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3.祝日のお祭り

3-004

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  ルイが迷うことなく、真っ直ぐとサーシャさんが入院している部屋まで向かってくれたので、サーシャさんの部屋には、予想よりもかなり早くに着いた。
  だけど、サーシャさんの部屋は空っぽで、誰もいなかった。

  まあ、このフロアの入り口辺りにあった、スッタフルームで、サーシャさんが頻繁に部屋を出て歩いているという話は聞いていたので、大人しく部屋で待つことにする。サーシャさんを探して歩き回ったことで、出禁になっても困るからね。

  部屋の扉には、MELと書かれたプレートが嵌め込んであったから、この部屋で間違いないはず。

  この部屋は、第二塔の四階にある部屋の一つ。
 そして、 この部屋に来るまで、周辺の部屋のプレートを見ていて気付いたんだけど、このフロアにある部屋の名前は全て、『M』から始まっているし、少なくともこの部屋の周辺にあった部屋は全て、アルファベット三文字で構成されている名前だった。

    もしかしたら、この部屋名のアルファベットは、数字の代わりをしているのかもしれない。

  そんな小さな発見に浸っていると、ウィーシュから、このアルファベットは、元々この世界で使われていた古い数字に文字を宛てたものだと教えられた。

  そっかぁ。
  数字なら分かるよね、部屋の場所。
  ちなみに、この部屋の名前の MEL は、408という意味を持っているらしい。
  いにしえの数字とはいえ、覚えておくと、得することも有るみたいなので、きちんと覚えておこう、っと。

  これと似たようなもので、ハイ・エルフ語という、同じく古の時代から使われている言語が、この世界には存在しているらしい。
  ハイ・エルフ語の方も、後天的にアルファベットを宛てているせいで、同じ文字でありながら、別の読み方をする上に、別の数字を意味しているので、覚え間違えないように注意しないといけない。

  ハイ・エルフ語は、魔力を扱う技術の発展に深く関わってきているため、魔法・魔術・魔導のうちのどれかを扱ったり、学んだりするならハイ・エルフ語の方が優先度が高くなるそうだ。
  特に、魔術と魔導を学ぶ上では必須とも言える言語らしいので、きっちりと覚えておこう。どうも、ハイ・エルフ語を正しく読み書きすることが出来なければ、話にもならないのだとか。



  スキル《言語理解》で、古の数字のことを理解出来ないのかな、と思って意識しながら他の部屋のプレートを見ていると、それぞれのプレートに書かれていた文字を思い出していると、それぞれの部屋に振られたナンバーが分かった。
  最初から理解できていなかった理由は、僕が部屋の名前を、別段意味の有る単語としてではなく、ただの名詞として認識していたから、スキルが発動していなかっただけ、らしい。

  今の僕は、勝手にだけど、アクティブスキルだと思っていた、スキル《言語理解》が、実はパッシブスキルだったことに、驚きを隠せないでいる。

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