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魔界へ(その4)
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こうして、スワン王国とグリトラル王国の話がまとまった。
現在、俺はスワン王国の城下町を歩いているところだ。
すっかり日が暮れて、夜になってしまったぞ。
ちなみに、他のみんなは宿屋に泊まっている。
すでに眠っているかもしれない。
俺は1人になり、魔王討伐について考えを巡らせているのだ。
俺は……何らかの形で魔王と決着をつけなければならない。
魔王が心の中で何を思っているのかは分からない。
分からないけど、やはり俺は彼女のことを殺したくはないんだ。
射精して魔王城に行く度に色々と話してさ、彼女は自分の悩みとかを打ち明け始めた。
魔王に感情移入してしまった。
カリバデスとの一件では応援してくれて、感謝もしている。
これは全部、俺を仲間に引き入れるための作戦なのかもしれないけど……。
あと、俺……スカーレンのことが気になって仕方がないんだ。
【サキュバスの残り香】は取り除かれたと言っていたけど、その後もスカーレンは俺に好意的だった。
再びスカーレンと戦うなんて嫌だ。
むしろスカーレンともっと仲良くしたい。
これは……恋か!? 魔族と……恋!?
う~ん、童貞の俺には……よく分からんっ!
エッチなことをしたから意識しちゃってんのかな……って、思っていた。
けどさ、エッチなことをしただけなら魔王のことも好きになっちゃうはずだよね。
ここら辺のことはよく分からないけど、とにかく俺はスカーレンともっと一緒にいたいんだ。
そんなこともあってか、魔王討伐の気持ちが薄らいできている。
魔王を殺したり、スカーレンと戦ったり、捕まえた魔族を奴隷容認のグリトラル王国に引き渡したり、そんなことはしたくないな……って思っているんだよ。
もちろん、グリトラル王国で見た人間の魔族に対する扱いも影響している。
どっちが悪いか分からなくなってきたぜ。
もちろん、魔王軍も人間を苦しめてきたんだけどさ。
ああ、この辺りのことはケーミーと話したけど、ぜんぜん気持ちの整理がつかないや。
なんていうか……魔族と人間で協定を結べないかな?
平和的な解決方法はないのだろうか……?
グリトラル王国とスワン王国が協定を結んだところを見たから、できるんじゃないかと思ってしまう。
人間と魔族の間だと、そんな簡単にはいかないか……。
おっと……考え込んでいたら、河原に来てしまったな。
この国の城下町の外れには、川が流れている。
俺は河原に座った。
ああ、良い景色だ……。
夜だけど、後方からは町の光が差し込んでいるから、少しは景色が見えるぞ。
辺りに人はいなくて静かだ……。
考え事をするには打ってつけの場所である。
う~ん……魔王城潜入まで時間がないな。
どうしよう……。
「……こんなところにいたんですか」
後ろから、女性の声……?
……って、スカーレン!?
「探しましたよ……アキスト」
スカーレン……赤い花柄の着物姿だ。
やはり尻尾は着物の中に隠しているぞ。
綺麗だなぁ。
顔は可愛いのに……全体的に見ると綺麗なんだよな……。
……って、舐め回すように彼女の姿を見ている場合ではない。
「スカーレン……調子はどう?」
なんかもう、会えただけで嬉しいぞ。
これは……恋と言って良いのだろう!
とても嬉しい気持ちなんだけど、それはいったん置いておこう。
魔王によると、スカーレンは悩んでいるという話だった。
実際、彼女の表情は暗いぞ。
「調子は……あまり良くないですね」
「そうなんだね……大丈夫?」
「ええ、まあ。あの、隣……いいですか?」
「ど、どうぞどうぞ!」
スカーレンが俺の隣に座った。
あ、なんか良い香りが漂ってきたぞ。
「アキスト……あなたに謝らなくてはいけないことがあります」
「え、謝る? どうしたの? そんなにあらたまって……」
「あの……じつは私、『勇者アキストが精神的に弱っているところを狙え』と魔王様に指示されていました。私は魔王様の指示に従い、あなたに優しくしていました。全てはあなたを魔王軍に引き込むためです。それが魔王様の目的ですから……」
えぇっ!? そ、そうだったのか!
前回、この町でケーミーと食事をしていたときにスカーレンがやって来た。
その時に彼女が言いかけた『魔王の真意』ってやつか。
あの時は慌てて魔界に帰って行ったよね?
こ、このことだったのか……。
「そうだったんだね」
「本当にごめんなさい、あなたの弱みを突くような真似をして……」
スカーレンが頭を下げる。
……あれ?
じゃあ、デヴィルンヌとの戦いの後、俺とエッチなことをしたのも……作戦だったってこと?
「俺とエッチなことをしたのも、魔王の指示?」
「いや! あれは……デヴィルンヌの残り香の影響です」
スカーレンが顔を赤くする。
ああ……それなら良かったぞ。
魔王の指示だったら、最悪だ。
残り香の方がまだいいよ。
「それなら良かった。でも、何で……そんなことを打ち明けたの? 魔王に命じられた作戦なんでしょ? 俺に言っちゃったら、作戦失敗だよね? もしかして……魔王と何かあった? ちょこちょこ魔王のことで不満を漏らしているからさ……」
「はい……。不満があるんです。今、私が四天王にまで上り詰めることができたのは魔王様のおかげです。しかし、しかし……魔王様は、やはり私を評価してくれません。私は必要とされていないんです。サリーヌを必要としている。私には情報が隠されているような気がします。サリーヌは知っているのに。小さなことかもしれないんですけど、それがすごい傷つくんです。周りとの差が、気に入られているかどうかの差が、気になって気になって仕方がないんです」
スカーレン……俯いて今にも泣きそうだぞ。
サリーヌ贔屓……それは前にも言っていたな。
なんか全然評価してもらえないな……って気持ちは分かる気がする。
グリトラル王国の俺への評価とかね。
あと、かつての勇者パーティで、俺は仲間として認めてもらえなかったと思うし。
「結局はサリーヌにミアリが評価されているんです。魔王様は彼女達と一緒に私のことを悪く言っていました……。そんな場面を見ちゃったんです」
げっ!?
それは嫌だな……。
魔王はそういう嫌なところ、ありそうだぞ。
俺も魔王に『勇者さんのかつての仲間は、あなたのことを悪く言っていたわ』的なことを言われたからね。
「……私はもう疲れました。これまで頑張ってきたんですけど……一から魔王様に鍛えてもらって……。私の方が魔王様に長く仕えていたはずなのに……。どうせ私は……ウソなんてつけない。とんでもなく正直者なのかもしれません。私の気持ちは顔にも出やすいらしいですし。なんか……周りと上手く馴染めていないんです」
お、おお……。
スカーレン、めっちゃ俺に打ち明けるじゃん!
