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サキュバスちゃんに搾〇されました(その5)

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 現在、すでに深夜である。
夜空には月が浮かんでいる。
俺とケーミーは城のすぐ近くの草むらに身を潜めているところだ。
待機した状態でもう30分は経過したか……?

「本当に現れるんですかね? 何だか不安になってきました……」

「うん……現れる可能性は高いと思っているよ。俺は魔力を感知できるから、下位のサキュバスだろうと出現したら分かる。とくに今は城に集中しているしね」

「へー。それは頼もしいですね。今、侵入したらダメですか? あのボルハルトって男が魔法陣を描いてるんじゃないですか?」

「いや……サキュバスが出現してからだね。『召喚魔法を習得するため、魔法陣の練習をしているだけだ』……とか言われでもしたら確証を得られない」

 そうなると『勝手に進入して、この勇者はなんなんだ』……って感じになってしまうだろう。

「あ、そうですね。なんだ……勇者様、頭良いじゃないですか」

「そう? ありがとう」

 若干、あおられた気がするけど、聞き流しておこう。

「……いやぁ、それにしてもビックリしましたよ。この旅をやり直しているなんて」

「うん……ケーミーと出会ってから、ずっと焦っていてごめんね」

「ホントですよ。けどまぁ……私のことを認めてくれている感じは出ていましたね。そこは嬉しかったですけどね」

「……あ、そう?」

 ケーミーが笑った。
良い笑顔だ。

「けど、いきなり初対面からあんなにグイグイ勧誘してゴリ押ししてくる男はどうかと思いましたよ」

 あ……今度はムッとしているぞ。

「そ、そうか……。それは申し訳ない」

「女性経験ゼロかよ……って感じです」

 ケーミーがニヤニヤし始めた。
なんかすごい仕返しされている気がする。
あまり会話に集中してしまうとマズいんだけど……。
……って、待て待て!
邪悪で薄気味悪い魔力を感知したぞ……!

「……ケーミー! 城内に邪悪な魔力を感知した! サキュバスの最初の1体だと思う……! 城内に強行突破するぞ!」

 俺は窓ガラスを割り、大きな魔力の方向に走って行った。
ここは……もちろん1階だ。
魔力の出所でどころは……2階だな!

「な、なんだ!? ガラスが割れる音……って勇者アキスト……様!?」

 廊下にいた若い兵士が俺を発見する。
おっと……俺が不審者だと思われてはマズい!

「……サキュバスが現れている! 警戒するんだ!」

「え、ええぇっ!? サ、サキュバス!?」

 驚く若い兵士を置き去りにし、俺とケーミーは階段へと向かう。
うっ……2階から下位のサキュバスが3体、こちらに向かってくる!
もう3体もいるのか……!
召喚のペースが早いな!
聖剣に魔力を込めないと……!

「うわっ!? 召喚されるペースが早いですね!」

 俺の後ろを走っているケーミーが俺と同じことを思う。

「……ホーリーバスター!」

 先手必勝だ! 誘惑される前に倒せ……!
下位だろうと、誘惑されたら終わりだぜ。
 サキュバス達に技を放って蹴散らした後、2階に上がった。
出所でどころとの距離が近くなり、いっそう強く邪悪な魔力を感じる。

「すごい! サキュバス達が一瞬で灰になりました……! この調子でボスもお願いします!」
「ボスはこんな簡単にいかないんだ……!」

 そんなことをケーミーと話しながら、サキュバスの魔力を感知して先に進む。
魔力の出所は……あそこの角部屋だ!
ドアも開きっぱなしだし間違いない……!
ん? 待てよ、あの部屋は……

「……2階の南東の角部屋だな!? ……やはりボルハルトさんの部屋かもしれない! 前回、城内で王女様っぽい子から聞いたんだ!」
「そうだったんですね!? やっぱり……!」

 俺とケーミーは、走りながら確信する。
あの部屋でボルハルトが魔法陣を描いてサキュバスを召喚しているってことだな……!
……魔法陣は訓練場にもあった。
自分の部屋でコソコソと魔法陣を描き、サキュバスを召喚する。
そうして城内を混乱させた後、広い訓練場に移動するのだろうか!?
そして、訓練場に男を集めて大規模な搾精の始まりだ……!
 あ……魔王ジュエリの『魔法陣は1つじゃない』というヒントは、このことだったのか。
『人間の中に共犯者がいるよ』というヒントだったのだろうか?
わ、分かりにくい……!
魔王め……ヒントが分かりにくいぞ!
 よし……デヴィルンヌ戦に備えて対策しておこう。
またこの前みたいな情けない敗北になってしまうからな……!
まだデヴィルンヌは現れていないみたいだけど、あらかじめ聖剣に魔力を込めておくか。
サキュバス戦は……やはり先手必勝だ!
 意を決して、俺は部屋の中に踏み込んだ。
広めの部屋だぞ……!
部屋の中はどうなっている……? おぉっ!?
やはりボルハルトがいるぞ!
部屋の中心に魔法陣が描かれており、彼はその奥にたたずんでいる……!
そして……下位のサキュバスが5体、部屋の中にいるぞ!

