悪役令息は未来を憂う

hina

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「僕は猫印の抑制剤を服用してるよ。体質に合ってるみたい」
「俺は水晶社の抑制剤! お守りにするくらい手放せない」
「僕には何が合うのかなあ。発情期はまだ来て欲しくないけど」

放課後。僕は仲の良いΩ達とのΩ会で、抑制剤について相談していた。

「でもリュシーは殿下と発情期を過ごすんじゃないのかい? 抑制剤は飲まなくてもいいんじゃ……」

とくに仲が良い年上のΩさんにそう言われて、眉を下げる。

「不測の事態もあるじゃないですか。だから一応知っておきたくて」
「そっかあ。初めは色々試してみるしかないかな」
「やっぱりそうですよね……」
「僕の使ってる抑制剤を分けてあげるから、必要になったら使ってみてね」
「ありがとうございます! 助かります」

みんなから少しずつ抑制剤を分けてもらう。合う抑制剤が見つかるといいな。

あんまり服用し過ぎないように気をつけようと思いながら、みんなの話を聞いていた。







「リュシアン、Ω会の子達から受け取った抑制剤を出して?」
「え? なんでそのことを……」
お昼。特別室で向かいあって座ったカミルに話を切り出される。

「リュシアンにも王家の影がついている。前にも言ったと思うが……」
「あ……そうだった」
「抑制剤は身体に負担がかかる。発情期の時は私がそばにいるから、抑制剤は私がどうしても共にいられない時だけにしよう。その時に渡すから、今は預けておいて」
「でも急に発情期になった場合、どうすればいいの?」
「リュシアンについている影に渡しておくから、彼から受け取ってくれ」

抑制剤くらい僕に持たせて欲しいなあ。
そう思うけど、言えない。
僕のことを思っての対応だろうから……。

でもちょっと面倒だな。
αだからなのか、それともカミルがそうなだけなのか、僕には判断が難しい。

お兄様やお父様もαだから、聞いてみようかな。
αの番に対する愛情は底無しらしいけど、対処しきれないのはさすがに困る。

いや、僕とカミルはまだ番じゃないし、この先、番になるかも不明だけど。

番になった後に婚約破棄になったりしたら、目も当てられない。

請われてもネックガードは外さないようにしよう。

でもカミルを相手にするのは大変だろうなあ。僕にどうにか出来るだろうか。
いや、どうにかしなきゃ。

僕の未来がかかっている。
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