悪役令息だと思っていたら健気令息だったので、好きになってしまった

まんまる

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領民達に労いの言葉をかけ、馬車に乗り込む。

「ジェイド、何か隠してる?」
「な、何も隠していないよ。新しい紅茶は綺麗に商品になってから、アンリに見せて驚かせようと思っていただけだよ」
「ふぅん、何か怪しいけど⋯。分かった、楽しみにしてるね」
(ふぅ、アンリが素直で良かった)


馬車が宿に着き、アンリの手を取り中に入る。

「夜も楽しみだね」
「なっ!そんなに期待してくれてるのか?絶対満足させるからな」
「もう、夜ご飯の話だよ。ふふっ、でも期待してるね」
「アンリっ、君って子は。今すぐ押し倒したい!」


今夜は俺にとって、年に一度の特別な夜だ。昼間領民に用意させた物を部屋に運ぶように、部屋係に目配せして、食堂へ向かう。

「わあ、どれも美味しそうだね。うーん、お肉も美味しい。ねっ、ジェイド」
「アンリを、早く食べたい」
「えっ?何か言った?」
「い、いや、うん、この魚も美味いぞ」

「ふぅ、お腹いっぱい」
「ああ、美味かったな。じゃあ、部屋に戻るか」
「うん。あっ、今年もいつものしてくれてるのかな」
「あ、ああ。頼んであるよ」
「やったぁ!」


今日泊まる部屋は、宿の三階の一番奥の部屋で、この宿の中で一番広く、値段も一番いい部屋だ。
家具や 調度品も高価な物が揃えてある。

3年前、初めてアンリとこの部屋に泊まった時、部屋に飾られていたであろうたくさんの花が、部屋係の窓の閉め忘れのせいで、部屋中に散っていた。
それを見たアンリは、宿のもてなしだと勘違いして、大喜びしたのだ。

流石に床に散った花を踏むのは、気がとがめた為片付けてもらったが、アンリが喜んでいたので、ベッドの上はそのままにしてもらった。
それが俺にとって、年に一度のご褒美になるとは、その時は思っていなかった。


「わぁーっ!ジェイド、見て!綺麗」
「おお、何度見ても本当に綺麗だな。この花は紅茶に混ぜる加工をする時に工場で余ったものだから心配いらないからね」
「うん、今日はいつもよりお花たくさんあるね!」
「そ、そうだな。ベッドいっぱいだな」


芳香に誘われながら部屋に入る。

「アンリ、疲れただろう?おいで」

アンリを引き寄せ腕の中に閉じ込める。
頭や額に口付けを落とし、横抱きにしてソファに移動する。そのまま腰を下ろしアンリを膝に乗せたまま、穏やかな口付けを繰り返して、若葉色の瞳を見つめる。

「ジェイドもお疲れ様。皆ジェイドが領主で良かったって言ってて、僕も嬉しかった」
「アンリのお陰だよ」
「僕は何もしてないよ?」
「いいや、俺がこうしていられるのはアンリがいてくれるからだよ」
「ふふっ、僕もジェイドがそばにいてくれて幸せだよ」

「アンリ、愛してる」
「僕も愛してるよ、ジェイド」

啄むような口付けを繰り返し、徐々に深いものへと変わる。

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