荒れ果てた僕の心

4章

逼迫の決断、貴方と。

コンッ、コンッ。

薄暗い中、革靴で地面を踏みしめる音が響く。片手にはキャリーケースをガラガラと引き、もう片手にはタブレット端末を持っている。そこに映し出されているものは、この洞窟の地図のようなもので、今ある場所が赤く点滅しだした。

「あーあ、やっちゃったか～
岩に轢き殺されないといいけど。」














今、俺たちは全力で走っている。
もう何百メートルはしったのだろうか、ずっと大量の汗を握っている。佳奈の手を掴み走っている。早見は何とか、俺のペースに追いついている。だが、佳奈はこの前までひきこもっていたせいか、体力がないらしくてキツそうだ。
リュックを置くことも考えたが、さすがにこの場を乗り切ったとしても後がない。死んだも同然だからそうには行かなかった。

この狭い洞窟をギリギリで丸い大きな岩が納まり迫ってくる。こんなことは、探検家などがした訳がない。でも、早瀬だけで出来ることなのか？今は分からない。それより、まずはこの場を...


バタンッ。




俺の手から熱が無くなった。
その瞬間すぐに気づいた。
佳奈が、


倒れた。


俺はすぐに走った。佳奈の元へ

「橋渡くん、危ないよ。」

「見殺しにするわけないだろうが」
俺の怒号が岩の転がる音より大きく響き渡る。

走って佳奈の元へ行き、手を取る。手を繋いでた時の手汗で滑ったせいか、足を捻挫していた。それを理解した俺はおぶろうとした。
だけど、その頃には目の前に岩が来ていた。

ごめん。



ガシャンッ。





ズリズリズリズリ...。








「えっ、あれ生きてる。なんで、」
佳奈は後ろを見た。私の大きなリュックで岩を止めていた。でも、さすがに言わの方が重いからズリズリと引きずっていた。

「ごめん。佳奈の荷物を犠牲にしちゃった。」

「ううん。大丈夫だよ。ありがとう。」


1人分の荷物を犠牲にしたのは痛いが、俺がいつもの半分我慢すればいい話だから大丈夫だと信じたい。

少し歩くと、曲がり角があった。不自然に岩が丸く収まるような空間があった。あとちょっと頑張れば荷物が犠牲にならなかったかもしれない。だけど、そんなことは思っても言ってもいけない。佳奈が気にしてしまうからだ...

もう気づいていた。
佳奈は目を大きく開いて、細く閉じて、グッと目をつぶって、涙を流し、口を開けた。

「佳奈！先を急ぐぞ。」
そう言うと、目を手で擦り、

「うん。」
と言った。


曲がると、そこは植物が沢山生えていた。よく見るような草花。少し進むと半分にキッパリと別れて見たことの無い奇妙な植物で地面が埋まっていた。
さっきの罠のこともあったから迂闊に手が出せなかった。

「もう、夜中の2時になってる。今日はここで休もうか。」
俺らは、この植物が生い茂るところで休むことにした。動物や昆虫が何もいなそうだった。
そして、俺らは寝た。
しっかりと調べもせずに...