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三
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「ちょっと派手じゃないですか?」
「これくらいが映えると思うけど」
「うーん、どうしようかな」
髪飾りを試して、感想を言い合う。青様は色とりどりの大きな飾りがついたかんざしがおすすめらしい。
ずっしり重たいし値段もいいので迷ってしまう。
出掛けると言ったら、奥様がいくらか持たせてはくれたのだけど、。
「あっ、これはどうかな」
「花の形だね。似合いそう」
先ほどのより小ぶりな飾りのかんざしを髪に合わせる。桃色の石が可憐な雰囲気で、手の届く値段。
「瞳の色とも合うし、いいかも」
「すみません、これ下さい」
「えっ、あ、ありがとうございます」
あっという間に決めて支払ってしまった青様にお礼を言って、鏡で髪を確認する。
青様からの贈り物、大事にしよう。
「どういたしまして」
かんざしはそのままつけていくと店員さんに伝えて、店を出る。
あたりはすでに暗闇に包まれている。ガス灯の明かりが道を照らしている。
「もう帰りますか?」
「あともう一ヶ所行きたいところがあるんだ。いい?」
「はい。どんなところでしょうか」
「行ってからのお楽しみだよ」
恋人繋ぎでしっかり手を繋いで、歩き出す。洋装の青様と違い、和装で歩幅の小さい私に合わせて、ゆっくり歩いてくれる心遣いに優しさを感じる。
「夜になって暑さも少し和らぎましたね」
「暑いのには変わりないけどね」
「夏は仕方ないです。冷たい飲み物でも飲みたいですね」
「じゃあ、寄り道しようか」
提案に頷いて、夜空を見上げた。月が浮く夜空は、いくらか雲があった。
でも雨は降らなさそう。
雨が降ったらもう少し涼しくなるかもしれないけど、濡れるのは困る。
手を繋いだまま、先導するために少しだけ先を歩く青様の後ろ姿を見て、ほっと息を吐いた。
◇
「わー! 凄いですね!」
明滅する光達は、そこら中を飛び回っている。
「光る蛍が見られるのは今の時期だけだからね。ここで見られることは知ってたから、一度連れてきたかったんだ」
「有難うございます! 感動です」
寄り道して休憩した茶屋からほど近く。帝都の中でも自然豊かで、綺麗な川が流れる地形を利用して造られたこの自然公園は、昼に来ても癒されそうだ。
でも、この時期、この時間も格別。
海星家の庭も個人宅の庭として見れば凄いけど、ここまではいかない。
幻想的な光景に、心がおどる。
「毎年見られたらいいな」
「そうだね」
川岸のベンチに腰掛けて、青様の肩に頭を預けて寄り添う。
青様といると幸せが溢れ出して、胸がいっぱいになる。
嬉しいのになぜか切なくて、整理しきれない気持ちを噛み締めていた。
「これくらいが映えると思うけど」
「うーん、どうしようかな」
髪飾りを試して、感想を言い合う。青様は色とりどりの大きな飾りがついたかんざしがおすすめらしい。
ずっしり重たいし値段もいいので迷ってしまう。
出掛けると言ったら、奥様がいくらか持たせてはくれたのだけど、。
「あっ、これはどうかな」
「花の形だね。似合いそう」
先ほどのより小ぶりな飾りのかんざしを髪に合わせる。桃色の石が可憐な雰囲気で、手の届く値段。
「瞳の色とも合うし、いいかも」
「すみません、これ下さい」
「えっ、あ、ありがとうございます」
あっという間に決めて支払ってしまった青様にお礼を言って、鏡で髪を確認する。
青様からの贈り物、大事にしよう。
「どういたしまして」
かんざしはそのままつけていくと店員さんに伝えて、店を出る。
あたりはすでに暗闇に包まれている。ガス灯の明かりが道を照らしている。
「もう帰りますか?」
「あともう一ヶ所行きたいところがあるんだ。いい?」
「はい。どんなところでしょうか」
「行ってからのお楽しみだよ」
恋人繋ぎでしっかり手を繋いで、歩き出す。洋装の青様と違い、和装で歩幅の小さい私に合わせて、ゆっくり歩いてくれる心遣いに優しさを感じる。
「夜になって暑さも少し和らぎましたね」
「暑いのには変わりないけどね」
「夏は仕方ないです。冷たい飲み物でも飲みたいですね」
「じゃあ、寄り道しようか」
提案に頷いて、夜空を見上げた。月が浮く夜空は、いくらか雲があった。
でも雨は降らなさそう。
雨が降ったらもう少し涼しくなるかもしれないけど、濡れるのは困る。
手を繋いだまま、先導するために少しだけ先を歩く青様の後ろ姿を見て、ほっと息を吐いた。
◇
「わー! 凄いですね!」
明滅する光達は、そこら中を飛び回っている。
「光る蛍が見られるのは今の時期だけだからね。ここで見られることは知ってたから、一度連れてきたかったんだ」
「有難うございます! 感動です」
寄り道して休憩した茶屋からほど近く。帝都の中でも自然豊かで、綺麗な川が流れる地形を利用して造られたこの自然公園は、昼に来ても癒されそうだ。
でも、この時期、この時間も格別。
海星家の庭も個人宅の庭として見れば凄いけど、ここまではいかない。
幻想的な光景に、心がおどる。
「毎年見られたらいいな」
「そうだね」
川岸のベンチに腰掛けて、青様の肩に頭を預けて寄り添う。
青様といると幸せが溢れ出して、胸がいっぱいになる。
嬉しいのになぜか切なくて、整理しきれない気持ちを噛み締めていた。
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