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サキュバスちゃんに搾〇されました(その4)
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「はて? 選抜試験で勇者の仲間を選び抜いたのじゃが……どこに行ってしまったのか」
気づくと、見慣れたお城であった。
目の前でグリトラル王国の国王が頭を抱えている!
ま、またスタートからか……!!
「お主のための選抜メンバーが姿を現さんのじゃ。この城の中や城下町に泊まっていたのじゃが……朝になったら、もぬけの殻じゃ……。ふむ……せっかく勇者アキストの旅立ちの日だと言うのに……」
ま、また同じことを言っている……。
これは心が折れるぞ……!
やはり俺にかけられた呪いに加えてデヴィルンヌが現れたのは絶望的すぎる!
そしてケーミーとの関係が最初からだ……これも本当につらい。
「国王様……! そういうことなら1人で旅立ちますよ! 一昔前の勇者はそうしていたわけですから……!」
この後、王女様たちが俺への不満をぶつけ始めるんだったよな。
その前に、さっさと旅立つぜ!
早くデヴィルンヌ対策を考えないと……!
「なるほど……確かにそうじゃな。それでは、仲間は選抜し直し、後から合流させることにするぞ」
よし……どんどん次に行こう!
俺はいつもどおり【癒しの聖水】をたくさん購入した後、酒場に向かった。
俺を見て傭兵達がザワザワし始めた。
なんか俺に向けて良くない噂をしているな……!
聞こえてるぜ!
しかし、俺の目的はケーミーを仲間にしてサキュバスを討伐することなので、構っているヒマはない!
どこだ!? ケーミー?
「あ! ケーミー……さん!?」
席に座り、飲み物を飲みながら辺りを見回していた。
行方不明になった恋人を探しているのかもしれない。
「へぇっ!? 勇者様じゃないですか!? な、なんで私の名前をご存知なんですか……?」
「魔王討伐のために、俺に力を貸して欲しい!」
「はいっ!? あ、はい……! それは私にとっても好都合ですー。いや、けど……なんで私を? さすがに驚きなんですけどぉ!?」
「俺は魔力を感知できる。ケーミーさんの力が必要だって思ったんだ!」
「えっ!? マジですかぁ……? 見る目がありますねぇ……! なんで私の名前を知っているのか疑問が残りますが……ありがとうございますっ!」
「じゃあ早速、酒場から出ようか!」
「えー!? どんだけ急いでるんですか!? マイペース勇者って、自己中な勇者ってことなんですか!?」
なんか煽られている感じがするが、ケンカをしている場合ではない。
俺はケーミーと一緒に酒場から出た。
「勇者様って、ちょっと怪しい感じですけど……声をかけてもらえたのは嬉しいです」
あ、怪しい感じ……?
よく分からないけど、喜んでいるのならよかった。
「やっぱり私には勇者様とご一緒するだけの力があったってことですよね? 選抜試験には落ちてしまったんですけど。試験監の見る目がなかっただけですかねぇ?」
「……いや、ケーミーさんは魔力を上手く使えていないだけなんだ」
「えっ!? そんなことないと思いますけどー? え……そ、そうなんですか? 勇者様はそんなことまで分かるんですねー」
「次の町に行きがてら、魔法の練習をしよう。さぁ、行くよ!」
散弾型の攻撃魔法はマスターしてもらいたい。
「へっ!? もう出発ですか!? じゅ、準備はできていますけど……! って、勇者様! めっちゃテキパキしてますね! あと、私の話、ちゃんと聞いてますか!?」
「うん……! けっこう焦っているんだ」
「……だ、大丈夫ですかぁ? 不安なんですけどぉ……。勇者様の印象が情報と違うんで、心配です……」
俺の様子にケーミーが戸惑っている。
焦り過ぎ……か?
す、少しペースを落とすか?
不信感を持たれては元も子もない。
けど……時間がないんだよ。
「あ……心配しないで。ちょっと焦っているだけだから。次の町に向かいながら、色々と話そう」
「は~い、分かりましたー! けど、私もまだまだ聞きたいことがあるんですよ……! ……って、勇者さまぁ~!」
---
俺はケーミーと一緒に城下町を出た。
よし……この草原を歩いてスワン王国に行くぞ。
明日には到着する。
しばらく進むと、いつも通り弱いモンスター達が襲ってきた。
俺が次々となぎ倒し、進んでいく。
「うっ! モ、モンスター……! 弱そうですけど、めっちゃ襲いかかって来ますね……大変です」
ん?
それはそうだよ……。
「うん。モンスターは魔王が創り出し、地上に放ったと言われているんだ。人間を襲うように命令しているんだよね」
「し、知っていますよ!」
「ああ……それは失礼。えっと……もしかして実戦は初めて?」
「あ、あまり実戦経験がないというか……ない訳ではないんですけど。グリトラル王国に来るときは別ルートで来ました。こんなにモンスターが出なかったんですよ。ここら辺のエリアは初めて来ました……」
「外から来たんだね? え……誰と来たの?」
「こ、恋人と……」
あ……俺の仲間だった戦士と一緒に来たのか。
戦闘は任せっきりだったのか?
