【悲報】恋活パーティーサクラの俺、苦手な上司と遭遇しゲイ認定され愛されてしまう

grotta

文字の大きさ
32 / 44

32.【最終話】毒を以て毒を制す(2)

しおりを挟む
そして俺は課長の指示で例の捨てアドに届いた日下部からのメールに初めて返信をした。
すると即返事が来て、週末に会う約束を取り付けることができた。

当日、俺は日下部との待ち合わせ場所へ北山と一緒に訪れた。
課長が一緒だと日下部の神経を逆なでしそうなので、課長は連絡するまで近くのコーヒーチェーン店で待機してもらっている。
10分前に着いたけど既に日下部はそこに立っていた。俺はちょっと緊張しつつ声を掛ける。

「お待たせしました」

「ああ、奏太くん!全然待ってないよ。会う気になってくれて嬉しいよ……!相変わらず可愛……え?君は……」

日下部は最初デレた顔をしてこちら歩いてきたが、俺の後ろにいる北山に気がついて表情を曇らせた。
北山は整った顔に営業スマイルを浮かべて日下部に挨拶する。

「こんばんは~はじめまして」

「奏太くん……これ、どういうこと?」

「日下部さんこそ、あんな手紙や写真送ってきてどうしたんですか。困ります俺」

「やだなぁ奏太くん。君がいかに愚かなことをしているか教えてあげようと思ったんだよ」

どうやら隠し撮りしたり付け回したことを悪いとは全く思っていないようだ。

「あのー、あれ普通にストーカー行為ですよね?わかってます?」

「君こそ出会いのパーティーに彼氏と参加して他の参加者を騙す行為は褒められないよね?悪いけど、主催者側には報告させてもらったから、出禁になってるよ。残念だったね」

「それ誤解です。俺と彼が会社同じなのは事実ですけど、あの日のパーティーでは偶然ばったり会っただけですから」

「へぇ、しらばっくれるつもりなの?しかもこんな助っ人まで呼んで俺を黙らせようっていうつもり?」

日下部は顎をしゃくって北山を指した。

「あ、もしかしてこのイケメンくんは2人目の彼氏?すごいねぇ、奏太くん何人彼氏がいるんだ?俺も是非その末席に加えてもらいたいもんだよ」

あほらし、何人も彼氏がいてたまるかよ。つーか加わりたいんかい!

「彼氏じゃありません。ただの後輩ですよ。今日はあなたと2人きりで会いたくなくてついて来てもらったんです」

「ふーん、危険人物扱いされてるのかな。心外だなぁ」

それまで黙っていた北山が笑顔で口を挟んだ。

「いや~、聞かせて貰いましたけどなかなかですね!」

この険悪なムードにそぐわない嬉しそうな口調に俺と日下部は眉を顰めて北山を見た。

「モブ顔なふっつーのサラリーマンなのに嫉妬深いストーカー男とか、かなりいい味出してますよ日下部さん!」

「はぁ……?」

日下部はポカンと口を開けた。

「いやぁ、その顔と性格でよく新木さん落とせると思いましたよね。俺嫌いじゃないですよそういう図々しいところ。ねぇ、俺のことどう思います?」

日下部は混乱した様子で俺に尋ねる。

「は?な、なにを言ってるんだ彼は」

「いや、俺に聞かないで下さい。俺もよくわかんないんで」

北山は俺を押し退けて日下部の目の前に迫る。

「ねぇ、日下部さん。俺どうですか?好みじゃない?」

「な、好みも何も……会ったばかりじゃ……」

「やだなぁ、会ったばかりの新木先輩にうざ絡みしてったのあなたじゃないですか!いいですよ。じゃあこれから2人でお互いのこと知っていきましょう?」

北山はそう言いながら日下部の腕に腕を絡ませた。そのままズルズルと引っぱってどこかへ行こうとする。

「ちょ、ちょっと君!何するんだ!?」

「飲みに行きましょうよ。美味しい店知ってるって先輩から聞きましたよ。でも先輩にはおっかない彼氏がいるから諦めた方がいいですよ。だから今度は俺のこと可愛がってくださいよ。ね?俺の顔嫌い?」

「いや……どう見てもイケメンだけど……」

「ですよね?俺もそう思います。あはは!じゃあ、新木さんまた来週~!」

「あ……ああ。また……」

笑顔でブンブン手を振る北山に俺は小さく手を振り返した。

「なんなんだあいつ……」

課長の言うアクが強いとはこういうことなのか。

「毒を以て毒を制す……か」

俺は2人の背中が見えなくなったので課長に電話した。


◇◇◇


その後課長と合流し、外で軽く飯を食ってから課長の家にお邪魔した。
相変わらずきれいに片付いたお洒落な室内で、俺と課長はルームウェアに着替えてくつろいでいた。
課長が用意してくれた酒で俺達はグラスを合わせる。

