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本編 幼少期
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しおりを挟む3日後、ルーカスとマイケルはオスカー領にある孤児院へ向かう。
「院長や大人達には話をつけておりますので、素のままで大丈夫ですよ」
「うん、ありがとう」
少しすると、孤児院へ到着した。
「ルーカス・アルシアン・ラ・テオ・オスカー・ナサニエルだよ。よろしくね」
「ようこそお越しいただきました。私は院長のジャクソンです。よろしくお願いします」
ジャクソンは元々この孤児院で育った孤児だった。今は、成長して院長をしている。
「私はジャクソンと孤児院の運営について話してきますが、殿下もご一緒なさいますか?」
「いや、そこは僕は関わるべきでは無い。2人で話してきてくれるかい?」
「分かりました。エマ、殿下を子ども達のところまで案内しろ」
「はい。では、こちらにお越しください」
ルーカスは、孤児院の先生であるエマに連れられて、子供達のいる広場へ行き、子供達に紹介される。
「皆、こちらはこの国の第3皇子殿下です。貴方達に本を寄付してくださったの。お礼を言いましょう」
「「ありがとう!」」
「ふふ、どういたしまして。僕の事はテオって呼んでね。君もだよエマ」
「光栄です、テオ殿下」
「テオでんか! いっしょに遊ぼう!」
「だめよ、アンナ。テオ殿下は皇子様だから私達とは遊べないわ」
「クレアの言う通りだぞ。俺達とは立場が違うんだから」
さすがはオスカーの孤児院。身分制度については徹底的に指導されているね。
最年長の2人が年少組を注意をして他の年長、年中組は、1歩引いたところで一言も話さない。
「構わないよ、一緒に遊ぼうか。でも、まずは自己紹介からだね。出来るかい?」
「できるよ! あのね、アンナだよ、4歳になったんだ!」
「よろしくね、アンナ」
ルーカスが最年長の2人に目線を向ける。
「クレアです。11歳です。お願いします」
「フィンです。12歳です。よろしくお願いします」
「クレア、フィンよろしくね」
他の皆も自己紹介をしていく。
「自己紹介してくれてありがとう。エマ、この施設に行ってはいけない所はあるかな?」
「ありますが、鍵がかかっておりますので鍵がかかっている場所には行かないようにお願いします」
「分かった。では、アンナ遊ぼうか」
「うん! あのねあのね、アンナご本読んでほしいの!」
「分かった。どれがいいか選んできてくれるかな」
アンナは、本棚に本を選びに行った。
「テオでんか! これがいい!」
ふふ、これ、エド兄さんが読んでくれた本だ。懐かしいな。
アンナが持ってきたのは、精霊と友達になって幸せに暮らすという絵本だった。
ルーカスの周りに年少組が集まってくる。
「では、読んでいくね」
ある村に、働き者の男の子がおりました。その男の子は、いつも忙しく──……
──……そして、精霊と幸せに暮らしました。
「とても面白かったよ! アンナもせい霊さんとお友達になりたい!」
「ふふ、そうだね。いつかお友達になれるといいね」
ルーカスが笑顔で言い返すと、皆が一瞬固まった。
「ん? どうしたんだい?」
「…テオでんかって、めがみ様みたい!」
「えー、違うよ! てんし様だよ!」
「めがみ様!」
「てんし様!」
どうしよう、僕の事で言い合いが始まってしまった…… 。
すると、言い合いに気づいたクレアがこちらに近づいてくる。
「こら! テオ殿下が困ってるでしょ!」
「だって! リノンがテオでんかの事、天使さまって言うんだもん!」
「テオでんかは、てんし様なの! 女神さまじゃないもん!」
クレアが収めようとしても、アンナとリノンの言い合いが止まらない。そこへ、フィンもやって来た。
「アンナ、リノン、テオ殿下を困らせるな。それにテオ殿下は女神様でも天使様でもない、この国の皇子様だぞ」
フィンの言葉を聞くと、アンナとリノンは、ハッとした様な顔をする。
ははは、それでいいんだ。
「ほら、お昼ご飯の準備を始めるわよ」
クレアがそう言うと、2人は直ぐに行ってしまった。
「2人共、事態を収拾してくれてありがとう」
「いえ、こちらこそ2人が喧嘩してしまってすみませんでした」
「いや、一緒に遊べて楽しかったよ。ほら、皆が待っている。早く行ってあげなさい」
「「失礼します」」
クレアとフィンはお辞儀をして、皆の所へ向かった。
4歳か。きっとリリーもあんな風に話すんだろうな。いや、授業を受けているから、もっと落ち着いているかもしれないな。
その後も、少し一緒に遊んでマイケルが来るのを待った。
「お待たせ致しました、殿下。子供達はどうでしたか?」
「皆、笑顔が絶えなかったよ。大人達も周りに気を配れているし、子供達も字が読める子が多い。施設も全て清潔に保たれていて、栄養も行き届いていた。良い環境だね」
「お褒め頂き至極光栄です。今後も維持出来るよう尽力致します」
(まさか今日の半日だけでここまで観察されたとは……)
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