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2.計画実行と兄妹登場
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しおりを挟むのんきそうにお喋りをしている貴婦人二人組と頭を抱えているサーシャさんの間で、視線を交互に動かしていると、いつの間にか復活して、腕を組んで仁王立ちしているラスタリアさんの姿が視界に入る。
ほんのついさっきまでは、譫言を言っていた程意識が朦朧としていたはずの状態だったにも関わらず、どうやらすでに完全復活しているようで、「最近は国外に長期間滞在していたこともあって、あまり剣を握っていなかったが故に、実力に陰りがないか心配だ。サーシャ義姉上、あたしもその稽古に参加しても良いか?」などと言っている。
ラスタリアさんはどうにかして、サーシャさんの稽古に参加したいらしい。
剣と運動しやすい服はすでに、使用人の誰かに取りに行かせているし、当の本人はサーシャさんの許可も得ないまま、勝手に準備運動を始めている。
あっ、ラスタリアさんの様子に気が付いたサーシャさんがまた頭を抱えて・・・・・・・・・ハッ!?
突然、サーシャさんが、頭を抱えたまま倒れてしまったのだ。
まさか!と思う自分と、違う!と思いたい自分が心の中で揺れ動く。
理由なんて明らかだ。
でも、・・・・・・・・・いや、この状況だと、おそらく、サーシャさんだけじゃなくて、サーシャさんのお腹にいる存在にも影響が出ているはずだ。
つまり、最悪の結果として、僕のわがままで二つの命が消えてしまう可能性がある。
それだけは、絶対にダメだ!
そんなことになってしまうくらいなら、僕は、周りから恐れられる可能性がある道を行こう。
重大な決意を胸に、大きく息を吸い込むように深呼吸をする。
そして、
「あうッ、「おおぉぉ、どうした?何があったのだ?無事か?サーシャ義姉上。いや、体調不良か?すまん、義姉上、診断を使うぞ。・・・・・・・・・おわぁっ!?懐妊か?なあ、ルーシー、ラルド兄貴、サーシャ義姉上は懐妊しているらしいぞ。」」
「なぬっ!?本当か?リア。うぉぉぉ!やったぞ!なあ、アンリ。」
僕の決意を無駄にする勢いで、被せられたラスタリアさんの言葉と行動で、サーシャさんの懐妊が明らかになった。
これで、僕は、サーシャさんの妊娠を周りに黙っていることへの罪悪感が無くなる。他のことに関する罪悪感は、まだ、いろいろと残っていたりはするけども。
今のところは、僕のステータスのことが周りの人たちにばらさなくてもよくなったから良かったはず、いや、良かったんだけど・・・・・・・・・
・・・・・・・・・なんか釈然としない。
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