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第1章 冒険者になって、自由に生きるんだ!

初めてのダンジョン〜!入るまで

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  隣国に入るまでに、レイトルに乗って3日。

  初級ダンジョンがある場所まで、予定ではあと2日。

  ほぼ予定通りの工程ではあるけど、急ぐ気は無い。

  だって、ほぼ初めての遠出なので、王都以外の地方の植生も知りたかったんだ。

  ま、植生だけじゃなく、魔物の生育域も知ってると、毒や病気に事前に準備しておけるし。

  ほぼ婆ちゃんの受け売りではあるんだけど、婆ちゃんの言う通りだと思うんで、見て回ってるんだ。

  そう隣国フォーセルダの初級ダンジョン、片道1日半の距離なのに、帝国に至る、もう1つの隣国アゼリア王国に向かう方を見て周り、外周道という環状に近い道で、初級ダンジョンに向かってるので、この日数なんだ。

  王都の周辺には居なかった鹿・ディアの魔物が居て、狩りしておいた。

  というのも、鹿は森の底辺に近い魔物なので、ホーンラビ同様、増えやすい傾向にあるんだ。

  で、鹿の与える影響はホーンラビ以上で、木の皮まで食べちゃうから、木が枯れると森が山が荒れちゃうの。

  それに、体躯が大きいので大食感の山羊並に食べるから、見付けたら狩る方向で良いんだよ。

  まあ、その為に、自分のインベントリの中にはかなりの量の肉の備蓄がある。

  鹿・ディアはお初だけど。

  あまりギルドに出すと市場の価格が暴落するので、大量のオークとウルフは自粛してるんだけど、出す事にはしてるんだ。

  あ、でも最近は、レイトルが食べてるからなあ。

  と言っても、形が肉ってだけで、魔力を帯びた物を食べてるといった方が正しいかなあ。

  それに、今はレイトルだけだけど、魔力量多いから、あと2体は召喚出来ると思うんだ。

  ただ、レイトルかなりヤキモチ妬きなので、空飛ぶ騎獣とペット系かなあ。

  さすがに、レイトルは飛べないからね。

  となれば、自分がよく食べる大好きな鶏系とホーンラビ、ボア以外は、召喚獣の為に残して置くかなあ。

  ちなみに、角牛は大事に食べたい贅沢品の1品で、レイトルが食べないもの。

  まあ、角牛1体がかなり大きいので、中々減らないけど、年に一度移動してくる時にしか狩れないものなんだ。

  魔物のバイソンも移動してくるけど、角牛とは時期がズレてるんだよねえ、何でだろ?

  もしかして、魔物であっても、あの大きさは脅威で、草が無くなっちゃうのかも。

  ちなみに、角牛は和食向き、バイソンは洋食向きだよ。

  と言っても、お米見当たらないんだけどねえ。

  あ、醤油と味噌はあるんだよ、一応、流通してる。

  絶対、転生者なのか転移者の手があったと思われる所以なんだ。

  他には、生姜なども売ってるんだけどね。

  あ、そうそう、鍛冶屋に頼んでた諸々が出来上がり、商業ギルドにも登録し、販売契約も交わしたんだよ。

  最初に出来上がったのは、魔道具ではないウォーターサーバー。

  我が家にも置いたけど、婆ちゃんの薬屋にも置いたんだけど……あまり売れてないんだよねえ。

  というのも、水属性を持たなくても、生活魔法を扱えると、水は飲めるからだと思う。

  次に、出来たのがミキサー兼フードプロセッサー。

  ちなみに、ピーラーや泡立て器は登録され売ってた!

  あと、構造がわからず、あれば良いなあと思ってたミンサーと腸詰め機も、売ってた!

