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第四章 九月
第21話 炎の鎧
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「さっさと片付けるとするか」
「『砂の監獄』!」
「なっ! 地面が!」
辺り一帯の地面が砂へと変化した。しかもその大量の砂は波を打つように動いている。ただでさえ足を取られやすい砂の地面が動いていては、まともに立つことすら難しい。しかもこの砂は魔族の攻撃にも用いられるはずだ。
「自分に有利な領域を作ったか。じゃが儂には無意味じゃ!」
「ああ、貴様は……あのときの竜か」
グラは人型のまま背中から2つの大きな翼を生やした。皮膚にも鱗が見え、小柄な人型と屈強な竜型の中間のような、もっとも戦闘に適した姿をとった。
その上、能力『硬化』の技『鉄堅硬剛』によって防御力も上げていた。完全な近接形態だ。
「『竜の拳』!」
竜特有の熱を帯びた拳を魔族に向けて突き出した。
「それなりの力はあるようだが、俺と戦るのは早ぇんじゃねーか!?」
「ぐッ!?」
地面の砂がグラを殴りつけた。砂というかもはや岩というか、大地そのものを操っているようなものだ。グラの防御力をもってしても無傷では済まない。
「1人じゃ早くても、2人いるのよ!!」
「『炎の突剣』!」
「……!」
高速の突きは簡単に避けられてしまった。いや、厳密に言うと私がズラされてしまっていた。
こんな足場では強みである速度も出せないから、私の攻撃はなかなかに届かない。
「フンッ! 立っているうちは相手にならんな。貴様から処理するとするか」
「『砂の鉄拳』!」
「う“ッ! ぐふッ……」
固められた砂が腹部を殴りつけた。重い。まるで大砲を撃ち込まれたようだ。意識が遠のいていく。加えて体が砂の大地に沈んでいくのを感じつつも抵抗することができない。
「セリア!!」
「貴様もだ!」
「『砂爆』!」
「ぅがッ!」
ダルカライトの生成した砂の球体がグラに向けて爆発した。小さい砂の粒でも、魔力を纏ってひとつひとつが弾丸のような威力を持っていた。無数の弾丸はグラの鱗を貫通した。
「痛ったいな……。セリアを助けるにも貴様を一旦どうにかせんとな」
「腐っても竜帝っつーことか。硬さは本物だな」
「『爆息!』」
「フンッ!」
グラが口から吐き出した炎の息は、砂の壁によって遮断されてしまった。極めて苦しい戦いだ。こっちの攻撃は防がれて、一方的に攻撃を受けてしまう。ここまで距離があるとは……。
「この程度か……少しは期待したってのによ。」
「死ね! 『砂の鉄拳』!」
「くそッ! 受け切れ……!?」
「『煌剣』!」
瞬間、巨大な砂の拳は一刀両断された。砂なのに切れるというのは変な話かもしれないが、実際に切れていた。しかも切り口の近くの砂は溶けている。魔力で強化された、グラの炎をも防ぐ砂がだ。
「ほう……まだこれだけの力があったか。」
「『炎の鎧』」
「地面を操られるなら、飛べばいい。そうよね」
「ハッ! なるほどな、面白い!」
身体を覆う炎は想像し得ぬほどの熱気であった。それは上昇気流を生み出すほどに。熱量を微調整すれば体を浮かせて自在に移動できるほどのエネルギーを取り出せた。
「長くは保たないわ。でも時間切れを待つほどセコイ男じゃないでしょ?」
「当然だ。そんな必要はねーからな」
「そう」
炎を纏った剣、いや、炎の剣を振り下ろし、剣先から炎の斬撃を放った。当然、ダルカライトはそんな攻撃が効くとは思っていないのだろう。軽い砂の盾しか張らなかった。
「ッ!?」
「能力の出力も上げてるのよ。そんなので防げると思ってるの?」
「儂もおるのを忘れてないか!?」
「『鉄堅剛拳』!」
グラの防御を全て拳の威力に捧げた超破壊の拳が砂の壁を貫いた。拳は頬を掠り、斬撃に次ぐ有効打となった。
「なるほど……有象無象ではねーってことか。いいだろう! 貴様らを九月九番・ダルカライトの敵と認めてやろう! せいぜい抗ってみせろ!」
「『砂漠の帝王』!」
「……!?」
「なんじゃ!?これは!?」
突如としてダルカライトの背後に砂でできた巨人が現れた。上半身だけの、けれど貴族の屋敷と同じくらいの大きさの怪物だ。
「砂ならさっき切ったでしょ。大きくても同じよ!」
「俺も本気っつーわけだ。さっきとは魔力の出力が違ぇーんだよ!」
巨人は大きな腕を振り下ろした。私達に向けた攻撃という訳ではなく、牽制という感じであった。ただあまりにも強力な一撃だ。気づけば元に戻っていた大地にヒビが入り砕け散った。まともに受けてはいけない……!