なんか、限界だったんだね。
「……つらかったね。けど、そんな嫌な場面を見ても、スカーレンは魔王に評価されたいように見えるけど?」
「そう……なんだと思います」
「そうだよな、一から鍛えてくれた大切な人でもあるんだよね」
「それは間違いないです」
俺には明確な師匠がいないからな……。
共感しづらい話ではある。
「……辛いんだね。俺も……他の勇者と比べられることが多いからさ。分かる気がする。独学で修行してきたから、スカーレンのように師匠みたい存在はいないんだけどね。あえて言うならグリトラル王国の国王かな。俺を評価する人は。まぁ、事務的な関係なんだけどさ……」
「そうなんですね。アキスト……私の話をちゃんと聞いてくれて嬉しいです。……アキストは優しいですね。私は一体、どうしたら……」
スカーレンが本当につらそうだ。
「けど、やっぱりこんなにも評価されていなくって、陰でボロクソ言われていて……。そこまでされて魔王様の『勇者アキストが弱ったところにつけ込んで仲間に引き込む』作戦に協力するのは、よく分からないんです。何でこんなことをしているんだろう……って思ったんです。私は……そんな卑怯なことをしたくない。自分の気持ちに正直でいたい」
スカーレン……なんか弱々しくて心配だったけど、そこの信念は曲がっていないんだね。
さすがです。
「私は今、アキストの……力になりたいんです。私は……デヴィルンヌとの戦いでアキストに認められて嬉しかったんです」
スカーレン!?
う、嬉しかったのか……!
「俺の力になりたい……だって?」
「はい。私のことを認めてくれたアキストと、戦う気になんてなりません。力になりたいんです」
「……俺もスカーレンとは戦いたくない」
スカーレンが笑顔を見せる。
「同じことを考えていますね」
「そうだね」
あ、俺もスカーレンに謝らなくちゃいけないことがあるぞ。
「アキスト? 真剣な顔をして……どうしました?」
「スカーレン……言いにくいんだけど、俺も謝らなくちゃいけないことがある」
「え?」
「また……射精してループして、魔王とエッチなことをしてしまった」
「なっ!? そ、そう……ですか。いつもの……やつですね?」
「いや、ちょっと違うんだ。人間の中に強敵がいてさ、けっこう絶望してしまって……。そんなところに魔王に優しくされて、振り切れなかったんだ」
「そうでしたか……最後までは……してないんですよね?」
「してない! してないよ! その……射精ループさせるために、ムラムラさせるためにイジられた感じ……なんだよ」
「……なるほど。魔王様と……またそんなことを……!」
そう言いながら、スカーレンがジッと俺のことを見ている。
プリプリしているぞ。
「スカーレンのことを……大切に思っているのに、ごめん……」
「え? 私のことを大切に思っているんですか?」
「え、うん……」
スカーレンの表情が明るくなる。
「そ、そういうことですよね……。そう思っていなきゃ、『ごめん』なんて言わないですもんね。……って、私もあなたのことを大切に思っていなきゃ、その『ごめん』は意味を為さないのでは!?」
「そうだね。で……スカーレンはどうなの? 俺は……スカーレンのことが好きだよ」
俺は確信した。
スカーレンのことが好きだ。
もう会えただけで嬉しかったもん。
「えっ!? そ、そんなハッキリと!! う、嬉しいです……。私もアキストのことを意識しています」
「い、意識している!? それは……す、好きなの?」
「人間の中に強敵が現れていたんですね。あなたが大変な時に私がいなくて、塞ぎ込んでいてしまっていて、悔しいです……」
「ス、スカーレン……!? 俺の話、聞いてる? 大事なところだよ!?」
は、はぐらかされたのか!?
こ、告白は……失敗!?
「本当に……なんなんでしょう……もう……」
え? スカーレン!?
スカーレンが泣き始めた。
なんだろう……。
たしかに俺に心を開いているよね?
心を開いているだけではなく、俺のことが好きなんだと思うんだけどな。
ケーミーもそんなことを言っていたし……。
スカーレンはなんで泣いているんだろう?
なんで俺の話を無視するんだ……。
よし……こういう時はおそらく……一か八か……。
童貞なのでタイミングとかよく分からないけど、両想いのはず……!!
きっと照れているから、俺の質問にちゃんと答えないんだ!
そう、思えば会ったときからスカーレンは恥ずかしがり屋さんだった気がする!
俺の射精ループのことを話しただけで、顔を赤らめていた!
……がんばるぞ、俺!!
俺はスカーレンを抱きしめた。
「ちょっ!? えっ!? な、何しているんですか? ア、アキスト……そんなことをしたら、私……泣いちゃいますよ」
あ……拒否されない。
言葉は拒否しているが、身体は受け入れているぞ!
「スカーレン……すでに泣いてるよ……」
スカーレンは抱きしめる前から泣いていた。
童貞なりに頑張ってみたが、俺の抱擁は成功したようだ!
これまで、スカーレンとはエッチな感じのことをする機会が度々あったので、スッと抱きしめられたぞ。
スカーレンが俺の腕の中で安らいでいる。
やった! やったぞ……!!
スカーレンが俺を受け入れた。
「ア、アキスト……」
腕の中のスカーレンが上目遣いでこちらを向いている。
これは……キスしてもOKかな?
OKだよね!?
俺は女性とこんな雰囲気になったことがないから分からないけども……OKっぽい!!
そうだ! 自分のカンを信じろ!
これは……きっとOKなんだ!
俺は勇気を振り絞り、スカーレンにキスをした。
とりあえず、まだ舌は入れないよ!
「アキスト……いいんですか? 私と……こんなことを……」
俺が唇を離すと、スカーレンが質問してきた。
『いいんですか?』……だって!?
もちろん、いいですよ!
むしろ拒否されなくて良かった。
「もちろんだよ! ありがとう、スカーレン……」
俺は彼女の着物の帯を緩めて、その中に手を入れる。
俺の右手はおっぱいに向かっているぞ。
スカーレンは身体をくねらせているけど、抵抗はしていない。
完全に俺を受け入れているぞ!
「ちょっ!? アキスト? こ、こんなところで……?」
あ、躊躇っている。
けど、俺は止まらない!
俺の右手が彼女のおっぱいに向かう。
白色のブラジャーも潜り抜け、おっぱいに辿り着いたぞ。
スカーレンのおっぱい……良い感触だなぁ。
ハリのある大きなおっぱいだ。
「そ、そんな……そこは……優しくお願いします……」
あ……力が強かったか。
童貞力を曝してしまったぞ。
ガシガシとおっぱいを揉んではいけない。
ガシぱい禁止。
「ご、ごめん……」
優しく触らないと、嫌われてしまうな。
「あ、はい……優しい感じで、お願いします……」
俺の右手が乳首に当たったときに、スカーレンが軽く声を漏らす。
エ、エッチだ……。
もう止まれないよ、俺は……!
