【完結】失恋で傷心の美形が合コン相手のお兄さんにキスの続きを教えてもらう話

grotta

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2.気になるあの子に男を勧められる

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 てっきり、彼女もこちらに少なからず気があるから誘ってくれたものと思っていた。しかし違ったらしい。
 むしろなぜか男を勧められた――。柊一の笑顔が凍りつく。
 おそらく柊一が一次会の席で最近振られたこと、今までもなかなか長続きしなかったこと、女性の好みなどをべらべらと喋ったせいだろう。彼女は柊一に同情してアドバイスのために連れ出しただけ――。
 自分の直感は間違っていなかった。彼女は実に親切だ。しかし、柊一の恋人になる気はさらさら無い。
 ショックすぎて言葉を失った柊一を気遣って彼女は謝ってくれる。

「ゴメンね! 本当に失礼だよね。こんなこと初対面で……でも、浅見くん素敵なのに勿体無いって本気で思ったの。なんだかちょっと自分に重ねちゃったっていうか――無いものねだりっていうの? 私背が高いじゃない。だけど、いいなって思う男性ほど小柄な子が好きだったりするんだよね~。自分が好きな人になかなか好かれないのって辛いよね」

(わかる……わかりすぎてもう俺泣きそうだよ)

「彼氏いない私が偉そうに言うのもなんなんだけどね、浅見くん。自分が好きになった人を無理やり振り向かせるよりも、向こうから勝手に自分のことを好きになってくれる人を見つけたほうが幸せになれるんだって!」
「へ、へぇ……」

 それはそうだろうけど――と思いつつ柊一は反論する。

「でも今までも、結構女性側から言い寄られて付き合ってきたんだけど……」
「あー、そうだよね。浅見くんイケメンだし。でもね、付き合ったらイメージと違ったとか言われるんじゃない?」
「え! なんでわかるんだ!?」

(エスパーなのか? 初対面なのに!)

「やっぱりね。今日話してて思ったんだけど、見た目派手で遊んでそうなのに実はめちゃくちゃ真面目だよね」
「……それってダメなの?」
「だめってわけじゃないんだよ。真面目なのいいんだけど、ちょっと悪い感じっていうかダメな男っていうの? 女はそういうのに弱かったりするんだよねぇ」

(嘘だろ。真面目で誠実なのがいいんじゃないのか……? 女心難しすぎ……)

「俺、名取さんのことタイプだったから今地味にかなりショックだよ」
「やっぱりそう? なんとなく私に気があるのかなって思った~。ほんっとにごめん。気を持たせるようなことしたら逆に失礼だから言っちゃうけど私は全く好みじゃなくて……」

 彼女は申し訳なさそうに両手を合わせた。

「やっぱりそうか……」
「ごめん! 本当にゴメンね。でも浅見くんは素敵だと思うよ。これはお世辞じゃなく本気で。それでね、変なこと言うようだけどめちゃくちゃオススメの相手がいるの」
「え?」
「背が高くて、顔も綺麗で、おおらか……というか大雑把? で、ちょっと強引だけどきっと浅見くんは自分で引っ張るより引っ張られるのが向いてると思うからぴったりだと思うんだよね」
「え……なにそれ最高じゃないか」
「でしょ!?」

 たしかに、本当は自分でなんでも決めたりするのって得意じゃない。実は優柔不断なタイプだから、女の子が決めてグイグイ引っ張ってくれる方が楽なのにと柊一はずっと思っていた。一生懸命調べてお店を決めたりするんだけどそういうのを嫌々やってるのも見透かされるのか、無理してるように見えて嫌だとまで言われたこともある。

「じゃあ今度三人で飲もうよ!」
「そんな……いいの?」

(この子天使じゃない?)

「いいの! ただ、その相手っていうのが………私の兄なのよね!」
「え――?」
「つまり男なんだ~」

 彼女がちょっと困ったような感じで微笑む。

「はい……!?」

 (男の方が向いてるってそういうこと?)

「お兄ちゃんゲイなんだよね」

 店内の物音が急に遠ざかったような気がした。

「浅見くん! 大丈夫? 聞こえてる?」
「あ……ご、ごめん。大丈夫。ちょっと一瞬気が遠くなって」

 柊一は頭をブンブン振った。
(この子、もののたとえとかじゃなく本気で俺に男の人を勧めようとしてたのか……)

「ね! 会うだけ。一回皆で飲むだけ。どう?」

 両手で拝まれても柊一は男性を相手に、なんて考えたこともなかった。

「いや、でもー……」
「だよね? わかる、いきなり男となんて無理だよね。だから別に付き合うとか付き合わないとかそういうんじゃなくていいんだ。こういう選択肢もあるよーって見てみたらどうかなって」
「うん……? うーん……」
「兄も別に男と見たらいきなり襲うような人じゃないから。ただ、友達になってアドバイスしてもらうだけでもいいし。私よりよっぽど恋愛経験豊富だからきっと浅見くんの悩みも解决してくれるかも」

 柊一は押しに弱いタイプだった。しかも相手は好みの女の子で、強く言われると断りきれない。

「わかった……じゃあ、一回だけ……皆でなら……」
「ほんと? やったぁ! なんだかピンと来ちゃったんだ。お兄ちゃんは私と似てるし、私のことが好みならお兄ちゃんもきっと気に入ると思うよ!」
「あはは……」

 気に入った相手に同性である兄を勧められても一ミリも嬉しくない。
 
(どんな人なんだろう……強引って言ってたけど、革ジャン着てタトゥーだらけの怖い人とかだったらどうしよう……)

 そして柊一は当日まで震えて過ごすことになった。
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