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第4章 我これに報いん
45: 特異点のゴーストタウン
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護はアクセルをゆっくりと踏み込んで車を発進させた。
・・・アクセルをゆっくり踏み込むだって?!こんな風にディバイスの運転を意識したのは、初めてこの車に乗った時以来の事だ。
護は管制室とのチャンネルを開くために、無線のスィッチを入れながらそう思った。
勿論、その原因は分かっている、隣の助手席に座っている丹治のせいだった。
碇に初めて赴任した日、丹治が車の運転をし、護が助手席に乗り、街を案内された。
今は立場が逆転している。
しかし、丹治が総てを知り尽くした碇の街を案内したのに対して、護は特異点内部世界の事を、丹治のそれ程にはよく理解していなかった。
自分の意識が作り出した世界だというのにだ。
それだけよく判らない世界なのだ。
だがこの旅は、常人の誰もが体験できるものでもない、、リペイヤーがいて初めて成り立つ旅だ。
行けば、なんとか丹治の役には立つだろうと護は思った。
「ゲッコ、いつも通りの手順でいいのか?今日はお客さんがいる、、。」
「大丈夫さ、それにお客さんを乗せるのは、初めてじゃないだろ。」
「夾雑物は客じゃない、あれは内部からひっつかまえて戻ってくるんだ。一般人を乗せて特異点に入りこむのは、初めてだよ。」
「心配するな、技術部門のリペイヤー達は、素人さんの科学者や技術者を、何度も内部へ連れていって帰って来てる。事故が起こったなんて話は聞いたことがない。いつも通りでいいんだよ。」
リペイヤー達は、科学者や技術者達を連れて行く事を専門にしている同僚の内部世界の事を「機械部屋」と呼んでいた。
そういったリペイヤーが数人存在するから、機械部屋A、機械部屋Bと言った具合でそれらを言い表す事もある。
確かに、そこでのトラブルは聞いたことがない、、。
しかし護の場合は、ゲッコが言ったように・・・いつも通り、にはならなかった。
特異点内部世界突入後、マーコス LM500の右前方に現れる筈の、光をまぶしたデコレーションケーキのような形状の巨大建築物が見あたらなかったのだ。
だが、特異点内部に進入した直後に襲われる、あの薬物をやっているような強烈な酩酊感はいつもと同じだった。
隣を見ると丹治も同じ様な表情を浮かべている。
それなのにリペイヤー達が、特異点内部の唯一の共通項として認識している「バベルの塔」が見つからないのだ。
いつもならその「バベルの塔」を眺めながら、マーコス LM500のウィングをたたむタイミングを考えている頃だ。
ウィングを半閉すると、マーコス LM500は強力な揚力を失ってしまう。
その後の数十秒は、マーコス LM500後部に設置してあるジェット噴射による直線的な推力しかない。
後は地表に浅い角度で突っ込んで軟着陸するしかないのだ。
それなりの着地点、あるいは滑走路となりうる直線距離の長い道路を見つける必要がある。
いつもなら、「都合良く」それは出現した。
だが今回は、それもなかった。
眼下に広がっているのは、いつものように薄闇の世界ではあったが、その様相がまったく違った。
まるで夕暮れ時に、突然、大停電に見舞われた都会。
そしてそれは、どこかで見覚えのある都市の姿だった。
「ほう、警視殿の内部世界とは、碇のことなのですかな?」
その嫌み口調は変わらなかったが、丹治は、驚いていたようだ。
確かに、護が今回突入した内部世界は、「碇」によく似ていた。
丹治はサーフスターか誰かに、事前段階で特異点内部の様子についてのレクチャーを受けていたようだが、そこから考えても、この光景に二重の意味で驚きを感じただろう。
護には、それに応えている暇はなかった。
「ゲッコ、応答してくれ!ゲッコ!応答しろ。」
いつもならまだ通信が可能なタイミングだった。
しかし何の反応もない。
明らかに内部世界に入り損ねている。
そう考えて、護は更に混乱した。
ではここはどこなのだ?
