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闘技場は決勝戦が終わった後も、大いに盛り上がっていた。
だがそんな事より、さっきのニコの様子が気になって仕方なかった。ニコは確かに、俺の怪我を心配していた。
俺はレイルとリオと二言三言、言葉を交わすと、すぐに闘技場から出た。
ニコの事を考えると、脳が痺れるような、あの甘い香りをどうしても思い出してしまう。
あの甘い香りを嗅ぐと、胸が切なく締め付けられたり、自分の意思とは関係なく、無性にニコに触れたくてたまらなくなる。
どんな時でも、自分の感情を制御する訓練を受けてきたのに、ニコを思い出しただけで、この胸に掻き抱いて、めちゃくちゃにしてしまいたい衝動に駆られる。
ニコを見ると、今まで自分が必死にやってきた事が、無駄だったと言われている気がして、今までわざと遠ざけてきた。
だが、昨日の医務室の残り香といい、さっきの試合の時のといい、俺の怪我が嘘のように治っていた本当の理由を、ニコが知っているような気がしてならなかった。
俺はどうしようもなくニコに会いたくて、足早に観覧席に向かった。
だが向かっている途中、曲がり角の向こうから、激しく言い争う声が聞こえてきた。
俺はその声を聞いた途端、弾かれたように、曲がり角から飛び出していた。
「いやっ、離して!」
「大人しくしろ!」
「いやあぁっ!」
目に飛び込んできた光景を見て、俺は怒りで全身の毛が逆立った。
『貴様の汚い手で、ニコに触れるなあぁ!!』
俺の魂がそう叫んだ瞬間、俺はニコを腕の中に掻き抱いていた。
「アルフレッド様⋯」
ああ、もう、抗えない。
腕の中のニコが俺の顔も見ずに、名前を口にした瞬間、俺の些細な意地など、ニコの前では何の意味も持たない無駄なものだと分かった。
俺はどうやっても、ニコを求めてしまうんだ。
もう、認めてしまおう。
そうだ、俺はニコが愛おしくてたまらないんだ。
俺は胸いっぱいに、ニコの香りを吸い込んだ。
「あっ、あのっ、アルフレッド様、人が来てしまいます」
「⋯⋯」
オルドーが去り、俺は名残惜しかったが、いつまでもニコを抱き締めている訳にもいかず、渋々腕から解放した。
「ニコ、大丈夫か?」
「はい、アルフレッド様、ありがとうございました。あっ、それと、優勝おめでとうございます」
「ああ、ありがとう。学園の剣術大会など、大した事はないからな。それより⋯、なあ、ニコ、もしかしてオルドーから、いつもああいった嫌がらせを受けているのか?」
「⋯僕の態度が、オルドー様をイラつかせるみたいで」
「⋯婚約者候補だと聞いたが」
「ち、違います!僕、オルドー様と結婚なんて、全然考えてないです!」
ニコが必死に顔を左右に振る仕草が可愛くて、また胸の奥から愛しさが込み上げてきた。
「ニコ、もう、降参だ」
「えっ?アルフレッド様、今、何かおっしゃいましたか?」
「ああ、いや、何でもない。なあニコ⋯、今まで冷たい態度をとってすまなかった。ニコは一生懸命俺に歩み寄ってくれていたのに、俺は自分の気持ちに向き合おうともしなかった。こんな卑怯な男を許してくれるか?」
俺が頭を下げると、ニコがあたふたと慌て出した。
「アルフレッド様!?ぼ、僕が許すだなんて、とんでもないです!僕、怒ってもいないし、全然気にしてません!」
「ニコ⋯、俺はこんなに愛しい者を、どうして今まで無視できていたんだろう」
「えっ⋯?愛しい⋯?」
ニコが目を瞬いて、俺を見つめている。
その表情が可愛くてたまらなかった。
「ニコ、俺⋯」
俺がニコに洗いざらい白状しようとした時、観覧席から出てきた生徒達が、興奮冷めやらぬ様子で通路になだれ込んできた。
「ああっと、ニコ⋯、放課後時間あるか?」
「放課後⋯?あっ、は、はいっ」
「確かめたい事もあるし、教室まで迎えに行くから、待っていてくれないか?」
「はわ⋯」
俺がニコの頭をぽんっと撫でると、ニコは真っ赤になって、何度も頷いていた。
