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第2章 漂流、相互干渉多世界
12: 学園天国、唯我独尊のカリ
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僕が所長と些細なことで喧嘩をして、事務所を飛び出してから、高校でちょっとした面倒が起こった。
毎日遊び歩いている僕だけど、基本、出席日数はギリギリ確保で卒業を放棄するつもりはなかったから学校にはそれなりに顔を出していた。
だからまともに登校した日には、日頃の不義理やらが重なって、面倒な事が色々起こるのだ。
「どうしても、でなくっちゃ駄目?」
僕は試しに甘えた口調で、クラブ部長に言ってみた。
普段通りの男の格好でも僕がこうやると、男共からは結構デレデレとした反応が返って来るものだけど、ロボット研究部の部長であるカリ先輩には、まったく効き目がなかった。
僕じゃなく、たとえ可愛い女の子がこれをやっても無駄だろう、カリ先輩は変人なのだ。
いや見てくれだけなら、変人には絶対に見えない。
均整の取れた長身で彫りの深いハンサム、しかも天才と来てる。
ほぼ、だて眼鏡と言っていい軽い度数の眼鏡も決まりすぎている。
しかも、僕はまだ見たことがないけど、脱ぐと結構すごい身体らしい。
でもカリ先輩の恋人はロボットなのだ。
それも度を越している。
嘘か本当か、『俺が俺の神聖なる童貞を捧げるのは、俺の作った究極のセックスドールだ』と宣言するような男だからだ。
現に僕は高校でのガールズトークで、カリ先輩がある女子に「お前如きの腐れ○○○なんかに、俺の高貴なものを突っ込んでたまるか」と言い放ったという話を聞いたことがある。
最初は、カリ先輩の本当の顔を知らない女の子達が、大勢群がりよるんだけど、どんなにバカな子でも、半日もあれば、先輩の毒気に当てられて退散するそうだ。
ところで僕が通っているのは、工業高校だからロボットクラブなんてものは、あるのが当たり前で、部員だって山ほどいそうなものなんだけど、実際にはロボットクラブの部員は僕を含めて、たったの三人しかいない。
しかも僕は、完璧な幽霊部員だから実質二人のクラブだ。
だのに部費は結構出てるし、クラブとしての活動実績は全国のトップレベルだ。
この矛盾した現状を引き起こしたのは、他ならぬ部長である先輩・江夏果理の天才性だった。
先輩が入部した少し前は、我が高校のロボットクラブは、まだ普通の平凡なクラブだったらしい。
しかし江夏果理が、その「天才という牙」を剥き始めてから、クラブからは部員が脱落していき、残ったのは技術面では、江夏果理とひけを取らない天才肌の諏訪光先輩だけになった。
僕がこのクラブに入部したのは、本当にたまたまというか、こっちはアリバイ作り、向こうはエントリーしたコンテスト活動の規約上に出てきた人数合わせの必要性の為みたいな、偶然だったのだ。
「リョウ、誰もお前なんかに出て欲しいって思ってるわけじゃない。でも光がインフルエンザで倒れてるんだ。お前、一応はウチの部員だろうが。今度のロボコンには絶対出たい。人数が足りないんだよ。」
ウチの高校は、全員クラブ制という訳の判らない制度があり、しかもこれが出席日数のヤバイ生徒に対する進級判定に微妙に関わっていて、それが僕の枷になっていた。
「だったら、他から応援を頼めばいいんじゃないですか?ロボット関係なら、僕より詳しい奴は一杯いますよ。カリ先輩が頼みづらいんなら僕がなんとかしてあげますよ。」
江夏果理は天才過ぎて、しかも性格が傍若無人を極めているから、高校内には友達が一人もいないのだ。
諏訪光先輩とは辛うじて付き合っているが、ロボットを弄っていない時、二人は喧嘩ばかりしてる。
「、、、いや、お前が良い。」
性格が悪い癖に、捨てられた子犬のような目で言う。
なんでなんだよ?と思いながら、僕の心は揺れた。
所長にしてもそうだが、僕はこういう変人をほっておけないのだ。
だけど今の僕には、沢父谷姫子の捜索という大事な仕事がある。
「、、何時なんです?ロボコンあるの?いつ解放してくれます?」
「お前、ウチの学校にいて、それも知らないのか?国内じゃ一番ビッグなロボコンだぜ、、、明明後日だよ。」
あっ、暁大東亜ロボットコンテストだ。
