異世界物語 ~転生チート王子と愉快なスローライフ?~

星鹿カナン

文字の大きさ
24 / 196
プロローグ

神託

しおりを挟む

 ベイルマート王国王都セルシュバードのレインに在る創神教の大聖堂の神の間にて



『久しいナ。メアリー、ジョセフ。』

「「あ、貴方様は!」」


 突然の神の声に驚いたのは、聖女メアリーと教皇ジョセフでした。
 二人は、神託であると気付くと、急いで室内の者たちを外へと追いやり、防音魔法を掛け、神託を待ちました。


『急ぎの用なノダ。すまなイナ。』


「いえ。我々に対し、そのような御言葉をおっしゃらないで下さい。ディノ様」


『ハハ、相変わらずダナ。お前たちハ。今日の神託は、この国の王族トして生まレル子供に関するものダ。しっかりト、聞いてくれヨ?』


「心得ております。」


『王家ニ新シク生マレシ男児、神ノ祝福ヲ受ケシ者ナリ。ソノ者、望マズシテ王位ニ就クコト無カレ。ソノ男児、新タナル英雄成リ得ル器ナリト。強キ力ヲ、世界ノ為ニ貸スコト有レド、滅ボス為ニアラズ。』


「まさか!」
「それは!」


『以上ダ。王家に伝えてくれヨ?』


「「了解しました!!ディノ様」」


『ソレデジャ、マタナ!』


「急ぐぞ、聖女メアリー。早く王家に、伝えねばならぬぞ。この神託は、この国だけではなく、この世界の命運すらも、握っておるのかもしれぬぞ。」
「分かっております。教皇様」


 そして、創神教の二大トップは、王城へと連絡を入れました。



_____________________




「何!?大聖堂にて、王家に関する神託が、下っただと?急げ!教皇達を招くのだ!」


 我が子が、もうじき産まれるベイルマート王国の国王陛下である、ソルトラルド・ヴァン・ベイルマートは、内心 (もしや、我が子に関することでは?と) 不安でいっぱいでした。が、そこは国王、上手く内心を隠しきる・・・・・・・・・


「まだか!まだ来ぬか?」

「陛下、返事をしてからまだ、1刻程も経っては、おりませぬ。どうか、もうしばらく、お待ち下さい。」


 ことが出来ず、家臣に宥められていました。



「大変遅くなり、申し訳御座いません。陛下」

「構わん。それよりも、早く神託について話してくれ。」

「了解しました。では、此処で私が、詠ませていただきます。」


『王家ニ新シク生マレシ男児、神ノ祝福ヲ受ケシ者ナリ。ソノ者、望マズシテ王位ニ就クコト無カレ。ソノ男児、新タナル英雄成リ得ル器ナリト。強キ力ヲ、世界ノ為ニ貸スコト有レド、滅ボス為ニアラズ。』


「とのことです。」

「ふぅー。そ、そうか、神託の書に記しておいてくれ。」

「了解しました。」

「それでは、私も、帰らせて頂きます。」

「あぁ、御苦労だった。」


  (そうか、男児か。我が子が、英雄の器を持つかもしれぬのか。)


「急ぎ、王家筋で赤子が産まれる或いは、産まれたばかりの家に通達せよ。 “男児が生まれた場合、ステータスと共に連絡を入れよ” と」

「通達を出します。」

「ところで、アンリエッタの容態は?どうだ?お前、聞いておらぬか?」

「陛下の為を想って、王城で働く者には、アンリエッタ様に関する、一切の連絡は御座いません。サーシャ様のお考えだそうです。」

「サーシャめ、余にどれだけの恨みがあるというのだ。」


 (恨みしか無いだろう)

 サーシャは、ベイルマート王国のシーゼルン大公家の次男として生を受けました。
 幼少期から、次期国王と名高いソルトラルドや “麗しの姫君” と呼ばれていたトレイズ公爵家の次女アンリエッタと親しくしていました。
 学生時代は、多くの友人を持っていて、クラスの中心人物の1人でした。
 成人後は、サーシャとソルトラルドで、アンリエッタを巡る壮大かつ盛大な戦い (内政に関する仕事の優劣?や狩猟、剣術の腕前の比較。果てにはただの口喧嘩) を行いました。
 その果てに、ソルトラルドに面白半分で性転換薬を飲ませられて女となり、アンリエッタと共に、ソルトラルドの妻として嫁入りすることになりました。

 (そんなことになれば、誰だって恨みまみれになるだろ。どう考えたって、陛下が悪い。)

 自分が悪いなど、微塵も考えていないソルトラルドは、実際、サーシャを女にしてしまったことに対する責任を取るため、自身の妻にしたのだが、サーシャからすると迷惑でしかない、と思われても仕方がないのが、現実だった。



_____________________




 通達は、アンリエッタとサーシャのいるトレイズ公爵邸にも、回って来ました。
 それを読んだサーシャは、
 (アンリエッタが産む子に関するものでなければ、破って棄てたものを・・・・・・・・・)
 と、考えていました。


 そんな中、アンリエッタのお産が始まったのをサーシャは、静かに見守っていました。
 決してその事を、ソルトラルドや王城にいる者たちに伝える気などはありませんでした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

処理中です...