だがそんな事より、さっきのニコの様子が気になって仕方なかった。ニコは確かに、俺の怪我を心配していた。
俺はレイルとリオと二言三言、言葉を交わすと、すぐに闘技場から出た。
ニコの事を考えると、脳が痺れるような、あの甘い香りをどうしても思い出してしまう。
あの甘い香りを嗅ぐと、胸が切なく締め付けられたり、自分の意思とは関係なく、無性にニコに触れたくてたまらなくなる。
どんな時でも、自分の感情を制御する訓練を受けてきたのに、ニコを思い出しただけで、この胸に掻き抱いて、めちゃくちゃにしてしまいたい衝動に駆られる。
ニコを見ると、今まで自分が必死にやってきた事が、無駄だったと言われている気がして、今までわざと遠ざけてきた。
だが、昨日の医務室の残り香といい、さっきの試合の時のといい、俺の怪我が嘘のように治っていた本当の理由を、ニコが知っているような気がしてならなかった。
俺はどうしようもなくニコに会いたくて、足早に観覧席に向かった。
だが向かっている途中、曲がり角の向こうから、激しく言い争う声が聞こえてきた。
俺はその声を聞いた途端、弾かれたように、曲がり角から飛び出していた。
「いやっ、離して!」
「大人しくしろ!」
「いやあぁっ!」
目に飛び込んできた光景を見て、俺は怒りで全身の毛が逆立った。
『貴様の汚い手で、ニコに触れるなあぁ!!』
俺の魂がそう叫んだ瞬間、俺はニコを腕の中に掻き抱いていた。
「アルフレッド様⋯」
ああ、もう、抗えない。
腕の中のニコが俺の顔も見ずに、名前を口にした瞬間、俺の些細な意地など、ニコの前では何の意味も持たない無駄なものだと分かった。
俺はどうやっても、ニコを求めてしまうんだ。
もう、認めてしまおう。
そうだ、俺はニコが愛おしくてたまらないんだ。
俺は胸いっぱいに、ニコの香りを吸い込んだ。
「あっ、あのっ、アルフレッド様、人が来てしまいます」
「⋯⋯」
オルドーが去り、俺は名残惜しかったが、いつまでもニコを抱き締めている訳にもいかず、渋々腕から解放した。
「ニコ、大丈夫か?」
「はい、アルフレッド様、ありがとうございました。あっ、それと、優勝おめでとうございます」
「ああ、ありがとう。学園の剣術大会など、大した事はないからな。それより⋯、なあ、ニコ、もしかしてオルドーから、いつもああいった嫌がらせを受けているのか?」
「⋯僕の態度が、オルドー様をイラつかせるみたいで」
「⋯婚約者候補だと聞いたが」
「ち、違います!僕、オルドー様と結婚なんて、全然考えてないです!」
ニコが必死に顔を左右に振る仕草が可愛くて、また胸の奥から愛しさが込み上げてきた。
「ニコ、もう、降参だ」
「えっ?アルフレッド様、今、何かおっしゃいましたか?」
「ああ、いや、何でもない。なあニコ⋯、今まで冷たい態度をとってすまなかった。ニコは一生懸命俺に歩み寄ってくれていたのに、俺は自分の気持ちに向き合おうともしなかった。こんな卑怯な男を許してくれるか?」
俺が頭を下げると、ニコがあたふたと慌て出した。
「アルフレッド様!?ぼ、僕が許すだなんて、とんでもないです!僕、怒ってもいないし、全然気にしてません!」
「ニコ⋯、俺はこんなに愛しい者を、どうして今まで無視できていたんだろう」
「えっ⋯?愛しい⋯?」
ニコが目を瞬いて、俺を見つめている。
その表情が可愛くてたまらなかった。
「ニコ、俺⋯」
俺がニコに洗いざらい白状しようとした時、観覧席から出てきた生徒達が、興奮冷めやらぬ様子で通路になだれ込んできた。
「ああっと、ニコ⋯、放課後時間あるか?」
「放課後⋯?あっ、は、はいっ」
「確かめたい事もあるし、教室まで迎えに行くから、待っていてくれないか?」
「はわ⋯」
俺がニコの頭をぽんっと撫でると、ニコは真っ赤になって、何度も頷いていた。
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