ヒロインだと言われたって知るか!

ふにゃー

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第2章 乙女ゲームの矯正力は強いのか

悪役令嬢?との密会

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  約束したお茶会の日、わざわざ、庶民界隈にある我が家まで、馬車を回してくれたコーデリア。

  さすが侯爵家令嬢だけあって、貴族界隈でも、王城に近い場所にあった。

  ふわぁ!って見上げる程だったんだけど……

 自分にすれば、高級ホテルのイメージだった。

 手ぶらでと言われたのも分からないでもない。

  だって、どんな土産でも霞むよ。

  屋敷の中は、どんな風なんだろうって思ってたのに、案内されたのは、客室ではなく、庭の方に回された。

  勿論?前庭で馬車を降りてるので、それも敷地が広いのか、嫌味なくらいに延々と歩かされた。

  まあ、苦じゃないけど、冒険者稼業舐めるな!

  ふわっと薔薇の香りがしたと思ったら、剪定された緑の向こうに、薔薇園か?!という規模の色とりどりの薔薇庭園の中央に、椅子とテーブルが用意されていて、コーデリアが待っていた。


  一応、貴族令嬢としてはの挨拶として、
 「お招きいただきありがとうございます」と口にし、頭を下げておいた。

  紅茶と一緒に、お茶菓子を出された後、人払いをしたのか、使用人は1番近くても屋敷の側で、50mは離れている。

  うん、一応、索敵でも近くに人は居ないけど、全部黄色って……そう思ってたら……

  「ヒロインぽい姿だけど、視線が有り得ないわね」

  大きな息を吐いて、そう言われたんだけど、事実だね。

  癒しになる笑みを浮かべ、天然さんがヒロインでしょうから。

  でも、自分にしたら、それは演技にあたるもの。

  「貴女が口にした様に、私も乙女ゲームだと思ったわ。なので、死亡フラグを折ろうと行動していたの。ですが、殿下の婚約者の候補には挙げられたけど、政治的力配分で、決定はされていないの」

  コーデリアが息を吐いて口にしてることくらいは、とっくに察しが付いてる。

  「なのに、先日あった事に、本当に困惑したのよ」

  まさか事を起こされるとは思っていなかったわ。と呟き、再び息を吐いたコーデリア。

  更に、ヒロインが現れたので、頭が真っ白になったらしい。

  「本当に助けてくれてありがとう。私も疑ってごめんなさい」

  で、本題だったんだけど……

  彼女、幾つか乙女ゲームをしてたけど、してた物ではないらしい。

  ただ、どう考えても、乙女ゲーム設定から逸脱出来ないので、自分同様、矯正力を疑ってたみたい。

  「だけど、Bランク冒険者してるヒロインなんて居た?」

  嫌そうに口にすれば、ころころと笑ってたコーデリア

  「確かに、その様な設定ありませんでしたわね」



  自分も、乙女ゲーム攻略云々じゃなく、好きな様に生きたい。以前に、食べて行くのに冒険者を選んだんだけど……

  今さら貴族令嬢うふふは無理だし、コルセット嫌だし、ダンスなんて以ての外。

  子爵家で受けさせられたけど、ステップが壊滅的。

  1年在籍で、成人する16歳で自主退学して、Aランク冒険者になるからと、決意をしたんだけど……

  あまり長居もよくない事もあって、帰ろうと思ったんだけど……

  ふと、「コレ要る?知ってる?」と言って、インベントリから出したのは、おにぎりだった。

  その瞬間、コーデリアの貴族の猫が剥がれ、目を見開いて食いついた。

  「まあ!」と言った後、泣き出しそうって事は、やっぱり知らなかったか。

  「私も、先日、隣国フォーセルダの初級ダンジョンに行くまでは知らなかったのよ」

  「では、そちらに?」と聞かれ、頷いた。

  「3階層に、直ぐ収穫出来る姿で生ってるわ」

  そう言いながら、日本食製品の情報交換をしてたんだけど……

  ラノベじゃ、米は家畜の餌になってる設定多かったので、探しに行ったんだよ!なかったけど。

  パフの粟、キビ、ヒエを騎獣食べてた。

  ので、この世界に稲は無いのか?!とショックだったんだから。

  ちなみに、ラノベで有名なマヨネーズだけど、平民では裕福な家庭でなければお目見えしない商品として、存在してる。

  コーデリアが、「マヨネーズがあって、ショックを受けた」と言うから、実情を口にすれば、目から鱗だって。

  それと同意義なのが、ドレッシング。

  マヨネーズの主材の卵は養鶏ができない限り、卵が高級品なんだ。

  日本で言うなら、経済状況は江戸時代とほぼ一緒。

  お金があれば何とか手には入る状況(卵、砂糖など)

