ヒロインだと言われたって知るか!

ふにゃー

文字の大きさ
14 / 79
第1章 冒険者になって、自由に生きるんだ!

2体目の召喚獣と今後の進退問題

しおりを挟む



  母からはめっちゃ説教されたけど、遅れた理由を述べれば、納得はしてくれた。

  でも、Cランクの冒険者にまでなっちゃって、かなり稼いでるのもあり、心配もしてるんで、葛藤してるのが伝わって来てたんだ。

  だから甘んじて、説教を受けたんだ。

  そんな母と違って、「どうだったかのぉ」と言って、良い笑顔で向かえたのは、薬師のマーゴット婆ちゃん。

  自分が転生者だと見透かしている様な、婆ちゃんの言動が怖いんだけど、本気で怖がってる訳じゃないよ。

  チートな自分を隠しながら、能力を伸ばしてくれてる様に思えるんでね。

  それで、ゴールドアベランが花畑に住み着き、水やりのたび、蜜玉をくれる様になった事とかや、魔物の山羊も入れられたとかの報告をしたんだ。

  あとは採集した希少花や岩ミズゴケなどの薬草を渡せば、鑑定に出てる通りの値段で買い取ってくれたんだけど、自分の分も残してるよ。

  で、初級ダンジョンに隠し通路のルートがあった話をすれば、大笑いしてた婆ちゃん。

  「実に、運も持ってるんだねえ」だって。


  
  召喚陣使用を予約した日、ここ最近の様に、朝日が昇る頃、開いたばかりの城門を通って、外に出た。

  勿論、幻惑魔法を掛けてある薬草の密集地に向かったんだけど……

  今日は、自分以外に婆ちゃんに弟子入りして、残ってる4つ下の10歳の男の子を待っていた。

  婆ちゃんが言うには、今後、自分には高難度の依頼が指名が入って来るだろうって。

  確かに、婆ちゃんの言う通り、レイクサーペントがオークションに出れば、指名依頼が来るだろう。

  それもきっと気に入らない貴族様からの依頼が!

  それを受けない様にするには、多くの高ランクの冒険者の様に、居場所が未確定でふらふらしてるのが1番良いと……

  確か、Aランク以上は、ギルドに滞在報告の義務があるんだけど、無茶苦茶な依頼を出す貴族が居るのも事実なので、多少ギルドも抜け穴を設けてる様なんだ。

  そこでネックになってくるのが、Bランク、Cランクの冒険者で、自分はBに上がれる実力はあると言われてるけど、上がっていないのは初心者冒険者に対する付き添い教育をしてないからなの。

  婆ちゃんは、見習い冒険者として、ギルドにも登録してる弟子の男の子の教育係になって、さっさと上がれと言われまして……

  昨日の夕方、婆ちゃんちの薬屋を出た後、男の子を連れて、ギルドに行ったんだ。

  それで早速、今朝から、ある意味、幻惑魔法と結界が掛かった薬草畑の引き継ぎをするの。

  それだけじゃなく、その場自体が森の際なので、索敵と防御と鑑定の3重掛け魔法を覚えさせる必要もある。

  だって、逃げるのか戦うのかは、彼の選択次第だけど、ノアと言う名の彼を鑑定させて貰えば……

  孤児院で暮らしてると言う彼も、貴族の落胤か?と思うくらいに魔力量が多い。

  属性は自分のほどじゃないけど、6属性も持ってる。

  持ってないのは光に雷と氷と言う上位属性だね。

  でも、氷は薬屋の弟子してたら、水やり毎日なので、出来るようになる可能性高いからねえ。

  婆ちゃんの魔術書をよく読んで勉強してるって話なんで、引き受けたんだ。

  闇があるなら、幻惑魔法を使えるだろうって話だったんだけど……

  「コラ!闇の方の魅了を覚えて使っちゃダメ!」

  そう言って、早速拳骨を落とす羽目になった。

  そう、「使ったのが知れたら、処刑されるよ」と言うくらいに、禁忌の魔法とされている。

  ラノベでよく載る魅了魔法は、使える属性2種あって、光と闇なんだ。

  闇には、夢に入り込み、精神に関与する魔法が多いだけに、きっちりとした倫理観がないと、悪い方に向かいやすいんだ。

  人に暗示を掛けやすく、思い通りに動かせるだけに。

  ただ、自分には掛かりにくい様に、魔法抵抗のリングの魔道具を作ったんで無理です。

  「チェっ」と舌打ちした男の子に、コンコンと説教してた自分。

  だって、最悪の場合、婆ちゃんにまで迷惑が掛かるからね!


  午後に、召喚陣の部屋に行った時には、ノアの所為で時間がズレ込んでしまった。

  これだから、人と関わるのは面倒くさいのよ。

  困ってる人は助けてあげたいと思うけど、助けてもらえるのは当然だと思う人も居るから、面倒くさいんだ。

  前回の召喚では、心穏やかにワクワクしながら、陣に乗ったんだけど、今回は鳥型召喚獣、鳥型とは念じてたけど……

  イライラしてたからかなあ。

  今回も、現れた鳥型召喚獣に絶句。

  立ち会いのギルド職員までもが絶句を通り越し、気絶寸前、顔が真っ青。

  鷹や鷲の魔物のホーク、イーグルじゃなく、現れたのは、緑と青の羽根が美しい姿のフレスベルグ!

