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第1章 冒険者になって、自由に生きるんだ!
2体目の召喚獣と今後の進退問題
しおりを挟む母からはめっちゃ説教されたけど、遅れた理由を述べれば、納得はしてくれた。
でも、Cランクの冒険者にまでなっちゃって、かなり稼いでるのもあり、心配もしてるんで、葛藤してるのが伝わって来てたんだ。
だから甘んじて、説教を受けたんだ。
そんな母と違って、「どうだったかのぉ」と言って、良い笑顔で向かえたのは、薬師のマーゴット婆ちゃん。
自分が転生者だと見透かしている様な、婆ちゃんの言動が怖いんだけど、本気で怖がってる訳じゃないよ。
チートな自分を隠しながら、能力を伸ばしてくれてる様に思えるんでね。
それで、ゴールドアベランが花畑に住み着き、水やりのたび、蜜玉をくれる様になった事とかや、魔物の山羊も入れられたとかの報告をしたんだ。
あとは採集した希少花や岩ミズゴケなどの薬草を渡せば、鑑定に出てる通りの値段で買い取ってくれたんだけど、自分の分も残してるよ。
で、初級ダンジョンに隠し通路のルートがあった話をすれば、大笑いしてた婆ちゃん。
「実に、運も持ってるんだねえ」だって。
召喚陣使用を予約した日、ここ最近の様に、朝日が昇る頃、開いたばかりの城門を通って、外に出た。
勿論、幻惑魔法を掛けてある薬草の密集地に向かったんだけど……
今日は、自分以外に婆ちゃんに弟子入りして、残ってる4つ下の10歳の男の子を待っていた。
婆ちゃんが言うには、今後、自分には高難度の依頼が指名が入って来るだろうって。
確かに、婆ちゃんの言う通り、レイクサーペントがオークションに出れば、指名依頼が来るだろう。
それもきっと気に入らない貴族様からの依頼が!
それを受けない様にするには、多くの高ランクの冒険者の様に、居場所が未確定でふらふらしてるのが1番良いと……
確か、Aランク以上は、ギルドに滞在報告の義務があるんだけど、無茶苦茶な依頼を出す貴族が居るのも事実なので、多少ギルドも抜け穴を設けてる様なんだ。
そこでネックになってくるのが、Bランク、Cランクの冒険者で、自分はBに上がれる実力はあると言われてるけど、上がっていないのは初心者冒険者に対する付き添い教育をしてないからなの。
婆ちゃんは、見習い冒険者として、ギルドにも登録してる弟子の男の子の教育係になって、さっさと上がれと言われまして……
昨日の夕方、婆ちゃんちの薬屋を出た後、男の子を連れて、ギルドに行ったんだ。
それで早速、今朝から、ある意味、幻惑魔法と結界が掛かった薬草畑の引き継ぎをするの。
それだけじゃなく、その場自体が森の際なので、索敵と防御と鑑定の3重掛け魔法を覚えさせる必要もある。
だって、逃げるのか戦うのかは、彼の選択次第だけど、ノアと言う名の彼を鑑定させて貰えば……
孤児院で暮らしてると言う彼も、貴族の落胤か?と思うくらいに魔力量が多い。
属性は自分のほどじゃないけど、6属性も持ってる。
持ってないのは光に雷と氷と言う上位属性だね。
でも、氷は薬屋の弟子してたら、水やり毎日なので、出来るようになる可能性高いからねえ。
婆ちゃんの魔術書をよく読んで勉強してるって話なんで、引き受けたんだ。
闇があるなら、幻惑魔法を使えるだろうって話だったんだけど……
「コラ!闇の方の魅了を覚えて使っちゃダメ!」
そう言って、早速拳骨を落とす羽目になった。
そう、「使ったのが知れたら、処刑されるよ」と言うくらいに、禁忌の魔法とされている。
ラノベでよく載る魅了魔法は、使える属性2種あって、光と闇なんだ。
闇には、夢に入り込み、精神に関与する魔法が多いだけに、きっちりとした倫理観がないと、悪い方に向かいやすいんだ。
人に暗示を掛けやすく、思い通りに動かせるだけに。
ただ、自分には掛かりにくい様に、魔法抵抗のリングの魔道具を作ったんで無理です。
「チェっ」と舌打ちした男の子に、コンコンと説教してた自分。
だって、最悪の場合、婆ちゃんにまで迷惑が掛かるからね!
午後に、召喚陣の部屋に行った時には、ノアの所為で時間がズレ込んでしまった。
これだから、人と関わるのは面倒くさいのよ。
困ってる人は助けてあげたいと思うけど、助けてもらえるのは当然だと思う人も居るから、面倒くさいんだ。
前回の召喚では、心穏やかにワクワクしながら、陣に乗ったんだけど、今回は鳥型召喚獣、鳥型とは念じてたけど……
イライラしてたからかなあ。
今回も、現れた鳥型召喚獣に絶句。
立ち会いのギルド職員までもが絶句を通り越し、気絶寸前、顔が真っ青。
鷹や鷲の魔物のホーク、イーグルじゃなく、現れたのは、緑と青の羽根が美しい姿のフレスベルグ!
これまた狙われる最高級鳥型召喚獣だけに、顔が引き攣ったんだけど、実はコイツも気は強いんだよね。
確か、扱える魔法は雷と風で、と考えてたら……
レイトルの様に、おい!契約しないのか!とばかりに、鋭い爪がある足で地面を叩いてる。
「ぶ、ブレンダで!」と叫べば、契約がなった様で……
胸を張ったフレスベルグの眉間にある小さい角の下に、金色の召喚紋が浮かんだ。
何も考えず、女性名を付けちゃったと思いながら、鑑定すれば、雌だった。
顔が真っ青だったギルド職員に代わって、前回のギルド職員が苦笑しながら、登録したタグを届けてくれたんだけど……
「前回はデュラハンギャロップで、今回はフレスベルグですか、引きが強いですねえ」
そう言いながらも、周知しておきます。と言ってくれた。
その後、契約すれば、小鳥サイズにもなれるとの事だったので、なってもらってから、騎獣の馬具屋に行けば……
前回の店員、数秒固まった後、大爆笑された。
だけど、「デュラハンギャロップもさすがに、フレスベルグには妬かないでしょ」と言う言葉には、同意したい。
それで、前回と同じ角を覆う黄金のレース編みの召喚獣の証と一緒に、乗せて貰って飛ぶ装具を別注した。
オークションに出すのに、キリのいい大きさにしたレイクサーペントの残りの革で作れる?と訊けば……
充分に作れるそうで、3cm幅の110cm分、残る予定だと、製作のレシピを描き始め……
前回以上に目を丸くしてたら、依頼量タダにするから端切れをくれとお願いされた。
ので、端切れのサイズまでを書き込み、譲渡までを契約に載せた。
「何故そこまで?」と言われ、
「オークション明後日なんだけど」と答えたら……
顔色を変え、何度も頷いてたよ。
横流ししたと思われたら、きっと落札者貴族様になるだろうから、問題になるからねえ。
完成は1週間後と言う事で、店を離れ、日は傾き始めてたけど、城外に出た。
召喚獣の小屋を出して、ブレンダを案内すれば……
走り回ってたレイトルと、火花が散ったかの様な邂逅
怖っ!と一瞬ビビったけど、一瞬だった。
ブレンダは、沢山実をつけ生ってる果樹が多く植わってるので、嬉しそうに飛び回って、食べてた時には元の大きさに戻ってた。
ただ、ブレンダが来た事で、驚いた変化は……
厩が縦に高くなったと思ったら、厩の横に石積みの塔が現れて、塔の出入口は高い位置の窓と階下の2つに増え、ブレンダの止まり木が出来ていた事。
その為、自分が寝泊まりするログハウスよりも更に大きくなってた。
もしかすると、小屋内、更に広くなってる可能性もあるけど、以前から広いので、差は分からない。
で、フレスベルグの食料と思い、本人に訊けば、果物と魚に、魔物の肉も食べるそうで……雑食ですね。
喋った訳じゃなく、物を出して食べるか反応を確認したの。
そういえば、フレスベルグ、色は違うけど、尾が長めのモズに似てるね。
始めエナガかな?とも思ったけど、モズが雑食なのを思い出したら、妙に納得。
それに小鳥になると特に……だけど、本人には内緒。
しかし、湖はあるけど、中に泳ぐ魚は居ないからねえ、どうしようか。
ブレンダが来て、1ヶ月経った頃には、
婆ちゃんにも怒られた弟子のノアの大体の指導が終わり……
Bランクに上がりました。
今後、実績を積んでAランクに上がるには、自分はソロだけに、幾つものパーティで連携して行う合同討伐をクリアしないといけないそうだ。
まあ、急ぐ要素があるとしたら、貴族様からの無茶苦茶な指名依頼を避ける為なんだ。
特に、自分が適齢期の15歳になろうとしてる事も、ネックなんだ。
先日のオークションで、子爵家の当主にまで知られちゃったので、煩い、煩い。
ほら、魔法学園の高等への入学も15歳って事もあって。
どうにか、魔法学園入学を断る方法ないかねえ。
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