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しおりを挟む憶測の状態ではあるが、国王陛下に諜報員ヨアの報告と共に告げれば……
今回は、一緒に聞かれた王妃様の言葉で、総毛立った。
「魔力持ちの者を放逐させ、種馬としたのでしょうが、魔力無しの女性が相手では子供は生まれません。その事に気付いたのでしょうね。となれば、隣国の次の手は、貴族のご令嬢かしら?」
そう、帝国と隣国と我が国との違いは、魔力を持つ者の待遇だ。
帝国は、魔力を持つ者は全員、平民までもが高待遇で庇護下に置かれる。
魔術院に、魔術学園、魔術師塔が働き場所で、貴重な為、戦には出さず、魔道具を作らせている。
婚姻は、魔力があるかないかで、自由度が変わる。
魔力持ちと魔力無しの婚姻だけは許されていない。
破れば罰則があるそうだ。
我が国は、帝国ほどではないが、魔力持ちの殆どが貴族の為、婚姻は貴族間のみ。
となっているが、隣国の影響で、帝国の様な罰則もない為、平民とする者が増えてきている。
そう、隣国は実力主義を掲げて来た為、魔力の有無は問わず、自由恋愛主義をうたっていたのだが……
魔力持ちの数は、言わずとも、隣国が1番少ない。
その魔力持ちを増やす為、隔離されている帝国ではなく、国交のある我が国に狙いを定めたと。
ということは、リリの行方不明なのは、隣国が関与してるのか?
そう考えていれば……
「となれば、貴方の言う通り、マックスは謀られたのかもしれないわね。シンディの怒り方から言っても」
王妃様が息を吐いて、国王陛下に声を掛けた。
「マックスの子が腹におるシンディは、今どこだ?」
そう、マクシミリアン殿下とシンディの結婚が許されたのは、お腹に子供が出来てたからなんだけど……
公にはなっておらず、内々の話だった。
「ゾビジェーブに戻っている筈ですが……」
王妃様の返答に眉を寄せた国王陛下。
「マックスが使用していた離宮に、居を移させよ」
そう手を打った後、命を出された。
「レイノルド、4大公爵家を始め高位貴族と辺境伯に密書を書く故、内々に届けよ。それも手渡しでだ」
リリを探すのが遅れると思いながら、一旦、王宮を辞したのだが……
リリの行方不明に、隣国が関与しているとなれば、隣国に連れ攫われたのか?
そう言えば、リリの予知夢の方もなおざりになっていた事を思い出した。
褪せた紺色の司祭服を来た者に、白い髭面の初老の貴族と思われる者が、杖を振り上げて、何度も叩いているというものだった。
紺色の司祭服の背中に垂れる襟に、所属を示す刺繍が成されているのだが、リリの言う事に間違いがなければ、王都の南の教区のもので、平民が多く住んでいる。
ちなみに、色で地位が区別されており、教皇は白と紫の布地に金色の糸が使用されている。
枢機卿、大司教、司教、司祭と降りていき、司祭見習の服は灰色。
紺色は1番多い色で司祭である。
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