女4人の素敵な関係

上野蜜子

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タチネコ1年生編

タチツバ いざ美術館

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待望の土曜!!

「おっすタッチー」

「お、おっすツバキ」

いつもヘッドホン越しに聞こえるツバキの声が生の音声で聞こえてくること、いつもゲーム内で遊んでいるツバキ本人が目の前にいることになかなか慣れず、ツバキに会う時は最初なかなか顔を見ることができない。

そんなことは年上のツバキには全てお見通しのようで、グーで頬をむにっと押し上げてきた。

「あんたって会う時いつも緊張した顔するよね。緊張するような関係でもないでしょうに」

「そ、それ気付いても言わないでよ、なんて反応したらいいか分からないでしょ!」

「くく、かわいい子。よし行くぞ、あたしたちの聖地へ」

真っ黒で艶のある癖っ毛をくるんとなびかせてツバキが進む。

「…ねえ、良い物って何?全然教えてくれないけど」

「何が良い物かは人によって違うから…ま、じっくり吟味しましょう!良い物を!!」

ズンズン迷いなく進んでいくツバキ…。

マップも見てない。ってことは、ツバキにとって相当行き慣れたところってこと…!?

ツバキはご機嫌の様子で、楽しそうに来週のゲームのアップデート情報について語っている。

相槌を打ちながらついていくと、辿り着いたのは…行ったことがなくてもこのアングラな外見で分かる…そう、アダルトグッズショップ…!

「な!こ、これ!私、入っていいの!?」

「いーの!行くよ!迷子にならないよーにしっかりついてきな!」

ええーー!?

ザッと迷いなく入店していくツバキ!

いや、たしかに18歳未満ではないけども!これ、えーー!?私、こんなとこ入っちゃって本当にいいの!?

だってなんか、女の人の裸の絵が描かれたパッケージの怪しげな商品がそこかしこに飾ってあるんですけど!?やばい、身ちゃいけないもの見てる!あんま周り見ないようにしよ…!

「ここらへんだね。さあ、探そう。ヘヴンを」

ツバキが指差したそこは、女性用のアダルトグッズが陳列されたコーナー…

「う、うおお…」

カラフルでギラギラしてて、光ってるし回ってるし、なにこれ、これ、生々しいっ…!

「よく見てタッチー。ちんちんなんかと全然違うよ。これはね、芸術なの」

「げ、芸術…!?」

「ここにあるのはね、いかに女にとって手に取りやすく、満足させるか研究し尽くされた宝ばかりなの。各企業の汗と涙が染み込んだ芸術品なの。いわば、男の汚い欲望から切り離された存在なわけ。タッチーの敵じゃない。どれも余すことなくタッチーの相棒になる可能性を秘めてるの」

「て、敵じゃない…」

「そうです。本日は、この中からタッチーにぴったりのスペシャル玩具を見つけて行きたいと思います」

ごくりっ…

「け、けど私、こういうの使ったことも触ったこともないし…!」

「最初はまあ、フィーリングだわね。そして私のレビューを参考にすべし」

「れ、レビューって…」

すごく誇らしそうな顔でこっちを見下ろしてくるツバキ。

この人なんでアダルトグッズショップでドヤ顔してんの…?

「これは持論なんだけどね、人生において必ずしも男が必要になるとは限らないのよ」

「そ、そうなの?」

「もちろん社会や日常に付随する男性の役割は必要よ。男叩きとか女尊男卑とかそういう社会的な問題の意味じゃなくて、自分の人生ね。コアになる部分に、私は男は必要ないと思ってる。あくまで私はだけど」