……下の方はどうだろうか?
「んっ……アキスト……」
俺の右手がスカーレンの下半身に向かう。
着物の中、さらには白色のパンツの中へと侵入する。
「……アキスト!? そ、そんなところまでぇ……」
驚きながらも、彼女は抵抗しない。
どこを触ったらいいのか、経験がないので分からないな。
なんかヌルヌルしているぞ。
とにかく優しく触ろう。
「スカーレン……ど、どこが気持ち良いの?」
と、質問しながら優しく弄る。
「そ、そこです……そこ……」
こ、ここ? ここなのか?
わ、分からない……。
「き、きもちいぃ……」
分からないけど、『そこ』と言われたところを触っていたら、スカーレンが感じてきたようだ。
けっこう濡れてきたぞ。
「じゃあ、次は……」
俺はパンツの中から右手を出した。
そのまま俺は、その場にしゃがみ込む。
そして、彼女の脱ぎかけの着物の中に頭を入れた。
スカーレンの股のところである。
俺は彼女の秘部を舐める。
「そ、そんなことまでっ……!? ア、アキスト……!!」
自分でも驚いている。
これは本能なのだろうか……?
30年以上、自分の中に溜め込んでいた何かが爆発しているのかもしれない。
俺はスカーレンに……挿入する!!
子供が生まれる可能性は……あるのか?
前例は聞いたことがないけどさ……。
人間と魔族と言えど、姿形は非常に似ている。
大きな違いは尻尾の有無だけだ。
けど……挿入はもっと愛情を深めてからだな。
俺はガムシャラにスカーレンのアソコを舐めながら、そんなことを考えた。
「あっ! あぁんっ!? ア、アキスト……そ、そんなぁ……そんなところを舐めるなんてぇ……」
さっき手で触ったときに、『気持ち良い』と言っていたところを舐める。
もう……位置の詳細は分かんないけど、とにかく舐めるぞ。
「あっ……あぁっ……アキスト、ストップ……。こ、ここら辺でストップです……」
ストップと言われてしまったので、舐めるのをやめた。
無理矢理するのはよくないよね?
「……ありがとうございます、アキスト。じゃあ……私も」
そう言ってスカーレンは俺を立ち上がらせた。
そして、俺の服を脱がし始めたぞ?
下の服だけ。
「こ……こんな感じですかね?」
今度はスカーレンがしゃがみ込んだ!
そして恥ずかしそうな様子で、その口元を俺のチンコに近づける。
そして……そして……舐めた!
スカーレンが俺のチンコを舐めてくれているぞ!!
彼女は、こんなことをするのは初めてなのかな?
慣れていない感じだ。
だけど、一生懸命舐めてくれている!
ああ……幸せだ。
先っぽや竿のところをペロペロと舐めてくれている。
あ、今度はまるごと咥えながら、頭を前後に動かしているぞ。
嬉しいな……。
そんなに気持ち良くはないんだけど、嬉しい。
スカーレン……俺はキミと生きていくよ……。
いや、ホント……すごい幸せなんだけど、射精には至らない感じだ。
「あ、アゴが……疲れました」
おっと……スカーレンが咥えるのをやめて、俺の方を見上げている。
「……だ、大丈夫?」
「はい、次は手でしてみますね」
今度はスカーレンが手コキを始めた。
唾液のおかげで滑りがよく、気持ち良いぞ。
本当はおっぱいでして欲しいけど……。
「む、難しいですね……」
彼女の手で俺のチンコを包み込み、上下に動かしている。
手コキだ……これまた嬉しい。
嬉しいけど、なかなかイケる感じではないぞ。
あ、スカーレンのおっぱいが丸見えだ。
おっきいなぁ。
エロ過ぎるよ、スカーレン。
可愛いなぁ……。
おっぱいで挟んで欲しいなぁ……。
「アキスト……む、胸を見ていますか? あ……この前みたいに、む、胸でしてみましょうか?」
スカーレンの方から提案してくれた!
まるで俺の心を読んでいるようだ……!!
彼女は胸の位置を俺のチンコに合わせ、パイズリを始めようとしている。
着物の上半分を脱いだぞ!
こ、これだ……!
この着物を着崩したスカーレンの最強形態……!!
お、おおぉっ!?
大きなおっぱいで俺のチンコを包み込んだぞ!
すごい圧迫感だ……!
「そういえば、ヨダレが効果的でしたよね?」
「う、うん……」
確かデヴィルンヌ戦の後に、俺がそんなことを要求した気がする……!
覚えていてくれたんだな!
「こんな感じですかね? ど、どうでしょう……?」
う、うおぉっ!?
スカーレンの圧倒的パイズリだ!
彼女の唾が潤滑剤になっているぞ……!
で、出ちゃう! 出てしまう!!
さすがに挿入はまだダメだから、このまま射精してしまえ!
じゅ、順序を追って……やがてはスカーレンとセックス……。
って、射精しちゃダメなんだ!
時を遡ってしまう!
「で、出ちゃう……!! スカーレン……ストップ! 射精は……ダメだ!」
「えっ!? あ……そうでした! 魔王様の呪いがかかっているんでしたね!?」
スカーレンがパイズリをやめた。
そうだった……エッチに夢中になって完全に忘れていた。
「うん……ごめん、忘れてた……」
「私も……忘れていました」
「……」
「……」
「な、なんか微妙な雰囲気になっちゃいますね。……魔王城に……急ぎますか」
「……そうだね。この呪いは……大きな問題だ」
このままでは、せっかく良い雰囲気になっても、残念な感じになってしまう。
「はい……。その印も気になりますし」
あ……そうだよね。
俺のチンコには相変わらず呪いの印が刻まれている。
つ、つらい……。
「それにしても……意外と積極的なんですね……アキスト……。しかもこんな野外で……」
勇気を振り絞って積極的になったんだよ!
恋愛経験はないけど、がんばった……。
まぁ、スカーレンとはデヴィルンヌ戦の後にエッチなことをしていたから実際に行動に移せた……ってのはある。
俺に心を開いているようだったしね。
「ちょっと大胆過ぎたかな。……スカーレン、やっぱり俺はスカーレンのことが好きだ」
俺の言葉を聞くと、彼女は恥ずかしそうな表情をした。
「……私も好きです」
おっ! おおっ!?
ついにスカーレンから『好き』という言葉がちゃんと聞けたぞ!
