キミノタメ

greven1980

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少し前の世界

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「オギャーオギャーオギャー・・・。」

村に赤ん坊の声が響き渡る。
後に勇者と言われる男の子の誕生だった。

時を同じくして、もう一人の赤ん坊が生まれていた。
しかし、こちらの赤ん坊は生まれてから泣いていない。
そのかわりに母親は泣いていた。
赤ん坊が生まれてうれしくて泣いているのではない。
あまりにも醜い見た目に悲しんでいたのだ。
周りの大人たちは何が起こっているのかわからず立ちすくんでいた。
父親と思われる男が動いた。
赤ん坊を抱きかかえ扉を開けた。

「こんな化け物は俺たちの子供じゃない・・・。いいな?」

母親が一瞬迷ったのちにうなずいた。
それを見た父親は夜も明けぬ街へ走っていった。

・・・
・・・・
・・・・・
待ちのはずれにある家の前に革袋が落ちていた。
家の中から一人の初老の女性がでてくると、その革袋に気が付いた。

「またかい・・・。まぁ、お前に罪はないからねぇ。
 手紙はない・・・か。名前も書いてないね。」

初老の女性は革袋をあけた。

「・・・・なんとまあ。まるで獣だね。」

革袋から出てきたのは赤ん坊だった。
全身を茶色の産毛で覆われ、瞳は紅く見開かれていた。
普通の赤ん坊の2倍はありそうな大きさと重さだった。

「おばあちゃんどうした・・・きゃーもごもごもご」

家の中から小さな女の子が出てきた。
初老の女性が抱きかかえている赤ん坊を見て叫んでしまった。
すぐに初老の女性が小さな女の子の口をふさいだ。

「さわぐんじゃないよ。ちょっと大きいがまだうまれたばかりだね。
 今日からこの子もうちの子だよ。わかったかい?」
「もごもごもぷはー、でもおばあちゃん。それ人間?
 私には熊か何かの子供に見えるんだけど。」
「あんたらとそうかわらんさね。私にはかわいい赤ん坊にしか見えないよ。
 名前はまだもらってないみたいだ。後でみんなで考えようね。」
「んーー、確かによく見れば人間の赤ちゃんに見えなくもないか。
 どんな名前がいいかなー?クマエモンとか?クマゴロウ?
 クマベエとかどうかな!・・・」
「お前のだけは採用しないよ・・・。」

初老の女性と小さな女の子は家の中へと入っていった。
家の中からは大きな叫び声が鳴り響いた。
そして、鈍い音も・・・。

しばらくすると、家の中から3人の男の子が出てきた。
一様に頭を押さえ座り込んだ

「いてぇよ」


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