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スカーレンの気持ち
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スカーレンは、アキストとケーミーと会話した後、瞬間移動で魔界に戻って来ていた。
重たい足取りで魔王城の重たい扉を開ける。
(ふぅっ……危うく作戦がバレてしまうところだったわ。魔王様に言われた『精神的に弱ったアキストを私が説得して、魔王軍に引き込む』作戦がバレてしまったらマズいわ。魔王様に失望されてしまう……。あの魔法使いの女の子……ズバズバと言ってくるタイプね。サリーヌやミアリみたいだわ。作戦がバレてしまったら、またサリーヌにも『四天王から外す』……と、言われてしまうかもしれない)
薄暗い魔王城の廊下を歩きながら、そんなことを考えていた。
(それにしても、魔王様がアキストとエッチなことをしていたなんて……! 私は知らなかった。そうよね……絶頂を迎えて時を遡る呪いだもんね……精神的に追い込むために、ム……ムラムラさせているのね。……魔王様は勇者を仲間にしようとしているのだから、当然と言えば当然なのかしら。サリーヌは魔王様と一緒にいるから、このことを全部知っているのよね。私は知らないことだらけなのに……)
意を決してアキストのところに向かったが、自分の知らない情報を彼から聞いてしまった。
つらい気持ちになってきた。
(魔王様に真意を聞こうかしら。アキストにエッチなことをしているのは何故……と。あと、そんな相手の弱みにつけ込むやり方はやめましょう……と。いや、そんなことを話しても仕方がないわ。そんな話をしたら、また私への評価が下がってしまうかも。……私が一番気になっているのは、サリーヌとは情報を共有しているのに、私とはしてくれない……そこなのよね。私にも共有してもらえるように、お願いしようかしら? い、いや……そんなことをしても私が傷つくだけかも……。惨めだし、断られたらと思うとつらいわ。サリーヌやミアリに笑われてしまうかも……。ミアリも色々と知っているのかしら? 水晶玉を使えるのはミアリだけだから、彼女も詳しい情報を共有しているのね、きっと。……なんなんだろう、この疎外感。四天王の中で、私は魔王様と付き合いが一番長いはずなのに……)
と、思いながらも魔王の部屋に近づいてしまうスカーレン。
四天王としての立場が危うく、魔王城の中にいづらい。
疎外感に耐えられない。
この状況をどうにかしたいと思い、魔王の部屋の扉をノックしようとする。
ノックをする前に、中から微かに喋り声が聞こえることに気づいた。
「スカーレン……勇者さんのところに行ったわね。また何かおかしなことを言っていなければいいけど。うまくやってくれるか心配だわ」
「本当ですね……もっと頼りになってくれるといいのですが」
「きゃははっ。それは無理じゃなーい?」
サリーヌとミアリ、そして魔王の会話を聞いてしまった。
自分の陰口とも取れる会話である。
少なくとも自分が信頼されておらず、そのことを魔王と自分以外の幹部が共有して楽しそうに会話をしていることは分かった。
(あ、ああ……。そうか……私は……そうよね……淡い期待を抱いていたけど、そういう立ち位置なのね。つらいわ……)
分かってはいたことだが、明確に突きつけられた。
スカーレンの心が沈む。
(私は自分の信念を曲げてまで、アキストの弱みを突く作戦を試みている……。魔王様からの指示だけど、これを達成したところで何か意味のあることなのかしら……。こんな扱いを受けているのに! 私は魔王様のことを尊敬して頑張ってきたのに……! 魔王様は、私の努力を……がんばりを……利用しているだけなの? とにかくもう……つらいわ)
スカーレンは魔王の部屋に入るのをやめ、頭を抱えながら歩き始めた。
重たい足取りで魔王城の重たい扉を開ける。
(ふぅっ……危うく作戦がバレてしまうところだったわ。魔王様に言われた『精神的に弱ったアキストを私が説得して、魔王軍に引き込む』作戦がバレてしまったらマズいわ。魔王様に失望されてしまう……。あの魔法使いの女の子……ズバズバと言ってくるタイプね。サリーヌやミアリみたいだわ。作戦がバレてしまったら、またサリーヌにも『四天王から外す』……と、言われてしまうかもしれない)
薄暗い魔王城の廊下を歩きながら、そんなことを考えていた。
(それにしても、魔王様がアキストとエッチなことをしていたなんて……! 私は知らなかった。そうよね……絶頂を迎えて時を遡る呪いだもんね……精神的に追い込むために、ム……ムラムラさせているのね。……魔王様は勇者を仲間にしようとしているのだから、当然と言えば当然なのかしら。サリーヌは魔王様と一緒にいるから、このことを全部知っているのよね。私は知らないことだらけなのに……)
意を決してアキストのところに向かったが、自分の知らない情報を彼から聞いてしまった。
つらい気持ちになってきた。
(魔王様に真意を聞こうかしら。アキストにエッチなことをしているのは何故……と。あと、そんな相手の弱みにつけ込むやり方はやめましょう……と。いや、そんなことを話しても仕方がないわ。そんな話をしたら、また私への評価が下がってしまうかも。……私が一番気になっているのは、サリーヌとは情報を共有しているのに、私とはしてくれない……そこなのよね。私にも共有してもらえるように、お願いしようかしら? い、いや……そんなことをしても私が傷つくだけかも……。惨めだし、断られたらと思うとつらいわ。サリーヌやミアリに笑われてしまうかも……。ミアリも色々と知っているのかしら? 水晶玉を使えるのはミアリだけだから、彼女も詳しい情報を共有しているのね、きっと。……なんなんだろう、この疎外感。四天王の中で、私は魔王様と付き合いが一番長いはずなのに……)
と、思いながらも魔王の部屋に近づいてしまうスカーレン。
四天王としての立場が危うく、魔王城の中にいづらい。
疎外感に耐えられない。
この状況をどうにかしたいと思い、魔王の部屋の扉をノックしようとする。
ノックをする前に、中から微かに喋り声が聞こえることに気づいた。
「スカーレン……勇者さんのところに行ったわね。また何かおかしなことを言っていなければいいけど。うまくやってくれるか心配だわ」
「本当ですね……もっと頼りになってくれるといいのですが」
「きゃははっ。それは無理じゃなーい?」
サリーヌとミアリ、そして魔王の会話を聞いてしまった。
自分の陰口とも取れる会話である。
少なくとも自分が信頼されておらず、そのことを魔王と自分以外の幹部が共有して楽しそうに会話をしていることは分かった。
(あ、ああ……。そうか……私は……そうよね……淡い期待を抱いていたけど、そういう立ち位置なのね。つらいわ……)
分かってはいたことだが、明確に突きつけられた。
スカーレンの心が沈む。
(私は自分の信念を曲げてまで、アキストの弱みを突く作戦を試みている……。魔王様からの指示だけど、これを達成したところで何か意味のあることなのかしら……。こんな扱いを受けているのに! 私は魔王様のことを尊敬して頑張ってきたのに……! 魔王様は、私の努力を……がんばりを……利用しているだけなの? とにかくもう……つらいわ)
スカーレンは魔王の部屋に入るのをやめ、頭を抱えながら歩き始めた。
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