閨係の恋~高貴な方の閨係に選ばれた僕は、愛する人と幸せになります~

まんまる

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第一夜 王太子殿下の閨係に選ばれた豪商男爵家令息、下賜された公爵に溺愛される

本編 ※R15

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「ここでは自由にしてもらって構わないが、私に愛は求めないでくれ」



この国の男爵家の三男に生まれた僕は、今年学園を卒業して、忙しい家業を手伝っている。
僕の父様は国で一番と言われる大きな商会を営んでいて、ありとあらゆる物を取り扱っている。国中の貴族から平民まで、うちの商会で買い物をした事がない人がいないと言われている程だ。


「ココ、よく聞きなさい。お前が王太子殿下の閨係に決まった」
「えっ⋯?」

ある日、仕事をしていると父様から呼ばれて会長室まで行くと、とんでもない事を言われ、言葉を失った。

「父様、どういう事⋯?」
「王家の使いが言うには、元々閨係に決まっていた令嬢がいたんだが、その令嬢、まだ王城に上がってもいないのに、王太子と閨を共にしたと自慢気に吹聴して回り、王家に迷惑を掛けているそうなんだ」
「そんな⋯、そもそも閨係は墓場までその秘密を持って行くと聞いた事があります」
「その通りだ。貴族ならそんな事は誰でも知っている」
「それで、その令嬢はどうなったんですか?」
「ああ、いつの間にか見なくなったそうだ。おそらく、辺境の修道院にでも入れられたんだろう」
「そうですか⋯。ん?父様、でもそれと僕が閨係になるのと何の関係があるんですか?」
「今回の件で殿下は、令嬢だとまた同じ事になりかねないと危惧されているそうだ。だから、お前に白羽の矢が立ったと。男なら万が一にも身篭る事もないからと」
「⋯父様、そこまでの話があったと言うことは、僕に断る道はないのですね?」
「ああ、すまない、ココ。受けてくれるか?」
「はい、分かりました」



ひと月後、日が落ちてから迎えに来た王家の迎えの馬車に乗り、僕は王城に入った。

表情一つ変えない王家の侍女に体を磨かれ、薄い羽織を一枚着せられると、大きなベッドのある部屋に通された。

男爵家と言えど、僕も貴族だ。もう覚悟はできている。でも、本物の恋もまだ経験していないのに、閨事をする事に抵抗がない訳ではない。
そんな事を考えていると、入り口の扉が開かれ、眩いオーラを放つ金色の髪の男性が入ってきた。

僕はひざまずいて顔を伏せた。

「ああ、そんな事しなくていい」

声さえもオーラをまとったその人は、間違いなく王太子殿下だった。
僕は跪いたまま、顔だけを上げた。

「君は男爵家のココだね」
「はい、殿下」
「いきなり驚いただろう?」
「⋯はい」
「ははは、君は正直だね。⋯それに、誠実で口が堅そうだ」
「えっ?」


その日、僕は殿下と閨事どころか、指一本触れられる事はなかった。

そして僕を閨係に選んだ本当の理由を、殿下から聞かされた。

「ココ、公爵家のライアンを知ってるかい?」
「お名前だけは、存じております」
「そうか。ココ、君にライアンと結婚してもらいたいんだ」
「結婚?」
「ああ、そうだ。ライアンの母はライアンの弟を産んだ後、産後の肥立ちが悪く、儚くなってしまった。前公爵はそれ以来床に伏せがちになり、後を追うように亡くなってしまった。ライアンは若くして公爵を継いで随分苦労をしていてね。だけど、自分は結婚せずに、弟に爵位を継がせると言って、私が薦める令嬢をもう何人も断っているんだ」
「⋯⋯」
「私も嫌だと言うのに無理強いはしたくなんだが、ライアンには幸せになってもらいたいんだ。大切な臣下だからね」

殿下は眉根を下げ、ライアン様を心から心配していらっしゃるご様子だった。

「ココには、私の閨係を下賜するという形で、ライアンと結婚して欲しんだ。君となら跡継ぎの問題も起きないし、責任感の強いライアンなら、必ず首を縦に振るはずだ」
「申し訳ありません、殿下。混乱してしまって、何と申し上げたらいいのか⋯」
「ああ、無理を言っているのは百も承知だよ。ココも私の大切な臣下だ。もちろん断る権利がある。だけど、ココ、君にライアンを幸せにして欲しんだ。私は君にしかできないと思っている」

