ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

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【 旅とこなもん 】

03: カキオコ巡礼 その三 「マインドセット」

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 カキオコを食べに日生近くまで行ったら、立ち寄る先(目的は逆でも可w)は色々とあると思うんですが、結構、穴場でお勧めのスポットがあります。
 それは岡山県備前市の旧閑谷学校です。
 名前だけは、「日本最古の庶民学校」としてお聞きになった事があるかも知れませんね。

 でも大阪みたいに、それ程、岡山県とは離れれていない都市に住んでいても、「旧閑谷学校」へ遊びに行ったよという話は余り聞いたことがありません。
 「特別史跡」とか「日本最古の庶民学校」のネーミングが、お堅くて逆に人を遠ざけているのかも知れませんね。

 でも本当に良いところですよ。
 「旧閑谷学校」の由来を少し触れておくと、岡山藩主・池田光政が庶民教育の場とするために、津田永忠という人物に命じて、寛文11年に造らせた学校なのだそうです。
 その講堂は元禄14年の建築で、学校建築としては唯一の国宝だとか。
 その形は、微妙に中国の建築ぽい部分もあるけれど、何処から見てもニッポンって感じもして味わい深い講堂です。

 この講堂は必見ですね。
 古い建物には、そこで暮らしていた人々の息づかいや、想い、生活が染みついているものですが、この講堂は凄いですよ。
 儒学の殿堂にふさわしい様式美と、そこに張り詰めた「気」みたいなものが、今でも充分に感じられます。

 あまり「昔の人は偉かった」とかは言いたくないんですけど、ここに来ると厭でも「昔の学生・生徒」は真面目で偉かったんだなぁ、、としみじみ思わざるを得ません。
 アンが訪れた時は、団体の学生さん達が、この講堂で「体験授業」する前のタイミングでした。
 講堂で昔の生徒がやったように「論語朗誦」なんかをするんじゃないでしょうか。
 アンは学校行事の団体行動って大嫌いでしたが、これなら「やらされて」みても良かったかな?と思います(笑)。

 「旧閑谷学校」のあるロケーションも静謐で穏やかで、心を癒すには抜群な土地です。
 穏やかな隠里みたいな。
 この地を見つけた津田永忠さんの目利きが凄かったんでしょうね。
 ほんと此処に訪れるだけで、乱れた心が安定しますよ。お勧めします。
 帰りは、日生でカキオコ食べてビールでも飲んで、、結局、煩悩爆発、、って一緒か(笑)。


 でやっぱり旧閑谷学校の帰りに立ち寄ったのが、カキオコの「ほり」さんです。
 この時は、冬ガキのシーズンから外れていたせいもあって、来客数も少なくて結構ゆったりした感じでカキオコを食べる事ができました。
 「ほり」さんの場合は、お好みの焼き方も、やや最近の大阪のお好み焼き風なので、なんだか鉄板囲んで漫画を読みながらお好みを食べてた小さい頃の事を思い出しちゃいました。
 もちろん今は、漫画は読まないんで、その時はなんとなくお店で流れてたテレビの画面を眺めてました。

 というか、緩んだシーズンオフの昼下がりですから、店中の人間がタラーンとした感じでテレビ見てたんです。
 やってたのがクックパッドなんかでよく登場するような、アイデア料理特集見たいなので、「レンジで何でも作れる」とか、「何と何を混ぜるとこんな味になると」か、まあお遊びみたいなもので、こんなのを本当にありがたがてって真剣に作ってる人がいるのか?って感じで、店の人も、お客さんも半ば呆れながら見てました。

 お好み焼き作る腕って、修練てか回数が大きく物を言うので、特別な料理の才能っていらないと思ってたんですが、それでも、こんなお遊びに比べたら、このお店のおばさまって、ずっと凄い事やってるんだなーって、ハフハフとカキオコ頬張りながら考えました。

 もうそれだけ、手順の係る料理を作る力が、皆から失われてるって事なんでしょうね。
 レトルトとか冷凍とか出来合いのお惣菜パックとかのレベルが上がって、逆にそれらは簡単にレンチンで口に入るから、みんなの意識が、「手間をショートカットする方向」にセットされてるんでしょうね。
 忙しい女性(男性)が、「とにかく手間なしで食べ物を作りたい、時間がなーい!」と言う現実は大いにあるとしても、従来の「家庭の味」に現されるような「食」の大勢が加速度的に変わりつつあるみたいですね。
 その内、子どもたちが「俺んちは、ファミマ味」「私の家はセブンよ」「なにそれ、食文化貧しいなー。僕んちはイオンだよ!コロッケが美味いんだ。」とか言ってそうですが。

 ところで、大阪には「たこ焼き懐石」ってものがあります。
 同じ発想で超高級な「お好み焼き」もね。
 自分ではそんなお店に行くつもりもないんですけど、時々、仕事関係で連れて行ってくださるんです。
 そんな時は当然、始終嬉しそうな顔をしてるし、実際、出されたモノは超美味しいです。

 、、けど、超高級和牛とか伊勢エビとかがアレンジしてあるコナモン見て、「これって意味ある?」とは思いますよね。
 まあ、お商売の部分で、戦略的に作られているそういうメニューを批判するつもりはないんですよ。
 ただ単純に、「食べる」や「作る」っていういう事の話の上の疑問なんですけど。

 アンは生まれも育ちも大阪ですから、下町の路地裏の小汚いお店や、屋台で売られていたタコ焼きもお好み焼きも知っています。
 何時の頃からか、路地裏のそんなお店はなくなり、たこ焼きやお好み焼き自体の値段も上がって、今やコナモンも完全な庶民の味じゃなくなったけど、この食べ物の基本というか、生まれが、高級志向じゃないのは確かだと思うんです。
 だから今でもアンが「このたこ焼き(お好み焼き)美味しい!」と思えるのは、安価な食材だけで構成されてるクセに、火加減やら諸々の調合やら、鉄板の熟成具合やらで、それなりに旨くでっち上げられたブツなんですよね(笑)。
 そこに庶民の「匠の技」を、感じちゃったりするんです。

 新鮮な高級食材だけ使って美味しいモノを作るのは当たり前なんじゃないかなー?
 それにコナモンに超高級和牛とか伊勢エビ・アワビ使ってどーすんの?って話なんですけど。
 いって地元の養殖場から引き上げられた牡蠣ぐらいでしょう(笑)。



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