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1.サイドストーリー
1-011.6
しおりを挟むん?誰だろう。
あぁ、今日も伯父さんが来てくれたみたい。
「昨日は渡せなかったが、フィルにこれを。」
伯父さんが持っている、贈り物らしい綺麗な包装をされた箱が置かれた。
中身は、………
「本当は、サーシャ君やアンリエッタに渡して、フィルがもう少し大きくなったら、読み聞かせに使ってもらおうかと思っていたのだが、僕の予想以上の賢さだったみたいだ。」
読み聞かせ、ということは、中身は絵本かな?
ありがたい。ゆっくり読めそうだな。
「だから、サーシャ君にいろいろと聞きながら、本を増やしてみたんだ。気に入るものがあるといいな。」
確かに、その箱の大きさであれば、中には絵本なら、30冊以上は入りそうな感じがするし、いろいろあるなら楽しく読めそうだなぁ。
—————————————————————
お昼過ぎになると、サーシャさんが来てくれた。どうも、伯父さんの話を聞いたお母さんが興奮して暴れたらしく、宥めるのに時間が掛かったそうです。
んー、なんだか申し訳ない。
「今日は………。特にない気がするな。あぁ、アンリエッタのことなら、気にしないでくれ。あれより、ソルトの奴の方が酷いからな。」
お父さんもか。本当に申し訳ない。
あれがきっかけとなったらしく、日が落ちるまでサーシャさんの愚痴は止まらなかった。
感覚的に5時間は経った、と思うけど………漸く終わった。
「あぁ、もう夜の2刻か。来たのは昼の4刻過ぎだったはずなんだが………だいぶ遅くなったな。すまない、こんなに長い愚痴なんて聞くだけで疲れただろう。」
確かに疲れたけれど、お父さんやお母さんのことたくさん知れたから良しとするよ。
ところで、 “昼の4刻” や “夜の2刻” って、どういうことだろう?時間表現が違うのかなぁ?
「5刻半か。いや、夜食にしよう。人を呼ぶから少し待っててくれ。」
夜食って、夕食と同じものだよね。
日が沈んだばかりだから、18時か19時ぐらいだと思うからね。
使用人さんか。
昨日会った使用人さんじゃないといいなぁ。
だって昨日の人は、出会い頭に………
「とっても可愛いらしいお姫、あっ、王子様ですね。流石、アンリエッタお嬢様のご令じょ、あっ、御令息ですね。将来有望ですね。」
って、言ってきたんだよね。その後も何度も間違えかけていたけど、僕、男だよ?
姫じゃないし、令嬢でもないんだよ?
むー、まったく。
「遅くに失礼します。フィルシールド坊っちゃま、………。」
ホッ、良かった。昨日とは違う人だ。
—————————————————————
今日の午前中は、昨日の夜に来てくれた使用人さんが、軽い散歩………と言っても、お母さんの実家の屋敷内を見てまわるだけのものに連れて行ってくれた。
途中で見掛けた伯父さんが、胃薬と頭痛薬を飲んでいたけど、病気なのかな?それとも、仕事の疲労なのかなぁ?
大変そうだなぁ。
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