殿下は僕の目を真っ直ぐに見て、今にも頭を下げようとされている。
僕は気付いたら、はいと返事をしていた。


「王家の閨係はここであった事を決して口にしてはならないが、君がもし辛い時は、全てを打ち明けても構わないからね」

最後に殿下はそう言って、僕に暖かな毛布を肩から掛けてくださった。



「初めまして、ライアン様。これからお世話になります、ココです」

「はぁ、殿下にも困ったものだ。ここでは自由にしてもらって構わないが、私に愛は求めないでくれ。君も割り切ってここへ来たんだろう?」

初めて会ったライアン様は、まだ25歳という若さで見る者を圧倒する程の公爵の風格を身にまとった黒髪碧眼の美丈夫だった。

僕がやっとの事で挨拶を口にすると、ライアン様は少し煩わしそうに僕にそれだけ言うと、踵を返して足早に去っていかれた。


ライアン様とは公爵家に来た日にお会いしただけで、それからひと月、一度も会う事はなかった。


「ココ様って、殿下の閨係だったんでしょ?きっと実家のお金にものを言わせて、ライアン様と結婚したのよ。ライアン様かっこいいから」

「閨係なんて聞こえはいいけど、結局愛してもないのにお金で簡単に体を開く軽い人間って事でしょ」

「臣下に下賜だなんて、ていのいい中古品の払い下げじゃない。そんなのに利用されてライアン様もお気の毒だわ」


最初こそ腫れ物に触るような扱いをいていた公爵家の使用人だったけど、僕がライアン様に無視されているのを見て、最近では堂々と僕の酷い陰口を言うようになった。

どこに行っても陰口が聞こえてきて、公爵家に僕の居場所は無くなっていった。



「はぁ、僕、どうしたらいいんだろう」

最近、裏庭に綺麗な花壇があるのに気付いて、僕はよくここで花を眺めて時間を潰すようになった。

「ここの花はいつ来ても綺麗だなぁ。ここに来ればちょっぴり嫌な事を忘れられる気がする」

ガサッ

僕が思わず本音を漏らした時、僕の後ろで物音がした。

聞かれたかもしれないと思い、恐る恐る後ろを振り向くと、そこにはちょうどライアン様をそのまま小さくしたような、5歳くらいの黒髪碧眼の男の子がキョトンとこちらを見ていた。

「もしかして、ルーク様ですか?」

この方が、ライアン様の弟だと見てすぐに分かった。僕が公爵家に来た時、結局ルーク様は紹介していただけなかったから、今日が初対面になる。

「そうだよ。あなたは、もしかして、兄様のお仕事の人?」
「あっ、そういう訳ではないと言いますか⋯」
「なんか怪しいぞ」
「ルーク様、僕は怪しくないです!」
「いや、怪しい、じゃあ僕が騎士団になるから、君⋯えっと、名前は何?」
「僕はココと言います」
「よし、ココは今から泥棒だよ。僕から逃げて」
「えっ!?」

ルーク様は言うが早いか僕に突進してきた。
僕は慌てて庭を逃げ回った。

「やあい、泥棒!待てぇ!」
「はぁはぁ、だから、泥棒ではありません!」
「待て待てぇ!」
「はぁはぁ、もう、無理です、ルーク様」

僕は汗でシャツがびっしょりになり、疲れてもう走れなかった。

「ちぇっ、もう終わり?」
「はぁはぁ、申し訳ありません」
「ふふっ、でも楽しかった!いつも侍女は鬼ごっこやってくれないから」
「そうですか。お役に立てて良かったです。はぁはぁ⋯」
「ココ、明日も遊ぼ!」

僕は久し振りに人から笑顔を向けらたのが嬉しくて、ルーク様と明日も遊ぶ約束をして部屋に戻った。

次の日、裏庭で待っていると、ルーク様が昨日と同じ満面の笑顔で走って現れた。

「ココ!」
「ルーク様!」
「ココ、今日は何して遊ぶ?」
「うぅん⋯、あっ、公爵家には大きな図書室があるって聞きました。ルーク様、僕に図書室を案内してまらえませんか?」
「うん、いいよ!僕、おうちの事なら何でも知ってるよ!」
「ふふっ、ではお願いします」


