神様のミスで死んだので、神獣もふもふと異世界インターネットで快適スローライフ始めます ~最強生活チートと1000万ポイントでポチりまくり!~

幸せのオムライス

文字の大きさ
84 / 132
第二章 ヤマネコ商会、爆誕!:新たな拠点探し

第84話 激安宿は危険な香り!? 安物買いの銭失いは御免です

しおりを挟む
 メインストリートの喧騒が嘘のように、急に空気が淀んだ。

 道幅は半分以下になり、日の光も届きにくい。道の両脇に立つ建物は、どれも薄汚れている。
 そして、鼻をつく、むっとするような匂い。
 ……なんだろう、これ。何かよく分からないものが腐ったような、不快な匂い。

『コトリ、ここ、嫌な匂い』

 コロが、私の足元で不安そうに鼻を鳴らす。
 うん、君の優秀な鼻には、もっとダイレクトにこのヤバさが伝わっているんだろうね。私も、第六感が全力で「回れ右しろ」と警報を鳴らしているよ!
 その、どんよりとした路地の突き当たりに、その宿屋はあった。

『銀のゴブレット亭』。

 看板の文字はかすれ、ゴブレットの絵は、もはやただの黒いシミにしか見えない。
 扉はささくれ立ち、窓ガラスは蜘蛛の巣が張っている。昼間だというのに、中からは酔っ払いの怒号と、何かが割れる派手な音が聞こえてきた。

(………………撤収!)

 私は、心の中で即断即決。

 踵を返し、一目散にその路地から脱出した。

(ダメだ、ダメだ! あそこは絶対にダメ! 検索結果の『理由は聞くな』、めちゃくちゃ正直だったじゃないか! むしろ、親切だったとすら言えるレベル!)

 一泊大銅貨2枚(約2,000円)という破格の安さは、確かに魅力的だ。
 でも、あの環境は、安全という最も重要な経営資源を著しく損なう。
 前世で学んだリスクマネジメントの基本。「安物買いの銭失い」。コストカットも度が過ぎれば、ただのリスクにしかならないのだ。

 もしあそこに泊まったら、夜中にチンピラに絡まれる確率は80%超え。南京虫に全身を刺される確率95%。そして、朝起きたら、なけなしの財産が全部なくなっている確率、驚異の120%だ! なぜか確率が100%を超えるくらいに、ヤバい!

(うん、あそこは事業用地としては完全に不適格。評価額、マイナス1億リントだわ)

 一人、脳内で不動産鑑定士ごっこをしながら、私は次の候補地へと向かう。

 二軒目の候補は、『旅人の羽根亭』。
 冒険者ギルドの近く、鍛冶屋や武具屋が立ち並ぶ、少し物騒だけど活気のある通りにあった。
 建物は、頑丈な木材で組まれた、質実剛健といった感じの二階建て。
 看板に描かれた鳥の羽根の絵も、なかなか味がある。

(うん、さっきの宿よりは100倍マシな外観ね。でも、やっぱりこの暑苦しい雰囲気は、落ち着いてビジネスプランを練るには不向きかしら……)

 私が入口の前で様子を窺っていると、中から、ぎぃ、と扉が開き、エプロンをつけた、恰幅のいい女将さんが出てきた。
 歳は40代くらいだろうか。その太い腕は、そこらの冒険者よりよっぽどたくましい。

「ん? なんだい、嬢ちゃん。うちになんか用かい?」

 サバサバとした、威勢のいい声。でも、その目には、面倒見の良さそうなお母さんのような、温かさがあった。

「あの、すみません。いくつかお聞きしたいのですが、子供一人でも泊まれますか?」

「一人でかい? まあ、金さえ払えば誰だって泊めてやるさ。一泊、食事付きで大銅貨3枚。前払いだよ」

「それと、この子も一緒なんですけど……」

 私が足元のコロを示すと、女将さんは、むむ、と少しだけ眉をひそめた。

「犬っころかい。うちは客は選ばない主義でね。たとえ獣人だろうが、角の生えた魔族様だろうが、金さえ払えば泊めてやるさ。だが、ペットは話が別だよ。他の客がうるさいからねぇ」

(……ん? ちょっと待って、今、なんて言った?)

 私の思考が、一瞬だけフリーズする。
 獣人……は、ギルドで見た猫耳のお姉さんのような人のことだろう。
 でも、その次。
 聞き捨てならない単語が、さらりと混じっていなかっただろうか。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

公爵令嬢やめて15年、噂の森でスローライフしてたら最強になりました!〜レベルカンストなので冒険に出る準備、なんて思ったけどハプニングだらけ〜

咲月ねむと
ファンタジー
息苦しい貴族社会から逃げ出して15年。 元公爵令嬢の私、リーナは「魔物の森」の奥で、相棒のもふもふフェンリルと気ままなスローライフを満喫していた。 そんなある日、ひょんなことから自分のレベルがカンストしていることに気づいてしまう。 ​「せっかくだし、冒険に出てみようかしら?」 ​軽い気持ちで始めた“冒険の準備”は、しかし、初日からハプニングの連続! 金策のために採った薬草は、国宝級の秘薬で鑑定士が気絶。 街でチンピラに絡まれれば、無自覚な威圧で撃退し、 初仕事では天災級の魔法でギルドの備品を物理的に破壊! 気づけばいきなり最高ランクの「Sランク冒険者」に認定され、 ボロボロの城壁を「日曜大工のノリ」で修理したら、神々しすぎる城塞が爆誕してしまった。 ​本人はいたって平和に、堅実に、お金を稼ぎたいだけなのに、規格外の生活魔法は今日も今日とて大暴走! ついには帝国の精鋭部隊に追われる亡国の王子様まで保護してしまい、私の「冒険の準備」は、いつの間にか世界の運命を左右する壮大な旅へと変わってしまって……!? ​これは、最強の力を持ってしまったおっとり元令嬢が、その力に全く気づかないまま、周囲に勘違いと畏怖と伝説を振りまいていく、勘違いスローライフ・コメディ! 本人はいつでも、至って真面目にお掃除とお料理をしたいだけなんです。信じてください!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

処理中です...