世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃

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ドイツ第三帝国 1940年 初春 西方電撃戦2

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「総統!!直ちにロンメルをベネルクスに再度送り込むべきです!!このままではベネルクスを失陥しますぞ!!」

「今すぐに増援を送るべきです」

総司令部は早期の反撃作戦に浮き足立っていた。しかし最高指揮権を持った総統が参謀本部に居座り、総司令部は自由に動ける立場ではなく無くなっていた。

指揮権のトップにいる総統は戦況の書かれた地図を見下ろしながらも、何も言わなかった。

「総統。今すぐにここから出て行って貰えませんか。こうしている間にも前線の戦況は悪化しているのです。参謀本部としてはこの事態を看過できません。今すぐに退出を」

そう強気な態度で進言したのは、参謀本部総長を務めるベックであった。

「私がここにいるのは、有害かね?」

是と答えることは不可能な問い。婉曲も比喩もない。もしかすると、攻撃性をあえて高めたような問いに、一同は口を噤んだ。先程進言したベックも同じであった。

席を立ち上がり、ヒトラーは外を眺めるように窓に向かった。そして、

「何たる体たらくなのだ!!」と怒号を上げた。

「貴様らは日頃から何をしているのだ?人数も装備も定まっていない兵士の駒を固めて、離して、ぶつけて。そうなるかどうかも分からない戦闘結果を纏め、計画を立てる。これの何処に信ぴょう性があるのだ?答えてみろ」

誰一人として、黙り込む。

「この中で、マジノ線が延長されているかもしれない、そう考えた人間はいるか?」

……

「この中に、マジノ線迂回が成功しなかった場合を想定した人間はいるか?」

……

「今ここに、a軍団の所在地を知るものはいるか?」

……

大きく息を吐くヒトラー。我らの合理の牙城がこうも貧弱であるとは思いもしなかった。これはテコ入れが必要だな。そう決意し、ヒトラーは向き直り、自信のいた席に戻り、その机から封筒を取り出した。

それをベックに強く、投げ渡した。ベックはそれを直ぐに開封し、読み始めた。ヒトラーは話し始めた。

「国防軍内には、マジノ線迂回が成功しなかった場合を想定した作戦がたった一つ、存在している。平時から集めた情報をもとに立案されたものだ」

「ロンメルより緊急入電!!我々a軍団及びc軍団はマジノ線を突破!!北上を開始するとのこと!!」

扉が勢いよく開くと同時に伝えられる吉報。それに上機嫌に頷くヒトラーは、

「滞りなく進めよ、そう伝えてくれ」と伝令に伝えた。

「参謀本部は兵站の管理など、十分な役割を担っていてくれることは、重々承知しているのだ。しかし、それに満足するな。貴様らが満足したら、貪欲なものたちは優にそれを超えてくる。そこにあるのは敗北だけだ」

「どこまでも渇望せよ。全てを掌握したいと貪欲であれ。全ての勝利を希求せよ」
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