22 / 53
本編
泉にて
しおりを挟む
魔界に帰ったスカーレンは物思いにふけっていた。
彼女は、魔王城から少し離れたところにある大きな泉に訪れていた。
少々枯れ気味の木々に囲まれた泉である。
木々の間から見えるのは、魔界特有の薄暗い空だ。
スカーレンは泉のそばに座り込む。
(参った……どうしよう。アキストとエッチなことをしてしまって、予想以上に恥ずかしいわ! あのときは何だか変な気持ちになっていたみたい……。最後はちゃんと、次に会うときは敵同士……って言っておいたけどね。やっぱりデヴィルンヌと戦ったせいで変な気持ちになったのかも……。『サキュバスの残り香』の話は聞いたことがある……。上位サキュバスの場合は私にも強烈に影響を与えるのかしら。確かに甘い香りがしたのを覚えているわ。でも……そのせいだけではないわ。アキストの『スカーレンのおかげだよ』っていう言葉が嬉しかった……。魔王様は本心で言っているのかよく分からないことが多い。厳しくて冷たいことを言うときも多い。アキストは……嘘をついている感じがしない)
スカーレンはスワン王国で起こったことで頭がいっぱいだった。
ひたすらに思考を巡らせている。
(いけない! アキストに肩入れし過ぎてはダメ! 私は魔王軍の幹部。魔王様のおかげで私はここまで来れたの。でも……魔王様に言われた作戦的には良かったのかも。アキストに心を許してもらうのが作戦の成功の一歩。そう考えると、さっきは『次に会うときは敵同士』……なんて言わないほうが良かったのかも。けど私は……そんな相手の弱みにつけ込むような、相手を騙すような指示は素直に聞けないわ……)
魔王ジュエリに言われた『勇者アキストを魔王軍に引き込む作戦』を実行すると決めたスカーレンであったが、他人を騙すことには躊躇いがあるようだ。
(今回のこと、魔王様に報告しようかしら? いや、けど……どうせミアリの水晶で見ているのよね。嫌だわ……みんなに監視されていて。サリーヌも一緒にいて、また皆で私のことを評価しているのかもしれない……。嫌な気分になるっ……!!)
スカーレンの眉間にシワが寄る。
気分を変えようと、泉に手を伸ばして顔を洗う。
(魔界の水は綺麗じゃない。自然も豊かじゃない。空が暗い……。地上は良い。魔王様が地上を手に入れたい気持ちも分かるわ……。魔王様について行くの。私を育ててくれた、尊敬する魔王様に。尊敬しているのに、素直に指示を聞けない……)
スカーレンはそのまま着物を脱ぎ、水浴びを始めた。
サキュバスの残り香を徹底的に落とすために。
(尊敬しているけど……それでも嫌だわ。魔王様に報告するのは……。もう惨めな気持ちになるのは嫌……。アキストにもう1度会いに行こうかしら? アキストに何だかドキドキしたのはサキュバスの残り香のせいよね? 確かめに行こうかしら……いや、ダメ……踏ん切りがつかないわ)
泉に浸かりながら、スカーレンは考え続けた。
彼女は、魔王城から少し離れたところにある大きな泉に訪れていた。
少々枯れ気味の木々に囲まれた泉である。
木々の間から見えるのは、魔界特有の薄暗い空だ。
スカーレンは泉のそばに座り込む。
(参った……どうしよう。アキストとエッチなことをしてしまって、予想以上に恥ずかしいわ! あのときは何だか変な気持ちになっていたみたい……。最後はちゃんと、次に会うときは敵同士……って言っておいたけどね。やっぱりデヴィルンヌと戦ったせいで変な気持ちになったのかも……。『サキュバスの残り香』の話は聞いたことがある……。上位サキュバスの場合は私にも強烈に影響を与えるのかしら。確かに甘い香りがしたのを覚えているわ。でも……そのせいだけではないわ。アキストの『スカーレンのおかげだよ』っていう言葉が嬉しかった……。魔王様は本心で言っているのかよく分からないことが多い。厳しくて冷たいことを言うときも多い。アキストは……嘘をついている感じがしない)
スカーレンはスワン王国で起こったことで頭がいっぱいだった。
ひたすらに思考を巡らせている。
(いけない! アキストに肩入れし過ぎてはダメ! 私は魔王軍の幹部。魔王様のおかげで私はここまで来れたの。でも……魔王様に言われた作戦的には良かったのかも。アキストに心を許してもらうのが作戦の成功の一歩。そう考えると、さっきは『次に会うときは敵同士』……なんて言わないほうが良かったのかも。けど私は……そんな相手の弱みにつけ込むような、相手を騙すような指示は素直に聞けないわ……)
魔王ジュエリに言われた『勇者アキストを魔王軍に引き込む作戦』を実行すると決めたスカーレンであったが、他人を騙すことには躊躇いがあるようだ。
(今回のこと、魔王様に報告しようかしら? いや、けど……どうせミアリの水晶で見ているのよね。嫌だわ……みんなに監視されていて。サリーヌも一緒にいて、また皆で私のことを評価しているのかもしれない……。嫌な気分になるっ……!!)
スカーレンの眉間にシワが寄る。
気分を変えようと、泉に手を伸ばして顔を洗う。
(魔界の水は綺麗じゃない。自然も豊かじゃない。空が暗い……。地上は良い。魔王様が地上を手に入れたい気持ちも分かるわ……。魔王様について行くの。私を育ててくれた、尊敬する魔王様に。尊敬しているのに、素直に指示を聞けない……)
スカーレンはそのまま着物を脱ぎ、水浴びを始めた。
サキュバスの残り香を徹底的に落とすために。
(尊敬しているけど……それでも嫌だわ。魔王様に報告するのは……。もう惨めな気持ちになるのは嫌……。アキストにもう1度会いに行こうかしら? アキストに何だかドキドキしたのはサキュバスの残り香のせいよね? 確かめに行こうかしら……いや、ダメ……踏ん切りがつかないわ)
泉に浸かりながら、スカーレンは考え続けた。
0
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる