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第二章 ヤマネコ商会、爆誕!:激安の幽霊屋敷と二人の看板娘
第119話 契約完了! ついにマイホームゲット、さっそくリフォーム開始です!
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私があまりにも堂々と言い切るので、職員さんは「は、はあ……」と毒気を抜かれたように口ごもった。
「とにかく、私はあの場所が気に入りました。金貨2枚ですよね? 即金で支払います」
私は四次元バッグから、露店での稼ぎや冒険者ギルドの報酬から銀貨10枚と――そして、マーサ院長から預かった、あの大切な金貨1枚を取り出した。
カウンターの上で、金と銀が重厚な輝きを放つ。
(マーサさん、大切に使わせていただきます。この金貨を種銭(たねせん)に、必ず100倍にしてお返ししますから! ……そして、この場所こそが、私とコロの快適なスローライフのための、最初の拠点になるのだ!)
職員さんはゴクリと唾を飲み込むと、諦めたように書類を用意し始めた。
「……分かりました。そこまで言うなら、止めはしません。後で『やっぱり怖くて住めない』と言われても、返金はできませんからね?」
「はい。わかってます」
手続きはスムーズに進んだ。
ギルドとしても、長年のお荷物だった不良債権物件が処分できて、内心ホッとしているのだろう。書類への捺印がやけに早かった気がする。
最後に、職員さんが先ほど私が返した錆びついた重たい鍵を、改めて手渡してくれた。
「これが鍵です。……先ほどはお伝えしそびれていましたが、ご覧になった通りドアが歪んでいて、今は鍵としての役目は果たさない状態です」
「問題ありません。直しますから」
私は、にっこりと微笑んで鍵を受け取り、ポケットにしまう。
契約完了。
これで、あの格安物件は、晴れて私の『店舗兼住居』となったわけだ。
「本日はありがとうございました。大切に使わせていただきます」
私が深々と頭を下げると、職員さんは困ったような、心配そうな顔で眉を下げた。
「え、ええ……。ですが、くれぐれもお気をつけて……。何かあったら、すぐに逃げるんですよ……?」
職員さんの、本気で心配している声を背に受けながら、私は商業ギルドを後にした。
足取りは、来る時よりもさらに軽い。
だって、ついにマイホームを手に入れたんだもの!
「さあコロ、行こう! いよいよリフォームの時間だ!」
『わふっ!(リフォーム!)』
私は、地図で場所を確認するまでもなく、一直線に市場の裏通りへと向かって歩き出した。
◇
市場の裏通り。
目の前には、相変わらず「今にも崩れ落ちそうな呪いの館」オーラを全開に放っている廃屋。
窓は割れ、蔦が絡まり、傾いたドアが風でキーキーと鳴いている。
通りすがる人がいたら、間違いなく「あの子、肝試しかな?」と思うだろう。
「さあ、入ろう、コロ!」
『わふっ!』
私はギルドで受け取った錆びついた鍵を、意気揚々と取り出し――そして、そっとポケットにしまった。
そうだった。ここのドア、蝶番が外れて傾いてるから、鍵なんてかけようがないんだった。セキュリティレベル、ゼロ!
まあいいわ。この鍵は今のところ、ただの「オーナー気分を味わうアイテム」ってことで。
私はギギーッという、B級ホラー映画の効果音そのものな音を立てて、傾いたドアを押し開けた。
「……うん。改めて見ても、終わってるわね」
中へ足を踏み入れると、さっき嗅いだカビと腐敗臭のハイブリッドな香りが、再び私を出迎えた。
足元には割れた食器や謎の残骸。見上げれば、シャンデリアのように垂れ下がる立派な蜘蛛の巣。
さっきは「物件」として見ていたけれど、こうして「自分の家」として見ると、その破壊力は倍増して感じられる。
普通の掃除業者なら「見積もりお断り」レベル。
10歳の少女が挑むには、あまりにも過酷な戦場。
だがしかし!
今ここにいるのはただの少女ではない。異世界最強の家政婦(自称)、ヤマネ・コトリなのだ!
「コロ、隅っこで見ててね。これから、ヤマネコ商会がお届けする魔法のショー、『劇的ビフォーアフター』の開演だ!」
『みるー!』
「とにかく、私はあの場所が気に入りました。金貨2枚ですよね? 即金で支払います」
私は四次元バッグから、露店での稼ぎや冒険者ギルドの報酬から銀貨10枚と――そして、マーサ院長から預かった、あの大切な金貨1枚を取り出した。
カウンターの上で、金と銀が重厚な輝きを放つ。
(マーサさん、大切に使わせていただきます。この金貨を種銭(たねせん)に、必ず100倍にしてお返ししますから! ……そして、この場所こそが、私とコロの快適なスローライフのための、最初の拠点になるのだ!)
職員さんはゴクリと唾を飲み込むと、諦めたように書類を用意し始めた。
「……分かりました。そこまで言うなら、止めはしません。後で『やっぱり怖くて住めない』と言われても、返金はできませんからね?」
「はい。わかってます」
手続きはスムーズに進んだ。
ギルドとしても、長年のお荷物だった不良債権物件が処分できて、内心ホッとしているのだろう。書類への捺印がやけに早かった気がする。
最後に、職員さんが先ほど私が返した錆びついた重たい鍵を、改めて手渡してくれた。
「これが鍵です。……先ほどはお伝えしそびれていましたが、ご覧になった通りドアが歪んでいて、今は鍵としての役目は果たさない状態です」
「問題ありません。直しますから」
私は、にっこりと微笑んで鍵を受け取り、ポケットにしまう。
契約完了。
これで、あの格安物件は、晴れて私の『店舗兼住居』となったわけだ。
「本日はありがとうございました。大切に使わせていただきます」
私が深々と頭を下げると、職員さんは困ったような、心配そうな顔で眉を下げた。
「え、ええ……。ですが、くれぐれもお気をつけて……。何かあったら、すぐに逃げるんですよ……?」
職員さんの、本気で心配している声を背に受けながら、私は商業ギルドを後にした。
足取りは、来る時よりもさらに軽い。
だって、ついにマイホームを手に入れたんだもの!
「さあコロ、行こう! いよいよリフォームの時間だ!」
『わふっ!(リフォーム!)』
私は、地図で場所を確認するまでもなく、一直線に市場の裏通りへと向かって歩き出した。
◇
市場の裏通り。
目の前には、相変わらず「今にも崩れ落ちそうな呪いの館」オーラを全開に放っている廃屋。
窓は割れ、蔦が絡まり、傾いたドアが風でキーキーと鳴いている。
通りすがる人がいたら、間違いなく「あの子、肝試しかな?」と思うだろう。
「さあ、入ろう、コロ!」
『わふっ!』
私はギルドで受け取った錆びついた鍵を、意気揚々と取り出し――そして、そっとポケットにしまった。
そうだった。ここのドア、蝶番が外れて傾いてるから、鍵なんてかけようがないんだった。セキュリティレベル、ゼロ!
まあいいわ。この鍵は今のところ、ただの「オーナー気分を味わうアイテム」ってことで。
私はギギーッという、B級ホラー映画の効果音そのものな音を立てて、傾いたドアを押し開けた。
「……うん。改めて見ても、終わってるわね」
中へ足を踏み入れると、さっき嗅いだカビと腐敗臭のハイブリッドな香りが、再び私を出迎えた。
足元には割れた食器や謎の残骸。見上げれば、シャンデリアのように垂れ下がる立派な蜘蛛の巣。
さっきは「物件」として見ていたけれど、こうして「自分の家」として見ると、その破壊力は倍増して感じられる。
普通の掃除業者なら「見積もりお断り」レベル。
10歳の少女が挑むには、あまりにも過酷な戦場。
だがしかし!
今ここにいるのはただの少女ではない。異世界最強の家政婦(自称)、ヤマネ・コトリなのだ!
「コロ、隅っこで見ててね。これから、ヤマネコ商会がお届けする魔法のショー、『劇的ビフォーアフター』の開演だ!」
『みるー!』
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