レズリーのように、自分も他人の内部世界に入れる力が備わったのか、、、いや、それより当面問題なのは、着陸地点を見つけることだ。
それにこの世界は妙にリアルだ。
ディバイスごと地面に激突もありうる、、。
「丹治警部、碇の一番長い直線道路は、何処でしたっけ?」
丹治の手前、悲鳴は上げられない。
護の口から無意識の間抜けた質問が飛び出る。
ここは碇ではないのに。深い考えがあって言ったわけではないのだ。
それは先ほど丹治が指摘したように、この内部世界が碇にそっくりだったからで、・・溺れる者は藁をも掴むの心境が、護にそう言わしめたのだ。
「条件的には、湾岸高速が一番だが、もし胴体着陸を考えてるなら碇港の西にあるR86が良いだろう。あそこは距離は、あまりないが道幅が異様に広いし、失敗したら真横の海へ飛び込める。、、なにせ湾岸高速は高架だからな。着陸に失敗したら、大事故に繋がる。右へ旋回して、、暫く滑空が出来るんなら、もうすぐR86が視認できる。もっとも、ここが碇ならばの話だがね。」
驚くべき事に、丹治はこんな場面でも冷静だった。
いや、この世界が碇にそっくりの世界でなければ、さすがに丹治でもこんな反応ではなかったのかも知れない。
護は微かに、自分の内部世界に案内出来なかった事を悔しく思った。
丹治の言ったとおり、右に旋回して暫く都市の滑空していると、真っ黒で巨大な鏡面の様に見える海とその額縁のように見えなくもない、ねず色の直線が見えた。
R86、そこまでの距離を、護はマーコス LM500が飛んでいられるぎりぎりだろうと読んだ。
つまり、逆に言えば、着陸の為の他の候補地は、R86以外にもう選びようがないという事だった。
「シートベルトを!」
「何?」
「シートベルトをして下さい。」
護は自分もシートベルトを装着して、ディバイスの操縦を全自動にした。
自分の内部世界で、やるような操縦をしても、上手く行かない気がしたからだ。
小型モニターに映し出された眼前の光景に、着陸地点をマーキングしてボタンを押すだけだ。
これがどういう仕組みで作動しているのか知りたければ特異点テクノロジストに聞くしかない。
「今、何をした?」
丹治はシートベルトをしながら目敏く護の動作を見ている。
「着陸準備、、全自動のね。」
「警視殿が、このスーパーカーを運転するんじゃないのか?」
「自信がないもんで。」
「そっちの方が安全なんだな?」
「いや・・初めてやります。」
この答えに丹治は嫌みを返せなかった。
その時は、すでにディバイスが地面と接触して激しく振動し始めていたからだ。
ウィングはすでに折りたたまれている。
タイヤが焦げる匂いがした。
ディバイスはアスファルトの上を疾走している。
だが道路は、その行き先を数十メートルまでで途切れさせていて、その端からは、真っ黒な鏡面のように見える海があった。
これが通常の内部世界なら、ディバイスは道路を突き抜け、海の上を滑走する筈だ。
だがここでは、そうならないだろう。
海面への激突あるのみだ。
護はブレーキペダルを思い切り踏み込んだが、スピードは衰えない。
全自動着陸の制御が、未だに効いているのか、それとも、全自動は着陸成功の時点で解除されているのか。
ダメだ、ここは本当に俺の、いや俺のどころか、特異点内部世界じゃない!