「わぁ、本がたくさんありますね!むぐっ⋯」

ルーク様に案内してもらった図書室に入ると、本独特の古い紙の香りがして、棚には見た事もないような古い本がたくさん並んでいた。僕は嬉しくなって興奮してしまい、つい大きな声を出してしまって慌てて口を押さえた。

「ココ、図書室には僕達だけしかいないから声を出しても大丈夫だよ」
「そうなんですか?」
「ここにはあんまり人が来ないんだ。僕が生まれる前、母様がよく来てたって聞いた事はある」

ルーク様は寂しそうな顔をして瞳を潤ませ、図書室をぐるりと見渡した。

「⋯そうですか。ルーク様、では、図書室を探検しましょうか?」
「探検?うん!するっ!」

僕達は図書室の奥の奥まで行って珍しい本を探し出しては、手に取って一緒に見て楽しんだ。

「ルーク様、僕の家は商売をしていて、何でも取り扱っているんです。珍しい外国の物もありますよ。あっ、この前、ちっちゃい馬の品種の赤ちゃんがうちに来て、それがとっても可愛いんです!馬なのに犬くらいの大きさなんです」
「ちっちゃいお馬さん!?見たい!」

僕が身振り手振りでルーク様に説明するのを、ルーク様は瞳をキラキラと輝かせて聞いていた。


「ルーク様?」

図書室で座って二人で本を読んでいたら、隣でルーク様がうとうとし始めた。
ちょうど窓から暖かな日差しが差し込み、ぽかぽかして気持ち良かった。

僕はルーク様をしばらく膝の上で抱き締めていたけど、子供の高い体温と暖かな日差しに負けて眠たくなってきた。
足元のふかふかな絨毯がベッドに見えてきて、いけないとは思いながら、ルーク様を抱き締めたまま、絨毯の上に寝転がってそのまま眠ってしまった。


あれ⋯、何だかふわふわする。
母様に抱っこされてるみたい。
ふふっ、おかしい。もう僕、大人なのに。

「ふふっ、母様⋯、むにゃ⋯」



「ん⋯、ここは⋯、あれ⋯図書室じゃない⋯」

図書室で眠ってしまったのに、目が覚めたら見知らぬベッドの上で目を覚ました。

「あっ、ルーク様っ!どこですか!?」

「ルークは侍女に預けた」

「えっ!?ライアン様⋯?」

僕はルーク様が見当たらず、慌てて体を起こそうとして、誰かに抱き締められている事に気付いた。そおっと顔を上げると、目の前に直視できない程の美しい碧眼があって、僕をじっと見つめていた。

「あっ、申し訳ありません!」

僕が慌ててライアン様の腕から離れようとすると、逆にもっと強く抱き締められてしまった。

「ラ、ライアン様!?離してください!」

「最近、ルークと遊んでくれてるんだろ?」
「えっ?あっ、はい⋯。ルーク様はとてもお元気で、聡明な方ですね」

僕はライアン様に抱き締められたまま質問をされ、戸惑いながらも必死に答えた。

「公爵家の者は皆、ルークにどう接していいのか分からないんだ。恥ずかしいが、私も含めてな」
「そうなんですね⋯。でもお母様を亡くされたのはルーク様だけではありません。ライアン様も同じではありませんか。だからご兄弟、同じ痛みを持ってらっしゃるはずです。一度お話されてみてはいかがですか?とても素直で可愛らしい方ですよ。それに、ルーク様がライアン様のお話をされる時、とっても嬉しそうな表情をされるんです。ふふっ、きっとすぐにライアン様の心配なんて飛んで行ってしまいますよ」