そうか……それなら内在する魔力の大きさのわりに成長が遅いのも頷ける。
それなのに前回の旅であれだけ活躍していたのはすごいな。
……おそらく今回、スカーレンは来ないだろう。
手加減したとは言え、俺のホーリーバスターのダメージが残っていると思うし。
比較的、安全な地帯まで進んだらケーミーに魔法を教えようかな。
「あ、あの……勇者様。聞きたいことがあるんです。……私の恋人が消えたんだけど、知りませんか? 私の恋人は勇者様と一緒に行くことになっていた戦士なんですけど……」
ほ、本題だな……。
恋人の失踪が、ケーミーがどうしても俺と旅をしたい理由だ。
前回と同じところまで言えばいいかな。
「俺の仲間になる予定だった人達は……おそらく魔界にいる。それ以上のことは何も分かっていないんだ」
「えっ!? やっぱり……って、勇者様はどこからその情報を?」
「それは……言えない」
「そ、そうですか……。言えないことが多いですね。……あと、なんで私の名前を知ってたんですか?」
「それも言えないんだ」
「え……?」
「必ず、いつか言うよ」
「えぇっ……!?」
やべぇ、言えないことが多過ぎる……!
なんか前回とぜんぜん違う雰囲気になってしまった!
ケーミーの表情がどんどん『なんだよ、この勇者……』って感じになってきている。
不信感を持たれているぞ……。
……と思いつつも、時間がない。
比較的、安全な地帯まで到達したところで、ケーミーに散弾型の魔法を教えた。
もうすでに散弾型の魔法を使える能力を持ち合わせていることは分かっている。
スカーレンと戦ったときのように的確な指示を出し、ケーミーが実践した。
その結果、ちゃんと習得できた。
さすがだ……! 要領が良くて頭の回転も早い!
「え、私……すごくないですか?」
ケーミーが笑顔だ。
「うん、すごいと思うよ」
「って、なんで私がこんなすごい魔法を使えるって分かったんですか?」
「いや、その……俺は魔力を感知できるからさ! ケーミーならできるって思ったんだよ!」
「……」
ケーミーがジト目でこちらを見ている。
う~ん……やはり不信感を持たれているな……。
「怪しいですね。しかも、軽々しく『ケーミー』って呼ぶなんて……」
「へっ!? ご、ごめんごめん……」
しまった……!
つい前回の旅のクセで……。
「まぁ、新しい魔法を教えてくれたから、別に『ケーミー』でもいいですけど。ホント、なんかグイグイ来ますよね? もしかして勇者様……あ、変な気を起こさないでくださいよ……!」
えええぇっ!?
なんか変な勘違いをされ始めている……!?
あ、けど……笑顔だな。
魔法を教えたおかげで、ちょっと俺への印象が良くなった気がするぞ。
---
その翌日、スワン王国の城下町に着いた。
今回、やはりスカーレンは来なかったな。
いま考えなきゃいけないのは、今夜現れるであろうサキュバス達だ……!
本当に来るかな? ……来るよな。
本人が『また来る』って言っていたし。
精液欲しさに、何度もループするつもりなのだ。
一応、今回も城に行っておくか。
もし城の中に泊めてもらえるようだったら、前回よりも戦闘が遥かに有利になるだろう。
城内に現れるサキュバス達に対して先手が打てる。
「……勇者アキストだな? もう夜だ。国王様と会うのは明日にしてくれ」
うぅ……今回もダメか。
また屈強そうな門番の兵士に止められてしまった。
そういえば、前回よりもスワン王国に到着するのが遅れてしまっていた。
……ケーミーをしっかり育てていたからな。
せめて早めにサキュバスが攻めてくることは伝えたいんだけどな。
そうだ! 今……伝えちゃうおうかな?
「あの……城内に泊まらせてくれませんか? 今夜、敵が攻め込んでくるかもしれないんです。そういう情報があるんですよ!」
「なに!? それは……どこからの情報だ?」
「い、いや……それは……」
俺が言い淀んでいると、兵士がムッとし始めた。
あ……しまった……そうだよね。
そんな簡単に信用してもらえはしないか。
俺の評判は良くないし。
「ゆ、勇者様……?」
ケーミーも疑っているぞ。
……び、微妙な空気になってしまった。
俺が何も答えられずにいると、城内からボルハルトが出てきた。
「勇者様ですね……? ボルハルトと申します」
「あ! はい……勇者のアキストです」
前回の記憶はボルハルトにはないよね。
けど、この人とは訓練場で手合わせする展開になるはず!
