45 / 115
序章篇
10 夜明け-3-
しおりを挟む
ボーマ暦の2096年4月。
暴君ペルガモンに代わり、プラトウ出身の少年が皇帝となった。
彼はアシュレイやグランをはじめとする有能な側近の助けを借り、万民のための政治に着手した。
税制を見直し、兵役を廃止し、官民一体となっての新たな国、新たな時代を切り拓く準備ができつつあった。
叛乱の傷痕も時間とともに癒え、村や町は秩序を取り戻した。
特にプラトウはペルガモン政権の終わりを告げる象徴として、新政府が支局のあった場所に慰霊塔を建立したため、多くの人が訪れるようになった。
諸国との戦は未だに終結する様子を見せない。
ペルガモンが始めた戦はあまりに多く、そして深く、終わらせるにはまだまだ時間と犠牲が必要だった。
しかし彼らには希望がある。
暗闇の中から生まれた一条の光がアメジスト色に輝き、世界を覆う。
多くの者はその予言の存在すら知らないが、知れば誰もが信じて疑わないだろう。
「失礼します。皇帝、先日の件でお話が――」
自室で本を読んでいたシェイドはそれをテーブルに置き、官吏を迎え入れた。
「はい、聞いています。プラトウのことですよね? 何かありましたか?」
「新たな生存者が見つかりました。追手から逃れるために各地を転々としていたようです。現地からの報告によれば、皇帝がお探しの人物と特徴が一致するとのことです」
「本当ですか!? すぐにでも会いたいです。ああ、でも――」
彼は興奮を抑え、
「あっちの事務処理を片付けるのが先ですね……」
つい後回しにしてしまった書類の山を見て照れ笑いを浮かべた。
「最近、本を読むのが楽しくて」
大きく伸びをして、シェイドは窓の外を覗き見た。
青い空に数隻の艦が浮かんでいる。
そのずっと向こう、遥か彼方の上から一筋の光が差し込んでいる。
彼にはそれが母か、あるいはソーマが微笑みかけているように思えた。
(僕を見守っていてね。僕が絶対に……すばらしい世界を造ってみせるから……)
心の中で静かにそう誓うと、光は二度、ほのかに瞬いた。
終
暴君ペルガモンに代わり、プラトウ出身の少年が皇帝となった。
彼はアシュレイやグランをはじめとする有能な側近の助けを借り、万民のための政治に着手した。
税制を見直し、兵役を廃止し、官民一体となっての新たな国、新たな時代を切り拓く準備ができつつあった。
叛乱の傷痕も時間とともに癒え、村や町は秩序を取り戻した。
特にプラトウはペルガモン政権の終わりを告げる象徴として、新政府が支局のあった場所に慰霊塔を建立したため、多くの人が訪れるようになった。
諸国との戦は未だに終結する様子を見せない。
ペルガモンが始めた戦はあまりに多く、そして深く、終わらせるにはまだまだ時間と犠牲が必要だった。
しかし彼らには希望がある。
暗闇の中から生まれた一条の光がアメジスト色に輝き、世界を覆う。
多くの者はその予言の存在すら知らないが、知れば誰もが信じて疑わないだろう。
「失礼します。皇帝、先日の件でお話が――」
自室で本を読んでいたシェイドはそれをテーブルに置き、官吏を迎え入れた。
「はい、聞いています。プラトウのことですよね? 何かありましたか?」
「新たな生存者が見つかりました。追手から逃れるために各地を転々としていたようです。現地からの報告によれば、皇帝がお探しの人物と特徴が一致するとのことです」
「本当ですか!? すぐにでも会いたいです。ああ、でも――」
彼は興奮を抑え、
「あっちの事務処理を片付けるのが先ですね……」
つい後回しにしてしまった書類の山を見て照れ笑いを浮かべた。
「最近、本を読むのが楽しくて」
大きく伸びをして、シェイドは窓の外を覗き見た。
青い空に数隻の艦が浮かんでいる。
そのずっと向こう、遥か彼方の上から一筋の光が差し込んでいる。
彼にはそれが母か、あるいはソーマが微笑みかけているように思えた。
(僕を見守っていてね。僕が絶対に……すばらしい世界を造ってみせるから……)
心の中で静かにそう誓うと、光は二度、ほのかに瞬いた。
終
0
あなたにおすすめの小説
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
彼女が望むなら
mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。
リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる