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第二章 ヤマネコ商会、爆誕!:商人、はじめます
第95話 ギルドマスター登場。このおじ様、ただ者じゃありません
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(うわー、出た! 塩対応!)
冒険者ギルドのエマさんの神対応とは、真逆の反応!
まあ、そうなるよね。
こんな小さな子供が一人で「商人になりたい」なんて言ってきたら、普通はそう思うに決まってる。
でも、ここで引き下がる私ではない!
「ままごとではありません。私は本気です。ちゃんと、事業計画もあります」
私がきっぱりと言い返すと、彼女はさらに面倒くさそうな顔をした。
「なら、まずは保護者の方と来てくれる? 子供の単独での登録は……」
「――おやおや、随分と騒々しいな。何かトラブルかね?」
女性職員の言葉を遮るように、ロビーの奥から、穏やかで、しかしよく通る声がした。
声の主は、数人の部下を引き連れて歩いてきた、一人の恰幅のいい中年男性だった。どうやら、ちょうど外出から戻ってきたところか、あるいは館内を移動中だったらしい。
歳は50代くらいだろうか。
綺麗に整えられた口髭をたくわえ、高価そうなベルベットの上着を着ている。
その目は、鷹のように鋭く、しかしどこか、面白いものを見つけた子供のような、好奇の色を浮かべていた。
「ギルドマスター! いえ、これはその、子供のいたずらでして……」
女性職員が、慌てて取り繕おうとする。
ギルドマスターと呼ばれた男性は、それを手で制すると、ゆっくりとこちらへ歩み寄ってきた。
彼はまず、私の足元から頭のてっぺんまでを、まるで未知の骨董品を鑑定するかのように、極めて専門的な目で、ゆっくりと検分した。
その視線は、まず私の足元に注がれる。
(……ほう、あの履物はなんだ?)
それは、ただの上等な革靴ではなかった。複雑なパーツが寸分の狂いもなく組み合わされ、糸の縫い目は機械のように均一。そして何より、靴底。複数の素材を貼り合わせたかのような複雑な構造。特に、地面に接する部分は、黒く、弾力のありそうな未知の素材でできており、その側面には、高い踏破性を目的としたであろう、凹凸のある独特の形状が見て取れる。見たこともない製法。雨の日でも滑らず、長距離を歩いても疲れないように設計されていると、一目で見抜けた。
次に、視線は私の全身へ。
羽織っているローブは簡素な作りだが、その生地の織りは見たこともないほど緻密で、明らかに高い耐水性と耐久性を持っている。ローブの隙間から覗くチュニックも同様だ。あれは、ただの綿や麻ではない。実用性のためだけに、完璧に計算されて作られた『道具』としての衣服。
最後に、彼は私の顔、そしてこの国では珍しい黒髪を一瞥し、ふむ、と一つ頷くと、面白そうに口の端を上げた。
「いたずら、かね? 私には、そうは見えんがな。その歳で、これだけの大の男たちがいる場所に一人で乗り込んでくる度胸もある。そして何より、その身につけている品々……。どれ一つとして、このハルモニアの職人の手によるものではない。いや、この国のどこを探しても、あれほどの品を作れる工房はあるまい。そんなお嬢さんの言葉を、頭からいたずらと決めつけるのは、商人として少々早計というものだろう」
彼は、私の目の前で止まると、面白そうに私を見下ろした。
(うわ、完全に品定めされてる! しかも、このおじさん、一瞬で私の装備がオーパーツだってこと、見抜いたわね……!)
前世で出会った、やり手の経営者たちと同じ種類の、油断ならない匂いがする。
「お嬢さん、君が商人になりたいのかね?」
「はい、そうです」
「ほう。して、お嬢さんの名前は?」
「ヤマネ・コトリです」
冒険者ギルドのエマさんの神対応とは、真逆の反応!
まあ、そうなるよね。
こんな小さな子供が一人で「商人になりたい」なんて言ってきたら、普通はそう思うに決まってる。
でも、ここで引き下がる私ではない!
「ままごとではありません。私は本気です。ちゃんと、事業計画もあります」
私がきっぱりと言い返すと、彼女はさらに面倒くさそうな顔をした。
「なら、まずは保護者の方と来てくれる? 子供の単独での登録は……」
「――おやおや、随分と騒々しいな。何かトラブルかね?」
女性職員の言葉を遮るように、ロビーの奥から、穏やかで、しかしよく通る声がした。
声の主は、数人の部下を引き連れて歩いてきた、一人の恰幅のいい中年男性だった。どうやら、ちょうど外出から戻ってきたところか、あるいは館内を移動中だったらしい。
歳は50代くらいだろうか。
綺麗に整えられた口髭をたくわえ、高価そうなベルベットの上着を着ている。
その目は、鷹のように鋭く、しかしどこか、面白いものを見つけた子供のような、好奇の色を浮かべていた。
「ギルドマスター! いえ、これはその、子供のいたずらでして……」
女性職員が、慌てて取り繕おうとする。
ギルドマスターと呼ばれた男性は、それを手で制すると、ゆっくりとこちらへ歩み寄ってきた。
彼はまず、私の足元から頭のてっぺんまでを、まるで未知の骨董品を鑑定するかのように、極めて専門的な目で、ゆっくりと検分した。
その視線は、まず私の足元に注がれる。
(……ほう、あの履物はなんだ?)
それは、ただの上等な革靴ではなかった。複雑なパーツが寸分の狂いもなく組み合わされ、糸の縫い目は機械のように均一。そして何より、靴底。複数の素材を貼り合わせたかのような複雑な構造。特に、地面に接する部分は、黒く、弾力のありそうな未知の素材でできており、その側面には、高い踏破性を目的としたであろう、凹凸のある独特の形状が見て取れる。見たこともない製法。雨の日でも滑らず、長距離を歩いても疲れないように設計されていると、一目で見抜けた。
次に、視線は私の全身へ。
羽織っているローブは簡素な作りだが、その生地の織りは見たこともないほど緻密で、明らかに高い耐水性と耐久性を持っている。ローブの隙間から覗くチュニックも同様だ。あれは、ただの綿や麻ではない。実用性のためだけに、完璧に計算されて作られた『道具』としての衣服。
最後に、彼は私の顔、そしてこの国では珍しい黒髪を一瞥し、ふむ、と一つ頷くと、面白そうに口の端を上げた。
「いたずら、かね? 私には、そうは見えんがな。その歳で、これだけの大の男たちがいる場所に一人で乗り込んでくる度胸もある。そして何より、その身につけている品々……。どれ一つとして、このハルモニアの職人の手によるものではない。いや、この国のどこを探しても、あれほどの品を作れる工房はあるまい。そんなお嬢さんの言葉を、頭からいたずらと決めつけるのは、商人として少々早計というものだろう」
彼は、私の目の前で止まると、面白そうに私を見下ろした。
(うわ、完全に品定めされてる! しかも、このおじさん、一瞬で私の装備がオーパーツだってこと、見抜いたわね……!)
前世で出会った、やり手の経営者たちと同じ種類の、油断ならない匂いがする。
「お嬢さん、君が商人になりたいのかね?」
「はい、そうです」
「ほう。して、お嬢さんの名前は?」
「ヤマネ・コトリです」
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