「ありがとう、スカーレン!」
「ちゃんと伝えられて良かったです。……さっきも言いましたけど、嬉しかったんですよね。デヴィルンヌとの戦いで、私のことを認めてもらえて」
「そうだったのか、スカーレン……」
認めてもらえて嬉しかった……か。
『認めてもらいたい』……って、気持ちが強いんだな。
おそらく魔王のせいで……。
俺もグリトラル王国には、そんな気持ちを抱えているぞ。
そうか……俺がスカーレンのことを好きなのは、自分と似ているからかもしれない。
あと、純粋で不器用なところも似ているのかも。
あ……そういえば俺とスカーレンが素直で似ているということは、魔王にも言われたな。
自分のことを純粋とか素直とか言うのもなんだけど、そういった一面があるのかもな。
スカーレンとも魔王ともエッチなことをしていたけど、スカーレンに惚れたのは……共通点があったからなのかもしれない。
魔王はこの前、才能がなくって努力家のところが魔王と俺の似ているところ……とも言っていた。
俺はそんな風に思わないんだよなぁ……。
魔王は才能あるでしょ。
おっと……脱線してしまったな。
スカーレンと向き合おう。
とにかく結ばれて嬉しいぞ。
「あ……人に見つかるとマズいですよね。着物を着ます……」
スカーレンが俺に脱がされた着物をちゃんと着る。
俺もチンコ丸出しなのでちゃんとしよう。
スカーレンが着物を直しているところもジッと見てしまいそうになるんだが、我慢しよう。
身なりを整えた後、再び2人で並んで座った。
流れる川を見ながら、会話を再開する。
スカーレンは真剣な表情になっているぞ。
「アキスト……私はさっき、あなたに協力すると言いました。けど、アキストは……魔王様と戦いますよね? あなたの力になりたいと言いましたが、私は魔王様との戦いに協力することはできません」
「じつは……俺は魔王とも戦いたくない」
「え、そうだったんですか! そんなことを考えていたんですね?」
スカーレンが驚いている。
「ああ。……和解したいと思っているんだ。人間と魔族で協定を結びたい」
「そ、それは……! それは、すごい大きな決断ですね」
「ああ。さっきさ、スカーレンが力になってくれるって言ってくれて……俺も決断できた」
「えっ……! よかったです。それは……嬉しいですよ。和解は素晴らしい決断だと思います。でも、アキストは勇者なのに……本当にいいんですか?」
俺はすぐに頷く。
「……俺は勇者だけどさ、魔王を倒さない。魔王も人間を苦しめてきたのは事実だけどね、命を奪うということはできない。俺は、魔王とけっこう話したから……とても殺せない。それに……スカーレンが尊敬して感謝している魔王を殺すことなんてできない」
あらためて、俺の決意をスカーレンに伝えた。
「アキスト! ありがとうございます」
俺は再び頷いた後、話を続ける。
「上手くいくかどうかは分からないけどね。……和解するため、協定を結んでもらいたい。俺は人間で勇者だけど、人間だって……魔族にヒドいことをしているからね。どっちか片方だけが悪ってわけじゃないのかなって」
「そう……ですよね。それは魔王様から聞いたことがあります。奴隷にするなんて……ヒドい話です。人間もヒドいところが多々ありますよね」
スカーレンも知っていたのか。
魔王がこっちの事情に詳しいんだな。
「ああ。そうなんだよ」
「魔族の奴隷は解放して欲しいです。……魔族も傷つけられました。でも……私は人間に報復しようとは思いません。人間への憎しみはありますけど、魔族、そしてモンスターも人間にヒドいことをしました。それに……私は人間であるアキストを好きなってしまった……。和解できるなら、私もそれが良いと思います。けど、アキストの言うとおり、本当に和解のための協定が結べるのかどうかは分かりません。魔王様が納得するかどうか……。和解に失敗したら、魔族と人間とで……正々堂々と戦いましょう」
スカーレン、協定を結ぶのは難しい……という見解か。
戦うことも想定しているぞ。
「やっぱり簡単に和解はできないかな……? 俺はなんとかして人間と魔族で協定を結びたい。戦うことは避けたいんだ。……人間側が勝利して、スカーレンや魔王が人間に囚われてしまって奴隷にされてしまうなんてことは絶対に避けたい……! もちろん、逆も嫌だ」
「私も……それは嫌です。アキスト……やっぱり優しい人ですね。確信しました。……決まりです。私にできることはありますか?」
「ありがとう。じつは近いうちに……もしかしたら明日、お城にある魔法陣で潜入することになっている。魔王城に到着したら、魔王と会話するために協力して欲しい」
「もちろんです! 魔法陣で潜入……ボルハルトの魔法陣の使用許可が出たんですね? 明日以降ですか……早いですね。……それでは私は一度、魔王城に戻ります」
「スカーレン? 一緒に来ないの? 尻尾を隠していれば……」
「いえ……人間の国のお城に入るわけにはいきません。ボルハルトは私の顔を知っています。彼に騒がれたらみんなにバレてしまいます。あと、もしかしたら魔力感知で私が魔族だと分かる兵士がいるかもしれませんし」
「あ、そっか……」
「魔界では、私が案内します。向こうで待っていますね、アキスト」
「ああ。……ありがとう、スカーレン」
とにかく、魔王城に行くんだ。
勇者としてしなきゃいけないことはわかっている。
けど、スカーレンと戦うのはもちろんのこと、魔王を殺すこともできない。
上手いこと和解したい……。
なんらかの協定を結ぶところまでいきたい。
今回の旅で、グリトラル王国で新しい仲間が2人増えて嬉しいけど……ここら辺の考えを彼らに言っちゃうと、問題になっちゃうよね。
王国に告げ口されたら終わりだ。
ケーミーでさえ、魔族と和解したいなんて言ったら、どういう反応をするのかは分からないぞ。
以前の旅でスカーレンとのエッチを見られたときは取り乱していたしな。
まぁ、今回はどう考えているか分からないけども。
今回の旅では、スカーレンへの印象はだいぶ良いはずだ。
……新たに仲間になった2人は強い。
かつての仲間と比べても見劣りしない。
ゴーリーに至ってはかつての仲間より格上かもしれない。
ただ、スカーレンや魔王を倒すレベルにはないはずだ。
前回の仲間は魔法四天王に簡単に負けてしまったようだからな。
やはり聖属性の攻撃を使えないのが致命的なのだろう。
魔王達を倒せるのは聖属性の技を放てる俺だけと考えていいはずだ。
魔王と対等に交渉できるのは……俺だけなんだ。
地上と魔界……人間と魔族の協定を結ぶぞ!
この決断は、勇者としては真っ当ではないのかもしれない。
俺は甘い人間なんだ。
そのせいでグリトラル王国では、勇者として評価が低いのかもしれない。
でも……だからこそ、人間と魔族の間を取り持つことができる可能性があるんだ……!
そう信じたい!
魔族側であるスカーレンの協力も大きいぞ!
……ん?
待てよ……急に思い出したけど、魔王は水晶玉を使って俺とスカーレンのエッチを……見ていたのかな?
こ、これは……魔王と会うのが恥ずかし過ぎるぞ!
……って、そんなことは言ってられないか!
人間と魔族の和解協定を結ぶ……それが俺の仕事だ!