ディバイスはもう「スーパーカー」ではなくなっている。
海が目前に迫っている。
護はハンドルをきる。
右へ。
今、走っている直線道路がクランクカーブしている方向へ、だ。
ディバイスはテールを大きくふりながら、進行方向を変え、右側へ伸びている道路に入り込んだ。
そしてそこで、独楽のように三回転してやっと止まった。
「おめでとう、警視殿。いやこのスーパーカーの頭脳を褒め称えるべきかな。」
丹治はシートベルトを解除して、ディバイスの外に飛び出る。
このディバイスの更なる異変を恐れてか、それともこの内部世界を、いち早くその足で観察したかったのか。
それを追うように、護もマーコス LM500の外にでる。
タイヤの焦げている匂いがした。
「いや全自動が効いていたのは、着陸までのようでした。」
護の方を振り向いた丹治は、肩をすくめながら微妙な表情を浮かべた。
「そうか、最後は、私たちの得意な碇流だったってわけだ。」
・・・アクセルをゆっくり踏み込むだって?!こんな風にディバイスの運転を意識したのは、初めてこの車に乗った時以来の事だ。
護は管制室とのチャンネルを開くために、無線のスィッチを入れながらそう思った。
勿論、その原因は分かっている、隣の助手席に座っている丹治のせいだった。
碇に初めて赴任した日、丹治が車の運転をし、護が助手席に乗り、街を案内された。
今は立場が逆転している。
しかし、丹治が総てを知り尽くした碇の街を案内したのに対して、護は特異点内部世界の事を、丹治のそれ程にはよく理解していなかった。
自分の意識が作り出した世界だというのにだ。
それだけよく判らない世界なのだ。
だがこの旅は、常人の誰もが体験できるものでもない、、リペイヤーがいて初めて成り立つ旅だ。
行けば、なんとか丹治の役には立つだろうと護は思った。
「ゲッコ、いつも通りの手順でいいのか?今日はお客さんがいる、、。」
「大丈夫さ、それにお客さんを乗せるのは、初めてじゃないだろ。」
「夾雑物は客じゃない、あれは内部からひっつかまえて戻ってくるんだ。一般人を乗せて特異点に入りこむのは、初めてだよ。」
「心配するな、技術部門のリペイヤー達は、素人さんの科学者や技術者を、何度も内部へ連れていって帰って来てる。事故が起こったなんて話は聞いたことがない。いつも通りでいいんだよ。」
リペイヤー達は、科学者や技術者達を連れて行く事を専門にしている同僚の内部世界の事を「機械部屋」と呼んでいた。
そういったリペイヤーが数人存在するから、機械部屋A、機械部屋Bと言った具合でそれらを言い表す事もある。
確かに、そこでのトラブルは聞いたことがない、、。
しかし護の場合は、ゲッコが言ったように・・・いつも通り、にはならなかった。
特異点内部世界突入後、マーコス LM500の右前方に現れる筈の、光をまぶしたデコレーションケーキのような形状の巨大建築物が見あたらなかったのだ。
だが、特異点内部に進入した直後に襲われる、あの薬物をやっているような強烈な酩酊感はいつもと同じだった。
隣を見ると丹治も同じ様な表情を浮かべている。
それなのにリペイヤー達が、特異点内部の唯一の共通項として認識している「バベルの塔」が見つからないのだ。
いつもならその「バベルの塔」を眺めながら、マーコス LM500のウィングをたたむタイミングを考えている頃だ。
ウィングを半閉すると、マーコス LM500は強力な揚力を失ってしまう。
その後の数十秒は、マーコス LM500後部に設置してあるジェット噴射による直線的な推力しかない。
後は地表に浅い角度で突っ込んで軟着陸するしかないのだ。
それなりの着地点、あるいは滑走路となりうる直線距離の長い道路を見つける必要がある。
いつもなら、「都合良く」それは出現した。
だが今回は、それもなかった。
眼下に広がっているのは、いつものように薄闇の世界ではあったが、その様相がまったく違った。
まるで夕暮れ時に、突然、大停電に見舞われた都会。
そしてそれは、どこかで見覚えのある都市の姿だった。
「ほう、警視殿の内部世界とは、碇のことなのですかな?」
その嫌み口調は変わらなかったが、丹治は、驚いていたようだ。
確かに、護が今回突入した内部世界は、「碇」によく似ていた。
丹治はサーフスターか誰かに、事前段階で特異点内部の様子についてのレクチャーを受けていたようだが、そこから考えても、この光景に二重の意味で驚きを感じただろう。
護には、それに応えている暇はなかった。
「ゲッコ、応答してくれ!ゲッコ!応答しろ。」
いつもならまだ通信が可能なタイミングだった。
しかし何の反応もない。
明らかに内部世界に入り損ねている。
そう考えて、護は更に混乱した。
ではここはどこなのだ?
