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しおりを挟む領地を持たず爵位を持つ貴族を法衣貴族と言うのだが、その者達には早々に、内々にという事で連絡を入れ、話に向かえば、尽く、変な解釈をしており……
家族にも他言無用と伝えてある筈が、令嬢が着飾って居合わせる為、何度、「王命である」と言わねばならないか……
まあ、令嬢や使用人を放り出し、内密な話になれば、隣国との物騒な話だけに、顔色を変えるのだが。
その話をして回ってる間に、シンディの行方不明が判明し、自身は眉を顰めた程度だったが、王家は大慌てだった。
リリとの共通点は、姉妹、魔力量が多い、妊婦だということ以外にもあった。
隣国の勇者に対しての反応が、他人と違うという事だ。
リリは怯え、シンディは怒っていた。
他人はほぼ歓迎ムードの中。
今、王命の事がある為、リリの捜索は我が家の諜報担当がしてくれているのだが……
地方の領地に在中の者の処に行く前に、報告があった。
侍従であったアスコットの所在が判明したというものだった。
ただ、案の定、リリはアスコットと一緒ではなかった。
のだが、狂った様に笑うアスコットは、リリの居場所を知ってる様だった。との話だったので向かえば……
その場所にあったのは、アスコットの腐乱死体だった。
案内した諜報員は、「口封じって事は、近くで誰か監視してたって事か」と呟いて、項垂れていた。
しかし、その腐乱死体の処置って事で、紺色の司祭服を着た者が来た事で、目が覚める様だった。
リリの予知夢と繋がってると!
来た紺色の司祭服の者が訝しそうに見てきてたが、教区でどういう仕事を常日頃からするのか?などを尋ねた。
魔力がある者ほど内勤の様で、ない者は外回りが多く、家で亡くなる者に平安を与え眠りにつかせるや、その後の墓地に埋葬する許可なども仕事の一環だそうだ。
だから、どこそこの誰が亡くなった等には詳しいらしい。
内勤では汚れ仕事はしなくても良いが、金払いは外回りだというのが、聖職者だとは。と呆れはした。
リリの予知夢の様に、怒鳴り込まれる様な事はないのか?と聞けば……
身元不明の者のリストを見に来る者の中には、たまに悲しみと怒りから、暴れる者が居ないではないらしい。
納得のいく話だと思っていれば……
「ただ、最近、何故か、身元不明の出産直後の妊婦の遺体の数が多いのが、気にはなっては居るんですが……」
「ん?明らかにおかしいだろ?」と聞き正す話だった。
「出産ともなれば、医師か産婆が立ち合うから、亡くなったともなれば、彼らの診断書から身元が分かる筈だ。それがないって事は……」
「スラム街の者とは思えない肉付きでしたよ」
どこを見てるんだ。と思う中、ふと気付いたのが……
「出産直後って分かるのは、お腹に子供が居ないからか?」
首を傾げた司祭が、思い出したかの様に頷いた。
「そう言えば、そうですね……そう言えば、子供はどうなったんでしょう?乳児院に行ったんですかね?」
何気なく呟いた司祭の言葉で、頭に浮かんだのは……
魔力持ちの赤子の略取誘拐
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