前回のように信用してもらってから、城の中に泊まらせてもらえるように頼もうかな。
それならサキュバスに早く対応できる。
「アキストさん、今日はお引き取りください……」
「えっ!? ボルハルト……さん!?」
前回とは違う対応に驚いて俺が一歩前に出ると、ボルハルトは一歩下がった。
代わりに門番の兵士が前に出てきて、俺の目の前を塞ぐ。
「……今夜は私も用事がありますので。勇者様はごゆっくりお休みください」
ボルハルトはそう言い残し、城の中に戻って行った。
え……なんで? なんでだ?
……よ、用事だって?
「そ、そんな……!?」
致し方なく、俺はケーミーと宿屋に向かった。
うぅ……サキュバスの襲撃に対して後手に回るのだけは避けたい。
---
宿屋に到着した後、俺はケーミーの部屋を訪れた。
「ケーミーさん……ちょっと話し合わない?」
「へっ!? なんですか? いきなり女の子の部屋に入って来るなんて、頭のネジがぶっ飛んでるんですか?」
「えぇっ!? ご、ごめん……。じつは今夜あたりに、この城下町とお城にサキュバスが攻めて来るんだ」
本当に『また来る』と言っていたんだ。
おそらく夜間に攻めて来るのだろう。
みんなが寝ている時間帯の方がことを運びやすいはずだ。
「サ、サキュバスが攻めてくる!? 勇者……様。こわいです」
「怖いけど、立ち向かうんだ。倒す方法を一緒に考えて欲しい。正直、ケーミーさんの方が頭の回転が早い……! 一緒に考えてくれ!」
「……いや、こわいのは勇者様です。私の名前を知っていたり、色々と隠し事が多かったり、サキュバスが来ることを分かってたり。……一体なんなんですか? 私が恋人を探している話も想定済み……って感じの反応でした。私のことを分かっているようなことを言っていますけど、会ったばかりで私の何が分かるんですか? まぁ、私の魔法の特性を分かってくれていて嬉しかったんですけどね……。散弾型の魔法も私ならできるって応援してくれましたし。けど……何で私の得意不得意を聞きもせずに分かるんですか? 魔力感知だけでそんなことが分かるもんですか? ……もちろん私を旅の仲間に選んでくれたことも嬉しかったんですけど、他に強そうな人は酒場にたくさんいました。最初に私に話しかけましたよね? それは何故ですか? すでに私の恋人と会っていて、私のことを何か知らされていたってことですか?」
ケーミーの質問責めだ……!
「え……いや、その……」
「まさか……他人の心が読めるとか、予知能力があるとか……そういうタイプの勇者なんですか? 【遅咲きマイペース勇者】の異名はその力を隠すための嘘とか……」
「いや、違う! ……とにかくサキュバス討伐について一緒に考えてくれよ! 時間がないんだ……!!」
「え……その……私の質問に……答えてください。まったく信用できません」
まったく信用できない……!?
参ったな……ニラまれて完全に敵意を向けられている。
いや、敵意ではないか……。
『ちゃんと質問に答えてください』ってことか。
そうだよね……信頼関係がリセットされちゃったんだもんね。
そうか……俺は焦りすぎて突っ走り過ぎていたんだ。
サキュバス襲撃まで時間がないから、仕方がない……と!
関係がリセットされると分かっていたはずなのに、魔王とデヴィルンヌに追い込まれていてケーミーのことを大切に扱っていなかった……。
もう……正直に話そう。
「……俺は過去に戻っている」
「へっ!? 過去に……戻ってる?」
この事実を言っても構わないだろう。
今の流れだと、信じてくれるはずだ。
過去をやり直していると説明すれば、彼女が疑問に思っていることの全てに辻褄が合うだろう。
彼女には『恋人に会いたい』という強い意志があり、とても賢い子だということはもう分かっている。
俺が一度魔王に負けていることを伝えたところで、それを言い振らすような子ではない。
彼女にとってメリットもないし。
何より前回、共通の敵を持ったときに、ケーミーは俺の味方になってくれた。
口は悪いし煽ってくるけど、俺にとって大切な仲間になり得る子なのだ。
俺から情報を得るために信用されようとしたのかもしれないけどさ……。
でも、そのためだけに俺の味方になっていたとは思えない関係だった……と思う。
少なくとも……かつての仲間達とは違うんだ。
「えっ!? ちょっと待ってください! 未来をすでに経験しているってことですか……!? ど、どういうことですか? そんな魔法……あり得るんですか!?」
俺は丁寧にこれまでのことを話した。
「う……なるほど。魔王ジュエリ……そんな呪い系の魔法を使うんですね。しかも何故かエッチな条件で過去に遡るんですね。……信じ難いですけど、勇者様が嘘をついている感じはしないです。何より、これまで勇者様が私にした発言と辻褄が合いますね。矛盾がありません」
「うん……嘘はついてないよ。それを踏まえて改めて頼むけど、何か打開策はないかな? ケーミーが頭良いのは分かっているんだ。ケーミーの頭脳が必要なんだよ。頼む……!」
デヴィルンヌをどうやったら倒せるのだろうか……?
