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プロローグ
神託
しおりを挟むベイルマート王国王都のレインに在る創神教の大聖堂の神の間にて
『久しいナ。メアリー、ジョセフ。』
「「あ、貴方様は!」」
突然の神の声に驚いたのは、聖女メアリーと教皇ジョセフでした。
二人は、神託であると気付くと、急いで室内の者たちを外へと追いやり、防音魔法を掛け、神託を待ちました。
『急ぎの用なノダ。すまなイナ。』
「いえ。我々に対し、そのような御言葉をおっしゃらないで下さい。ディノ様」
『ハハ、相変わらずダナ。お前たちハ。今日の神託は、この国の王族トして生まレル子供に関するものダ。しっかりト、聞いてくれヨ?』
「心得ております。」
『王家ニ新シク生マレシ男児、神ノ祝福ヲ受ケシ者ナリ。ソノ者、望マズシテ王位ニ就クコト無カレ。ソノ男児、新タナル英雄成リ得ル器ナリト。強キ力ヲ、世界ノ為ニ貸スコト有レド、滅ボス為ニアラズ。』
「まさか!」
「それは!」
『以上ダ。王家に伝えてくれヨ?』
「「了解しました!!ディノ様」」
『ソレデジャ、マタナ!』
「急ぐぞ、聖女メアリー。早く王家に、伝えねばならぬぞ。この神託は、この国だけではなく、この世界の命運すらも、握っておるのかもしれぬぞ。」
「分かっております。教皇様」
そして、創神教の二大トップは、王城へと連絡を入れました。
_____________________
「何!?大聖堂にて、王家に関する神託が、下っただと?急げ!教皇達を招くのだ!」
我が子が、もうじき産まれるベイルマート王国の国王陛下である、ソルトラルド・ヴァン・ベイルマートは、内心 (もしや、我が子に関することでは?と) 不安でいっぱいでした。が、そこは国王、上手く内心を隠しきる・・・・・・・・・
「まだか!まだ来ぬか?」
「陛下、返事をしてからまだ、1刻程も経っては、おりませぬ。どうか、もうしばらく、お待ち下さい。」
ことが出来ず、家臣に宥められていました。
「大変遅くなり、申し訳御座いません。陛下」
「構わん。それよりも、早く神託について話してくれ。」
「了解しました。では、此処で私が、詠ませていただきます。」
『王家ニ新シク生マレシ男児、神ノ祝福ヲ受ケシ者ナリ。ソノ者、望マズシテ王位ニ就クコト無カレ。ソノ男児、新タナル英雄成リ得ル器ナリト。強キ力ヲ、世界ノ為ニ貸スコト有レド、滅ボス為ニアラズ。』
「とのことです。」
「ふぅー。そ、そうか、神託の書に記しておいてくれ。」
「了解しました。」
「それでは、私も、帰らせて頂きます。」
「あぁ、御苦労だった。」
(そうか、男児か。我が子が、英雄の器を持つかもしれぬのか。)
「急ぎ、王家筋で赤子が産まれる或いは、産まれたばかりの家に通達せよ。 “男児が生まれた場合、ステータスと共に連絡を入れよ” と」
「通達を出します。」
「ところで、アンリエッタの容態は?どうだ?お前、聞いておらぬか?」
「陛下の為を想って、王城で働く者には、アンリエッタ様に関する、一切の連絡は御座いません。サーシャ様のお考えだそうです。」
「サーシャめ、余にどれだけの恨みがあるというのだ。」
(恨みしか無いだろう)
サーシャは、ベイルマート王国のシーゼルン大公家の次男として生を受けました。
幼少期から、次期国王と名高いソルトラルドや “麗しの姫君” と呼ばれていたトレイズ公爵家の次女アンリエッタと親しくしていました。
学生時代は、多くの友人を持っていて、クラスの中心人物の1人でした。
成人後は、サーシャとソルトラルドで、アンリエッタを巡る壮大かつ盛大な戦い (内政に関する仕事の優劣?や狩猟、剣術の腕前の比較。果てにはただの口喧嘩) を行いました。
その果てに、ソルトラルドに面白半分で性転換薬を飲ませられて女となり、アンリエッタと共に、ソルトラルドの妻として嫁入りすることになりました。
(そんなことになれば、誰だって恨みまみれになるだろ。どう考えたって、陛下が悪い。)
自分が悪いなど、微塵も考えていないソルトラルドは、実際、サーシャを女にしてしまったことに対する責任を取るため、自身の妻にしたのだが、サーシャからすると迷惑でしかない、と思われても仕方がないのが、現実だった。
_____________________
通達は、アンリエッタとサーシャのいるトレイズ公爵邸にも、回って来ました。
それを読んだサーシャは、
(アンリエッタが産む子に関するものでなければ、破って棄てたものを・・・・・・・・・)
と、考えていました。
そんな中、アンリエッタのお産が始まったのをサーシャは、静かに見守っていました。
決してその事を、ソルトラルドや王城にいる者たちに伝える気などはありませんでした。
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