現在、俺はスワン王国の城下町を歩いているところだ。
すっかり日が暮れて、夜になってしまったぞ。
ちなみに、他のみんなは宿屋に泊まっている。
すでに眠っているかもしれない。
俺は1人になり、魔王討伐について考えを巡らせているのだ。
俺は……何らかの形で魔王と決着をつけなければならない。
魔王が心の中で何を思っているのかは分からない。
分からないけど、やはり俺は彼女のことを殺したくはないんだ。
射精して魔王城に行く度に色々と話してさ、彼女は自分の悩みとかを打ち明け始めた。
魔王に感情移入してしまった。
カリバデスとの一件では応援してくれて、感謝もしている。
これは全部、俺を仲間に引き入れるための作戦なのかもしれないけど……。
あと、俺……スカーレンのことが気になって仕方がないんだ。
【サキュバスの残り香】は取り除かれたと言っていたけど、その後もスカーレンは俺に好意的だった。
再びスカーレンと戦うなんて嫌だ。
むしろスカーレンともっと仲良くしたい。
これは……恋か!? 魔族と……恋!?
う~ん、童貞の俺には……よく分からんっ!
エッチなことをしたから意識しちゃってんのかな……って、思っていた。
けどさ、エッチなことをしただけなら魔王のことも好きになっちゃうはずだよね。
ここら辺のことはよく分からないけど、とにかく俺はスカーレンともっと一緒にいたいんだ。
そんなこともあってか、魔王討伐の気持ちが薄らいできている。
魔王を殺したり、スカーレンと戦ったり、捕まえた魔族を奴隷容認のグリトラル王国に引き渡したり、そんなことはしたくないな……って思っているんだよ。
もちろん、グリトラル王国で見た人間の魔族に対する扱いも影響している。
どっちが悪いか分からなくなってきたぜ。
もちろん、魔王軍も人間を苦しめてきたんだけどさ。
ああ、この辺りのことはケーミーと話したけど、ぜんぜん気持ちの整理がつかないや。
なんていうか……魔族と人間で協定を結べないかな?
平和的な解決方法はないのだろうか……?
グリトラル王国とスワン王国が協定を結んだところを見たから、できるんじゃないかと思ってしまう。
人間と魔族の間だと、そんな簡単にはいかないか……。
おっと……考え込んでいたら、河原に来てしまったな。
この国の城下町の外れには、川が流れている。
俺は河原に座った。
ああ、良い景色だ……。
夜だけど、後方からは町の光が差し込んでいるから、少しは景色が見えるぞ。
辺りに人はいなくて静かだ……。
考え事をするには打ってつけの場所である。
う~ん……魔王城潜入まで時間がないな。
どうしよう……。
「……こんなところにいたんですか」
後ろから、女性の声……?
……って、スカーレン!?
「探しましたよ……アキスト」
スカーレン……赤い花柄の着物姿だ。
やはり尻尾は着物の中に隠しているぞ。
綺麗だなぁ。
顔は可愛いのに……全体的に見ると綺麗なんだよな……。
……って、舐め回すように彼女の姿を見ている場合ではない。
「スカーレン……調子はどう?」
なんかもう、会えただけで嬉しいぞ。
これは……恋と言って良いのだろう!
とても嬉しい気持ちなんだけど、それはいったん置いておこう。
魔王によると、スカーレンは悩んでいるという話だった。
実際、彼女の表情は暗いぞ。
「調子は……あまり良くないですね」
「そうなんだね……大丈夫?」
「ええ、まあ。あの、隣……いいですか?」
「ど、どうぞどうぞ!」
スカーレンが俺の隣に座った。
あ、なんか良い香りが漂ってきたぞ。
「アキスト……あなたに謝らなくてはいけないことがあります」
「え、謝る? どうしたの? そんなにあらたまって……」
「あの……じつは私、『勇者アキストが精神的に弱っているところを狙え』と魔王様に指示されていました。私は魔王様の指示に従い、あなたに優しくしていました。全てはあなたを魔王軍に引き込むためです。それが魔王様の目的ですから……」
えぇっ!? そ、そうだったのか!
前回、この町でケーミーと食事をしていたときにスカーレンがやって来た。
その時に彼女が言いかけた『魔王の真意』ってやつか。
あの時は慌てて魔界に帰って行ったよね?
こ、このことだったのか……。
「そうだったんだね」
「本当にごめんなさい、あなたの弱みを突くような真似をして……」
スカーレンが頭を下げる。
……あれ?
じゃあ、デヴィルンヌとの戦いの後、俺とエッチなことをしたのも……作戦だったってこと?
「俺とエッチなことをしたのも、魔王の指示?」
「いや! あれは……デヴィルンヌの残り香の影響です」
スカーレンが顔を赤くする。
ああ……それなら良かったぞ。
魔王の指示だったら、最悪だ。
残り香の方がまだいいよ。
「それなら良かった。でも、何で……そんなことを打ち明けたの? 魔王に命じられた作戦なんでしょ? 俺に言っちゃったら、作戦失敗だよね? もしかして……魔王と何かあった? ちょこちょこ魔王のことで不満を漏らしているからさ……」
「はい……。不満があるんです。今、私が四天王にまで上り詰めることができたのは魔王様のおかげです。しかし、しかし……魔王様は、やはり私を評価してくれません。私は必要とされていないんです。サリーヌを必要としている。私には情報が隠されているような気がします。サリーヌは知っているのに。小さなことかもしれないんですけど、それがすごい傷つくんです。周りとの差が、気に入られているかどうかの差が、気になって気になって仕方がないんです」
スカーレン……俯いて今にも泣きそうだぞ。
サリーヌ贔屓……それは前にも言っていたな。
なんか全然評価してもらえないな……って気持ちは分かる気がする。
グリトラル王国の俺への評価とかね。
あと、かつての勇者パーティで、俺は仲間として認めてもらえなかったと思うし。
「結局はサリーヌにミアリが評価されているんです。魔王様は彼女達と一緒に私のことを悪く言っていました……。そんな場面を見ちゃったんです」
げっ!?
それは嫌だな……。
魔王はそういう嫌なところ、ありそうだぞ。
俺も魔王に『勇者さんのかつての仲間は、あなたのことを悪く言っていたわ』的なことを言われたからね。
「……私はもう疲れました。これまで頑張ってきたんですけど……一から魔王様に鍛えてもらって……。私の方が魔王様に長く仕えていたはずなのに……。どうせ私は……ウソなんてつけない。とんでもなく正直者なのかもしれません。私の気持ちは顔にも出やすいらしいですし。なんか……周りと上手く馴染めていないんです」
お、おお……。
スカーレン、めっちゃ俺に打ち明けるじゃん!