  現代日本では安価が当たり前になってるけど。

  この世界でも、砂糖は高めだけど、図鑑によるとあるある植物がある模様。

  サトウキビ、砂糖大根(甜菜)以外に。

  更に加える酢は、酒を作る過程で、アルコール濃度が低すぎて出来る代物なので、一定の割合では存在するけど……

  酸っぱい=腐ってる認識の者が多く、高級料理を任された料理人になって、初めて知るからか、あまり市場では見掛けないの。

  自分は出会えば買ってるけど、樽を。

  お偉い人は何でこんな腐った臭いがするものを買うんだろう?って言うのが、一般的平民の認識。

  そりゃ、醤油や味噌の様に、マヨネーズがあるある商品であるのなら話は別だけど。

  泡立て器で攪拌する作業は、風魔法を使えば楽だけど、要領を得ないと飛び散るからねえ。と経験者は語る。

  自分は瓶詰め後、清浄魔法を掛けるよ、食中毒怖いし、サルモネラも怖いから。

  で、王侯貴族がマヨネーズやドレッシングを知ってる=転生者が醤油や味噌同様、レシピを残したのが察せられる。

  ドレッシングが同様なのは、植物性油だよ。

  安価で安心な現代日本のキャノーラ油は、改良菜種を圧搾したものだけど、この世界の菜種じゃ不飽和脂肪酸がやばい。

  なので、大量に食すのは止めましょう。

  脂肪肝・フォアグラになるよ。

  さすがに、自分でも品種改良は全く無知だしねえ。

  野菜多めで肉少々の平民の食生活の方が健康的なんだ。

  冒険者も、肉々だから、野菜食べなきゃ。

  もう1つちなみに、転生者、ケチャップモドキは作ってた様だけど、ソースは作ってないと言うか、作れなかったのかな?

  でも、原材料ほぼ同じなんだけどなあ。

  そういう話も、コーデリアにすれば……

  手を握られ、料理人に言って、ケチャップモドキを今、改良中なんだそうだ。

  料理人を呼んで、レシピを出させれば、「香辛料が足りないねえ」レベルだった。

  野菜の玉ねぎ、にんじん、セロリ、ニンニク、生姜は導き出してた。

  シナモンとクミン、ナツメグ、クローブが入ってなくて、収納から引っ張り出してた自分。

  「ちなみに、薬師では必須なんで、持ってるの」

  そう言いながら、コーデリア探してるだろうと思い、ターメリック・ウコンを出せば、目を輝かせた。

  そう、ラノベでも度々出るカレーです。

  自分の近辺では、婆ちゃんの薬剤在庫管理で見つけて以来、カレーパンとして出して好評です。

  ほら、稲を見付けたのは最近なんでね。

  柔らかパン、クリームパン、ジャムパン、カレーパンのレシピを近所のパン屋に教えたので、自分が作らなくても食べれます。

  ちなみに、商業ギルドへのレシピ登録は過去にあったのでしてないけど、契約登録は期限が切れてたので、支障はなかったんだ。

  以前は、パン屋のおっちゃんが来てたけど、今は、パン屋の息子が来て、新商品のアイデアを探りに来るけど、自分で考えろ!