ライアン様は瞳を大きく見開いて、驚いたように僕の顔を見た。
何故かその美しい碧眼が潤んでいるように見えて、思わず目を逸らした。

「あっ、あの、ライアン様。そろそろ離してもらってもよろしいですか?」

「駄目だ」

「えっ⋯?」

ライアン様の顔が近付いてきたかと思ったら、唇を激しく奪われていた。

「ラ、ライアンさ、ま、ん⋯、ふぅっ、ん⋯」

咄嗟にライアン様を押し返して離れようとしたけど、僕の力ではライアン様に敵うはずもなく、きつく抱き締められたまま、唇を貪られた。

「あっ⋯、ふっ、んん⋯、ラ、イアン様、もう、苦し、い、です」

ライアン様は僕が苦しんでいるのに気付いて、ようやく唇を解放してくれた。

「はぁはぁ、ライアン様、なぜ⋯」

「ココ」

初めてライアン様から名前を呼ばれ、大袈裟な程僕の体はピクリと跳ねた。
ライアン様は眉間に皺を寄せ、今にも泣きそうな顔でそんな僕を見た。

「ココは殿下にどうやって抱かれた?」
「えっ⋯?」
「口付けさえおぼつかないココを、殿下は無理矢理抱いたのか?」

ライアン様は、思ってもいなかった事を問い掛けられて驚いている僕の肩に手を置き、そっと体を離した。

「殿下から、どこをれられた?」
「えっ⋯?あっ、やっ、ライアン様、何を⋯!」

ライアン様は、僕のシャツを一気にめくり上げ、胸の尖りを指で摘んでねた。

「ここはどうやって気持ち良くしてもらった?指か?舌か?」
「あぁっ、いやっ、ライアン様、お願いです、やめてください!」
「殿下には許したのにか?」
「あっ⋯、それは⋯」

はっきり答えない僕を、苛立ちながら上から見据えるライアン様の碧眼を見つめていたら、あっという間に体をうつ伏せにされた。

「ライアン様!?あぁっ!やぁっ!」

ライアン様は僕の下穿きの中に手を入れ、自分でも触れたことのない奥まった窄まりに指を這わせた。

「何故、そんなに驚く?ここを殿下に許したんだろ?ここで何度殿下を受け入れた!」

ライアン様はとうとう苛立ちを直接僕にぶつけてきた。

その時、ライアン様が指を這わせる窄まりに、鋭い痛みが走った。

「痛っ!あぁっ、痛い、痛、い、ライアン様、許してください、うぅっ⋯、ぐすっ⋯」

ライアン様に窄まりを乱暴に広げられ、僕はこらえ切れずに、涙を流してしまった。

「痛い?まるで初めてのよう⋯な⋯まさか⋯」

ライアン様は痛がる僕を見て目を見開いた。

僕は痛みと恥ずかしさで耐えきれなくなり、目を見開いて固まるライアン様を押しのけて、走って部屋を出ていった。

「待つんだ!ココ!!」

ライアン様の伸ばした指先が僕のシャツに触れたけど、掴もうとする寸前で虚しく空を切った。



「ぐすっ、ライアン様、急にどうしたんだろう?お昼は確かルーク様と図書室にいたはずなのに、気付いたらライアン様のお部屋で抱き締められてて⋯それから⋯」

僕は知らないうちに裏庭に来ていた。
沈む夕日を見ながら自分の身に起こった信じられない出来事を口にすると、とめどなく涙が溢れてきた。

「怖かった⋯、うぅ⋯、ぐすっ」

僕は結局日が沈むまで裏庭にいた。


「はぁ、屋敷に戻らないと。⋯でも、僕がいなくなっても誰も気付かないかもしれない」

自分で言って、また涙が出てきた。
僕は裏庭の端に置いてあるベンチの上に乗り、膝を抱えて丸くなった。
沈んだ夕日の代わりに夜空を照らす月を見ていたら、もうすっかり夜になってしまった。

バタバタ バタバタ

その時、屋敷の方から走り回る何人もの足音が響いてきた。

「何かあったのかな?」

僕はどこか他人事のように響いてくる足音を聞きながら、ぼーっと月を眺めていた。


ガサッ ガサガサ

「ココ!!」

「うわぁん、ココっ!」

「ライアン様!?ルーク様!?どうして⋯?」

僕が二人の名前を呼んだ刹那、ライアン様とルーク様から同時に抱き締められていた。

「無事で良かった、ココ」

「ココっ!いなくなったらヤダっ!ぐすっ」

「ライアン様、ルーク様、もしかして、僕を探してくださったんですか⋯?」

「ココ、すまなかった。あんな酷い事をして、許してもらえないかもしれないが、どうか私の元に戻ってきてくれないか?」
「僕、公爵家にいていいんですか?」
「当たり前だ」
「でも、僕、皆に嫌われているから⋯」