レズリーのように、自分も他人の内部世界に入れる力が備わったのか、、、いや、それより当面問題なのは、着陸地点を見つけることだ。
それにこの世界は妙にリアルだ。
ディバイスごと地面に激突もありうる、、。
「丹治警部、碇の一番長い直線道路は、何処でしたっけ?」
丹治の手前、悲鳴は上げられない。
護の口から無意識の間抜けた質問が飛び出る。
ここは碇ではないのに。深い考えがあって言ったわけではないのだ。
それは先ほど丹治が指摘したように、この内部世界が碇にそっくりだったからで、・・溺れる者は藁をも掴むの心境が、護にそう言わしめたのだ。
「条件的には、湾岸高速が一番だが、もし胴体着陸を考えてるなら碇港の西にあるR86が良いだろう。あそこは距離は、あまりないが道幅が異様に広いし、失敗したら真横の海へ飛び込める。、、なにせ湾岸高速は高架だからな。着陸に失敗したら、大事故に繋がる。右へ旋回して、、暫く滑空が出来るんなら、もうすぐR86が視認できる。もっとも、ここが碇ならばの話だがね。」
驚くべき事に、丹治はこんな場面でも冷静だった。
いや、この世界が碇にそっくりの世界でなければ、さすがに丹治でもこんな反応ではなかったのかも知れない。
護は微かに、自分の内部世界に案内出来なかった事を悔しく思った。
丹治の言ったとおり、右に旋回して暫く都市の滑空していると、真っ黒で巨大な鏡面の様に見える海とその額縁のように見えなくもない、ねず色の直線が見えた。
R86、そこまでの距離を、護はマーコス LM500が飛んでいられるぎりぎりだろうと読んだ。
つまり、逆に言えば、着陸の為の他の候補地は、R86以外にもう選びようがないという事だった。
「シートベルトを!」
「何?」
「シートベルトをして下さい。」
護は自分もシートベルトを装着して、ディバイスの操縦を全自動にした。
自分の内部世界で、やるような操縦をしても、上手く行かない気がしたからだ。
小型モニターに映し出された眼前の光景に、着陸地点をマーキングしてボタンを押すだけだ。
これがどういう仕組みで作動しているのか知りたければ特異点テクノロジストに聞くしかない。
「今、何をした?」
丹治はシートベルトをしながら目敏く護の動作を見ている。
「着陸準備、、全自動のね。」
「警視殿が、このスーパーカーを運転するんじゃないのか?」
「自信がないもんで。」
「そっちの方が安全なんだな?」
「いや・・初めてやります。」
この答えに丹治は嫌みを返せなかった。
その時は、すでにディバイスが地面と接触して激しく振動し始めていたからだ。
ウィングはすでに折りたたまれている。
タイヤが焦げる匂いがした。
ディバイスはアスファルトの上を疾走している。
だが道路は、その行き先を数十メートルまでで途切れさせていて、その端からは、真っ黒な鏡面のように見える海があった。
これが通常の内部世界なら、ディバイスは道路を突き抜け、海の上を滑走する筈だ。
だがここでは、そうならないだろう。
海面への激突あるのみだ。
護はブレーキペダルを思い切り踏み込んだが、スピードは衰えない。
全自動着陸の制御が、未だに効いているのか、それとも、全自動は着陸成功の時点で解除されているのか。
ダメだ、ここは本当に俺の、いや俺のどころか、特異点内部世界じゃない!
ディバイスはもう「スーパーカー」ではなくなっている。
海が目前に迫っている。
護はハンドルをきる。
右へ。
今、走っている直線道路がクランクカーブしている方向へ、だ。
ディバイスはテールを大きくふりながら、進行方向を変え、右側へ伸びている道路に入り込んだ。
そしてそこで、独楽のように三回転してやっと止まった。
「おめでとう、警視殿。いやこのスーパーカーの頭脳を褒め称えるべきかな。」
丹治はシートベルトを解除して、ディバイスの外に飛び出る。
このディバイスの更なる異変を恐れてか、それともこの内部世界を、いち早くその足で観察したかったのか。
それを追うように、護もマーコス LM500の外にでる。
タイヤの焦げている匂いがした。
「いや全自動が効いていたのは、着陸までのようでした。」
護の方を振り向いた丹治は、肩をすくめながら微妙な表情を浮かべた。
「そうか、最後は、私たちの得意な碇流だったってわけだ。」
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