「えっ!? そ、そうですか? それは照れますね。ま、まぁ……いいですけど?」
なんだなんだ?
なんか照れているぞ……?
あ、俺が褒めたからか。
けっこう褒められると弱いのかな……。
「とは言え、デヴィルンヌ対策について良い案は浮かびませんねー。私じゃ歯が立たないと思いますし。女の子で強い人がいればいいんですけど、今から探している時間はないですよね……」
「そうだね……」
戦闘力が高い女性か……。
「スワン王国は無視して次の目的地に行っちゃダメですか?」
えぇっ?
そ、それは……
「……それは考えていなかったな。けど、ダメだよ……多くの人達が犠牲になってしまう。デヴィルンヌは俺たちを追いながら、地上をどんどん侵略してしまうだろう。俺の呪いで時間が遡れば元どおりだけどさ、もしサキュバス達が人間を魔界に連れ去って精液を搾取し続けたりしたら……非常にまずい。その人達はリセットされず、魔界で搾取され続けてしまう」
「あ……そうですね」
「俺が魅了されずに技を決めさえすれば勝てるんだ」
「私の魔法で引きつけて、その間に勇者様が技を決める……って感じですかね。私の魔法が上位のサキュバスに通用する可能性は低いですけど……」
「た、たしかに……」
「戦法の案じゃないんですけど……さっき変だなって思った点があります。あの男の様子が変なんです。ボルハルト……でしたっけ?」
「え……ボルハルトさん? なんで?」
あ……前回と違う行動を取ったからか?
前回は手合わせをしたのに、今回はそれがなかった。
けど、城に訪れた時間が違ったからなぁ。
条件が変われば行動も変わるんじゃないかな……。
「さっき『今夜は私も用事がありますので。勇者様はごゆっくりお休みください』って話していたとき、勃起していたんです」
「は、はぁっ!? ケーミー? 何を言って……」
ぼ、勃起!?
「『今夜は私も用事があります』のところです。そこで勃起しました」
「ど、ど、どういうことだよっ!?」
「いや、ホントなんなんだって感じですよね」
「だいたい、なんでそんなところを見てるんだよ!? 恋人の存在はどうした!?」
「いや……まぁ、とりあえず見ちゃいますよ。見た目がダンディーな感じでタイプだったんで」
「そ、そういうものか……?」
知らんけど。
「まぁ、問題はそこじゃありません! 男は興奮すると想像だけでも勃起するんですよね? 勃起するほどの妄想をそこでしたってことですよね? 勇者様の事情を聞いて改めて考えてみると、今夜サキュバスと会うことが分かっていたってことじゃないですか? 前回、ボルハルトは、勇者様が上位のサキュバスにヤラれる前に魔界に帰っていたんですよ。記憶を保持するために。……あの男は裏切り者の可能性があるかもしれません」
「う~ん……」
無理矢理感は多少あるけど。
勃起していただけでしょ……?
「私の考え、飛躍し過ぎですかね? けど、そんな簡単に勃起しませんよね? サキュバスに魅了されているのなら、あり得そうじゃないですか?」
「……10代の半ばぐらいだったら、女の子が近くにいただけでとりあえず勃起したりするけどさ」
「……マジですか。ヤバイですね」
「あの人も30代だろうしね。簡単に勃起はしないと思うな……」
「じゃあやっぱり……何かしら急激に興奮する妄想をしたってことですよね? やっぱサキュバスですよ」
「う~ん……まぁ……如何わしい店でのお楽しみを思い出したのかも……」
「そ、それで急に勃起できます!? 『今夜は……』って言い出したところからいきなり勃起しましたよ!? しかもフルボッキですよ!? ピーンって!」
めっちゃボッキボッキ言うじゃん……この子。
「そうか……。そんな瞬間を見ていただなんて……。さすがにそんな急には勃たないよ」
基本的に徐々に勃っていくからね。
「やっぱりそうですよね……」
「うん……すでにサキュバスに魅了されている可能性が出てきたな」
「男である勇者様がそう言うなら、信憑性が高くなってきましたね? 私、女の子なので全然わからないですけど!」
「う~ん……断言はできないけどね。あ……魔法陣を描いたのもボルハルトさんかもしれない! 魔法使いだし!」
「あ……なるほど。そうかもしれないですね!」
「気になっていたんだよね。城内に魔法陣を描かないと、サキュバス達は現れないはずだからさ。もしかしたらボルハルトさんがサキュバス達の味方をしていて……」
「なるほど。描いたんですね」
「もちろん、確証はないけどね。……とにかく、今からお城に向かおう! サキュバスの魔力を確認次第、城内に乗り込んで確かめるぞ! 魔法陣を壊してサキュバスを止めるんだ!」
勃起が原因でボルハルトを疑っている……。
実際、どうなんだろうな……?
