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第2章 乙女ゲームの矯正力は強いのか
オーディナル王立魔法学園と衝撃の出逢い
しおりを挟む何とか、魔法学園に入学しなくても良い様に、ギルドの指名依頼の事などを上げ、拒否しようとしたんだけど……
今まで見ない振りして来た癖に、
「我が家の庶子と知れたのだ!入学してもらうからな!」と言い放たれただけでなく、母を枷に取られた。
それだけじゃなく、割と治安の良い場所に買った家の名義を、子爵家に変えようとした様で……
母の名義じゃなく自分名義で、成人までの保証人を、今は第1騎士団の副団長に昇格した、憧れのヴィルジーク様にお願いしてて良かったよ。
お忙しいだろうに、先日、久しぶりにお会いして、更に美丈夫な男盛りな姿に、内心沸き立ってたのに……
教えられたのが、子爵家へ名義変更の件で、憧れの相手が目の前に居ると言うのに、激昂し悪態を吐いてた。
保証人がヴィルジーク様じゃなかったら、きっと事後報告で変えられてたもん!
裏表ない姿は、貴族令嬢とすれば、あってはならない事だけど、今更、取り繕える訳ないじゃないか!
そりゃ、魔法学園建前上は、貴族だけではなく、優秀な平民を取り込むのに、門を開けてるけどさあ。
そこら辺も、子爵家に有利に働いていて……
王都の南に位置する魔法学園に、15歳になる秋に入学する事になってしまった。
最終的に、背中を押したのは婆ちゃんとヴィルジーク様。
乙女ゲームから逸脱しようと思ってたのに、もしかして、矯正力でもあるのか?と思えたほどだった。
どんな乙女ゲームだかは知らないけど、さすがに、丈の短いスカートではなかったな。
そう思いながら、指定の制服だという紺色のジャケットに、フリルいっぱいの白のブラウス、襟の下に這わせた赤いリボンを結び、下は床上20cm丈の長い茶色のスカートを履いていた。
靴も指定の革の茶色の紐上げブーツに、白いレース編みの靴下だった。
高位貴族の生徒も、この野暮ったい制服を着るの?と思いながら、レイトルに、いつもと違う横座りで乗って、学園に来たんだけど……
他の大多数の生徒は貴族様なので、馬車でお着きで、早速、顰蹙を買った模様。
入学式といえ、親の出席は無しと言うのは好都合だったのに、既に、親に倣えって訳か。
そう思いながら、レイトルから飛び降りた後、レイトルを小屋に送り返した。
そのまま、手ぶらで学園内に入って行ったんだけど……
自分、入学するにあたり、いっぱい魔道具を作ったんだよ。
ざまあの悪役令嬢もので、よく使われる録画する魔道具を作ったんだ。
クリムゾンディアの比較的大きな魔石を弄りました。
ちなみに、専攻コースは嫁の貰い手が減ると言う魔術師コースです。
最終的に折れる際、他のコースなら入学しないと言い切ったんでね。
ゆっくりと歩くご令嬢方は、必須だという遠征実習で大丈夫なのか?
一応、学校側として、最善のルートを選ぶんだろうけど、ここが乙女ゲームで矯正力が働くのだと言うなら、イベントだとかいって、厄介な事起こりそうで悪い予感がする。
そう思いながら、のんびり歩くご令嬢の横をスタスタ歩き、抜かして行ったんだけど、あくまで走ってないからね!
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コーデリア・ロッテンマイヤー侯爵令嬢が、婚約者候補の立場から、第2王子の馬車の到着を待っていて、ピンク色の肩丈の癖毛のサイドを結い上げ、お団子にしてる自分に気付いた。
ヒロイン!と思う髪色に、ショックを受け顔色が悪くなりそうだったけど、居並ぶ他の婚約者候補の存在があり、立て直してた彼女。
ただ、そこでやっと自分が、超強面のバトルホースに乗ってやって来た事に気付き、目を白黒させていた。
さすがに、乙女ゲームでこんなシーン見た事ないって事で、少し息を吐けてたんだ。
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自分が、悪役令嬢の姿を見てないなあ。と思いながら、講堂内の座席に座っていれば……
自分が座ってる一画は、他のコースと違って、変わり者が多そうだった。
というのも、自分の手の甲にある召喚紋をマジマジと覗き込み、「ねえねえ」と話し掛けて来た。
「召喚獣は、さっき校門で見掛けたバトルホースだけ?」
好奇心で、目をキラキラさせているので、平民なのかと思えば、自分が答える前に、機関銃の様に話し始めた。
「わたしの名前は、イルラ。イルライド・ペトルナ・ブルックナーって言う名前もあるけど、長いからイルラで!」
そう屈託なく挨拶する彼女に、自分、目を丸くしたままだった。
「ライラよ、ライラ・ドーリッシュ」と挨拶し返したんだけど……
ブルックナーって、確か、侯爵家じゃなかった?と、思い出せたのは……
入学が決まってから、やって来た講師に家名とか紋章とか覚えさせられたんだ。
確かに、それは損にはならないと思って、覚えたけど、多すぎるよ!