さすがにそれは僕も知っていた。
高校生以上の学生が対象だが、そのレベルは企業のものに近いといわれている。
高校野球の甲子園みたいなもんだ。そこから即戦力のプロが出たりする。
全国の工業系大学・高校生達の憧れのコンテストだ。
・・・うちの高校の奴らは、みんなカリ先輩の事を敵視してるから、誰を協力させるにしても、きっと見返りを要求してくるだろう。
僕の場合だと、その見返りは当然、僕に女装させて一日デートだとか、たぶんそんなのだ。
やれやれ、僕がロボコンに出なくても、それで一日は完全に潰れる。
釣った相手が馬鹿でしつこいと、一日では済まないかも知れない。
結局、カリ先輩の命令を受け入れる方が、後腐れなく済むかも知れない。
それにカリ先輩はまだしも、光先輩にはこの前、模造拳銃を作ってもらった借りがある。
しかも銃弾が可愛らしい地蔵仏になっているという超絶的に手の込み入ったものだ。
それは所長が請け負った、あるオカルト事案に使った。
ロボコンに出すロボットを実際に形にして組み上げたのは光先輩だろうから、光先輩もロボコンには自分のロボットを出したいだろうと思った。
「今度のロボコンの協賛は日本の軍需産業ベスト10に入ってる四菱重工業が入ってるんだ。俺も光もコネをつけたい。実際、内々の接触があるんだ。今度のロボコンで良い線まで行ったらって話だが。大学での学費の援助に、将来的な研究補助の確約。究極の青田刈りだって?・・・子飼いだってかまやしない。俺は凄いのが作りたいんだ。だから優勝したいんだよ。」
思いもかけずにキリ先輩から生臭い台詞が出た。
僕と違ってキリ先輩は怖いほど自分の将来を考えてる。
というよりロボット作りに入れ込んでいる。
「、、、判りました。でもロボコンが終わったら、直ぐに僕を解放してくださいね。でないと転退部届だしちゃいますよ。」
転部先のあたりは付いている、茶道部だ。
『私の百合友になってくれたらクラブのずる休みだって多めに見ちゃうよ』と女部長から誘いを受けている。
でもこんな事がない限り、普段は僕のことなんか完全に忘れているこのクラブが一番都合が良くてなんとか誤魔化したいところだったんだけど、沢父谷姫子の事があった。
本当に、ズルズルと高校なんかのクラブ活動に関わってはいられない。
この部長には幽霊部員の僕の転退部届なんて、痛くも痒くもないんだろうけど、僕は一応そう脅し的に言ってみた。
試合に望むボクシングのボクサーは、それぞれのコーナーにセコンドを置くことが出来るが、暁大東亜ロボットコンテストでも、競技ステージ側に、それに似た人間をつけられる、いやつけなければならない。
ただしロボットの主な設計者は、その場所には入れない。
全国最高水準と言われる暁大東亜ロボットコンテストには、ロボットは自律した存在という考えが、前提にあるからだ。
したがってセコンドは、ロボットが故障しても、コンテストを続ける為に施こす積極的な修理は許されていない。
それなのにロボット側にセコンドめいた人間をおく理由は危機管理の為だ。
ロボットの爆発や炎上、放電、果ては暴走まで、そういったものが会場をびっしり埋め尽くすギャラリー等に危険を及ぼさないようにする。
セコンドは主にそういった事の対応の為に、最低1名は配置されなければならないのだ。
ただそれらはあくまで前提であって、実際には様々なケースがあるし、セコンドは結構色々な事をやらなくてはならないのが実情だ。
完全自律型ロボットを易々と作り出せる学生がそこいら中にいるなんて、この国の教育水準はそんなに高くはない。
時々、江夏果理のような化け物級を輩出するが、そんな極微の確率なら何処の国にもあるだろう。
だから実際には、暴走しようにも、そこに至らないレベルのロボットも数多いのだ。
それでもそんなロボットが、このロボコンに多数エントリー出来るのは、未だに自律型ロボットというものの規定の範囲が広いからだった。
僕はそのセコンドに、諏訪光先輩の代役としてかり出されていた。
もちろん準備期間が正味1日しかないような情況の中で、完全な幽霊部員の僕にそんな役割が出来る筈はなかったが、それは並のロボットだったらの話だ。
大天才・江夏果理と稀代の工作職人・諏訪光が造り上げたロボット・オランは正に自律していた。
