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3.祝日のお祭り
3-022
しおりを挟む荒れていたセルシェーダさんの様子も、かなり落ち着いて来たので、サーシャさんのお見舞いへ出発することにした。
アネスは、医療センターにはまだ、入ったことが無い、と言っていたので、セルシェーダさんに案内をしてもらうことになった。
元侯爵家の当主であり、前王女の従姉妹でもあるアネスだ。
それだけの身分があれば、入ったこともありそうな気がするけど、と思ってその辺のことをアネスに聞いてみた。
どうやら、アネスは、エルネインさんかティファニアさん、そして、その二人の母親に当たる人物が体調を崩したり、怪我をしたりして入院しているなら、親族としてお見舞いに入ることが出来たらしい。
でも、エルネインさんもティファニアさんも、そして二人のお母さんも、入院することがほとんど無かったために、医療センターへ入る機会がなかったのだそうだ。
確かに、ティファニアさんはともかく、エルネインさんが、病気とか怪我とかで入院するっていう状況は、想像できないかも。
もしかしたら、失礼なことを言ったかもしれないと思ったけど、セルシェーダさんが、「兄様とラティとエルは、心配するだけ無駄です。特に、怪我や病気に関しては。」と、言ったので、気にしないことにする。
確かに、その三人なら、世界が滅亡しかけてても元気に生きてそうなイメージが・・・・・・・・・あっ、ないや。
やっぱり、それは無いよ。
だって、仮にそんな状況が発生していたとしても、きっと、リーナさんも、元気だと思うから。
そして、三人ともリーナさんから説教を受けては、しょんぼりとしていそうな気がする。
そんな光景を妄想していると、いつの間にか医療センターの入り口に到着していた。
セルシェーダさんが、到着を伝えに行ってくれている間、僕は馬車の中で大人しくしていることになった。
普通は、アネスかナギが行くべきなんだけど、アネスは医療センター内部の構造を知らないため、時間が掛かりそうだと判断され、ナギは帰って来ないかもしれないと判断されて、外されてしまったのだ。
セルシェーダさんの行動は、「お前のことを信用していない。」と言っているようなもので、ナギはすっかり不貞腐れてしまっている。
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「ははは、それは災難だったね。」
サーシャさんに、医療センター入口での出来事を話すと、苦笑いされた。
「セルシェーダの方にも悪気がある訳じゃないんだ。ただ、彼女が幼い頃から身近にいた人物は、あまりに頼り甲斐が無さすぎるだろう?ソルトラルドとラスタリアの二人は特に、だ。逆に、頼り甲斐のある人物と言えば、リーナさんを想像するだろう?つまり、セルシェーダは、自分で行動するか、頼れる者に任せるか。その頼れる者の基準をその道のスペシャリストであるかどうかに置いてるんだ。だから、例えナギでなくても、何かしらの理由を付けて断っていただろうさ。」
セルシェーダさんが、他者を頼れない理由が、あまりにもあんまりな理由過ぎて、泣いてしまいそうになった。
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