  これまた狙われる最高級鳥型召喚獣だけに、顔が引き攣ったんだけど、実はコイツも気は強いんだよね。

  確か、扱える魔法は雷と風で、と考えてたら……

  レイトルの様に、おい!契約しないのか!とばかりに、鋭い爪がある足で地面を叩いてる。

  「ぶ、ブレンダで!」と叫べば、契約がなった様で……

  胸を張ったフレスベルグの眉間にある小さい角の下に、金色の召喚紋が浮かんだ。

  何も考えず、女性名を付けちゃったと思いながら、鑑定すれば、雌だった。

  顔が真っ青だったギルド職員に代わって、前回のギルド職員が苦笑しながら、登録したタグを届けてくれたんだけど……

  「前回はデュラハンギャロップで、今回はフレスベルグですか、引きが強いですねえ」

  そう言いながらも、周知しておきます。と言ってくれた。


  その後、契約すれば、小鳥サイズにもなれるとの事だったので、なってもらってから、騎獣の馬具屋に行けば……

  前回の店員、数秒固まった後、大爆笑された。

  だけど、「デュラハンギャロップもさすがに、フレスベルグには妬かないでしょ」と言う言葉には、同意したい。

  それで、前回と同じ角を覆う黄金のレース編みの召喚獣の証と一緒に、乗せて貰って飛ぶ装具を別注した。

  オークションに出すのに、キリのいい大きさにしたレイクサーペントの残りの革で作れる?と訊けば……

  充分に作れるそうで、3cm幅の110cm分、残る予定だと、製作のレシピを描き始め……

  前回以上に目を丸くしてたら、依頼量タダにするから端切れをくれとお願いされた。

  ので、端切れのサイズまでを書き込み、譲渡までを契約に載せた。

  「何故そこまで?」と言われ、
  「オークション明後日なんだけど」と答えたら……

  顔色を変え、何度も頷いてたよ。

  横流ししたと思われたら、きっと落札者貴族様になるだろうから、問題になるからねえ。


  完成は1週間後と言う事で、店を離れ、日は傾き始めてたけど、城外に出た。

  召喚獣の小屋を出して、ブレンダを案内すれば……

  走り回ってたレイトルと、火花が散ったかの様な邂逅

  怖っ!と一瞬ビビったけど、一瞬だった。

  ブレンダは、沢山実をつけ生ってる果樹が多く植わってるので、嬉しそうに飛び回って、食べてた時には元の大きさに戻ってた。

  ただ、ブレンダが来た事で、驚いた変化は……

  厩が縦に高くなったと思ったら、厩の横に石積みの塔が現れて、塔の出入口は高い位置の窓と階下の2つに増え、ブレンダの止まり木が出来ていた事。

  その為、自分が寝泊まりするログハウスよりも更に大きくなってた。

  もしかすると、小屋内、更に広くなってる可能性もあるけど、以前から広いので、差は分からない。

  で、フレスベルグの食料と思い、本人に訊けば、果物と魚に、魔物の肉も食べるそうで……雑食ですね。

  喋った訳じゃなく、物を出して食べるか反応を確認したの。

  そういえば、フレスベルグ、色は違うけど、尾が長めのモズに似てるね。

  始めエナガかな?とも思ったけど、モズが雑食なのを思い出したら、妙に納得。

  それに小鳥になると特に……だけど、本人には内緒。

  しかし、湖はあるけど、中に泳ぐ魚は居ないからねえ、どうしようか。



  ブレンダが来て、1ヶ月経った頃には、
 婆ちゃんにも怒られた弟子のノアの大体の指導が終わり……

  Bランクに上がりました。

  今後、実績を積んでAランクに上がるには、自分はソロだけに、幾つものパーティで連携して行う合同討伐をクリアしないといけないそうだ。

  まあ、急ぐ要素があるとしたら、貴族様からの無茶苦茶な指名依頼を避ける為なんだ。

  特に、自分が適齢期の15歳になろうとしてる事も、ネックなんだ。

  先日のオークションで、子爵家の当主にまで知られちゃったので、煩い、煩い。

  ほら、魔法学園の高等への入学も15歳って事もあって。

  どうにか、魔法学園入学を断る方法ないかねえ。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

【完結】断頭台で処刑された悪役王妃の生き直し

有栖多于佳
恋愛
近代ヨーロッパの、ようなある大陸のある帝国王女の物語。 30才で断頭台にかけられた王妃が、次の瞬間3才の自分に戻った。 1度目の世界では盲目的に母を立派な女帝だと思っていたが、よくよく思い起こせば、兄妹間で格差をつけて、お気に入りの子だけ依怙贔屓する毒親だと気づいた。 だいたい帝国は男子継承と決まっていたのをねじ曲げて強欲にも女帝になり、初恋の父との恋も成就させた結果、継承戦争起こし帝国は二つに割ってしまう。王配になった父は人の良いだけで頼りなく、全く人を見る目のないので軍の幹部に登用した者は役に立たない。 そんな両親と早い段階で決別し今度こそ幸せな人生を過ごすのだと、決意を胸に生き直すマリアンナ。 史実に良く似た出来事もあるかもしれませんが、この物語はフィクションです。 世界史の人物と同名が出てきますが、別人です。 全くのフィクションですので、歴史考察はありません。 *あくまでも異世界ヒューマンドラマであり、恋愛あり、残業ありの娯楽小説です。

処理中です...