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最終章 終焉、あるいは再生への道筋
80: 月夜に踊る
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煙猿が鼻歌を歌いながら上機嫌で俺の元に帰って来た。
なんとその曲はビートルズの「ミスター・ムーンライト」だった。
・・・もしかして今夜は、見る者を酔わせる程の美しい月が出ているのかも知れない。
それに煙猿は、資金繰りがつき、薬の買い付けの目処がたった安心感で、いつもより多くの薬を服用している可能性もあった。
俺は、ここ数日の監禁生活の中で、煙猿という人間の人となりと日常をかなり知ることが出来た。
悪党というわけでは、ないのだ。
だが人間の死を何とも思っていないから、そこから生まれる善悪の観念もない。
俺に対しても何の悪感情も持っていない。
ただ俺は「死の処理を施す相手」でしかないのだ。
、、そして俺の方は、そんな煙猿の帰還を知って、喜びの余り、見えない尻尾を千切れんばかりに振っている。
しかし心のどこか片隅で、「それは違う」と小さく叫ぶ声もなくはなかった。
もちろん、そんな内心の声など、長い間ご主人様に会えないで居た忠犬のごとき今の俺に届くわけはなかったが。
「待たせたな、目川探偵事務所所長殿、今夜はいよいよ君が、剥製になる夜だ。何、心配するな、痛みは激烈だがすぐに終わる。注射の痛みを堪える時間ぐらいのものだ。えぇ?誰から聞いたのかって、お前が体験したわけじゃないだろうって?、、その通り、それを教えてくれたのは君の先輩達さ。」
一人芝居の様な物言い、今夜の煙猿は本当に浮かれていた。
「ああ、そうだ。君もこんな煤けた場所で剥製になるのは味けなかろうな。君の美しき先輩の前で、しかるべき時を迎えるがいい。」
煙猿は部屋の片隅に置いてあった折り畳み車椅子を、俺の前に引き出すと、さあと合図した。
この頃には俺の身体の動きは極端に鈍くなっていたが、それでも辛うじて煙猿が肩を貸す程度で、車椅子に腰を下ろすことは可能だった。
煙猿は車椅子を押し、「先輩」が飾ってある展示室に向かうまで、いつも以上にひっきりなしに俺へ話しかけて来た。
明らかに薬の影響だった。
この男が、己の楽しみを水増しする為に、「薬」を摂取するのは珍しいことだったが、余程楽しい事があったのだろう。
話の主な内容は、今日殺して来たムラヤマという男と男娼の少年のものが多かった。
生きた人間を輪切りにするのはなかなか難しく、それが出来るのは国内ではこの俺ぐらいだろうとか、そのような内容だ。
特に、性的な興奮状態にある人間を、その途中で殺すとどうなるか、人間二人を同時に輪切りにする手応えや、匂い、その状況などを煙猿は、しつこく喋った。
「神は細部に宿ると言うだろう?俺は時々、それを実感する時があるんだよ。相手の肉に俺のワイヤーが食い込んでいく瞬間に、肉を分断し、神経を切り離すその瞬間に。そのそれぞれの瞬間に神は確かにいる。そしてそれらのディテールの積み上げが運命になるんだよ。逆じゃないんだ。」
煙猿は、そんなワケの判らない事をうわごとのように喋り続ける。
煙猿が、わざと剥製化の仕上げを、「先輩」が飾ってある部屋でやろうと申し出たのは、そんな高揚した気分で、俺相手に自慢話をしながら事に及びたかったからだろう。
飲酒運転で人を轢き殺す快楽に浸っているようなものだ。
その高揚感は取り留めもないようで、移動の最中でさえ、煙猿は喋り続け、ついには彼の口から、次の殺人計画まで飛び出してきた。
勿論、それは自分の話している相手が人形に近い存在だからだ。
「俺はさあ。あんたをこんな目に合わせた目白十蔵も始末しようかと思ってるんだ。裏テンロンが崩壊しちゃったら、色々、厄介だろ。俺があそこに関わってたっていう痕跡を消してしまいたんだ。一番色々知ってるのは十蔵だからね。でも、まだ迷ってる。あいつ意外としぶといから、裏テンロンが駄目になっても、何処かで再起する可能性もあるんだよね。そうすると俺も臓器密売の仕事を、あいつとまだ続けられるわけだからな。」
車椅子に取り付けてある金属棒の点滴吊りの先で、ランタンが揺れている。
煙猿は夜目が効くから、これは、死に場所に向かう俺へのサービスだろう。
そのランタンの光が、博物館の白い壁に俺達二人の影を大きく映し出している。
「でもって今、殺すのが確定してるのが、チェルノボグ・サーカスの蘭府って奴だ。こいつには死体剥製を卸してやってたんだが、普段から色々、気に触る所があったんだよな。昔、刑事をやってたらしくて、悪党のくせして、煮え切らない所がある。自分がこうなったのは、家族を守りたかったからだとか、ふざけんな、って。俺はそういう奴が大嫌いなんだよ。裏テンロンとも多少は繋がりのあった奴だし、何の弾みで、俺のことを喋るか判ったもんじゃない。奴は、あんたの処理が終わったら速攻で殺る。死体は、ミンチやらハムやらソーセージに加工して、奴の家族に送り付けてやるさ。家族に、さんざ迷惑をかけた放蕩親父なんだから、それくらいの罪滅ぼしは、しなくちゃな。」
ハムとソーセージか、、一体どんな味がするんだろう?
