悪夢

ふにゃー

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  学園を卒業したら2ヶ月後、レイノルドと結婚って事で、準備を進めてた。

  なのに、レイノルドがさすがに無いだろって言ってた第2王子のマクシミリアン殿下の愚行が、新成人を祝う大広間で行われ……

  自分もだけど、レイノルドも、国王陛下も、王妃様までもが、開いた口が塞がらなかった。

  1年生のシンディは、本来出られないのに居て、笑ってたけど……

  「何か言ったらどうだ!」と吠えた殿下に、口を開いたのは、国王陛下で。

  「どうして、そう思った?」と問い掛けた。

  「シンディと婚約出来ないと言う事は、姉のリリアンヌとしてるからでしょう!」

  当然とばかりに口にしたマクシミリアン殿下に、国王陛下、大きな息を吐いた。

  「リリアンヌ嬢の婚約者は、横に居るゴラスティーニ侯爵家のレイノルドだ」

  申し訳ないと言いたげで、チラッと、にこにこしてるのに怒ってる宰相を見た。

  ちなみに、マクシミリアン殿下、王太子フリードリヒ殿下を支えるべく、これでも王国騎士団の団長にいずれなる予定だった。

  自分は、脳筋だったから、この様な事になったのか?と呑気に考えてたんだけど……

  この1件で、王国の土台が揺らぐとは思ってもいなかった。



  有り得ない婚約の破棄事件は、マクシミリアン殿下の蟄居と言う形で幕が引かれた。

  皆の前で愛を誓ったという事で、シンディ16歳にしてマクシミリアン殿下とつつがなく、式なしで結婚。

  本来なら、大公家を開く予定が、国を騒がせたと言うことで、伯爵家となり、今後の働き次第で叙爵と言う事になった。

  シンディへのお咎めが無しになる筈はなく、監督不行届で、ソビジェーブ家は家格維持で、領地の配置換えになった。

  代々の伯爵家の働きに免じてって処らしい。

  辺境領ほどではないけど、ゴラスティーニ侯爵家からは遠く離れた場所に。

  と言うのも、マクシミリアン殿下は蟄居になるので、許されるまでの間、領地の管理をするのに、ソビジェーブ家が側の領に移ったと言うのが、公の裁定。

  その頃と言うか、学園に通う時点で、自分の所在は侯爵家だったので、身近で見てないの。

  一応、結婚式の日程や準備も進んで居たので、招待状も発送済みだった。

  両親たちからすれば、慌ただしい最中だから、来てくれないかもしれないな。

  そう思っていたのに、来てくれて祝福され、嬉しかった。

  恥ずかしかったけど、優しく閨を教えられ、身体を開かれ、繋がった初夜だった。

  幸せの絶頂だった。

  侯爵家に枕を移してから見ていなかった夢なのに……


  何十、いや数えきれない程の大型の人型魔獣が襲って来て居て、多くの者が逃げ惑っていた。

  一応、学園で習って居たので、その魔獣がオークやオーガだと言う事は分かった。


  悲鳴を上げて飛び起きた自分に、「リリどうした?」と言いながら、抱き寄せてくれたレイノルド。

  顔をひきつらせて、見た夢を告げれば、眉を寄せた。

  「何か、場所が特定出来そうな物覚えてる?」

  いつものように、細かい場所を思い出せる様に、誘導し始めた。

  だけど、町を特定する風にたなびく旗は、見た覚えがないものだった。

  「左を向いた鷲が羽根を広げ、下に斧と剣が交叉し、後ろが盾なんだね」

  自分が旗の特徴を口にすれば、唸ったレイノルド。

  「上手く行けば、殿下の蟄居が解かれ、功績を挙げ叙爵って事になるけど……」

  そう言って、見て来たレイノルドだった。

  「それって、ソビジェーブ……?」と口にした自分に、首を振って、教えてくれたのは……

  「ハイレミシッド領。マクシミリアン殿下の領地だけど、まあ、ソビジェーブは隣だからねえ」

  そう言われ、青くなったんだけど……

  レイノルドに、「大丈夫だよ。あーでも、マクシミリアン殿下は強いからね」と言われ、頷いた。



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