なんか、限界だったんだね。
「……つらかったね。けど、そんな嫌な場面を見ても、スカーレンは魔王に評価されたいように見えるけど?」
「そう……なんだと思います」
「そうだよな、一から鍛えてくれた大切な人でもあるんだよね」
「それは間違いないです」
俺には明確な師匠がいないからな……。
共感しづらい話ではある。
「……辛いんだね。俺も……他の勇者と比べられることが多いからさ。分かる気がする。独学で修行してきたから、スカーレンのように師匠みたい存在はいないんだけどね。あえて言うならグリトラル王国の国王かな。俺を評価する人は。まぁ、事務的な関係なんだけどさ……」
「そうなんですね。アキスト……私の話をちゃんと聞いてくれて嬉しいです。……アキストは優しいですね。私は一体、どうしたら……」
スカーレンが本当につらそうだ。
「けど、やっぱりこんなにも評価されていなくって、陰でボロクソ言われていて……。そこまでされて魔王様の『勇者アキストが弱ったところにつけ込んで仲間に引き込む』作戦に協力するのは、よく分からないんです。何でこんなことをしているんだろう……って思ったんです。私は……そんな卑怯なことをしたくない。自分の気持ちに正直でいたい」
スカーレン……なんか弱々しくて心配だったけど、そこの信念は曲がっていないんだね。
さすがです。
「私は今、アキストの……力になりたいんです。私は……デヴィルンヌとの戦いでアキストに認められて嬉しかったんです」
スカーレン!?
う、嬉しかったのか……!
「俺の力になりたい……だって?」
「はい。私のことを認めてくれたアキストと、戦う気になんてなりません。力になりたいんです」
「……俺もスカーレンとは戦いたくない」
スカーレンが笑顔を見せる。
「同じことを考えていますね」
「そうだね」
あ、俺もスカーレンに謝らなくちゃいけないことがあるぞ。
「アキスト? 真剣な顔をして……どうしました?」
「スカーレン……言いにくいんだけど、俺も謝らなくちゃいけないことがある」
「え?」
「また……射精してループして、魔王とエッチなことをしてしまった」
「なっ!? そ、そう……ですか。いつもの……やつですね?」
「いや、ちょっと違うんだ。人間の中に強敵がいてさ、けっこう絶望してしまって……。そんなところに魔王に優しくされて、振り切れなかったんだ」
「そうでしたか……最後までは……してないんですよね?」
「してない! してないよ! その……射精ループさせるために、ムラムラさせるためにイジられた感じ……なんだよ」
「……なるほど。魔王様と……またそんなことを……!」
そう言いながら、スカーレンがジッと俺のことを見ている。
プリプリしているぞ。
「スカーレンのことを……大切に思っているのに、ごめん……」
「え? 私のことを大切に思っているんですか?」
「え、うん……」
スカーレンの表情が明るくなる。
「そ、そういうことですよね……。そう思っていなきゃ、『ごめん』なんて言わないですもんね。……って、私もあなたのことを大切に思っていなきゃ、その『ごめん』は意味を為さないのでは!?」
「そうだね。で……スカーレンはどうなの? 俺は……スカーレンのことが好きだよ」
俺は確信した。
スカーレンのことが好きだ。
もう会えただけで嬉しかったもん。
「えっ!? そ、そんなハッキリと!! う、嬉しいです……。私もアキストのことを意識しています」
「い、意識している!? それは……す、好きなの?」
「人間の中に強敵が現れていたんですね。あなたが大変な時に私がいなくて、塞ぎ込んでいてしまっていて、悔しいです……」
「ス、スカーレン……!? 俺の話、聞いてる? 大事なところだよ!?」
は、はぐらかされたのか!?
こ、告白は……失敗!?
「本当に……なんなんでしょう……もう……」
え? スカーレン!?
スカーレンが泣き始めた。
なんだろう……。
たしかに俺に心を開いているよね?
心を開いているだけではなく、俺のことが好きなんだと思うんだけどな。
ケーミーもそんなことを言っていたし……。
スカーレンはなんで泣いているんだろう?
なんで俺の話を無視するんだ……。
よし……こういう時はおそらく……一か八か……。
童貞なのでタイミングとかよく分からないけど、両想いのはず……!!
きっと照れているから、俺の質問にちゃんと答えないんだ!
そう、思えば会ったときからスカーレンは恥ずかしがり屋さんだった気がする!
俺の射精ループのことを話しただけで、顔を赤らめていた!
……がんばるぞ、俺!!
俺はスカーレンを抱きしめた。
「ちょっ!? えっ!? な、何しているんですか? ア、アキスト……そんなことをしたら、私……泣いちゃいますよ」
あ……拒否されない。
言葉は拒否しているが、身体は受け入れているぞ!
「スカーレン……すでに泣いてるよ……」
スカーレンは抱きしめる前から泣いていた。
童貞なりに頑張ってみたが、俺の抱擁は成功したようだ!
これまで、スカーレンとはエッチな感じのことをする機会が度々あったので、スッと抱きしめられたぞ。
スカーレンが俺の腕の中で安らいでいる。
やった! やったぞ……!!
スカーレンが俺を受け入れた。
「ア、アキスト……」
腕の中のスカーレンが上目遣いでこちらを向いている。
これは……キスしてもOKかな?
OKだよね!?
俺は女性とこんな雰囲気になったことがないから分からないけども……OKっぽい!!
そうだ! 自分のカンを信じろ!
これは……きっとOKなんだ!
俺は勇気を振り絞り、スカーレンにキスをした。
とりあえず、まだ舌は入れないよ!
「アキスト……いいんですか? 私と……こんなことを……」
俺が唇を離すと、スカーレンが質問してきた。
『いいんですか?』……だって!?
もちろん、いいですよ!
むしろ拒否されなくて良かった。
「もちろんだよ! ありがとう、スカーレン……」
俺は彼女の着物の帯を緩めて、その中に手を入れる。
俺の右手はおっぱいに向かっているぞ。
スカーレンは身体をくねらせているけど、抵抗はしていない。
完全に俺を受け入れているぞ!
「ちょっ!? アキスト? こ、こんなところで……?」
あ、躊躇っている。
けど、俺は止まらない!
俺の右手が彼女のおっぱいに向かう。
白色のブラジャーも潜り抜け、おっぱいに辿り着いたぞ。
スカーレンのおっぱい……良い感触だなぁ。
ハリのある大きなおっぱいだ。
「そ、そんな……そこは……優しくお願いします……」
あ……力が強かったか。
童貞力を曝してしまったぞ。
ガシガシとおっぱいを揉んではいけない。
ガシぱい禁止。
「ご、ごめん……」
優しく触らないと、嫌われてしまうな。
「あ、はい……優しい感じで、お願いします……」
俺の右手が乳首に当たったときに、スカーレンが軽く声を漏らす。
エ、エッチだ……。
もう止まれないよ、俺は……!
……下の方はどうだろうか?
