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第1章 冒険者になって、自由に生きるんだ!

5歳・魔力判定式

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  5歳になった時、悔しい思いをしてた。

  理由は、自分が作ったソロバンモドキが、侯爵家の方で「演算機」として、立派な物が、商業ギルドに登録されたの!

  なので、ソロバンモドキを作ったら、お金を取られるの!

  自分も登録するか?とは考えたけど、人々に広がる方が良いかと思って止めたのに~!金の猛者め~!

  そりゃ、登録しても良いけど、特許使用料を安くしろ~!

  でも、その1件で、侯爵家に転生者が居るなと気付いた。

  んだけど、それだけじゃなく、何処の誰かと言う事も分かった。

  魔力判定式は誕生月に1日あるんだけど、先月の王都での判定式で、出たらしいチートな方が。

  光属性っていう稀な属性持ちの方がね。

  ソロバンモドキを登録した侯爵家のご令嬢で、コーデリア・ロッテンマイヤーさん。

  ただ、貴族の勢力加減なのか、王太子の婚約者ではなく、筆頭婚約者なんだって。

  けど、銀髪の癖毛で紫色の瞳って時点で嫌な予感……

  だって、それってドリルを装備したら、悪役令嬢じゃない?

  あれ?でも、ラノベの定説じゃ闇属性じゃない?

  ん~?と首を傾げるしか出来ないけど、そこで気付いた。

  自分が引き取られ学園に行ったら、乙女ゲームが始まるの!?

  いやいやいやいや、確かに学園行って、卒業し安定の公職に付き高給取りになりたいけど……

  王子様だとか、宰相の息子だとか要らないから!

  美麗かも知れないけど、細っこいのは要らない!

  それに、権謀術数の裏の言葉が籠った会話なんて、無理無理!

  生活していくだけのお金の事だけが解決すれば、前世の様に自由に生きたいの!

  という事で、数日後に行われる魔力判定式が憂鬱になってしまったんだ。



  魔力判定式当日、教会には貴族家の者も居るのかと思いきや、貴族家の判定式は神殿なんだってー。

  今でもまだ神殿と教会の違いが分からないんだよね。

  治療院も礼拝もどちらでも出来るけど……貴族様は教会には来ないか。

  あ、孤児院は教会だね。

  という事は、身分差か!

  それでも、王都の教会だからか、中には50名以上の者が居た。

  子供だけで。

  どういう方式で解除するのだろうと思ってたけど、たぶん一括だろう。

  一緒に来たと思われる親と分けられて、子供だけ前の方に行かされてるから。

  で、ふと母の方を向けば、母が何やら高級そうな服を来た者に頭を下げている。

  といっても、父親の子爵様本人じゃないだろう。

  だって、お仕着せだと思われる。

  それでも、服の明度が曖昧じゃないって事は高級品……

  よくラノベであったメイド服、黒白だったけど、さすがにリアルだけあって、濃紺に生成とか、モスグリーンにベージュ色とかだった。

  のに、黒の上下に灰色のベスト、白いシャツって……執事とか侍従っていう上級使用人かな?

  そう思いながら、前を向き直したんだけど、自分の魔力判定を確認しに来たって事だよねえ。

  自分の魔力量や属性如何では引き取る……!

  マズイ!何とか誤魔化す方法はあるかな?と考えてれば、前方に牧師?司祭?っていう白い長い髭の白いローブに金色の刺繍がなされてる人が出てきた。


  5歳の子がソワソワしてるのを押えていられるのは長くはない。

  その為、軽くこの世界の神様の事と国の成り立ちに触れた後、「神様からの祝福を感じなさい」と口にし、はけて行った。

  何の変わりも感じなかったんだけど?

  そう思ってたら、今度は若いといっても、中年の濃紺のローブを着てる者が出てきて……

 「今より、属性判定を個室で行います」と口にした。

  だけでなく、彼の前に居る者を立たせ、「ご一緒される方は居られますか?」と後ろに呼び掛けた。

  個室は幾つかあるのか、彼以外にも数人のローブを着た者が出てきて、子供と親を連れて行ってる。

  だけど、どうにも袖の下があるのか、誕生日順って訳でもなさそうだ。

  座っている順でもないし、名簿の様なリストを持っている様でもない。

  だって、この世界、何月の何曜日生まれっていう曖昧さで、親が覚えていて教えてくれなければ、何日まで分からないんだよ。

  出生届を出し住民登録っていう行程がないだけに、公的な届けはこの判定式が初?

  いや、洗礼式があったか。

  そう考えている間にも、次々、平民の中でも、商人や裕福な者の子息が先に個室に向かうんだけど……

  自分の様な片親や教会の裏にある孤児院の子供は後回しの様だ。

  あの子爵家の者は、袖の下を出すのは無駄だと思ってるのか、知られない方が良いのか、流れに任した模様。

  半分を過ぎ、ようやっと回って来て、個室に案内されたんだけど……

  子爵家の者は、個室には入って来る気はないのか、着いて来なかった。

  あとから話を聞くのかと思いながら、部屋に入ったんだけど……

  案内した者ではなく、部屋の中に居て待っていた者の前にある、黒い布が張られた机の上には、何もなかった。

  てっきり、ラノベであった水晶玉などあるかと思ったのに。

  それか、魔力量を測る何がしかが。

  だから、拍子抜けだったんだ。

  けど、何故、何もなかったのかは、平民でも片親だったり孤児だったりの子供には、魔力量が少ない傾向にあり、生活魔法が出来たら良いくらいだった。

  その為、義務といえ測定する手間を省く傾向にあり、片付けられたとは知らなかったんだ。

「では、早速、生活魔法の使い方を学ぼうか」

仕草で、着席を促されて座ったら、そう言われ、思わず「属性の判定は?」と聞きそうになったんだけど、母に肩を触れられ、口を閉じた。

  それだけじゃなく、判定の神官が鼻で笑い、見下してくる感満載で……

  きちんと判別する気がないんだって理解した。

  もし子爵家の者が一緒に部屋に入ってきてたり、袖の下を渡せる者が居れば、話は別だったろう。

  あと生活魔法であっても、魔力量が多ければ、5歳児なので制御できずに暴走させ、再判別の機会が設けられただろう。

  となれば、この機会は絶好のチャンス!

  乙女ゲーム通りから外れられる。

  そう思い、初めてなのに、魔力制御を試みた。

  その為、生活魔法如きで、教わって実践直後に、自分ぶっ倒れた。

  お母さん、ごめん!



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