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事件から1年が経った。
あの後、ニコが登校するようになると、俺は毎日普通科棟にニコに会いに行った。
ニコを事件のあった騎士科棟に来させなくなかったのと、普通科の生徒に牽制する意味もあった。
学園一強い男の番(まだなってないが)に、手を出す奴はいないだろう。
俺とニコは両家と王家の承諾を得て、婚約を結んだ。学園を卒業すると同時に、タルザニール辺境伯領に帰って、結婚式を挙げる事になっている。
「アルフレッド様、あのぉ、前からお聞きしたかった事があるんですが⋯」
「ニコ、なんだ?」
「あのっ、アルフレッド様は、いつも僕から甘い香りがするっておっしゃいますが、僕のΩのフェロモンが分かりますか?」
「ああ、当たり前だろ?何でそんな事を聞くんだ?」
「実は、僕のフェロモンは弱すぎて誰にも分からないんです。あの時も⋯僕、発情していたのに、オルドー様には分からないようでした」
「いやいや、俺が初めてニコに会った時から、強烈な甘い香りがしていたぞ。俺がどれだけ自分を抑えるのに必死だったか、知らないだろ?」
「はわっ、そ、そうなんですね。やっぱり、アルフレッド様だけ、僕のフェロモンが分かるみたいです」
「番になっていなくても、俺だけしかニコの香りを知らないとか、最高だな。もしかして、それも運命の番が、関係あるのかもしれん」
「運命の番⋯、はい、僕もそんな気がします!」
俺達は無事に学園を卒業した。
辺境領までは、長い旅になる。
伯爵家全員に来てもらうには、あまりにも遠い。
それで伯爵家に負担がかからないように、身近な人を呼んで、王都でも披露宴をする事になった。
酔った伯爵から、婚約を白紙に戻す勢いでニコとの別れを惜しまれて、かなり焦ったが、何故かニコの弟のジークは、俺を神のように崇めていて、唯一結婚を応援してくれた。
色々心配を掛けたレイルは、伴侶と一緒に辺境領まで遊びに行くと言ってくれた。
「ニコ、ここが、我がタルザニール辺境伯領だ。王都よりも寒く感じるだろう?よくここまで俺について来てくれたな。ありがとう、ニコ」
「僕こそ、連れてきてもらえて、嬉しいですっ。わあっ!空気が澄んでて、綺麗な所ですね。ここでアルフレッド様と暮らせるなんて、僕、とっても幸せです」
「ニコ、愛してる」
「アルフレッド様、僕も愛してます」
互いに見つめ合い、そっと触れるだけの口付けをした。
「ごほん、2人共、よく来た。ニコも長旅で疲れただろう。屋敷の皆も待っている。早く中に入りなさい」
「父上、ただいま戻りました」
「うむ、見つけたようだな」
「はい」
「お義父様、今日からお世話になります」
「ああ、ニコ、アルフレッドをよろしく頼む」
「はいっ!」
屋敷に入ると、披露宴さながらのご馳走が用意されていて、皆ニコを大歓迎してくれた。
ニコも感動して、嬉し涙を流していた。
コンコン
「入れ」
「父上、お聞きしたい事があります」
俺は父上にどうしても確かめたい事があった。
長旅で疲れたニコが眠った後、俺は父上の執務室を訪ねた。
「聞きたい事とは、運命の番の事か?」
「やはり、父上は何かご存知なんですね」
「ああ、私と母さんも、運命の番だからな」
「ええっ!?」
「アルフレッド、我がタルザニール家は先祖に竜を持つとされている。その昔、竜が人を番して、生まれた子の子孫が、我がタルザニール家だ」
「竜?」
「ああ、そうだ。竜はその長い生涯、唯一の伴侶としか番わないそうだ。タルザニールの者の伴侶になる者は生まれた時から決まっていて、出会うまで大事に守られていると言う。例えば、番に会うまで発情が来なかったり、フェロモンが他人には感じにくかったり、にわかには信じられないだろうが、本当の話だ。私もお前のおじいさんから聞いた時は驚いた」
「父上、俺は驚いていません。むしろこれで納得しました」
父上は優しく微笑んで、ゆっくり頷いた。
「もしかして父上は、俺が学園に入る時、わざと煽るような事を言ったんですか?」
「ははっ、そうだ。あんな反抗的なお前に、運命の番を探してこいと言っても、聞いてくれないだろ?まあ、私も同じ手でやられたんだがな」
「⋯全て父上の手の平の上だったのか」
「ふっ、お前も親になれば分かるさ」
「⋯⋯」
「ああ、それと、ニコにはもう怪我を治してもらったか?」
「⋯やはりそれも、竜の血ですか?」
「そうだ。不老不死と言われる竜の血が、番に触れられる事によって反応するようだ。だがアルフレッド、ニコがいるからと言って無茶をするんじゃないぞ」
「分かっています」
「アルフレッド、ニコを大切にしなさい」
「言われなくとも」
ニコは生まれた時から俺の番になる事が決まっていたのか。正に運命だな。
「ああ、もうニコに会いたくなった。早く部屋に戻ろう」
俺は走って部屋に戻ると、眠っているニコを抱き締めた。