煙猿が手がけるんだ、きっと完成度は高い筈だ。
俺は、ますますぼんやりして来る意識の中でそんな事を考えていた。
始めて見るその展示室には、天窓から月の光が煌々と差し込んでいた。
展示室の鴨居部分にはプレートが嵌め込まれてあって、「レナトゥスの間」と読めた。
レナトゥス、、うろ覚えだが、確か「再生」とか、そう言った意味がある筈だった。
そして皮肉なことに「レナトゥスの間」には、天窓の月の光に晒された一体の少女の剥製が置かれてあった。
「沢父谷姫子だよ。あんたたちが探していた失踪人だ。ああ、色々情報は掴んでるよ。依頼人はあんたの助手のリョウって言う高校生なんだってな。変わった奴らしいよな。女に化けて、いろんなことを嗅ぎ回ったり、、でも美人らしいじゃないか。暇になったら、次はそのリョウって奴だな、、こいつみたいに純粋に俺個人のコレクションにしたいもんだ。」
俺の心の奥で、何かがもぞりと大きく動いた。
それは怒りだったかも知れない。
肘掛け部分に置かれた俺の指先がぴくりと動いたのを煙猿は見逃さなかったが、煙猿はあえてそれを無視してジーンズの尻ポケットに突っ込んで持ってきた注射器ケースを取り出した。
「こうやって出来の良い人形を前にすると、いつまでも喋っていたくなる、、きりがないな、俺の悪い癖だ。」
なんとその曲はビートルズの「ミスター・ムーンライト」だった。
・・・もしかして今夜は、見る者を酔わせる程の美しい月が出ているのかも知れない。
それに煙猿は、資金繰りがつき、薬の買い付けの目処がたった安心感で、いつもより多くの薬を服用している可能性もあった。
俺は、ここ数日の監禁生活の中で、煙猿という人間の人となりと日常をかなり知ることが出来た。
悪党というわけでは、ないのだ。
だが人間の死を何とも思っていないから、そこから生まれる善悪の観念もない。
俺に対しても何の悪感情も持っていない。
ただ俺は「死の処理を施す相手」でしかないのだ。
、、そして俺の方は、そんな煙猿の帰還を知って、喜びの余り、見えない尻尾を千切れんばかりに振っている。
しかし心のどこか片隅で、「それは違う」と小さく叫ぶ声もなくはなかった。
もちろん、そんな内心の声など、長い間ご主人様に会えないで居た忠犬のごとき今の俺に届くわけはなかったが。
「待たせたな、目川探偵事務所所長殿、今夜はいよいよ君が、剥製になる夜だ。何、心配するな、痛みは激烈だがすぐに終わる。注射の痛みを堪える時間ぐらいのものだ。えぇ?誰から聞いたのかって、お前が体験したわけじゃないだろうって?、、その通り、それを教えてくれたのは君の先輩達さ。」
一人芝居の様な物言い、今夜の煙猿は本当に浮かれていた。
「ああ、そうだ。君もこんな煤けた場所で剥製になるのは味けなかろうな。君の美しき先輩の前で、しかるべき時を迎えるがいい。」
煙猿は部屋の片隅に置いてあった折り畳み車椅子を、俺の前に引き出すと、さあと合図した。
この頃には俺の身体の動きは極端に鈍くなっていたが、それでも辛うじて煙猿が肩を貸す程度で、車椅子に腰を下ろすことは可能だった。
煙猿は車椅子を押し、「先輩」が飾ってある展示室に向かうまで、いつも以上にひっきりなしに俺へ話しかけて来た。
明らかに薬の影響だった。
この男が、己の楽しみを水増しする為に、「薬」を摂取するのは珍しいことだったが、余程楽しい事があったのだろう。
話の主な内容は、今日殺して来たムラヤマという男と男娼の少年のものが多かった。
生きた人間を輪切りにするのはなかなか難しく、それが出来るのは国内ではこの俺ぐらいだろうとか、そのような内容だ。
特に、性的な興奮状態にある人間を、その途中で殺すとどうなるか、人間二人を同時に輪切りにする手応えや、匂い、その状況などを煙猿は、しつこく喋った。