まったく分からん……。
『なんで勃起していたんですか?』なんて聞けないしな。
サキュバスが出現したタイミングで乗り込んで聞き出すしかないか……。
話し込んでいるうちに夜が更けてきたので、俺とケーミーは城に向かった。
気づくと、見慣れたお城であった。
目の前でグリトラル王国の国王が頭を抱えている!
ま、またスタートからか……!!
「お主のための選抜メンバーが姿を現さんのじゃ。この城の中や城下町に泊まっていたのじゃが……朝になったら、もぬけの殻じゃ……。ふむ……せっかく勇者アキストの旅立ちの日だと言うのに……」
ま、また同じことを言っている……。
これは心が折れるぞ……!
やはり俺にかけられた呪いに加えてデヴィルンヌが現れたのは絶望的すぎる!
そしてケーミーとの関係が最初からだ……これも本当につらい。
「国王様……! そういうことなら1人で旅立ちますよ! 一昔前の勇者はそうしていたわけですから……!」
この後、王女様たちが俺への不満をぶつけ始めるんだったよな。
その前に、さっさと旅立つぜ!
早くデヴィルンヌ対策を考えないと……!
「なるほど……確かにそうじゃな。それでは、仲間は選抜し直し、後から合流させることにするぞ」
よし……どんどん次に行こう!
俺はいつもどおり【癒しの聖水】をたくさん購入した後、酒場に向かった。
俺を見て傭兵達がザワザワし始めた。
なんか俺に向けて良くない噂をしているな……!
聞こえてるぜ!
しかし、俺の目的はケーミーを仲間にしてサキュバスを討伐することなので、構っているヒマはない!
どこだ!? ケーミー?
「あ! ケーミー……さん!?」
席に座り、飲み物を飲みながら辺りを見回していた。
行方不明になった恋人を探しているのかもしれない。
「へぇっ!? 勇者様じゃないですか!? な、なんで私の名前をご存知なんですか……?」
「魔王討伐のために、俺に力を貸して欲しい!」
「はいっ!? あ、はい……! それは私にとっても好都合ですー。いや、けど……なんで私を? さすがに驚きなんですけどぉ!?」
「俺は魔力を感知できる。ケーミーさんの力が必要だって思ったんだ!」
「えっ!? マジですかぁ……? 見る目がありますねぇ……! なんで私の名前を知っているのか疑問が残りますが……ありがとうございますっ!」
「じゃあ早速、酒場から出ようか!」
「えー!? どんだけ急いでるんですか!? マイペース勇者って、自己中な勇者ってことなんですか!?」
なんか煽られている感じがするが、ケンカをしている場合ではない。
俺はケーミーと一緒に酒場から出た。
「勇者様って、ちょっと怪しい感じですけど……声をかけてもらえたのは嬉しいです」
あ、怪しい感じ……?
よく分からないけど、喜んでいるのならよかった。
「やっぱり私には勇者様とご一緒するだけの力があったってことですよね? 選抜試験には落ちてしまったんですけど。試験監の見る目がなかっただけですかねぇ?」
「……いや、ケーミーさんは魔力を上手く使えていないだけなんだ」
「えっ!? そんなことないと思いますけどー? え……そ、そうなんですか? 勇者様はそんなことまで分かるんですねー」
「次の町に行きがてら、魔法の練習をしよう。さぁ、行くよ!」
散弾型の攻撃魔法はマスターしてもらいたい。
「へっ!? もう出発ですか!? じゅ、準備はできていますけど……! って、勇者様! めっちゃテキパキしてますね! あと、私の話、ちゃんと聞いてますか!?」
「うん……! けっこう焦っているんだ」
「……だ、大丈夫ですかぁ? 不安なんですけどぉ……。勇者様の印象が情報と違うんで、心配です……」
俺の様子にケーミーが戸惑っている。
焦り過ぎ……か?
す、少しペースを落とすか?
不信感を持たれては元も子もない。
けど……時間がないんだよ。
「あ……心配しないで。ちょっと焦っているだけだから。次の町に向かいながら、色々と話そう」
「は~い、分かりましたー! けど、私もまだまだ聞きたいことがあるんですよ……! ……って、勇者さまぁ~!」
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俺はケーミーと一緒に城下町を出た。
よし……この草原を歩いてスワン王国に行くぞ。
明日には到着する。
しばらく進むと、いつも通り弱いモンスター達が襲ってきた。
俺が次々となぎ倒し、進んでいく。
「うっ! モ、モンスター……! 弱そうですけど、めっちゃ襲いかかって来ますね……大変です」
ん?
それはそうだよ……。
「うん。モンスターは魔王が創り出し、地上に放ったと言われているんだ。人間を襲うように命令しているんだよね」
「し、知っていますよ!」
「ああ……それは失礼。えっと……もしかして実戦は初めて?」
「あ、あまり実戦経験がないというか……ない訳ではないんですけど。グリトラル王国に来るときは別ルートで来ました。こんなにモンスターが出なかったんですよ。ここら辺のエリアは初めて来ました……」
「外から来たんだね? え……誰と来たの?」
「こ、恋人と……」
あ……俺の仲間だった戦士と一緒に来たのか。
戦闘は任せっきりだったのか?