「作戦成功に乾杯」

「乾杯。いやぁ……驚きました。北山あいつなんなんですか?」

「なんかすごいだろ。彼がバイなのはだいぶ前から知ってたんだけど、バーで会ったときもなんというか……強烈というか……」

俺を誘ってきた時も強引ではあったけど、あれでもかなり控えめだったんだな。

「やばいっすねあいつ。というか日下部さん大丈夫かな?」

「わからん。まぁストーカーくんにはいいお灸になるんじゃないのか」

「ですかね……」

北山はイケメンには違いないから、迫られて悪い気はしないんじゃないかな。日下部さんのタイプかは知らないが。

「あ、そうだ。奏太、明日は何が食べたい?」

「えー、課長が作ってくれるものならなんでもいいんですけど……」

「可愛いこと言ってくれるね。明日何の日かわかってる?」

「はい?」

俺はちょっと考えたけどわからなかった。誕生日でもないし……あ、課長の誕生日とか?

「俺達が付き合うようになって100日目の記念だよ」

「き、記念!?」

うわ、課長こういうの気にするタイプなの?!
100日とか普通数えねえだろ……

「あ、引いてる?俺も普段こんなの気にするタイプじゃないから安心して。奏太と会えなくなってしばらくしたときちょっと数えちゃっただけだから」

乙女なの?!
ほんとこの上司、たまに見た目と行動のギャップが……

「だけど気づいたらスルーできなくてさ。だから奏太が好きな美味い肉買いに行こう」

「え~いいんですか!」

「ああ。世田谷に和牛専門店があってフルオーダーカットしてくれるらしいから俺も一度行ってみたいと思っててね」

「まじすか、なんすか……肉のフルオーダーカット……?」

何その夢のあるパワーワード……
その響きだけでよだれ出そう♡

「おいおい、本当に君って奴は。それセックスしてるときと同じ顔なのわかってる?」

「はぇ!?」

「目が潤んで頬が赤くなってちょっと口が開いて……最高にエロい顔だよ」

「や、やめてくださいよ!」

俺は慌ててよだれを拭った。(リアルに垂れてた)
冗談きついんだよ、さっきまで100日記念とか言ってた乙女はどこいった!

「あはは!俺は奏太のこと食べたくなってきたよ。キスしていい?」

「き、聞かないでくださいよいちいち」

「じゃあ……」

課長の顔が近づいてきて唇が重なる。
まじでいい男だよなぁ、俺の彼氏は。なんで俺のことなんて好きなんだろう?

ぼんやりしていたらソファに押し倒されて、課長の大きな手が俺の腹を撫でていく。そのまま手は上へと滑り……

「暁斗さん……」

「好きだよ、奏太」

名前を呼ばれながら乳首を摘まれる。乳首なんて触られて感じるようになったのは完全に課長のせいだ。

「あっ……俺もです……」

課長の温かい舌が俺の舌にぬるっと絡みついた。女の子の小さくて薄い唇にキスするのとは違って、厚みのある舌と大きな口で包み込まれるようなキスに俺はハマりつつある。

あーきもちぃー……自分よりデカい人に包まれるのって安心するしなんか慣れるとすげー良いな?
乳首をいじられながらキスされて俺の股間にはしっかり熱が集まっていた。

「ベッド行こう、奏太」

「やだ……ここでして……」

結局俺たちはベッドまで我慢できずにソファでしてしまった。
課長はリビングでするのを渋ったけど、俺が足を絡ませて離さなかったのだ。
もちろんその後はベッドでめちゃくちゃ泣かされた。



〈完〉


ーーーーーーーーーーーーー

というわけでチョロすぎる奏太無事陥落でございます。
最後まで見守って頂きありがとうございました!少しでもクスっとしてもらえていたら幸いです。

別のシリアス書くのが辛すぎて反動で始めた本作が思いのほか多くの方に読んで頂けて驚いております。
BL小説大賞のランキングの中で明らかにノリがおかしいの紛れていてもはや【悲報】なのか【朗報】なのか作者として複雑な心境ですが奏太のケツを叩いて叱咤激励して下さった方にお礼申し上げます♡

この後は番外編で課長視点の話をちょこっと書いてみようかなと思ってます。

コメント頂いたりしおり挟んでくださるのがとても励みになってます。ありがとうございます!文章書いてるとたまに胃が痛かったりするんで本当に身に沁みます(*´-`)
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...