り、仕上げのティアラをそっとシスティーナの髪に付ける。
「も、申し訳ございません。王妃陛下…」
「メイア、大丈夫よ。むしろそう言ってくれて嬉しいわ。それより、これから親しくなる者には、王妃様ではなくてシスティーナと呼んほしいと何度も言っているのに。」
「そうでした!申し訳ございません、システィーナ様」
メイアが安心した表情でシスティーナの名前を呼んだと同時に、ノック音が響く。
「システィーナ、今いいだろうか?」
王妃をファーストネームを敬称なしで呼ぶ人は1人しかいない。その声に、部屋中のメイドたちが色めき立つ。
システィーナは、入室の許可をメイアに伝えた。
メイアとセスが扉を開けると、金の刺繍が施された絢爛な純白の衣裳に身を包んだカイゼンが現れた。そのあまりの美しさに、システィーナもしばし言葉を失う。
「…?システィーナ、大丈夫か?」
そっと、カイゼンがシスティーナの頬に手をやる。
システィーナはまつ毛を震わせ、はっと意識を浮上させた。
「ええ、大丈夫です。わたくしよりも、カイゼン様がベールを被った方がいいかもしれませんね。」
「冗談はよせ。」
「本気ですわ。式の最中に、令嬢たちが呼吸困難になっては一大事ですもの。」
「王妃さえ、気をしっかり保ってくれたら、大丈夫だろう。」
そう言い、試すように笑いかけてくるカイゼン。
システィーナは、対抗するように穏やかに微笑む。
お互いファーストネームで呼び合うようになった仲睦まじい2人を見て、メイドたちは興奮した様子で後ろへ下がる。
「カイゼン様、それよりもわたくしに何か用だったのでは?」
「ああ。結婚前に、改めてちゃんと伝えようと思ってな。」
「いったい何を、」
「約束は守る、それだけを伝えたかったんだ。」
それだけを言い、去っていくカイゼンの後ろ姿をシスティーナはただじっと見る。
そして溜息を吐きながら、ぼそりとつぶやいた。
「なんという顔面凶器。今日は、令嬢たちの血の涙が王宮を濡らすことでしょうね。」
システィーナの筆頭メイドの1人、メイアが興奮気味に話す。
いまは、まさに結婚式の準備の真っ最中。
花嫁ドレスを身にまとい、システィーナは本日も美しく微笑む。
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「ちょっと、メイア!! 王妃様のご年齢に言及するなんて無礼ですよ。」
メイアをぴしゃりと叱ったのは、同じく筆頭メイドのセスだ。
真っ青になったメイアを厳しい目で見遣り、仕上げのティアラをそっとシスティーナの髪に付ける。
「も、申し訳ございません。王妃陛下…」
「メイア、大丈夫よ。むしろそう言ってくれて嬉しいわ。それより、これから親しくなる者には、王妃様ではなくてシスティーナと呼んほしいと何度も言っているのに。」
「そうでした!申し訳ございません、システィーナ様」
メイアが安心した表情でシスティーナの名前を呼んだと同時に、ノック音が響く。
「システィーナ、今いいだろうか?」
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システィーナは、入室の許可をメイアに伝えた。
メイアとセスが扉を開けると、金の刺繍が施された絢爛な純白の衣裳に身を包んだカイゼンが現れた。そのあまりの美しさに、システィーナもしばし言葉を失う。
「…?システィーナ、大丈夫か?」
そっと、カイゼンがシスティーナの頬に手をやる。
システィーナはまつ毛を震わせ、はっと意識を浮上させた。
「ええ、大丈夫です。わたくしよりも、カイゼン様がベールを被った方がいいかもしれませんね。」
「冗談はよせ。」
「本気ですわ。式の最中に、令嬢たちが呼吸困難になっては一大事ですもの。」
「王妃さえ、気をしっかり保ってくれたら、大丈夫だろう。」
そう言い、試すように笑いかけてくるカイゼン。
システィーナは、対抗するように穏やかに微笑む。
お互いファーストネームで呼び合うようになった仲睦まじい2人を見て、メイドたちは興奮した様子で後ろへ下がる。
「カイゼン様、それよりもわたくしに何か用だったのでは?」
「ああ。結婚前に、改めてちゃんと伝えようと思ってな。」
「いったい何を、」
「約束は守る、それだけを伝えたかったんだ。」
それだけを言い、去っていくカイゼンの後ろ姿をシスティーナはただじっと見る。
そして溜息を吐きながら、ぼそりとつぶやいた。
「なんという顔面凶器。今日は、令嬢たちの血の涙が王宮を濡らすことでしょうね。」
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