バタバタバタバタバタ 

「「「ココ様っ!申し訳ありません!!」」」

「皆⋯」

「私のココに対する態度が使用人にも悪い影響を与えていたようだ。すまない、ココ。全て私のせいだ」

僕の前には、ライアン様と公爵家の使用人が勢揃いしていて、一斉に僕に頭を下げた。

「やめてくださいっ!僕、気にしてませんから」

僕が慌てて両手を振って止めても、誰も頭を上げてくれなかった。
すると執事長がすっと頭を上げて、申し訳なさそうに眉根を下げて僕を見た。

「ココ様、使用人一同の無礼は全て私の責任です。いくら勘違いだったと言っても、許される事ではありません」
「勘違い⋯?」
「はい。ココ様は殿下の閨係ではなく、閨係のお世話係だったとライアン様から伺いました」
「閨係のお世話係⋯?」

僕は執事長の言った言葉を繰り返しながらライアン様を見た。

僕と目が合ったライアン様は、苦笑いしながら頭を掻いて、パチっと僕に目で合図をした。




「ココ、本当にすまなかった。何があったか、私に全てを打ち明けてくれないか?その⋯、ココはまだ誰とも触れ合った事がないんだろう?」

裏庭での一幕の後、僕はライアン様とルーク様から左右を固められ屋敷に入った。

泣き疲れて眠ってしまったルーク様を侍女に任せて、僕はライアン様のお部屋に連れてこられた。

「ライアン様、僕、殿下から、辛い時はライアン様に全て話してもいいと言われていました。でも、もし話しても、それでも嫌われたままだったらって、思ったら、ぐすっ、言えませんでした」

「ココ、こんなに健気なココに、私はなんて事をしてしまったんだ⋯」

ライアン様はそう言って、泣きじゃくる僕を優しく抱き締めてくれた。

僕はライアン様の胸の中で、ぽつりぽつりとずっと秘密にしていた事を打ち明けた。

殿下と会ったあの夜から、鉛のように僕の胸の中に沈んでいた黒いものが、ふっと消えて無くなった気がした。


「はぁ、殿下も何もこんな回りくどい事をしなくても、私がココを気に入っている事をご存知だったろうに」
「えっ⋯?ライアン様、今何と仰いましたか?」
「ココ、私も秘密を打ち明けるよ」
「秘密?」
「ああ、ココは覚えていないかもしれないが、私達は一度会ってるんだ。今から2年前、ココがまだ学園の生徒だった時、商会の手伝いで王城に来たことがあっただろう?」
「あっ、確か、殿下が式典で身につけられる宝石を持って父と伺った時ですか?」
「そうだ。その時、私もあの部屋に殿下の側近としていたんだ。その時、ココを見て思わず可愛いと呟いたのを、殿下に聞かれてしまってね」
「えっ?」

僕はライアン様からいきなり可愛いと言われ、真っ赤になってしまった。

「ココ、可愛い」
「はわっ」
「ココ、可愛い」
「はわわっ」
「ああ、もう!たまらん!」

ライアン様は僕を思い切り抱き締めて、殿下に嫉妬して僕に酷い事をしてしまったと、何度も何度も謝ってくれた。

こんなに立派な公爵なのに、本当はとても不器用な人なんだと思うと、僕の胸に愛しさが込み上げてきた。

僕が絶対この人を幸せにしてあげたいと思った。





あの綺麗な裏庭は、前公爵が夫人の為に作らせた庭だとライアン様に教えてもらった。


「ふふっ、ルーク様、お庭綺麗ですね」

「ルーク、ココから離れなさい」
「いぃ、やぁ、だっ!だって兄様は寝る時ずっとココと一緒でしょ!」
「うっ⋯、私達は夫夫だから当たり前だろ」
「僕知ってるんだから!兄様、夜にココをいじめて泣かせてるでしょ!」
「ぶっ!ルーク!まさか覗いたのか!?」
「違うよ。だって兄様のお部屋、夜は鍵がかかってるんだもん。だから僕、ココの声が聞きたくて壁に耳を当てて聞いたの。そしたら、ココがあんあん泣いてたんだ」

「なっ、なっ、い、いやああぁぁぁ!!」

「「ココ!?」」


真っ赤になって震える僕を、ライアン様とルーク様は、お互いを押しのけ交互に僕を抱き締めた。




終わり

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