「勇者……アキスト。やはり来ましたか」

 ボルハルトが話しかけてきた。
落ち着いているな……。

「ボルハルトさん……ここはあなたの部屋ですね? そして、その魔法陣で下位のサキュバスを召喚している……」

「ええ。バレてしまっては仕方がないです。……はあああぁっ!」

 ボルハルトが魔法陣に手の平を向けて気合を入れ、すごい早さで詠唱し始めた。
うっ……!? つ、強い魔力を感知したぞ!
魔法陣から現れたのは……デヴィルンヌだ!

「あら? 呼ばれるのが早いと思ったら……アキストくんの登場ってわけね。今回は来るのが早かったわね。じゃあ作戦変更よ……まずはアキストくんを誘惑して行動不能にするわ。射精はギリギリまで我慢♡ ボルハルトは私のサキュバス達を召喚し続けてね」

「デヴィルンヌ様、了解しました!」

 ボルハルト……デヴィルンヌの言いなりか!
やはり敵側だった……!
 ああ、彼によって下位のサキュバスが召喚されている。
元々いた下位サキュバス達と一緒に俺たちを通り過ぎてどんどん部屋の外に出て行く。
俺はサキュバス達を見逃すしかない。
なぜなら前方から……ゆっくりとデヴィルンヌが近づいているからだ!
再び奴と戦闘だ! 絶対に隙は見せられない。
だが今回は、すでに聖剣に魔力を込めている……!
先手必勝で一気に叩く!
 俺はデヴィルンヌに向けて踏み込んだ。

「くらえぇっ……!」

 彼女との距離は3メートルほどだ……!
いけ……!!

「あら、アキストくん♡ 私に攻撃するつもりかしら?」

 デヴィルンヌが少し屈み、お、おっぱいを……寄せている!!
赤いドレスに豊満なおっぱいの谷間……めっちゃエロいな!
う、うわぁ……思い出してしまう!
この前、あの谷間に顔をうずめて、あの尻尾で精液を絞り取られたことを……!!
き、気持ちよかったなぁ……!!
チンコはもちろん、俺の全身がデヴィルンヌに包まれて幸せだった!
ダ、ダメだ……! これ以上近づいたら魅了される!
そんな……そんな……!!
俺はその場で停止してしまった。

「アキストくん……勃ってるわね♡」

 デヴィルンヌが胸を寄せた状態で自分の唇を舐める。

「なっ!? く、くそう……!」

 勃ってきているけど……鎧を装備しているので彼女には見えていないはず!
……ハ、ハッタリだろう!?
でも、うぅ……攻撃を繰り出せない!

「ちょっと! 勇者様!? 何をためらってるんですか……!?」

 ケ、ケーミー……!
そ、そうだ! 躊躇ちゅうちょしている場合ではない!!
負けてたまるかっ……!!
誘惑を……振り切るんだ!!

「ホ、ホーリー……」
 
 俺が必死で誘惑を振り切ってホーリーバスターを放とうとしていると、部屋の奥にいるボルハルトがデヴィルンヌに向けて詠唱し始める。

「天使の魔力……壁に変換! ホーリーウォール!」

 な、なんだ!? なっ!?
デヴィルンヌの前に青白く輝く光の壁が……!!
部屋の端から端まで、床から天井まで張り巡らされている!
ボルハルトが放った魔法か……!!
……な、何だこれ!?

「ホ、ホーリー……ホーリーバスター!」

 ボルハルトの魔法に戸惑いながらも、やっと技を放てた!
この光の壁ごとぶっ飛ばしてやるぜ!
って、俺が放ったホーリーバスターが……壁に跳ね返される!?

「そんなっ!? ……うそぉっ!? ぐううううっ……!!」

 なあぁっ!? ホーリーバスターの青白い光が俺を襲う!!
全身に激痛が……!?
たまらず後退してしまった……!
お、俺にダメージが……!!
ホーリーバスターが跳ね返ってきた……だと!?
俺は聖属性の技を扱うが、食らったら普通にダメージを受けてしまうんだ……。
無効化したり吸収したりできるわけではない!
い、痛い……!! 痛いぞ!!
前を見ると、デヴィルンヌが笑っている……。
青白く輝く壁は……消え去ったようだ。

「ナイスよ。ボルハルト♡」
「……デヴィルンヌ様、ありがとうございます! 勇者の攻撃は……私が跳ね返します!」

 彼が唱えた魔法は……【ホーリーウォール】か。
……思い出した。
聖属性の攻撃を跳ね返す、防御と攻撃を同時に行なえる魔法だな。
ちなみに俺は使えないぞ……。
たしか跳ね返されるのは聖属性の技や魔法だけだ。
通常の物理攻撃なら跳ね返されないはずだ!
これはもう……ホーリーバスター抜きで戦うか?
いや、それでは敵に致命傷を負わせることができない……!
落ち着け……大丈夫だ。
今回はケーミーがいる。
ケーミーがボルハルトを攻撃し、彼の動きを封じてもらおう。
その隙に、デヴィルンヌに向けてホーリーバスターを放つ!

