ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

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【 旅と温泉グルメ しゃぶれどもしゃぶれども(番外編) 】

15: 犬と散歩する③

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 雨が降っていて、妙に空気がひんやりとしてしてる。
 アンは、なんだかこんな天候が好きだなぁ、、。
 アンって変?

 変と言えば今朝、カラスに包囲されてる猫ちゃんを見たよ。
 場所は公営の小さな野球グラウンドなんだけどね。
 ホームベースよりの地面の上に、黒い影が5体ほどあるわけ。

 カラスの方はすぐに判ったんだけど、彼らに取り囲まれてうずくまっている黒いものが、猫だなんてしばらく判らなかった。
 カラスの方は鳴き喚くわけでもなく、羽ばたくわけでもなく、ただじっとその猫ちゃんを中心にして、まさに「包囲」してるって感じ、、。
 ちょっと遠くから見ていると、鬼気迫るものがあって「猫ちゃんをいじめるのはやめなさい」って思わずいってしまいそうな感じ。

 大きさはカラスも猫もみんな同じぐらいなんだけど、カラスは高さがあるでしょう。
 カラスの方がすごく大きく見えるのね。
 見るからに凶暴って感じだし、それにカラスってとっても頭が良さそう。
 聞いた話だと、遊びを作り出せる能力もあるそうだし。

 奴ら、チームを組んで「猫いじめ」ゲームでも開発したのかしらん。
 アンも一部始終を見届ける訳にはいかないから、その場を離れたんだけど、とっても心配。
 遠くからだから判らなかっただけで、もしかしたら猫が何かを食べていて、それをカラスが横取りのチャンスを狙ってたって事くらいならいいんだけど、、、。
 なんだかT・J・マクレガーの「繭」を思い出しちゃった。


 久しぶりに実家でくつろいでいる。
 室内で飼っているラブラドール君におやつをあげる。
 骨を一度粉砕して固め直したものだ。
 結構、固くてカチンとした手触りがある。

 このラブ君に限らず、大体の犬達は喰いしん坊だから、「よし」と許可を与えてやると餌に飛びついて食べ始める。
 ラブ君があまりに勢い良く牙を当てたものだから、おやつが欠けて、その破片が遠くへ飛んで行ってしまった。
 ラブ君はその破片の行き先を目で追いながら一瞬考えたようだ。

 おやつは全部食べたい、今、飛んでいった欠片を追いかけていくべきか、それとも自分の口の中のものを先に平らげるか。
 どうやらラブ君は、飛んでいったおやつの欠片を後で探すつもりになったらしい。
 口にほおばったおやつをガリガリとやり始める。

 アンはこのラブ君の様子を、はらはらしながら見ていた。
 果たして犬の記憶力って、どれぐらいあるんだろう?
 おやつを食べ終わったらそれに満足して、後回しにしたおやつの破片の事を忘れてしまうのではないかと。

 結果はこちらの心配しすぎだった。
 我が家のラブ君、口にくわえたおやつを食べ終わると、実にしっかりした足取りで、飛んでいった破片を探し出し、これも綺麗に平らげたのだった。

 生き物が生きるための知恵の構造と記憶の持続時間は密接な関係があると思う。
 単純な生命体になるほど長い記憶がないけれど、それは彼らの知能が劣っているという見方よりも、生き延びる為の「必要性」の問題のような気がする。

 人間の記憶はずば抜けて長い。
 更に、個人の記憶を人類全体の「歴史」に編纂しなおす能力さえ持っている。
 さて我が家のラブ君は破片の行方を忘れなかったが、歴史上に刻まれた戦争の過去を、人は思い出す事が出来るのだろうか、、、。




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