特に驚異的だったのは、このロボット・オランに搭載してあるAIだった。
僕は昔の映画で、ロボットの着ぐるみの中に人間が入ってロボコンを勝ち抜く話を見たことがあるが、二人の天才高校生が作ったオランはまさにそんな感じだった。
毎日遊び歩いている僕だけど、基本、出席日数はギリギリ確保で卒業を放棄するつもりはなかったから学校にはそれなりに顔を出していた。
だからまともに登校した日には、日頃の不義理やらが重なって、面倒な事が色々起こるのだ。
「どうしても、でなくっちゃ駄目?」
僕は試しに甘えた口調で、クラブ部長に言ってみた。
普段通りの男の格好でも僕がこうやると、男共からは結構デレデレとした反応が返って来るものだけど、ロボット研究部の部長であるカリ先輩には、まったく効き目がなかった。
僕じゃなく、たとえ可愛い女の子がこれをやっても無駄だろう、カリ先輩は変人なのだ。
いや見てくれだけなら、変人には絶対に見えない。
均整の取れた長身で彫りの深いハンサム、しかも天才と来てる。
ほぼ、だて眼鏡と言っていい軽い度数の眼鏡も決まりすぎている。
しかも、僕はまだ見たことがないけど、脱ぐと結構すごい身体らしい。
でもカリ先輩の恋人はロボットなのだ。
それも度を越している。
嘘か本当か、『俺が俺の神聖なる童貞を捧げるのは、俺の作った究極のセックスドールだ』と宣言するような男だからだ。
現に僕は高校でのガールズトークで、カリ先輩がある女子に「お前如きの腐れ○○○なんかに、俺の高貴なものを突っ込んでたまるか」と言い放ったという話を聞いたことがある。
最初は、カリ先輩の本当の顔を知らない女の子達が、大勢群がりよるんだけど、どんなにバカな子でも、半日もあれば、先輩の毒気に当てられて退散するそうだ。
ところで僕が通っているのは、工業高校だからロボットクラブなんてものは、あるのが当たり前で、部員だって山ほどいそうなものなんだけど、実際にはロボットクラブの部員は僕を含めて、たったの三人しかいない。
しかも僕は、完璧な幽霊部員だから実質二人のクラブだ。
だのに部費は結構出てるし、クラブとしての活動実績は全国のトップレベルだ。
この矛盾した現状を引き起こしたのは、他ならぬ部長である先輩・江夏果理の天才性だった。
先輩が入部した少し前は、我が高校のロボットクラブは、まだ普通の平凡なクラブだったらしい。
しかし江夏果理が、その「天才という牙」を剥き始めてから、クラブからは部員が脱落していき、残ったのは技術面では、江夏果理とひけを取らない天才肌の諏訪光先輩だけになった。
僕がこのクラブに入部したのは、本当にたまたまというか、こっちはアリバイ作り、向こうはエントリーしたコンテスト活動の規約上に出てきた人数合わせの必要性の為みたいな、偶然だったのだ。
「リョウ、誰もお前なんかに出て欲しいって思ってるわけじゃない。でも光がインフルエンザで倒れてるんだ。お前、一応はウチの部員だろうが。今度のロボコンには絶対出たい。人数が足りないんだよ。」
ウチの高校は、全員クラブ制という訳の判らない制度があり、しかもこれが出席日数のヤバイ生徒に対する進級判定に微妙に関わっていて、それが僕の枷になっていた。
「だったら、他から応援を頼めばいいんじゃないですか?ロボット関係なら、僕より詳しい奴は一杯いますよ。カリ先輩が頼みづらいんなら僕がなんとかしてあげますよ。」
江夏果理は天才過ぎて、しかも性格が傍若無人を極めているから、高校内には友達が一人もいないのだ。
諏訪光先輩とは辛うじて付き合っているが、ロボットを弄っていない時、二人は喧嘩ばかりしてる。
「、、、いや、お前が良い。」
性格が悪い癖に、捨てられた子犬のような目で言う。
なんでなんだよ?と思いながら、僕の心は揺れた。
所長にしてもそうだが、僕はこういう変人をほっておけないのだ。
だけど今の僕には、沢父谷姫子の捜索という大事な仕事がある。
「、、何時なんです?ロボコンあるの?いつ解放してくれます?」
「お前、ウチの学校にいて、それも知らないのか?国内じゃ一番ビッグなロボコンだぜ、、、明明後日だよ。」
あっ、暁大東亜ロボットコンテストだ。
さすがにそれは僕も知っていた。
高校生以上の学生が対象だが、そのレベルは企業のものに近いといわれている。
高校野球の甲子園みたいなもんだ。そこから即戦力のプロが出たりする。