一応、ご令嬢らしく顔に表情を出さず、笑みを常に浮かべて、猫を被れと言われたんだけど、付け焼き刃で出来るか!
今も、考えてたのが顔に出てたんだろうね。
だけど、イルラも、2番目に高位な侯爵令嬢なのに、必死で笑いを堪えてる。
「ドーリッシュ子爵家に、高ランクの冒険者が認知されて、引き取られたって話しに上がってたんだけど、ライラって面白いわね」
そう言うと、イルラ口元を押さえ、笑いを耐えてる。
「Aランクの冒険者になって、アッチコッチ行こうと思って居たのに、レイクサーペントを討伐したばかりにおじゃんになってしまったわ」
少しでも丁寧な言葉で話したんだけど、馴れ馴れしかったのか、近く座ってた者には眉を顰められた。
「さっさと義務を果たして、卒業しよ」
小声でボヤいたのに、イルラには聞こえてた模様。
「わたしの場合は、魔術師塔に就職して、籠りたいわ」
そう小声で囁いて来てた。
この世界、乙女ゲームに似て非なる世界なんじゃない?
そう思う様になったのは、まず1、ヒロインっぽい自分と、攻略対象者っぽいイケメン連中とコースが違うので、遭遇する確率が低い。
彼らのコースは文官コースなんだけど……
第2王子が文官?と思ったけど、いずれ臣下にってなれば、良いのか。
その2、1度ヴィルジーク様の甥の脳筋とニアミス仕掛けたんだけど、魔法察知で避けたんだ。
その3、攻略対象者の1人で、魔術師塔の大魔導師の息子で、第2王子の側近が居るんだけど……
勿論、専攻コースは自分と同じ魔術師なんだけど、実践方式の魔法学で、容赦なく叩きのめしちゃったんだよねえ。
鼻高々の自信家さんでねえ、イルラや自分を女は目立たない様にしとけ。傷がついたら嫁に行けないぞって、見下して来てたんで……
高い高い鼻っ柱折っておいたんだ。
そして、先日、絶対に乙女ゲームの世界じゃないって思った出来事があったんだけど……
学園に通ってると、中々、召喚獣の彼らを外に連れ出してあげれないので、長めに設定されてるお昼の時間や放課後に、地方から来てる生徒が住んでる寮に抜ける裏庭に、小屋を出して様子を見に行ってるの。
その裏庭で、第2王子の婚約者ではなく、まだ候補者の状態なのに、コーデリアを、侯爵令嬢を、第2王子、押し倒していて……
通常、お互い護衛が居るものなのに、2人きりだったの。
イケメンっぷりから、第2王子殿下だとは察してたけど、まさか、乙女ゲームじゃなくR18のエロゲームか?!って言う状況で!
出くわして、可愛らしく、「きゃあ!」って声を上げる性格でもないし、第2王子殿下だとは知らないって事で、襲い掛かってる輩の様な臀を蹴りあげた。
だって、コーデリアが文官コースの侯爵令嬢だと言うのは、お昼、食堂でとってたら知らない筈がないもん。
それに対し、王族は専用のサロンでもあるのか、顔を見た事ないもん!
「なっ!」と言って、怒りでなのか、興奮してるのか分からないけど、真っ赤な顔の王子に向かい……
「変質者よ!誰か来て!」と声を上げれば……
顔色を変え、影に隠れてたのか、出てきた護衛と足早に去って行った。
倒れたまま、呆気に取られた顔になってたコーデリアに、手を差し出したんだけど……
「コーデリア様、転生者ですよね」
にこにこ笑顔で、直球ストレートを叩き込んだ。
一瞬、顔色を変えたけど、すぐさま猫を張れるのは、さすが高位貴族だけあるねえ。
「何も知らばっくれなくても、3歳の頃、演算機を登録したのを知ってるから無理よ」
自分の言葉にビクついてた。
起こしてあげて、整えてあげた頃、侍女と思われる女性が慌て気味に現れた。
それまでに、顔を強ばらせたコーデリアに、
「そう言う貴女もでしょ」と言い合いしてたんだ。
だけど、罵声という言い合いじゃないよ。
この世界、乙女ゲームのリアル世界なの?って言う意思疎通?
自分、「ラノベは読んでたけど、乙女ゲームした事ないから」と言ったんだけど、困惑気な様だった。
ので、「じゃあ、R18のエロゲーム?」という問いには、真っ赤になって、絶句してた。
ら、侍女がやって来たので、大した情報得られなかったんだよねえ。
困ったなあ。
絶対、臀を蹴り飛ばしたので、第2王子殿下から呼び出されるのになあ。
「明後日の休日、家にお誘いしますわ」
上から目線だけど、実際、侯爵令嬢なんでねえ。
「ありがとうございます?」
と言って、了承したんだけど、去り際、小声で「ありがとう」と囁かれた。
まあ、そうだよねえ。
あんな、自分の様に人がやって来る可能性高い場所で、下衆な行為に及ばれ、あばかれると令嬢としては終わりだよ。
だけど、真面目にないわあって言う言動だよ。
応援ありがとうございます!
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