「えと、あの、ツバキは…結婚したいとか彼氏欲しいとか、思ったりしないの?」

「思わないよ、元々男は別にそんな好きじゃないんだよね」

あ、これココも同じこと言ってたな…。

「タッチーはさ、やっぱ彼氏彼女って関係が理想?」

「理想っていうか、そうしなきゃいけないのかなって…。もうすぐ20歳になるのに、誰とも付き合ったことないのはどうなんだろうって…」

「それはさ、自分でそう思ったの?」

「ううん…あの、あの時の先輩にそう言われて」

フーッと息を吐くツバキ。

「タッチー、よく聞いて。これから先のタッチーの人生で、何歳までに結婚しろとか子供産めとか何人産めとか言ってくる奴は絶対いるの。そういう時に、自分の人生の選択肢を相手に揺らがされちゃダメ。そういうこと言われた時にはあたしのこと思い出して」

「う、うん」

「人に言われたから自分の人生こうしなきゃなんて、思う必要全くないからね。私に対してもそうだよ。タッチーはタッチーが生きたいように生きて良いの。人の意見も大事な時はあるけど、自分で決めて良いんだからね」

「自分で、決める…。ツバキは、今までずっと自分で生き方を決めてきたの?」

「そうだよ。あたしは誰に何言われても、あたしの人生を変える気はないから」

「ツバキ、強い…!私、流されやすいしいつもブレブレなんだよね」

「タッチーが流されやすいなんて思ったことないし、あたしだって日々ブレてるよ。けど逆に誰かに何か言われて変われる部分っていうのは、自分にとってあんまり大事な部分じゃないって思うことにしてる」

ツバキ、かっこいい…

ここがこんなアダルトな場所じゃなかったら、もっと感動するんだけど…。

「話が逸れたね。とりあえず処女用にオススメなのいくつかピックアップするから、気になるのがあったら遠慮せず言いなさい」

「は、はいっ…!」

「タッチーは中に興味がありそうなので、今日は外側だけでなく挿入するものをメインでご紹介いたしますね。これは周囲計が小さめだから指と同じ感覚で入るけど、たださきっちょが震えるだけであんま気持ち良くない。こっちは中イキトレーニング用って感じで外からも中からも良い刺激。こっちは小さいから扱いやすいけど、初心者には刺激が強すぎる…」

全く恥ずかしげもなく淡々と目の前に広がる玩具の紹介をしてくるツバキ。

うう、人目がなくてちょっと安心…。

順々に玩具の説明をされてるけど、ツバキってもしかして全種類使ったことある感じ…?

その指をさされてきた中で、ぱっと目に止まったものがあった。

「あ、これ…」

「お?これはオルガちゃんだね。気になる?」

パッケージもかわいらしくて、パステルカラーのつるんとした透明なボディに、何か惹かれる…

パステルカラーでこの透明感…なんかグミとかゼリーみたいで美味しそう……じゃなくて!

「なんかこれ、生々しくなくてちょっとカワイイ…」

「わかる!かわいいよね、買ってみる?」

「えー?けどさ、やっぱり道具使うなんて上級者過ぎない?」

「んなことないよ。他には?気になるのない?」

「他はなんかちょっと凶悪すぎて怖いかなぁ…この空間自体がちょっと居心地悪いし」

「そだよね、初めてだもんね。何色が好き?」

「ピンク好き!」

「よし、行くか」

さっとピンク色のオルガさんを持ってレジに向かうツバキ。

「え!?ちょ、ちょ!」

「使う使わないは別として、ピンとした物持っておくに越したことないから!大丈夫、これは大変素晴らしい商品だから!」

「そ、そういうもんなの!?」

「よく考えてみな、タッチー。自分を大事にするっていうことの中には、こういう自分に合うものを持ってるってことも含まれると思わない?」

そんな大事そうな決め台詞を、手におもちゃ持って真剣な眼差しで…!?

説得力が半減だよツバキ!こんな感じで初おもちゃデビューを果たしちゃって大丈夫なの!?自分を大事にするって、こういうことなの!?そうなの!?



「ありがとうございましたー」

サクッと買ってもらっちゃった…。

こっちはドキドキバクバクMAXで挙動不審なのに、

ツバキは平然としてるしレジのお姉さんもプロの笑顔でサクサク処理してた…

なんか…すごい世界に足を踏み入れてしまった気がする……!










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