「気をつけろよ。セリア! 行くぞ!」
「ええ!」
「『砂の監獄』!」
「なっ! 地面が!」
辺り一帯の地面が砂へと変化した。しかもその大量の砂は波を打つように動いている。ただでさえ足を取られやすい砂の地面が動いていては、まともに立つことすら難しい。しかもこの砂は魔族の攻撃にも用いられるはずだ。
「自分に有利な領域を作ったか。じゃが儂には無意味じゃ!」
「ああ、貴様は……あのときの竜か」
グラは人型のまま背中から2つの大きな翼を生やした。皮膚にも鱗が見え、小柄な人型と屈強な竜型の中間のような、もっとも戦闘に適した姿をとった。
その上、能力『硬化』の技『鉄堅硬剛』によって防御力も上げていた。完全な近接形態だ。
「『竜の拳』!」
竜特有の熱を帯びた拳を魔族に向けて突き出した。
「それなりの力はあるようだが、俺と戦るのは早ぇんじゃねーか!?」
「ぐッ!?」
地面の砂がグラを殴りつけた。砂というかもはや岩というか、大地そのものを操っているようなものだ。グラの防御力をもってしても無傷では済まない。
「1人じゃ早くても、2人いるのよ!!」
「『炎の突剣』!」
「……!」
高速の突きは簡単に避けられてしまった。いや、厳密に言うと私がズラされてしまっていた。
こんな足場では強みである速度も出せないから、私の攻撃はなかなかに届かない。
「フンッ! 立っているうちは相手にならんな。貴様から処理するとするか」
「『砂の鉄拳』!」
「う“ッ! ぐふッ……」
固められた砂が腹部を殴りつけた。重い。まるで大砲を撃ち込まれたようだ。意識が遠のいていく。加えて体が砂の大地に沈んでいくのを感じつつも抵抗することができない。
「セリア!!」
「貴様もだ!」
「『砂爆』!」
「ぅがッ!」
ダルカライトの生成した砂の球体がグラに向けて爆発した。小さい砂の粒でも、魔力を纏ってひとつひとつが弾丸のような威力を持っていた。無数の弾丸はグラの鱗を貫通した。
「痛ったいな……。セリアを助けるにも貴様を一旦どうにかせんとな」
「腐っても竜帝っつーことか。硬さは本物だな」
「『爆息!』」
「フンッ!」
グラが口から吐き出した炎の息は、砂の壁によって遮断されてしまった。極めて苦しい戦いだ。こっちの攻撃は防がれて、一方的に攻撃を受けてしまう。ここまで距離があるとは……。
「この程度か……少しは期待したってのによ。」
「死ね! 『砂の鉄拳』!」
「くそッ! 受け切れ……!?」
「『煌剣』!」
瞬間、巨大な砂の拳は一刀両断された。砂なのに切れるというのは変な話かもしれないが、実際に切れていた。しかも切り口の近くの砂は溶けている。魔力で強化された、グラの炎をも防ぐ砂がだ。
「ほう……まだこれだけの力があったか。」
「『炎の鎧』」
「地面を操られるなら、飛べばいい。そうよね」
「ハッ! なるほどな、面白い!」
身体を覆う炎は想像し得ぬほどの熱気であった。それは上昇気流を生み出すほどに。熱量を微調整すれば体を浮かせて自在に移動できるほどのエネルギーを取り出せた。
「長くは保たないわ。でも時間切れを待つほどセコイ男じゃないでしょ?」
「当然だ。そんな必要はねーからな」
「そう」
炎を纏った剣、いや、炎の剣を振り下ろし、剣先から炎の斬撃を放った。当然、ダルカライトはそんな攻撃が効くとは思っていないのだろう。軽い砂の盾しか張らなかった。
「ッ!?」
「能力の出力も上げてるのよ。そんなので防げると思ってるの?」
「儂もおるのを忘れてないか!?」
「『鉄堅剛拳』!」
グラの防御を全て拳の威力に捧げた超破壊の拳が砂の壁を貫いた。拳は頬を掠り、斬撃に次ぐ有効打となった。
「なるほど……有象無象ではねーってことか。いいだろう! 貴様らを九月九番・ダルカライトの敵と認めてやろう! せいぜい抗ってみせろ!」
「『砂漠の帝王』!」
「……!?」
「なんじゃ!?これは!?」
突如としてダルカライトの背後に砂でできた巨人が現れた。上半身だけの、けれど貴族の屋敷と同じくらいの大きさの怪物だ。
「砂ならさっき切ったでしょ。大きくても同じよ!」
「俺も本気っつーわけだ。さっきとは魔力の出力が違ぇーんだよ!」
巨人は大きな腕を振り下ろした。私達に向けた攻撃という訳ではなく、牽制という感じであった。ただあまりにも強力な一撃だ。気づけば元に戻っていた大地にヒビが入り砕け散った。まともに受けてはいけない……!
「気をつけろよ。セリア! 行くぞ!」
「ええ!」
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