悪夢

ふにゃー

文字の大きさ
8 / 13

8

しおりを挟む




  領地を持たず爵位を持つ貴族を法衣貴族と言うのだが、その者達には早々に、内々にという事で連絡を入れ、話に向かえば、尽く、変な解釈をしており……

  家族にも他言無用と伝えてある筈が、令嬢が着飾って居合わせる為、何度、「王命である」と言わねばならないか……

  まあ、令嬢や使用人を放り出し、内密な話になれば、隣国との物騒な話だけに、顔色を変えるのだが。

  その話をして回ってる間に、シンディの行方不明が判明し、自身は眉を顰めた程度だったが、王家は大慌てだった。

  リリとの共通点は、姉妹、魔力量が多い、妊婦だということ以外にもあった。

  隣国の勇者に対しての反応が、他人と違うという事だ。

  リリは怯え、シンディは怒っていた。

  他人はほぼ歓迎ムードの中。

  今、王命の事がある為、リリの捜索は我が家の諜報担当がしてくれているのだが……

  地方の領地に在中の者の処に行く前に、報告があった。

  侍従であったアスコットの所在が判明したというものだった。

  ただ、案の定、リリはアスコットと一緒ではなかった。

  のだが、狂った様に笑うアスコットは、リリの居場所を知ってる様だった。との話だったので向かえば……

  その場所にあったのは、アスコットの腐乱死体だった。

  案内した諜報員は、「口封じって事は、近くで誰か監視してたって事か」と呟いて、項垂れていた。

  しかし、その腐乱死体の処置って事で、紺色の司祭服を着た者が来た事で、目が覚める様だった。

  リリの予知夢と繋がってると!


  来た紺色の司祭服の者が訝しそうに見てきてたが、教区でどういう仕事を常日頃からするのか?などを尋ねた。

  魔力がある者ほど内勤の様で、ない者は外回りが多く、家で亡くなる者に平安を与え眠りにつかせるや、その後の墓地に埋葬する許可なども仕事の一環だそうだ。

  だから、どこそこの誰が亡くなった等には詳しいらしい。

  内勤では汚れ仕事はしなくても良いが、金払いは外回りだというのが、聖職者だとは。と呆れはした。

  リリの予知夢の様に、怒鳴り込まれる様な事はないのか?と聞けば……

  身元不明の者のリストを見に来る者の中には、たまに悲しみと怒りから、暴れる者が居ないではないらしい。

  納得のいく話だと思っていれば……

  「ただ、最近、何故か、身元不明の出産直後の妊婦の遺体の数が多いのが、気にはなっては居るんですが……」

  「ん?明らかにおかしいだろ?」と聞き正す話だった。

  「出産ともなれば、医師か産婆が立ち合うから、亡くなったともなれば、彼らの診断書から身元が分かる筈だ。それがないって事は……」

  「スラム街の者とは思えない肉付きでしたよ」

  どこを見てるんだ。と思う中、ふと気付いたのが……

  「出産直後って分かるのは、お腹に子供が居ないからか?」

  首を傾げた司祭が、思い出したかの様に頷いた。

  「そう言えば、そうですね……そう言えば、子供はどうなったんでしょう?乳児院に行ったんですかね?」

  何気なく呟いた司祭の言葉で、頭に浮かんだのは……

  魔力持ちの赤子の略取誘拐







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

ふしあわせに、殿下

古酒らずり
恋愛
帝国に祖国を滅ぼされた王女アウローラには、恋人以上で夫未満の不埒な相手がいる。 最強騎士にして魔性の美丈夫である、帝国皇子ヴァルフリード。 どう考えても女泣かせの男は、なぜかアウローラを強く正妻に迎えたがっている。だが、将来の皇太子妃なんて迷惑である。 そんな折、帝国から奇妙な挑戦状が届く。 ──推理ゲームに勝てば、滅ぼされた祖国が返還される。 ついでに、ヴァルフリード皇子を皇太子の座から引きずり下ろせるらしい。皇太子妃をやめるなら、まず皇太子からやめさせる、ということだろうか? ならば話は簡単。 くたばれ皇子。ゲームに勝利いたしましょう。 ※カクヨムにも掲載しています。

処理中です...