あの後、ニコが登校するようになると、俺は毎日普通科棟にニコに会いに行った。
ニコを事件のあった騎士科棟に来させなくなかったのと、普通科の生徒に牽制する意味もあった。
学園一強い男の番(まだなってないが)に、手を出す奴はいないだろう。
俺とニコは両家と王家の承諾を得て、婚約を結んだ。学園を卒業すると同時に、タルザニール辺境伯領に帰って、結婚式を挙げる事になっている。
「アルフレッド様、あのぉ、前からお聞きしたかった事があるんですが⋯」
「ニコ、なんだ?」
「あのっ、アルフレッド様は、いつも僕から甘い香りがするっておっしゃいますが、僕のΩのフェロモンが分かりますか?」
「ああ、当たり前だろ?何でそんな事を聞くんだ?」
「実は、僕のフェロモンは弱すぎて誰にも分からないんです。あの時も⋯僕、発情していたのに、オルドー様には分からないようでした」
「いやいや、俺が初めてニコに会った時から、強烈な甘い香りがしていたぞ。俺がどれだけ自分を抑えるのに必死だったか、知らないだろ?」
「はわっ、そ、そうなんですね。やっぱり、アルフレッド様だけ、僕のフェロモンが分かるみたいです」
「番になっていなくても、俺だけしかニコの香りを知らないとか、最高だな。もしかして、それも運命の番が、関係あるのかもしれん」
「運命の番⋯、はい、僕もそんな気がします!」
俺達は無事に学園を卒業した。
辺境領までは、長い旅になる。
伯爵家全員に来てもらうには、あまりにも遠い。
それで伯爵家に負担がかからないように、身近な人を呼んで、王都でも披露宴をする事になった。
酔った伯爵から、婚約を白紙に戻す勢いでニコとの別れを惜しまれて、かなり焦ったが、何故かニコの弟のジークは、俺を神のように崇めていて、唯一結婚を応援してくれた。
色々心配を掛けたレイルは、伴侶と一緒に辺境領まで遊びに行くと言ってくれた。
「ニコ、ここが、我がタルザニール辺境伯領だ。王都よりも寒く感じるだろう?よくここまで俺について来てくれたな。ありがとう、ニコ」
「僕こそ、連れてきてもらえて、嬉しいですっ。わあっ!空気が澄んでて、綺麗な所ですね。ここでアルフレッド様と暮らせるなんて、僕、とっても幸せです」
「ニコ、愛してる」
「アルフレッド様、僕も愛してます」
互いに見つめ合い、そっと触れるだけの口付けをした。
「ごほん、2人共、よく来た。ニコも長旅で疲れただろう。屋敷の皆も待っている。早く中に入りなさい」
「父上、ただいま戻りました」
「うむ、見つけたようだな」
「はい」
「お義父様、今日からお世話になります」
「ああ、ニコ、アルフレッドをよろしく頼む」
「はいっ!」
屋敷に入ると、披露宴さながらのご馳走が用意されていて、皆ニコを大歓迎してくれた。
ニコも感動して、嬉し涙を流していた。
コンコン
「入れ」
「父上、お聞きしたい事があります」
俺は父上にどうしても確かめたい事があった。
長旅で疲れたニコが眠った後、俺は父上の執務室を訪ねた。
「聞きたい事とは、運命の番の事か?」
「やはり、父上は何かご存知なんですね」
「ああ、私と母さんも、運命の番だからな」
「ええっ!?」
「アルフレッド、我がタルザニール家は先祖に竜を持つとされている。その昔、竜が人を番して、生まれた子の子孫が、我がタルザニール家だ」
「竜?」
「ああ、そうだ。竜はその長い生涯、唯一の伴侶としか番わないそうだ。タルザニールの者の伴侶になる者は生まれた時から決まっていて、出会うまで大事に守られていると言う。例えば、番に会うまで発情が来なかったり、フェロモンが他人には感じにくかったり、にわかには信じられないだろうが、本当の話だ。私もお前のおじいさんから聞いた時は驚いた」
「父上、俺は驚いていません。むしろこれで納得しました」
父上は優しく微笑んで、ゆっくり頷いた。
「もしかして父上は、俺が学園に入る時、わざと煽るような事を言ったんですか?」
「ははっ、そうだ。あんな反抗的なお前に、運命の番を探してこいと言っても、聞いてくれないだろ?まあ、私も同じ手でやられたんだがな」
「⋯全て父上の手の平の上だったのか」
「ふっ、お前も親になれば分かるさ」
「⋯⋯」
「ああ、それと、ニコにはもう怪我を治してもらったか?」
「⋯やはりそれも、竜の血ですか?」
「そうだ。不老不死と言われる竜の血が、番に触れられる事によって反応するようだ。だがアルフレッド、ニコがいるからと言って無茶をするんじゃないぞ」
「分かっています」
「アルフレッド、ニコを大切にしなさい」
「言われなくとも」
ニコは生まれた時から俺の番になる事が決まっていたのか。正に運命だな。
「ああ、もうニコに会いたくなった。早く部屋に戻ろう」
俺は走って部屋に戻ると、眠っているニコを抱き締めた。
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