「んっ……アキスト……」
俺の右手がスカーレンの下半身に向かう。
着物の中、さらには白色のパンツの中へと侵入する。
「……アキスト!? そ、そんなところまでぇ……」
驚きながらも、彼女は抵抗しない。
どこを触ったらいいのか、経験がないので分からないな。
なんかヌルヌルしているぞ。
とにかく優しく触ろう。
「スカーレン……ど、どこが気持ち良いの?」
と、質問しながら優しく弄る。
「そ、そこです……そこ……」
こ、ここ? ここなのか?
わ、分からない……。
「き、きもちいぃ……」
分からないけど、『そこ』と言われたところを触っていたら、スカーレンが感じてきたようだ。
けっこう濡れてきたぞ。
「じゃあ、次は……」
俺はパンツの中から右手を出した。
そのまま俺は、その場にしゃがみ込む。
そして、彼女の脱ぎかけの着物の中に頭を入れた。
スカーレンの股のところである。
俺は彼女の秘部を舐める。
「そ、そんなことまでっ……!? ア、アキスト……!!」
自分でも驚いている。
これは本能なのだろうか……?
30年以上、自分の中に溜め込んでいた何かが爆発しているのかもしれない。
俺はスカーレンに……挿入する!!
子供が生まれる可能性は……あるのか?
前例は聞いたことがないけどさ……。
人間と魔族と言えど、姿形は非常に似ている。
大きな違いは尻尾の有無だけだ。
けど……挿入はもっと愛情を深めてからだな。
俺はガムシャラにスカーレンのアソコを舐めながら、そんなことを考えた。
「あっ! あぁんっ!? ア、アキスト……そ、そんなぁ……そんなところを舐めるなんてぇ……」
さっき手で触ったときに、『気持ち良い』と言っていたところを舐める。
もう……位置の詳細は分かんないけど、とにかく舐めるぞ。
「あっ……あぁっ……アキスト、ストップ……。こ、ここら辺でストップです……」
ストップと言われてしまったので、舐めるのをやめた。
無理矢理するのはよくないよね?
「……ありがとうございます、アキスト。じゃあ……私も」
そう言ってスカーレンは俺を立ち上がらせた。
そして、俺の服を脱がし始めたぞ?
下の服だけ。
「こ……こんな感じですかね?」
今度はスカーレンがしゃがみ込んだ!
そして恥ずかしそうな様子で、その口元を俺のチンコに近づける。
そして……そして……舐めた!
スカーレンが俺のチンコを舐めてくれているぞ!!
彼女は、こんなことをするのは初めてなのかな?
慣れていない感じだ。
だけど、一生懸命舐めてくれている!
ああ……幸せだ。
先っぽや竿のところをペロペロと舐めてくれている。
あ、今度はまるごと咥えながら、頭を前後に動かしているぞ。
嬉しいな……。
そんなに気持ち良くはないんだけど、嬉しい。
スカーレン……俺はキミと生きていくよ……。
いや、ホント……すごい幸せなんだけど、射精には至らない感じだ。
「あ、アゴが……疲れました」
おっと……スカーレンが咥えるのをやめて、俺の方を見上げている。
「……だ、大丈夫?」
「はい、次は手でしてみますね」
今度はスカーレンが手コキを始めた。
唾液のおかげで滑りがよく、気持ち良いぞ。
本当はおっぱいでして欲しいけど……。
「む、難しいですね……」
彼女の手で俺のチンコを包み込み、上下に動かしている。
手コキだ……これまた嬉しい。
嬉しいけど、なかなかイケる感じではないぞ。
あ、スカーレンのおっぱいが丸見えだ。
おっきいなぁ。
エロ過ぎるよ、スカーレン。
可愛いなぁ……。
おっぱいで挟んで欲しいなぁ……。
「アキスト……む、胸を見ていますか? あ……この前みたいに、む、胸でしてみましょうか?」
スカーレンの方から提案してくれた!
まるで俺の心を読んでいるようだ……!!
彼女は胸の位置を俺のチンコに合わせ、パイズリを始めようとしている。
着物の上半分を脱いだぞ!
こ、これだ……!
この着物を着崩したスカーレンの最強形態……!!
お、おおぉっ!?
大きなおっぱいで俺のチンコを包み込んだぞ!
すごい圧迫感だ……!
「そういえば、ヨダレが効果的でしたよね?」
「う、うん……」
確かデヴィルンヌ戦の後に、俺がそんなことを要求した気がする……!
覚えていてくれたんだな!
「こんな感じですかね? ど、どうでしょう……?」
う、うおぉっ!?
スカーレンの圧倒的パイズリだ!
彼女の唾が潤滑剤になっているぞ……!
で、出ちゃう! 出てしまう!!
さすがに挿入はまだダメだから、このまま射精してしまえ!
じゅ、順序を追って……やがてはスカーレンとセックス……。
って、射精しちゃダメなんだ!
時を遡ってしまう!
「で、出ちゃう……!! スカーレン……ストップ! 射精は……ダメだ!」
「えっ!? あ……そうでした! 魔王様の呪いがかかっているんでしたね!?」
スカーレンがパイズリをやめた。
そうだった……エッチに夢中になって完全に忘れていた。
「うん……ごめん、忘れてた……」
「私も……忘れていました」
「……」
「……」
「な、なんか微妙な雰囲気になっちゃいますね。……魔王城に……急ぎますか」
「……そうだね。この呪いは……大きな問題だ」
このままでは、せっかく良い雰囲気になっても、残念な感じになってしまう。
「はい……。その印も気になりますし」
あ……そうだよね。
俺のチンコには相変わらず呪いの印が刻まれている。
つ、つらい……。
「それにしても……意外と積極的なんですね……アキスト……。しかもこんな野外で……」
勇気を振り絞って積極的になったんだよ!
恋愛経験はないけど、がんばった……。
まぁ、スカーレンとはデヴィルンヌ戦の後にエッチなことをしていたから実際に行動に移せた……ってのはある。
俺に心を開いているようだったしね。
「ちょっと大胆過ぎたかな。……スカーレン、やっぱり俺はスカーレンのことが好きだ」
俺の言葉を聞くと、彼女は恥ずかしそうな表情をした。
「……私も好きです」
おっ! おおっ!?
ついにスカーレンから『好き』という言葉がちゃんと聞けたぞ!