そうか……それなら内在する魔力の大きさのわりに成長が遅いのも頷ける。
それなのに前回の旅であれだけ活躍していたのはすごいな。
……おそらく今回、スカーレンは来ないだろう。
手加減したとは言え、俺のホーリーバスターのダメージが残っていると思うし。
比較的、安全な地帯まで進んだらケーミーに魔法を教えようかな。
「あ、あの……勇者様。聞きたいことがあるんです。……私の恋人が消えたんだけど、知りませんか? 私の恋人は勇者様と一緒に行くことになっていた戦士なんですけど……」
ほ、本題だな……。
恋人の失踪が、ケーミーがどうしても俺と旅をしたい理由だ。
前回と同じところまで言えばいいかな。
「俺の仲間になる予定だった人達は……おそらく魔界にいる。それ以上のことは何も分かっていないんだ」
「えっ!? やっぱり……って、勇者様はどこからその情報を?」
「それは……言えない」
「そ、そうですか……。言えないことが多いですね。……あと、なんで私の名前を知ってたんですか?」
「それも言えないんだ」
「え……?」
「必ず、いつか言うよ」
「えぇっ……!?」
やべぇ、言えないことが多過ぎる……!
なんか前回とぜんぜん違う雰囲気になってしまった!
ケーミーの表情がどんどん『なんだよ、この勇者……』って感じになってきている。
不信感を持たれているぞ……。
……と思いつつも、時間がない。
比較的、安全な地帯まで到達したところで、ケーミーに散弾型の魔法を教えた。
もうすでに散弾型の魔法を使える能力を持ち合わせていることは分かっている。
スカーレンと戦ったときのように的確な指示を出し、ケーミーが実践した。
その結果、ちゃんと習得できた。
さすがだ……! 要領が良くて頭の回転も早い!
「え、私……すごくないですか?」
ケーミーが笑顔だ。
「うん、すごいと思うよ」
「って、なんで私がこんなすごい魔法を使えるって分かったんですか?」
「いや、その……俺は魔力を感知できるからさ! ケーミーならできるって思ったんだよ!」
「……」
ケーミーがジト目でこちらを見ている。
う~ん……やはり不信感を持たれているな……。
「怪しいですね。しかも、軽々しく『ケーミー』って呼ぶなんて……」
「へっ!? ご、ごめんごめん……」
しまった……!
つい前回の旅のクセで……。
「まぁ、新しい魔法を教えてくれたから、別に『ケーミー』でもいいですけど。ホント、なんかグイグイ来ますよね? もしかして勇者様……あ、変な気を起こさないでくださいよ……!」
えええぇっ!?
なんか変な勘違いをされ始めている……!?
あ、けど……笑顔だな。
魔法を教えたおかげで、ちょっと俺への印象が良くなった気がするぞ。
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その翌日、スワン王国の城下町に着いた。
今回、やはりスカーレンは来なかったな。
いま考えなきゃいけないのは、今夜現れるであろうサキュバス達だ……!
本当に来るかな? ……来るよな。
本人が『また来る』って言っていたし。
精液欲しさに、何度もループするつもりなのだ。
一応、今回も城に行っておくか。
もし城の中に泊めてもらえるようだったら、前回よりも戦闘が遥かに有利になるだろう。
城内に現れるサキュバス達に対して先手が打てる。
「……勇者アキストだな? もう夜だ。国王様と会うのは明日にしてくれ」
うぅ……今回もダメか。
また屈強そうな門番の兵士に止められてしまった。
そういえば、前回よりもスワン王国に到着するのが遅れてしまっていた。
……ケーミーをしっかり育てていたからな。
せめて早めにサキュバスが攻めてくることは伝えたいんだけどな。
そうだ! 今……伝えちゃうおうかな?
「あの……城内に泊まらせてくれませんか? 今夜、敵が攻め込んでくるかもしれないんです。そういう情報があるんですよ!」
「なに!? それは……どこからの情報だ?」
「い、いや……それは……」
俺が言い淀んでいると、兵士がムッとし始めた。
あ……しまった……そうだよね。
そんな簡単に信用してもらえはしないか。
俺の評判は良くないし。
「ゆ、勇者様……?」
ケーミーも疑っているぞ。
……び、微妙な空気になってしまった。
俺が何も答えられずにいると、城内からボルハルトが出てきた。
「勇者様ですね……? ボルハルトと申します」
「あ! はい……勇者のアキストです」
前回の記憶はボルハルトにはないよね。
けど、この人とは訓練場で手合わせする展開になるはず!
前回のように信用してもらってから、城の中に泊まらせてもらえるように頼もうかな。
それならサキュバスに早く対応できる。
「アキストさん、今日はお引き取りください……」
「えっ!? ボルハルト……さん!?」
前回とは違う対応に驚いて俺が一歩前に出ると、ボルハルトは一歩下がった。
代わりに門番の兵士が前に出てきて、俺の目の前を塞ぐ。
「……今夜は私も用事がありますので。勇者様はごゆっくりお休みください」
ボルハルトはそう言い残し、城の中に戻って行った。
え……なんで? なんでだ?
