ツンデレの取扱説明書

多分 空

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なんでいるんだろう

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 なんでだろう、、、なんでいるんだろう。僕の部屋に女の子がっ、、、!!
 時は三時間前に遡る

 僕の名前は服部智。高校二年生だ。それといった特徴があるわけでもなく、生まれてこの方、毎日を平凡に過ごしている。今日も普通に起きて、学校に行って、授業を受けて、友達としゃべって、バカやって、部活をして、帰って寝る。そんな一日だと思っていた。

 キーンコーンカーンコーン
毎日、腐るほど聞いているチャイムも、帰るとなれば話は別だ。学校が終わるときのチャイムの音を聞くと心が自然と軽くなるのを感じる。しかも今日は金曜日、さらに、好きなゲームのアップデートで課金しようと考えている。楽しみで楽しみで友達の話も頭に入らず、教室の前で友達を振り切って階段を駆け下りていった。いつもは混んでいる下駄箱だって不思議と混んでいる様子はなかった。
上履きから靴へかかとを踏んで履き替えた。
「すいててラッキー」
この時まではそう思っていた。これから大変なことになると知らずに、、、。

 僕の家はマンションだ。学校からは徒歩十分。比較的新しいマンションで、僕が小学四年生の時に引っ越してきた。家は三階、中心に位置している。ちなみに家族構成としては、僕と、いつもラブラブで少し抜けている両親、そして、反抗期真っただ中のマセてる妹の四人家族だ。四人で暮らしているけれど今の家を狭いと感じたことはない。家までそこまで時間がかかるわけではないけれど、さっさと帰って、さっさと課金したい。その一心で足を動かした。エレベーターのボタンを連打して、カギを出し、扉を勢い良く開けた。カバンを投げて、私服に着替えた。コンビニでプリペイドカードを買いに行こうとして時、
 ピンポーン
インターホンが家に鳴り響いた。ビクッとしたが、宅配便だと思った。しかし、宅配便なら、マンションの玄関で、確認を取ってから来るはずだ、なら近所の人だと思った。ドアを開けるとそこには、
女の子が立っていた。
 そして今に至る
 
 彼女の名前は中条澪。僕と同じ高校二年生。同じ高校に通っている。なぜ家《うち》に来たのかというと彼女曰はく
「パパとけんかして家出して来た」
らしいが、家出してからと言って家《うち》に来るのは意味が分からない。そして、家《うち》にきた理由としては
「女友達の家は結構厳しめの家が多く、しかも遠い。ホテルもお金がないので長く住めない。深夜うろつくのは危ない、だから、同じマンションである僕の家に来た。」
と言っていた。彼女の親も
「ご迷惑をおかけしていてすみません。ですが、父親が謝るまで家に入れないと言っていて、少し娘を預かっていてください。」
だと。しかも、家《うち》の親は、
「別にいいですよ。息子も冷たく、娘も反抗期なんで」
なんて言って、すんなり中条を家族として向かい入れた。そして、自分の部屋が彼女に占領された。
「あの、、、なんで、、、僕の部屋なんですか?」
僕は聞いた。すると
「はぁ?!なんであんたがいんのよ?」
全く予想もしていない言葉で返された。それは僕の部屋だからだ。それ以外に何がある そう言い返してやろうとしたときに
「早く出て行ってくれない?一緒の部屋にいるだけで鳥肌が立つのよ」
冷たい表情でこう言われた。僕の部屋は彼女のキャリーケースと荷物で大半を占めていた。仕方なく部屋を出ていくしかなく、今日はリビングで寝ることにした。リビングに敷いてあるカーペットの上で毛布をくるんで寝ころんだ。人がいたときに比べて、熱気は無く、シーンとしている。ほのかに残る暖房の温かみだけが唯一の救いだった。そして、寝転びながらずっと考えていた。
「なんで居候させてやってる側が、居場所を追い出されているんだろう」
と。そう思っているうちに無性に腹が立ってきた。
「そうだ、あいつがここで寝るべきだ。僕の部屋から出てけ!!」
そう、あいつに言ってやるため、毛布をはがして、僕の部屋へ向かった。
ガチャ
思いっきりドアを開けた。その時だった
「うるさい、、、なにしてんの?」
左斜め後ろからこう言われた。ハッと振り返ると、妹の姿があった。しかも、流石に騒がしかったのか、中条も起きてきた。
「みおちゃん!!こいつが部屋覗いてたよ」
妹が言った。
「そんなわけないだろ!誤解だ!」
そうはいってみたものの、聞く耳なんて持ってもらえず、中条から冷たい表情で一言。
「きもちわるっ」
さらに、既に中条と仲良くなっていた、妹からも
「最低。もう家族としてなんて見たくない。話しかけても来ないでね。」
と言われ、
「みおちゃん。これからも、こいつがみおちゃんに変なことしたら言って。ママに言いつけとくから」
と言い放ち、妹は部屋に帰っていった。僕は、冷たい廊下を素足で音を立てるように歩きながらリビングへ向かう。腹立たしいなんて感情は無くなっていて、なんか空腹のような、違うような、でもそんなことのない寂しさがあった。音のない、暗いリビングも暖房の温かみなんて消えていた。きっと、ドアを開けっぱなししていったからだろう。そう信じよう。そうして、深い眠りへと落ちた。  

 気づけば朝だった。僕は小刻みにリズムを奏でて聞こえる、包丁の音で目を覚ました。ふんわりとした食パンの焼けるにおいに混ざり合う味噌汁のいい匂いが、僕の目を見開かせた。既に日は登っていて、リビングの大きな窓から、晴天の青空が広がっていた。清々しい思いがあり、昨日のことは夢なんだと心を震わせた。
「良かった。僕の居場所がなくなるなんて夢だったんだな。中条もこの家にいない。」
そうつぶやいた矢先、
「おはようございます」
聞きなれない声が後ろから聞こえた。とっさに振り向くとそこには、中条の姿があった。
「噓だ、、、」
声にならない声が出た。こうして僕はこの家で居場所をなくし、これから地獄のような日々が始まった。そして、これが中条澪との出会いだった。






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