悪夢

ふにゃー

文字の大きさ
6 / 13

6

しおりを挟む



  リリこと愛する妻リリアンヌが、伴も連れず出掛け姿を消したのは、自身の侍従であるアスコットが出奔したのと同時だった。

  すわ、駆け落ちか?など表に居る使用人は口には出さないが、侍女以下の下男下女がこそこそと口さがない。

  だが、誰もが脳裏に浮かんだ事だろう。

  しかし、義妹のシンディと違い、太っている頃から、自身を笑顔で慕っていてくれた事は事実だ。

  さらに、彼女の行方不明で周囲に聴き込んだことで、数日前に医師を屋敷に呼んでおり、妊娠を告げられていた事が判明した。

  尚のこと、リリが自ら居なくなることは有り得ない。

  リリが居なくなった日は、国王陛下から秘密裏に任命され、他国に諜報に出てる者と直に会う為、娼館が隠れた会合場所だった。

  リリの悪夢が予知夢に近いと、侯爵家で理解してから直ぐ、宰相である父は国王陛下に知らせてある。

  そういう意味でも、リリの行方不明は一大事なのだが……

  リリの予知夢は、隣国の策謀の夢なのではないか?

  そう言い出したのは、第2王子であったマクシミリアン殿下を亡くした国王陛下だった。

  ただ、そう考えたのは証拠もない憶測でしかなかったのだが……

  国王陛下の今までの経験則からだと言われれば、反論しにくい。

  と言うのも、隣国と帝国の間のいざこざは、どうやら佳境の様で進退窮まってる状態の様だ。

  娼館で会った諜報の者が、そう伝えて来てた。

  それだけでなく、諜報員のヨアが気になったという話が……

  「隣国に、貴族家から何らかの理由で放逐された者が住んでる屋敷があった」

  それも、放蕩三昧で放逐された者が、隣国で放蕩を毎日続けてる様で、思わず眉を顰めていた。

  のだが、「その屋敷が先日、放火され焼け落ちた」という事に、眉が跳ね上がっていた。

  「酒と女に溺れている者ばかりだったから、全員死亡だ」

  そう言ってから、元どこの家の者なのか、ヨアが調べたリストをに目を通せば……

  リリの妹のシンディもある意味、高位子息狙いな娘だったが、他の令嬢と大差はなかった。

  しかし、シンディ以上に有名だったのが、子爵家の庶子だったという事で引き取られて、学園に通ってたマリアという名の者だった。

  ただ、マクシミリアン殿下を始め高位子息になるほど、魔力が高い為、制御の為の腕輪を常時着けているのだが、その腕輪は防御の腕輪でもある為……

  魅了や幻惑、洗脳などの魔法に掛かる事はない。

  そのマリアは、マクシミリアン殿下にも近付いたが、反対に看破され、掛けようとしたという事で罪を問われ、退学処分となり、子爵家からも放逐されたとの事で、話は終わっていたのだが……

  そのマリアが落とした子息連中が居ない訳ではなく、魔力量が少ないと言われてた伯爵家子息が最高位で、子爵家、男爵家の者が、勝手に婚約破棄などをして、家から放逐されていた。

  その者達がそっくり隣国に居て、屋敷で酒池肉林の毎日を過ごしていたとなれば、裏を感じずにはいられなかった。

  その者達が住んでいた屋敷が放火により焼けおち、焼死したとなれば……

  証拠隠滅をはかったという印象を覚えた。

  のだが、愕然としたのは、あのマリアの事件があったのは既に3年前の話だ。

  その頃から、隣国は悪意を持って入り込んでいる事になる。










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

処理中です...