  販売契約はとうに終了してたので、登録は100年以上昔の話。

  その泡立て器を巨大化させ、ボウルと一体化し、電動ならぬ魔導大型泡立て器を作って貰ったんだ。

  これも一応、登録はしたけど、食堂の様な処でしか売れないと思うので、期待してない。

  と言うか、紙、酒に、化粧品で入金多大なので、稼がなくてもいいくらいなんだもん。

  なので、自分が欲しい物しか、今は作ってないんだ。



  隣国に入る関所で、ダンジョン入るギルドの許可とギルドタグを出す事で通過するんだけど……

  その前に、我が国を出る関所があり、その砦の脇に割と開けた平で野営をする事が多いみたい。

  まだ夕方まで時間があるのに、自分たちの前をノロノロと走ってた商団が入って行く。

  ノロノロな上、護衛が左右に居る上、山道なので道幅狭く、抜かせなかったのよ。

 その為、レイトルがイライラしてたので、たてがみを掻いてやって気を逸らしてたんだ。

  召喚獣の小屋があるので、越境の緩衝地帯で暗くなったとしても、無事に野営出来るのは、ここに至るまでに確認済みだし……

  レイトルの足であれば、隣国の関所を越えるまで可能な時間。

  という事で、野営せず足を先に進ませたんだ。

  けど、我が国の関所でも、隣国の関所でも、レイトルを見て、ギョッとしてたよ。

  そう、やっぱり道幅が狭く両脇が岩場な場所でも、レイトルの足は止まることなく、あっという間に、緩衝地帯を抜けたんだ。


  隣国側の野営地で、小屋を出して野営としたんだけど……

  案の定、小屋の前に、索敵で赤くなってた邪な奴らが来てて、入れないから舌打ちしてた。

  ちっさくても女だとか、白金貨10枚以上確定の騎獣だとか口にしてるけどだねえ……

  それって死亡フラグだよ。

  レイトル、脚力だけじゃないんだよ攻撃力。

  黒曜石の様な角に、黄金のレースを被せたからなのか、自分と契約したからなのか、雷魔法に、氷魔法まで使えて、ええ~だよ。

  自分も雷と氷使えるけど、中級魔法しか使えないので威力増し増しにしてるのに、広範囲で扱えるだなんて……

  まあ、召喚獣の小屋は火を付けられても燃えないだけじゃなく、最悪、反射魔法でやり返すからねえ。

  冒険者であれば、普通、見聞きする話だって聞いたんだけど、所変われば聞かされてないのかな?

  そう思いながら、モニターの前を離れ、厩に向かったんだけど……

  レイトルは山越えだけで気が済まなかったのか、走り回ってたみたい。

  更に、湖で水浴びして戻って来たみたいだったので、ループ編みのタオルじゃなくガーゼ状の物で体を拭いてから、ブラッシングしてあげた。

  小屋に入った時点で、鞍や鐙、轡は外れる様になっていて、召喚時には着けて出てくるという製品で、さすが特注品。

  小屋内にある果樹、好きに食べれる様に林檎系を増やしておいたんだ。

  騎獣屋のおっちゃんが言うには、胡桃サイズの林檎って言うのが1番の好物なんだって。

  ただ、この林檎、人間には不向きなので、誤って口に入れない様にとは言われたんだ。

  ノロ下痢の様になるんだってー。

  果物だからと言っても、ちゃんと鑑定しなきゃいけないねえって言う代物だった。

  馬以外でなら、リスの様なオコジョの様な、ペット屋にも居た、物凄く可愛いのに、結構気が強いタミアなどが好きだと、鑑定に出てた。

  一応、鳥型騎獣召喚の後、ペット型騎獣召喚の際の候補にしてる。

  鳥型は自分を乗せて飛んでくれるのが条件なので、種類は限られて来るけど、もふもふが良いなあ。


  次の朝、レイトルと出てくれば、小屋の前には衛兵が居た。

  きょとんとしてれば、小屋を攻撃した馬鹿が居て、雷が落とされ、死んではいないけど、倒れてたんだと説明された。

  昨日、関所をバトルホースが通ったのを知ってただけに、気にはしてたんだそうだ。

「召喚紋があったから、奪われる事はないのはわかってたんだが、知らない馬鹿が居そうでな」

  そう息を吐いて言ってたけど、ご苦労さまです。

  その後、一時もしない内に着くという初級ダンジョンに向かったんだ。


  レイトルにかかれば、一時どころか数十分で着いたんだけど、初級ダンジョンの周りには色んな店があった。

  勿論、その中には冒険者だけでなく商業ギルドの出張所もあった。

  入るには通常、食料品や水の樽などを用意するものなんだけど、インベントリ持ちの自分が用意するなら、作るのに時間が掛かるパンくらいかな?

  まあ、それも用意して来てあるよ。

  母にも買い物に出掛けなくて良いように、一見するとカティクール(貴族の女性が持つ巾着袋)の魔法袋を渡しておいたから。

  自分が狩った中に、アイテムバッグに出来る胃袋持ちが居たので、母用に作ったんだけど、盗まれても戻って来る様にまで、使用制限を掛けたんだ。

  外側は母に選ばせたので、よくある牛革なんだけど、コテで薔薇の装飾がされた物で、母の母の形見だって話に、作る際緊張したんだからね。

  盗まれても戻って来る話に、母は嬉しそうな顔をしてたので、まあ、親孝行だ。




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