「ケーミー! 狙いはボルハルトだ!」

「了解です! 任せてください! ……太陽の魔力球体に変換ファイアボール太陽の魔力球体に変換ファイアボール太陽の魔力球体に変換ファイアボール太陽の魔力球体に変換ファイアボール……」

 俺の後ろでスタンバイしていたケーミーが早口で詠唱した。
散弾型のファイアボールがボルハルトに向かって放たれる!
俺の背後から30センチほどの炎の球が駆け抜けていく……!!
その数……およそ20個!

「……すごい早口ですね。非効率な詠唱だ」

 なに!? 
ボルハルトがあおってきたぞ……!?

「は、はぁっ!? 非効率!? 何を言ってるんですかぁ!? フル勃起おじさんのくせに……!!」

 背後からケーミーの激怒する声が聞こえてくる……!

「こんな魔法……威力が弱く、跳ね返すまでもないですね。……天使の魔力! 球体に変換……ホーリーボール!!」

 げっ! 聖属性の攻撃魔法だ!
直径2メートルぐらいある青白く輝く球だ……!
大きくて……は、速い……!
ケーミーの散弾型ファイアボールが次々とき消されてしまった!
たった1発で……。
なおも勢いを止めることなく高速で俺の横を通り過ぎ、攻撃魔法がケーミーのところに!

「ケーミー!! 避けるんだ!」
「きゃあああっ!?」

 くっ! 後ろにいるケーミーが悲鳴を上げる……!
魔法がヒットしてしまったな……。
助けたい……けど、俺はデヴィルンヌと対峙しているので迂闊うかつには動けない!!
早くケーミーの様子を確認しないと……。
……う、うわぁっ!? 俺がためらっていると、デヴィルンヌが接近してきた!
このままでは魅了されてゲームオーバーになってしまう!
に、逃げるしかないか……!?
俺はすぐに後ろに下がり、敵との距離を取った。

「あら、残念だわ」

 そのまま部屋の入り口まで後退した。
近くにケーミーがいる。
ケーミー……大丈夫か?

「勇者様……もう動けません……い、意識が……」

 ケーミーは倒れており、気絶しそうだ。
癒しの聖水を使ってあげたいが、デヴィルンヌの前でこれ以上の隙は見せられない……! 
接近されただけで誘惑されてしまうんだ。
やはりホーリーバスターで……デヴィルンヌだけを狙う!
俺は聖剣に魔力を込めた。

「それそれ……私にとっては大チャンス!」
「くっ!?」

 なぁっ!? デヴィルンヌが急接近してきた!
動きが速いっ!!

「さぁ、これで心置きなく魅了できるわね。ボルハルトは召喚を再開するのよ」
「はい。了解しました」

 ま、また……前回と同じだ!
俺が聖剣に魔力を込めているときに!
魔力を込めるときは、どうしても聖剣に集中してしまうんだ……!
ホーリーバスターの威力に関係してくるからね!
この隙を……デヴィルンヌは見逃さないな!?
狙ってやっているのだろうか?
……あ、あれ? すごい甘い香りが漂ってきた。
ああ、なんて素敵なんだデヴィルンヌ……銀色の長いストレートの髪の毛、大きな銀色の瞳が綺麗だ……。
赤いドレスとヒールも似合っている……。
褐色の肌で細い身体、豊満なお尻……。
そして大きくて……弾力のある……デヴィルンヌの大きな……おっぱいっ!!

「今回もまた、しっかり抱きついてあげようかしら♡」

 前回と同様にデヴィルンヌが俺に飛びついてきた……!
あ、あらがえない……!!
すでにフル勃起だ……。
また……その大きなおっぱいの中に顔をうずめたい……!

「あら? 自分から顔を近づけてきてるわね? アソコも完全に大きくなったようね♡」

 抱きつきながら、彼女は両腕で俺の頭を抱きしめた。
脚も俺の腰に絡み付けてきたぞ……!!
飛び乗られ、俺は立ったまま完全に抱きつかれている。
ああ……なんてエロい身体と香り、そして声なんだ……。
あ……ああ……おっぱい……おっぱい……。
あ、ああ……おっぱい……。

「デヴィルンヌ……そこまでです!」
「え? だ……誰よ!?」

 俺の背後から女性の声がした。
デヴィルンヌが警戒する。
こ、この声は……スカーレン?
現れたのはスカーレンなのかっ……!?
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