全国の工業系大学・高校生達の憧れのコンテストだ。
・・・うちの高校の奴らは、みんなカリ先輩の事を敵視してるから、誰を協力させるにしても、きっと見返りを要求してくるだろう。
僕の場合だと、その見返りは当然、僕に女装させて一日デートだとか、たぶんそんなのだ。
やれやれ、僕がロボコンに出なくても、それで一日は完全に潰れる。
釣った相手が馬鹿でしつこいと、一日では済まないかも知れない。
結局、カリ先輩の命令を受け入れる方が、後腐れなく済むかも知れない。
それにカリ先輩はまだしも、光先輩にはこの前、模造拳銃を作ってもらった借りがある。
しかも銃弾が可愛らしい地蔵仏になっているという超絶的に手の込み入ったものだ。
それは所長が請け負った、あるオカルト事案に使った。
ロボコンに出すロボットを実際に形にして組み上げたのは光先輩だろうから、光先輩もロボコンには自分のロボットを出したいだろうと思った。
「今度のロボコンの協賛は日本の軍需産業ベスト10に入ってる四菱重工業が入ってるんだ。俺も光もコネをつけたい。実際、内々の接触があるんだ。今度のロボコンで良い線まで行ったらって話だが。大学での学費の援助に、将来的な研究補助の確約。究極の青田刈りだって?・・・子飼いだってかまやしない。俺は凄いのが作りたいんだ。だから優勝したいんだよ。」
思いもかけずにキリ先輩から生臭い台詞が出た。
僕と違ってキリ先輩は怖いほど自分の将来を考えてる。
というよりロボット作りに入れ込んでいる。
「、、、判りました。でもロボコンが終わったら、直ぐに僕を解放してくださいね。でないと転退部届だしちゃいますよ。」
転部先のあたりは付いている、茶道部だ。
『私の百合友になってくれたらクラブのずる休みだって多めに見ちゃうよ』と女部長から誘いを受けている。
でもこんな事がない限り、普段は僕のことなんか完全に忘れているこのクラブが一番都合が良くてなんとか誤魔化したいところだったんだけど、沢父谷姫子の事があった。
本当に、ズルズルと高校なんかのクラブ活動に関わってはいられない。
この部長には幽霊部員の僕の転退部届なんて、痛くも痒くもないんだろうけど、僕は一応そう脅し的に言ってみた。
試合に望むボクシングのボクサーは、それぞれのコーナーにセコンドを置くことが出来るが、暁大東亜ロボットコンテストでも、競技ステージ側に、それに似た人間をつけられる、いやつけなければならない。
ただしロボットの主な設計者は、その場所には入れない。
全国最高水準と言われる暁大東亜ロボットコンテストには、ロボットは自律した存在という考えが、前提にあるからだ。
したがってセコンドは、ロボットが故障しても、コンテストを続ける為に施こす積極的な修理は許されていない。
それなのにロボット側にセコンドめいた人間をおく理由は危機管理の為だ。
ロボットの爆発や炎上、放電、果ては暴走まで、そういったものが会場をびっしり埋め尽くすギャラリー等に危険を及ぼさないようにする。
セコンドは主にそういった事の対応の為に、最低1名は配置されなければならないのだ。
ただそれらはあくまで前提であって、実際には様々なケースがあるし、セコンドは結構色々な事をやらなくてはならないのが実情だ。
完全自律型ロボットを易々と作り出せる学生がそこいら中にいるなんて、この国の教育水準はそんなに高くはない。
時々、江夏果理のような化け物級を輩出するが、そんな極微の確率なら何処の国にもあるだろう。
だから実際には、暴走しようにも、そこに至らないレベルのロボットも数多いのだ。
それでもそんなロボットが、このロボコンに多数エントリー出来るのは、未だに自律型ロボットというものの規定の範囲が広いからだった。
僕はそのセコンドに、諏訪光先輩の代役としてかり出されていた。
もちろん準備期間が正味1日しかないような情況の中で、完全な幽霊部員の僕にそんな役割が出来る筈はなかったが、それは並のロボットだったらの話だ。
大天才・江夏果理と稀代の工作職人・諏訪光が造り上げたロボット・オランは正に自律していた。
特に驚異的だったのは、このロボット・オランに搭載してあるAIだった。
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