「ありがとう、スカーレン!」
「ちゃんと伝えられて良かったです。……さっきも言いましたけど、嬉しかったんですよね。デヴィルンヌとの戦いで、私のことを認めてもらえて」
「そうだったのか、スカーレン……」
認めてもらえて嬉しかった……か。
『認めてもらいたい』……って、気持ちが強いんだな。
おそらく魔王のせいで……。
俺もグリトラル王国には、そんな気持ちを抱えているぞ。
そうか……俺がスカーレンのことを好きなのは、自分と似ているからかもしれない。
あと、純粋で不器用なところも似ているのかも。
あ……そういえば俺とスカーレンが素直で似ているということは、魔王にも言われたな。
自分のことを純粋とか素直とか言うのもなんだけど、そういった一面があるのかもな。
スカーレンとも魔王ともエッチなことをしていたけど、スカーレンに惚れたのは……共通点があったからなのかもしれない。
魔王はこの前、才能がなくって努力家のところが魔王と俺の似ているところ……とも言っていた。
俺はそんな風に思わないんだよなぁ……。
魔王は才能あるでしょ。
おっと……脱線してしまったな。
スカーレンと向き合おう。
とにかく結ばれて嬉しいぞ。
「あ……人に見つかるとマズいですよね。着物を着ます……」
スカーレンが俺に脱がされた着物をちゃんと着る。
俺もチンコ丸出しなのでちゃんとしよう。
スカーレンが着物を直しているところもジッと見てしまいそうになるんだが、我慢しよう。
身なりを整えた後、再び2人で並んで座った。
流れる川を見ながら、会話を再開する。
スカーレンは真剣な表情になっているぞ。
「アキスト……私はさっき、あなたに協力すると言いました。けど、アキストは……魔王様と戦いますよね? あなたの力になりたいと言いましたが、私は魔王様との戦いに協力することはできません」
「じつは……俺は魔王とも戦いたくない」
「え、そうだったんですか! そんなことを考えていたんですね?」
スカーレンが驚いている。
「ああ。……和解したいと思っているんだ。人間と魔族で協定を結びたい」
「そ、それは……! それは、すごい大きな決断ですね」
「ああ。さっきさ、スカーレンが力になってくれるって言ってくれて……俺も決断できた」
「えっ……! よかったです。それは……嬉しいですよ。和解は素晴らしい決断だと思います。でも、アキストは勇者なのに……本当にいいんですか?」
俺はすぐに頷く。
「……俺は勇者だけどさ、魔王を倒さない。魔王も人間を苦しめてきたのは事実だけどね、命を奪うということはできない。俺は、魔王とけっこう話したから……とても殺せない。それに……スカーレンが尊敬して感謝している魔王を殺すことなんてできない」
あらためて、俺の決意をスカーレンに伝えた。
「アキスト! ありがとうございます」
俺は再び頷いた後、話を続ける。
「上手くいくかどうかは分からないけどね。……和解するため、協定を結んでもらいたい。俺は人間で勇者だけど、人間だって……魔族にヒドいことをしているからね。どっちか片方だけが悪ってわけじゃないのかなって」
「そう……ですよね。それは魔王様から聞いたことがあります。奴隷にするなんて……ヒドい話です。人間もヒドいところが多々ありますよね」
スカーレンも知っていたのか。
魔王がこっちの事情に詳しいんだな。
「ああ。そうなんだよ」
「魔族の奴隷は解放して欲しいです。……魔族も傷つけられました。でも……私は人間に報復しようとは思いません。人間への憎しみはありますけど、魔族、そしてモンスターも人間にヒドいことをしました。それに……私は人間であるアキストを好きなってしまった……。和解できるなら、私もそれが良いと思います。けど、アキストの言うとおり、本当に和解のための協定が結べるのかどうかは分かりません。魔王様が納得するかどうか……。和解に失敗したら、魔族と人間とで……正々堂々と戦いましょう」
スカーレン、協定を結ぶのは難しい……という見解か。
戦うことも想定しているぞ。
「やっぱり簡単に和解はできないかな……? 俺はなんとかして人間と魔族で協定を結びたい。戦うことは避けたいんだ。……人間側が勝利して、スカーレンや魔王が人間に囚われてしまって奴隷にされてしまうなんてことは絶対に避けたい……! もちろん、逆も嫌だ」
「私も……それは嫌です。アキスト……やっぱり優しい人ですね。確信しました。……決まりです。私にできることはありますか?」
「ありがとう。じつは近いうちに……もしかしたら明日、お城にある魔法陣で潜入することになっている。魔王城に到着したら、魔王と会話するために協力して欲しい」
「もちろんです! 魔法陣で潜入……ボルハルトの魔法陣の使用許可が出たんですね? 明日以降ですか……早いですね。……それでは私は一度、魔王城に戻ります」
「スカーレン? 一緒に来ないの? 尻尾を隠していれば……」
「いえ……人間の国のお城に入るわけにはいきません。ボルハルトは私の顔を知っています。彼に騒がれたらみんなにバレてしまいます。あと、もしかしたら魔力感知で私が魔族だと分かる兵士がいるかもしれませんし」
「あ、そっか……」
「魔界では、私が案内します。向こうで待っていますね、アキスト」
「ああ。……ありがとう、スカーレン」
とにかく、魔王城に行くんだ。
勇者としてしなきゃいけないことはわかっている。
けど、スカーレンと戦うのはもちろんのこと、魔王を殺すこともできない。
上手いこと和解したい……。
なんらかの協定を結ぶところまでいきたい。
今回の旅で、グリトラル王国で新しい仲間が2人増えて嬉しいけど……ここら辺の考えを彼らに言っちゃうと、問題になっちゃうよね。
王国に告げ口されたら終わりだ。
ケーミーでさえ、魔族と和解したいなんて言ったら、どういう反応をするのかは分からないぞ。
以前の旅でスカーレンとのエッチを見られたときは取り乱していたしな。
まぁ、今回はどう考えているか分からないけども。
今回の旅では、スカーレンへの印象はだいぶ良いはずだ。
……新たに仲間になった2人は強い。
かつての仲間と比べても見劣りしない。
ゴーリーに至ってはかつての仲間より格上かもしれない。
ただ、スカーレンや魔王を倒すレベルにはないはずだ。
前回の仲間は魔法四天王に簡単に負けてしまったようだからな。
やはり聖属性の攻撃を使えないのが致命的なのだろう。
魔王達を倒せるのは聖属性の技を放てる俺だけと考えていいはずだ。
魔王と対等に交渉できるのは……俺だけなんだ。
地上と魔界……人間と魔族の協定を結ぶぞ!
この決断は、勇者としては真っ当ではないのかもしれない。
俺は甘い人間なんだ。
そのせいでグリトラル王国では、勇者として評価が低いのかもしれない。
でも……だからこそ、人間と魔族の間を取り持つことができる可能性があるんだ……!
そう信じたい!
魔族側であるスカーレンの協力も大きいぞ!
……ん?
待てよ……急に思い出したけど、魔王は水晶玉を使って俺とスカーレンのエッチを……見ていたのかな?
こ、これは……魔王と会うのが恥ずかし過ぎるぞ!
……って、そんなことは言ってられないか!
人間と魔族の和解協定を結ぶ……それが俺の仕事だ!
応援ありがとうございます!
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