  で、コーデリアに渡した香辛料は、婆ちゃんが、香辛料とも言える薬剤として、南から来る行商の者から買ってるから、分けれるのは少しだけなの。

  だけど、侯爵家なんだから、商会に言えば、手に入れられるでしょ。

  「同じ材料で、カラメルソースを加え、ビネガーと醤油で味を整えてね。そうすれば、ソースになるから」
  
  料理人は、レシピが云々って言ってたけど……

  「ほら、今からが肝心だよ。材料は教えたけど、配分は貴方次第で、味が変わるんだから、研鑽してね」

  そう言えば、尤もだと思ったのか、頭を下げた後、走り気味に去って行ったので、早速始めるんだろう。

  コーデリアも楽しみなのか、嬉しそうだった。

  で、その醤油だけど、コーデリアも、醤油と味噌が実で、木になってるとは知らなかった様だ。

  「自身で行きたいけれど、許しては貰えないわよね」

  そう言って、しょんぼりとはしてたので、
  「依頼出しなよ」と言いながらも、精米後のお米も少し分けてあげた。

  ギルドの裏にある召喚陣で召喚すれば、テイマージョブが生え、テイマーハウスとも呼ばれる召喚獣の小屋を持つ事ができる。

  その場所は亜空間なので、許可しない限り、自身以外は入れないし、その場所は召喚獣の食料を生育する意味もあって、太陽もあるし雨も降る。

  そこまで言えば、自分がその中に水田を作った事に気付いた。

  「ただし、かなりの利用料金がかかるけどね」

  「資金はあるわ。逃走出来る様に貯めて来たから」

  やっぱりと思い、苦笑してたんだ。


  1度騎獣屋に行って見ると良いよ。と言って、帰ったんだけど、会いに行って良かったよ。

  黄色い大きなヒヨコも居るよ話には、目を瞬かせてたけど、見て悶えると良い。

  一応、ご令嬢御用達だと言えば、興味津々だった。

  魔法学園入学で、3体目の召喚する暇なかったんだけど、レイクサーペントのオークション代金が莫大だったんで、出来るんだ。

  ちなみに、魔法学園入学で、個人の指名依頼は受けれない措置が取られたので、安堵したんだけど……

  ギルドからの緊急指名依頼は別だからね。

  ほら、自分の収納の中で氷漬けになってる魔物の量を考えれば、自分、結構、未然に王都の危機を救って来てたみたいなんだ。

  知らない内に、遭遇してたんだねえ。

  その自分が、魔法学園の中で机に縛り着けられたら、どうなるか?