……よ、用事だって?
「そ、そんな……!?」
致し方なく、俺はケーミーと宿屋に向かった。
うぅ……サキュバスの襲撃に対して後手に回るのだけは避けたい。
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宿屋に到着した後、俺はケーミーの部屋を訪れた。
「ケーミーさん……ちょっと話し合わない?」
「へっ!? なんですか? いきなり女の子の部屋に入って来るなんて、頭のネジがぶっ飛んでるんですか?」
「えぇっ!? ご、ごめん……。じつは今夜あたりに、この城下町とお城にサキュバスが攻めて来るんだ」
本当に『また来る』と言っていたんだ。
おそらく夜間に攻めて来るのだろう。
みんなが寝ている時間帯の方がことを運びやすいはずだ。
「サ、サキュバスが攻めてくる!? 勇者……様。こわいです」
「怖いけど、立ち向かうんだ。倒す方法を一緒に考えて欲しい。正直、ケーミーさんの方が頭の回転が早い……! 一緒に考えてくれ!」
「……いや、こわいのは勇者様です。私の名前を知っていたり、色々と隠し事が多かったり、サキュバスが来ることを分かってたり。……一体なんなんですか? 私が恋人を探している話も想定済み……って感じの反応でした。私のことを分かっているようなことを言っていますけど、会ったばかりで私の何が分かるんですか? まぁ、私の魔法の特性を分かってくれていて嬉しかったんですけどね……。散弾型の魔法も私ならできるって応援してくれましたし。けど……何で私の得意不得意を聞きもせずに分かるんですか? 魔力感知だけでそんなことが分かるもんですか? ……もちろん私を旅の仲間に選んでくれたことも嬉しかったんですけど、他に強そうな人は酒場にたくさんいました。最初に私に話しかけましたよね? それは何故ですか? すでに私の恋人と会っていて、私のことを何か知らされていたってことですか?」
ケーミーの質問責めだ……!
「え……いや、その……」
「まさか……他人の心が読めるとか、予知能力があるとか……そういうタイプの勇者なんですか? 【遅咲きマイペース勇者】の異名はその力を隠すための嘘とか……」
「いや、違う! ……とにかくサキュバス討伐について一緒に考えてくれよ! 時間がないんだ……!!」
「え……その……私の質問に……答えてください。まったく信用できません」
まったく信用できない……!?
参ったな……ニラまれて完全に敵意を向けられている。
いや、敵意ではないか……。
『ちゃんと質問に答えてください』ってことか。
そうだよね……信頼関係がリセットされちゃったんだもんね。
そうか……俺は焦りすぎて突っ走り過ぎていたんだ。
サキュバス襲撃まで時間がないから、仕方がない……と!
関係がリセットされると分かっていたはずなのに、魔王とデヴィルンヌに追い込まれていてケーミーのことを大切に扱っていなかった……。
もう……正直に話そう。
「……俺は過去に戻っている」
「へっ!? 過去に……戻ってる?」
この事実を言っても構わないだろう。
今の流れだと、信じてくれるはずだ。
過去をやり直していると説明すれば、彼女が疑問に思っていることの全てに辻褄が合うだろう。
彼女には『恋人に会いたい』という強い意志があり、とても賢い子だということはもう分かっている。
俺が一度魔王に負けていることを伝えたところで、それを言い振らすような子ではない。
彼女にとってメリットもないし。
何より前回、共通の敵を持ったときに、ケーミーは俺の味方になってくれた。
口は悪いし煽ってくるけど、俺にとって大切な仲間になり得る子なのだ。
俺から情報を得るために信用されようとしたのかもしれないけどさ……。
でも、そのためだけに俺の味方になっていたとは思えない関係だった……と思う。
少なくとも……かつての仲間達とは違うんだ。
「えっ!? ちょっと待ってください! 未来をすでに経験しているってことですか……!? ど、どういうことですか? そんな魔法……あり得るんですか!?」
俺は丁寧にこれまでのことを話した。
「う……なるほど。魔王ジュエリ……そんな呪い系の魔法を使うんですね。しかも何故かエッチな条件で過去に遡るんですね。……信じ難いですけど、勇者様が嘘をついている感じはしないです。何より、これまで勇者様が私にした発言と辻褄が合いますね。矛盾がありません」
「うん……嘘はついてないよ。それを踏まえて改めて頼むけど、何か打開策はないかな? ケーミーが頭良いのは分かっているんだ。ケーミーの頭脳が必要なんだよ。頼む……!」
デヴィルンヌをどうやったら倒せるのだろうか……?
「えっ!? そ、そうですか? それは照れますね。ま、まぁ……いいですけど?」
なんだなんだ?