「神は細部に宿ると言うだろう?俺は時々、それを実感する時があるんだよ。相手の肉に俺のワイヤーが食い込んでいく瞬間に、肉を分断し、神経を切り離すその瞬間に。そのそれぞれの瞬間に神は確かにいる。そしてそれらのディテールの積み上げが運命になるんだよ。逆じゃないんだ。」
煙猿は、そんなワケの判らない事をうわごとのように喋り続ける。
煙猿が、わざと剥製化の仕上げを、「先輩」が飾ってある部屋でやろうと申し出たのは、そんな高揚した気分で、俺相手に自慢話をしながら事に及びたかったからだろう。
飲酒運転で人を轢き殺す快楽に浸っているようなものだ。
その高揚感は取り留めもないようで、移動の最中でさえ、煙猿は喋り続け、ついには彼の口から、次の殺人計画まで飛び出してきた。
勿論、それは自分の話している相手が人形に近い存在だからだ。
「俺はさあ。あんたをこんな目に合わせた目白十蔵も始末しようかと思ってるんだ。裏テンロンが崩壊しちゃったら、色々、厄介だろ。俺があそこに関わってたっていう痕跡を消してしまいたんだ。一番色々知ってるのは十蔵だからね。でも、まだ迷ってる。あいつ意外としぶといから、裏テンロンが駄目になっても、何処かで再起する可能性もあるんだよね。そうすると俺も臓器密売の仕事を、あいつとまだ続けられるわけだからな。」
車椅子に取り付けてある金属棒の点滴吊りの先で、ランタンが揺れている。
煙猿は夜目が効くから、これは、死に場所に向かう俺へのサービスだろう。
そのランタンの光が、博物館の白い壁に俺達二人の影を大きく映し出している。
「でもって今、殺すのが確定してるのが、チェルノボグ・サーカスの蘭府って奴だ。こいつには死体剥製を卸してやってたんだが、普段から色々、気に触る所があったんだよな。昔、刑事をやってたらしくて、悪党のくせして、煮え切らない所がある。自分がこうなったのは、家族を守りたかったからだとか、ふざけんな、って。俺はそういう奴が大嫌いなんだよ。裏テンロンとも多少は繋がりのあった奴だし、何の弾みで、俺のことを喋るか判ったもんじゃない。奴は、あんたの処理が終わったら速攻で殺る。死体は、ミンチやらハムやらソーセージに加工して、奴の家族に送り付けてやるさ。家族に、さんざ迷惑をかけた放蕩親父なんだから、それくらいの罪滅ぼしは、しなくちゃな。」
ハムとソーセージか、、一体どんな味がするんだろう?
煙猿が手がけるんだ、きっと完成度は高い筈だ。
俺は、ますますぼんやりして来る意識の中でそんな事を考えていた。
始めて見るその展示室には、天窓から月の光が煌々と差し込んでいた。
展示室の鴨居部分にはプレートが嵌め込まれてあって、「レナトゥスの間」と読めた。
レナトゥス、、うろ覚えだが、確か「再生」とか、そう言った意味がある筈だった。
そして皮肉なことに「レナトゥスの間」には、天窓の月の光に晒された一体の少女の剥製が置かれてあった。
「沢父谷姫子だよ。あんたたちが探していた失踪人だ。ああ、色々情報は掴んでるよ。依頼人はあんたの助手のリョウって言う高校生なんだってな。変わった奴らしいよな。女に化けて、いろんなことを嗅ぎ回ったり、、でも美人らしいじゃないか。暇になったら、次はそのリョウって奴だな、、こいつみたいに純粋に俺個人のコレクションにしたいもんだ。」
俺の心の奥で、何かがもぞりと大きく動いた。
それは怒りだったかも知れない。
肘掛け部分に置かれた俺の指先がぴくりと動いたのを煙猿は見逃さなかったが、煙猿はあえてそれを無視してジーンズの尻ポケットに突っ込んで持ってきた注射器ケースを取り出した。
「こうやって出来の良い人形を前にすると、いつまでも喋っていたくなる、、きりがないな、俺の悪い癖だ。」
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