  きっと近い内に、緊急指名依頼出るんだろうなあ。

  そう思いながら、ギルドに向かえば……

  「そうやってると嬢ちゃん、ご令嬢だな」

  馴染みのおっちゃん冒険者に言われ、二の腕を拳で叩いたんだけど、きっと痛くないよ。

  「あー痛い痛い」と棒読みだし。

  召喚陣利用をカウンターの受付嬢に告げれば、
 「今日は空いています」との事だった。

 「3体目はなんだー?」と言われながら、裏に向かったんだ。


 「いよいよペット型ですか?」

  そう言う、いつものギルド職員にタグを渡して、召喚陣の中に入った。

  5mもの大きさの陣に魔力を行き渡らさなければ行けないので、起動まで少々時間が掛かるんだ。

  前回のフレスベルグの時は、強引気味に押し込んだ覚えがある。

  今は、猫も良いけど、タミアも良いなあ。と思いながら、魔力を流し込んでたんだ。

  「行きます!」と言って、起動させれば……

  理想通りの真っ白ではないけど、毛先が金色っぽいオコジョっぽいタミアが居た。

  可愛い!と思ったのに、ギン!と睨まれ、え?だよ。

  いつものギルド職員は、大爆笑してて……

 「ソイツ、タミアじゃなく、希少なヴァインタミア」

  教えられた事に、「ええ?!」と言ってたら、尻尾がベシベシと地面を叩いてる。

  「すっごく気が強いんだよ」と言って、肩を震わせて笑い続けてる。

  ふと、おかまなヴァインタミアが出てたラノベを思い出し、この世界の召喚獣が喋れない事に、ホッとしてた。

  「名前はイベルダ。契約」してくれると言う前に、
黄金の色の召喚陣が、紋となって、ヴァインタミアの額に集束して行った。

  と同時に、召喚陣から脱兎で飛び出して来て、自分の体を駆け上がり、肩に収まった。

  びっくりしたけど、「よろしくね」と言えば、キキと鳴いて返事してくれた。


  タミアには額に角無いけど、ヴァインタミアには小さいけどあるのか。

  そう思いながら、馬具は要らないけど、召喚獣の証が要るので、いつもの場所に行けば……

  自分の顔を見た瞬間、ブハッ!と笑われた。

  「いつものコレか?」

  そう言って、角に被せるレース編みのリングを出して来た。

  「これ以上、増えねえよな。いや、お前さんの事だからなあ」

  それってフラグじゃない?と思いながら、お金を払った後、着けてあげたんだ。

  「今後は拾って来そうだな」

  そう言うおっちゃんに手を振って、店を出て、家に向かった。


  王都の外に出て、小屋を出すのがめんどくさいのと、小屋は、結構狭い場所でも出せると、魔法学園で気付き……

  我が家の猫の額程の狭い裏庭に出せば、開けられて……

  母は小屋の中に入り浸ってるの。

  それで、婆ちゃんの裏庭も、召喚獣の小屋じゃない?と思ったんだけど、召喚獣何処よ。

  なので、家に戻って、ヴァインタミアを目にした母、「可愛い~!」と言って、悶絶してた。

  けどだねえ、鑑定したら、オスだった!

  そのイベルダ、小屋の中にある沢山の果樹の林を目にして、目を輝かせて、飛んで行った。

  ちなみに、ヴァインタミアの好みは、リスに近く、果物も食べるけど、レイトル同様、胡桃林檎好きらしい。

  他にはサクランボのクルル、アーモンドの実も好きなようで良かった。

  顔用クリームを作るには、蜜蝋と植物性油脂が必要で、オリーブオイルでも良いので、数本は植えてるけど、どっちかと言うと、オリーブは石鹸用。

  花畑に、向日葵と菜種を植え、食用油を採る様にしたけど、向日葵はマッサージ用のボディオイルにも向くんだよ。

  そう言えば、向日葵の種も、タミアなら食べそうだ。

  花畑には、他にサフラワー油になる紅花、ラベンダー、薔薇、マリーゴールドともいうカレンドラなどもある。

  ローズマリーやタイム、セージ、マジョラムなどのハーブは、花と花の境にしてるレンガの畦道の際に地植えしてるんだけど……

  大繁殖するミントだけは別。

  1度植えたら、1日でわっさー状態で、抜いてプランター植えしてるけど、直ぐに根っこ伸ばしてるんだよねえ、油断ならない。

  まるで、魔物の魔力の塊であるグミの実をつけるイビルプランツの様だよ。

  グミの実は美味しいし、色んな色、味があるので、素晴らしいドロップ品だけど、討伐は火魔法必須だよ。

  そうそう、大繁殖といえば、ウィルダーフラワーだけど、植える場所に苦慮して、丘の上の方に植えたら……

  群生した。

  先日のダンジョンから植えたのは椿もあったんだけど、本当に季節に関係なく、花を咲かせ、実をつけてるので、近々、カメリアのヘアオイルを作って、母に渡そう。

  で、顔用のクリームには癖のないアーモンドや杏の圧搾方式の油脂が良いの。

  1番は万能オイルと言われるホホバオイルだけど、ホホバはツゲ科で、荒野でも生える植物の種子なんだけど、今の所、見付けてない。

  それで、アーモンドは市場で探せば、木の実として、胡桃同様あったので、植えたら直ぐに木にはなったけど、今は林檎の花に似た薄い色付いた白い花が咲いてる。

  1番アーモンドを使うから、結構の本数があるんだけど、イベルダも好きかな?

  あと、果樹の側にあるのは、胡桃や栗、ドングリが生る楢や椎の木だね。

  野ブタの餌です。

  で、ダンジョンに次いで不思議空間だけあって、楢や椎などを植えたら、背景の様だった森が落葉の広葉樹林に変わり……

  野ブタが好んで行ってるけど、今、イベルダも走って行った。

  役得だったのは、その中に楓があって、それもメイプルシロップが採れる方のカエデ!

  更に、サクランボが生る桜桃の木とは違う、列記とした桜の木があって、びっくりしたよ。

  ラノベの異世界では桜がない事が多いのに。

  ただ、ソメイヨシノの薄いピンク色の花ではなく、山桜の濃いめの桃色に近い物が咲いてるの!

  だから、その場所だけ、ピンクなんだけど……

  そう言えば、ソメイヨシノって大島桜ともう1つとの品種改良で出来たから、異世界にある筈がないのは当然か。

  そう思いながら、眺めてたんだ。






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