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2.計画実行と兄妹登場
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しおりを挟む今は、朝の7刻。
どうやら、『謁見の間』で、僕の護衛官と世話・教育係の“着任式”………、じゃなくて、“任命式”をしているらしい。
9名も雇うには、お父さんの私費を削るか、投じるかはしないと厳しいらしいのだけど、その話を聞いたサーシャさんとリーナさんとジークさんは、大喜びで、決定してしまったのだ。どうも、お父さんの私費は、仕事量に対して多過ぎると、前々から考えていたそうで、こんなに素晴らしい使い道ができるならと、お父さんに相談もしないまま、さっさと、“任命式”を執り行うように、と指示を出してしまった。
最初の内は、文句ばかり言っていたお父さんは、怒り気味のセルシェーダさんに、「こんなに優秀なフィル君まで兄様のようになっては、神々に申し訳ないと思わないのですか?」と言う言葉を掛けられて、泣きながら許可を出していた。
そう言えば、昨日、セルシェーダさんが訪ねて来ていた理由は、お父さんが巨額の私費を使って、サーシャさんやお母さんに、プレゼントを買おうとしていたことが、発覚したから、らしいんだよね。
私費ってことは、お父さんの持っている、所謂ポケットマネーなんだから、別に良いのでは?と、僕は思うのだけど、お父さんは金遣いが荒いので、1ヶ月辺りに使える私費に上限が掛けられていたらしい。
先月は、その上限額をかなりオーバーしていたらしく、目を付けられていたところで、新たに、上限額を超越する買い物の計画が露見したら、流石に怒られるよね。
プレゼント、と言ってもサーシャさんやお母さんが、間違いなく喜ぶような物であれば、ある程度は見逃されるそうなのだが、お父さんが買おうとしていた物は、サーシャさんに聞くと、困ったように首を横に振って、肩を竦めていたので、かなり微妙な物なんだと思う。
何だろう?微妙なのに高価な品って。
サーシャさん曰く、この品を買おうとしていたことが、セルシェーダさんが怒った“本当の理由”、らしい。それって、微妙じゃなくて、不味い物じゃないのかな?って思うんだけどなぁ。
取り敢えず、世話・教育係は、お父さんの私費の一部を使って雇うことになったらしい。
元々、リーナさんの部下として働いていた人たちなので、雇うに当たって、給料が国費から、お父さんの私費になったので、国の財務管理者的にも有難い、とリズベルトさんから手紙が届いたのだとか。
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任命式も終わったので、今日から護衛官が僕の部屋の隣室に常駐することになるらしいけど、ニケとウルク、ナギは、まだ学生。でも、当分は僕が城から出ることが無いし、出たとしても、お父さん、お母さん、サーシャさんが側に居る状態だから、護衛は、近衛騎士団(第一騎士団)や宮廷魔法師団が行うそうで、あまり心配しなくてもいいと言われた。
寧ろ、早くから決めたのは、護衛官側に自分が護衛官になった、という自覚持つための時間的猶予を与えるため、らしいんだ。
今日は、ナギとウルク、キフリーが、ここに来るんだって。
そうだ!
ウルクの自己紹介で気になった『魔法、魔術、魔導の全てを扱える』っていう言葉の意味を聞いてみよう、っと。
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