なんか照れているぞ……?
あ、俺が褒めたからか。
けっこう褒められると弱いのかな……。
「とは言え、デヴィルンヌ対策について良い案は浮かびませんねー。私じゃ歯が立たないと思いますし。女の子で強い人がいればいいんですけど、今から探している時間はないですよね……」
「そうだね……」
戦闘力が高い女性か……。
「スワン王国は無視して次の目的地に行っちゃダメですか?」
えぇっ?
そ、それは……
「……それは考えていなかったな。けど、ダメだよ……多くの人達が犠牲になってしまう。デヴィルンヌは俺たちを追いながら、地上をどんどん侵略してしまうだろう。俺の呪いで時間が遡れば元どおりだけどさ、もしサキュバス達が人間を魔界に連れ去って精液を搾取し続けたりしたら……非常にまずい。その人達はリセットされず、魔界で搾取され続けてしまう」
「あ……そうですね」
「俺が魅了されずに技を決めさえすれば勝てるんだ」
「私の魔法で引きつけて、その間に勇者様が技を決める……って感じですかね。私の魔法が上位のサキュバスに通用する可能性は低いですけど……」
「た、たしかに……」
「戦法の案じゃないんですけど……さっき変だなって思った点があります。あの男の様子が変なんです。ボルハルト……でしたっけ?」
「え……ボルハルトさん? なんで?」
あ……前回と違う行動を取ったからか?
前回は手合わせをしたのに、今回はそれがなかった。
けど、城に訪れた時間が違ったからなぁ。
条件が変われば行動も変わるんじゃないかな……。
「さっき『今夜は私も用事がありますので。勇者様はごゆっくりお休みください』って話していたとき、勃起していたんです」
「は、はぁっ!? ケーミー? 何を言って……」
ぼ、勃起!?
「『今夜は私も用事があります』のところです。そこで勃起しました」
「ど、ど、どういうことだよっ!?」
「いや、ホントなんなんだって感じですよね」
「だいたい、なんでそんなところを見てるんだよ!? 恋人の存在はどうした!?」
「いや……まぁ、とりあえず見ちゃいますよ。見た目がダンディーな感じでタイプだったんで」
「そ、そういうものか……?」
知らんけど。
「まぁ、問題はそこじゃありません! 男は興奮すると想像だけでも勃起するんですよね? 勃起するほどの妄想をそこでしたってことですよね? 勇者様の事情を聞いて改めて考えてみると、今夜サキュバスと会うことが分かっていたってことじゃないですか? 前回、ボルハルトは、勇者様が上位のサキュバスにヤラれる前に魔界に帰っていたんですよ。記憶を保持するために。……あの男は裏切り者の可能性があるかもしれません」
「う~ん……」
無理矢理感は多少あるけど。
勃起していただけでしょ……?
「私の考え、飛躍し過ぎですかね? けど、そんな簡単に勃起しませんよね? サキュバスに魅了されているのなら、あり得そうじゃないですか?」
「……10代の半ばぐらいだったら、女の子が近くにいただけでとりあえず勃起したりするけどさ」
「……マジですか。ヤバイですね」
「あの人も30代だろうしね。簡単に勃起はしないと思うな……」
「じゃあやっぱり……何かしら急激に興奮する妄想をしたってことですよね? やっぱサキュバスですよ」
「う~ん……まぁ……如何わしい店でのお楽しみを思い出したのかも……」
「そ、それで急に勃起できます!? 『今夜は……』って言い出したところからいきなり勃起しましたよ!? しかもフルボッキですよ!? ピーンって!」
めっちゃボッキボッキ言うじゃん……この子。
「そうか……。そんな瞬間を見ていただなんて……。さすがにそんな急には勃たないよ」
基本的に徐々に勃っていくからね。
「やっぱりそうですよね……」
「うん……すでにサキュバスに魅了されている可能性が出てきたな」
「男である勇者様がそう言うなら、信憑性が高くなってきましたね? 私、女の子なので全然わからないですけど!」
「う~ん……断言はできないけどね。あ……魔法陣を描いたのもボルハルトさんかもしれない! 魔法使いだし!」
「あ……なるほど。そうかもしれないですね!」
「気になっていたんだよね。城内に魔法陣を描かないと、サキュバス達は現れないはずだからさ。もしかしたらボルハルトさんがサキュバス達の味方をしていて……」
「なるほど。描いたんですね」
「もちろん、確証はないけどね。……とにかく、今からお城に向かおう! サキュバスの魔力を確認次第、城内に乗り込んで確かめるぞ! 魔法陣を壊してサキュバスを止めるんだ!」
勃起が原因でボルハルトを疑っている……。
実際、どうなんだろうな……?
まったく分からん……。
『なんで勃起していたんですか?』なんて聞けないしな。
サキュバスが出現したタイミングで乗り込んで聞き出すしかないか……。
話し込んでいるうちに夜が更けてきたので、俺とケーミーは城に向かった。
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